1. 企業情報
フィスコは、金融情報提供、IR(投資家向け広報)支援、広告代理業を主軸とし、近年は暗号資産・ブロックチェーン事業も展開する企業です。国内外の株価、為替、債券、商品、新興市場の動向などに関する分析情報を提供しており、個人投資家向けに投資情報サービス「CLUB FISCO」やAIによる株価予測サービス「FISCO AI」も手掛けています。また、上場企業に対して、アナリストレポートの作成や、情報開示、ブランディング、広告・販売促進といったIRコンサルティングサービスを提供しています。ネクスグループ、CAICA DIGITAL、クシムといった企業と親密な関係を持っています。
2. 業界のポジションと市場シェア
フィスコは金融情報提供およびIR支援サービス市場において、独自の立ち位置を築いています。市場シェアに関する具体的な数値は開示データからは不明ですが、長年の金融情報提供の実績と上場企業向けのIR支援に強みを持っています。特にIRコンサルティング分野では、中期経営計画において経営資源を集中し、月平均約10件、年間約100件のペースで新規顧客獲得を目指すなど、積極的な事業拡大を図っています。一方で、金融情報配信分野は需要低迷が見られ、この分野での競争圧力や市場変化への対応が課題となる可能性があります。暗号資産・ブロックチェーン事業も行っており、この分野での先駆的な取り組みは競争優位性となり得るものの、過去には評価損計上や取引運用上の不祥事リスクが顕在化しており、慎重な事業運営が求められています。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、収益構造の改善および安定化を最重要課題と位置付けています。中期的な経営戦略として、成長分野であるIRコンサルティング事業に経営資源を集中し、新規顧客の獲得とサービス提供範囲の拡大を推進しています。これと並行して、全社的なコスト削減(年換算約90百万円達成、さらに約60百万円削減予定)を徹底することで、収益性の向上を目指しています。過去数期にわたる営業赤字と継続企業の前提に関する注記があったため、早期の黒字定着と財務基盤の強化が急務となっています。暗号資産・ブロックチェーン事業については、過去の経験を踏まえ、現在は慎重なトレーディング方針を維持し、再発防止策の実施を最優先としています。
4. 事業モデルの持続可能性
フィスコの事業モデルは、金融情報提供、IR支援、広告代理、暗号資産・ブロックチェーンの多角化された収益源に依存しています。IR支援事業は堅調に推移し、新規顧客の獲得ペースも順調であることから、安定した収益源として持続可能性が高いと考えられます。一方で、金融情報配信分野は需要が低迷しており、市場ニーズの変化への適応が求められます。暗号資産・ブロックチェーン事業は、市場の変動性や規制環境の変化、過去の不祥事リスクが絡むため、収益貢献は限定的であり、現時点では持続的成長の柱としては不確実性が高い状態です。全体としては、IR支援事業の成長で他の事業の弱点を補い、長期的な収益基盤を強化できるかが持続可能性の鍵となります。
5. 技術革新と主力製品
フィスコは、FISCO AIによる株価予測サービスやブロックチェーン技術への取り組みを通じて、技術革新に注力しています。主力製品・サービスとしては、機関投資家や個人投資家向けのリアルタイム金融情報配信サービス、上場企業向けのスポンサー型アナリストレポートを含むIRコンサルティングサービスが挙げられます。特にIRコンサルティングは、顧客企業のIR戦略立案から実務支援まで幅広くカバーし、収益を牽引しています。暗号資産・ブロックチェーン事業では、慎重なトレーディング方針と再発防止策が実施されており、現時点では新たな技術開発や製品投入に関する具体的な動きは限定的と見られます。
6. 株価の評価
現在の株価139.0円に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想):213.85倍
* PBR(実績):13.19倍
* EPS(会社予想):0.65円
* BPS(実績):32.43円
業界平均PER 66.2倍、業界平均PBR 3.5倍と比較すると、フィスコのPERおよびPBRは大幅に上回っており、現在の株価は純粋なバリュエーション指標から見ると割高な水準にあると言えます。EPSが0.65円と非常に小さいため、PERが高くなる傾向にありますが、PBRもBPS32.43円に対して株価139.0円と高水準であり、割高感が強い評価となります。
7. テクニカル分析
