河合楽器製作所(7952)企業分析レポート
株価:2,571円(2025-11-14時点)/市場:プライム
1. 企業情報
- 概要:ピアノを中心とする鍵盤楽器の世界大手。グランド/アップライト/デジタル/ハイブリッドピアノ、音響関連(防音室等)、アクセサリーを製造・販売。国内は直販主体。海外は中国・台湾・インドネシア等で教室運営。素材加工(精密金属・木工・電子部品)、ソフトウェア(音楽・業務)も展開。
- 事業構成(連結、売上構成比の目安):楽器教育80%、素材加工13%、その他7%。海外売上比率:約38%(2025.3期)。
- 人員など:従業員2,811人、平均年齢45.2歳、平均年収590万円。創業1927年、本社:静岡県浜松市。
- 直近の製品トピック:ハイブリッドピアノ「NOVUS(NV12/NV6)」、電子ピアノ「CXシリーズ(CX302/202/102)」を2025年9月発売。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:アコースティック/デジタルの両領域で世界上位。高付加価値・匠の技術を訴求するブランド力が強み。
- 競合環境:鍵盤楽器はグローバルで大手集中。欧州で在庫調整・価格競争、中国は「双減政策」以降で需要鈍化、米国は地域差を伴う底堅さ。
- 競争優位性:
- 製品:アコースティックの音響・木工技術と、デジタル/ハイブリッドの開発力。
- チャネル:国内直販・音楽教室網、海外拠点。
- 課題:需要サイクルと政策・為替の影響、欧州の在庫高止まり、原材料コスト高、教室生徒数の減少。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期計画:第8次中期経営計画「KAWAI 十年の計」(2026年3月期~2035年3月期)
- 重点施策:
- 鍵盤楽器成長戦略:デジタルマーケティング強化、EC・ディーラー拡充、直営店の新規展開、製品ライン強化(NOVUS/CXシリーズ投入)。
- 収益改善:商品ミックスの見直し、価格・原価対策、為替感応度管理。
- ポートフォリオ補完:素材加工(半導体向け部材・防音室)と情報関連の拡大。
- 足元の進捗:中間期の販売回復は想定を下回る一方、半導体向けや医療IT関連は堅調(短信ベース)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益源:鍵盤楽器販売(景気・政策・為替の影響を受けやすい)+音楽教室(準ストック的)+素材加工・IT関連(分散効果)。
- 適応力:
- 需要変動:デジタル/ハイブリッド比率の上昇、EC化・直営強化で価格主導性を補完。
- 地域分散:中国の政策影響が大きい一方、米州・アジア・欧州の複線展開。
- リスク:欧州在庫調整長期化、原材料・物流コスト、為替、中国の教育政策。対策は商品ミックス・価格政策・コスト管理で進行。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向:アコースティックの音響・木工と電子制御の融合(ハイブリッド)。高品位鍵盤機構、サウンドモデリング、スピーカーシステム等。
- 主力領域:ハイエンドアコースティック、デジタル・ハイブリッド(NOVUS、CXシリーズ)。音響(防音室)の堅調さも収益補完。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提:株価2,571円、予想EPS 95.34円、実績BPS 4,990.22円
- 予想PER:26.97倍(業界平均14.5倍比では高め)
- PBR:0.52倍(業界平均1.3倍比では低め)
- 参考計算:
- 同業平均PERを当社EPSに適用:95.34円 × 14.5 ≈ 1,383円
- 同業平均PBRを当社BPSに適用:4,990円 × 1.3 ≈ 6,487円
- EV/EBITDA(LTM概算):EV ≈ 時価総額23.2bn + 有利子負債10.2bn − 現金13.6bn ≈ 19.8bn円、EBITDA ≈ 2.27bn円 → 約8.8倍
- EV/Sales(LTM概算):約0.27倍
- コメント:収益ベースでは高め、資産・売上ベースでは低めという見え方。利益水準(景気・政策の影響)に左右されやすい点に留意。
7. テクニカル分析
- トレンド指標:50日線2,594円付近、200日線2,718円付近。株価は50日線付近・200日線下で中期は上値重い。
- 位置:52週レンジ(2,320–3,300円)の下中域(直近は安値比+11%、高値比-22%)。
- 足元の値動き:2,550–2,650円のレンジ推移。2650円台で戻り売り、2,570円前後に下値圧力。出来高は3カ月平均(約18.6千株)~直近10日平均(約19.8千株)で平準。
- 信用需給:信用倍率5.66倍。買残・売残ともに減少で需給はやや整理方向。
8. 財務諸表分析(LTMおよび過去推移)
- 売上高推移:87,771(2023/3)→ 80,192(2024/3)→ 72,918百万円(LTM)。3年CAGRはマイナス(約-5%)。
- 収益性:
- 粗利率:2022/3 27.4% → 2024/3 25.8% → LTM 約25.1%と緩やかに低下。
- 営業利益:6,697 → 5,047 → 3,256 → LTM 317百万円。営業利益率は2022/3 7.8% → LTM 約0.4%。
- EBITDAマージン:2022/3 約10.4% → LTM 約3.1%。
- 純利益率(LTM):約0.6%。ROE(実績):0.93%。ROA(LTM):0.32%。
- 安定性/流動性:
- 自己資本比率:60.2%(実績)。流動比率:2.67。D/E(Debt/Equity):約24%。
- 現金同等物:135.6億円、有利子負債:102.1億円、ネットキャッシュ約33.5億円。
- セグメント動向(2026/3期中間):
- 楽器教育:売上減、セグメント損失拡大(中国政策・欧州在庫・教室生徒減)。
- 素材加工:売上増、利益は材料費や構成変化で鈍化。半導体向け・防音室は回復/堅調。
- その他:医療向けIT等の大型案件寄与で増収増益。
9. 株主還元と配当方針
- 会社予想配当:年95円(配当利回り約3.7%)。
- 直近期の配当性向:LTM EPS約47円に対して実績配当95円で約200%。通期予想EPS約95円に対しては約100%。
- 自社株:自己株式比率約4%(期末自己株約40.9万株)。新規の自己株買い計画は資料未記載。
- 留意点:利益水準の回復前提で配当の実効的な持続性が変動。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週変化率 -7.15%。年初来は下方からの持ち直し局面も、200日線下で上値は限定的。
- 需給・関心:浮動株約632万株、インサイダー保有26%、機関保有19%。信用買い優位だが積み上がりは限定的。
- 変動要因:
- 製品投入の販売寄与タイミング(NOVUS/CX)
- 中国需要・欧州在庫の正常化
- 半導体・防音室など素材加工の回復軌道
- 原材料価格・為替動向
- 通期ガイダンス(売上7,600億円、営業利益15億円)進捗
11. 総評
- 事業面:高付加価値鍵盤でのブランド力と、音楽教室・素材加工の分散が特徴。足元は主要市場(中国・欧州)の逆風で楽器教育が弱含む一方、素材加工・ITは補完的に寄与。
- 収益性:粗利率は堅持も、営業利益率は低位。コスト/ミックス改善と新製品の寄与が回復の鍵。
- 財務:自己資本比率60%、ネットキャッシュと流動性は良好。
- バリュエーション:PERは業界平均比で高め、PBR・EV/Sは低位水準。利益循環の谷間をどう評価するかで見え方が分かれる。
- テクニカル:200日線下で戻り待ち。2,550–2,650円のレンジ攻防が続く構図。
(注)本資料は提供データに基づく客観的整理であり、投資助言を目的としません。不明項目は記載を省略しています。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:C
- 根拠:LTM売上は前年から減少、3年CAGRもマイナス。中計の成長施策はこれからの寄与。
- 収益性:C
- 根拠:LTM営業利益率約0.4%、EBITDA率約3%と低位。粗利率は約25%で横ばい。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率約60%、流動比率2.67、D/E約24%、ネットキャッシュ。
- 株価バリュエーション:B
- 根拠:PERは業界平均より高い一方、PBRやEV/Sは低位。指標混在により総合は中立。
参考データ
– 時価総額:約231.7億円、発行済株式数:9,011,560株(自己株含む)
– 最低購入代金:約257,100円/単元
– 年初来高値:3,300円、安値:2,320円
– 予想配当権利落ち日:2026-03-30(予定)
– 会社予想(2026/3期):売上760億円、営業利益15億円、純利益8.2億円、EPS 95.35円、配当95円
企業情報
| 銘柄コード | 7952 |
| 企業名 | 河合楽器製作所 |
| URL | http://www.kawai.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – その他製品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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