現在の株価139.0円は、年初来高値265円からは大きく下落しており、年初来安値110円に近い水準にあります。直近10日間の株価推移を見ると、概ね120円から130円台で推移しており、大きな上昇トレンドは見られません。50日移動平均線141.90円、200日移動平均線150.84円をともに下回っており、短期および中長期的なトレンドは下降基調にあると判断できます。これは、現在の株価が短期的な高値圏にはなく、むしろ安値圏に近い位置にあることを示唆しています。
8. 財務諸表分析
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売上高: 過去数年間は減少傾向にありました。
- 2021年:1,252百万円
- 2022年:1,183百万円
- 2023年:961百万円
- 2024年(予想):867百万円 → 887百万円(2025年12月期通期予想)
- 直近12ヶ月:856百万円
ただし、2025年12月期第3四半期累計では前年同期比+5.2%と売上高は回復基調に転じています。
* 利益: 2021年には大幅な純利益がありましたが、2022年、2023年、直近12ヶ月と数年間は営業利益および純利益が赤字でした。しかし、2025年12月期第3四半期累計では、営業利益19百万円、経常利益20百万円、四半期純利益15百万円と黒字転換を果たしており、通期でも営業利益30百万円、当期純利益30百万円を見込んでいます。
* キャッシュフロー: 第3四半期累計のキャッシュフロー計算書の開示はありませんが、過去2期連続で営業キャッシュフローがマイナスであったと注記されています。
* ROE: 実績-114.67%、過去12ヶ月-129.19%と非常に低い水準にあります。
* ROA: 過去12ヶ月-2.89%と低い水準です。
* 自己資本比率: 実績13.0%でしたが、2025年9月30日時点では48.9%に大きく改善しています。これは投資有価証券の評価差額金による純資産の増加が大きな要因です。
* 流動比率: 2025年9月30日時点で3.70と非常に高く、短期的な支払い能力は極めて良好です。
* D/E比率: 2025年9月30日時点で11.17%と非常に低く、財務健全性は大幅に改善しています。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の配当利回りは0.00%、1株配当0.00円となっており、過去の配当もゼロです。現在のところ、配当による株主還元は行われていません。自社株買いに関する情報も開示されていません。収益構造の改善と事業基盤の安定化が優先されている状況であり、株主還元は将来的な業績回復次第となるでしょう。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は10日間の履歴では大きな変動はなく、年初来安値に近い水準で推移しており、明確な上昇モメンタムは見られません。信用倍率が5.87倍(信用買残3,390,400株、信用売残577,300株)と信用買い残が比較的多い状況です。株価への影響を与える要因としては、IRコンサルティング事業の継続的な成長、コスト削減効果の進捗、暗号資産市場の動向、そして「継続企業の前提に関する重要な不確実性」が払拭されるかどうかが挙げられます。特に、過去の赤字から直近で黒字転換したというポジティブな材料と、過去の暗号資産事業での不祥事に対する「改善報告書」の内容やそれに基づく再発防止策の進捗にも投資家の関心が集まる可能性があります。
11. 総評
フィスコは、金融情報提供とIR支援を主軸とする企業であり、特にIRコンサルティング分野の成長に経営資源を集中させることで、収益構造の改善を図っています。長らく赤字が続いていましたが、2025年第3四半期累計では黒字転換し、通期でも黒字化を予想するなど、業績改善の兆しが見られます。投資有価証券の評価益により自己資本比率やその他の財務健全性指標も大幅に改善しました。
一方で、現在の株価は業界平均と比較してPER、PBRともに割高な水準にあり、バリュエーション面では高い評価を受けています。株価のモメンタムは弱く、テクニカルには安値圏に近い位置ですが、過去の問題に対する再発防止策の実施や継続的な業績改善が投資家の評価を左右するでしょう。金融情報配信分野の需要低迷や暗号資産事業の不確実性といった課題も抱えており、IR事業のさらなる成長と収益性向上が今後の焦点となります。
12. 企業スコア
- 成長性: C
- LTM売上成長率は-10.89%と減少傾向。2025年12月期通期予想の売上高成長率も+2.1%と限定的。過去数年間の売上推移も減少傾向であることから、成長性は低いと評価します。
- 収益性: C
- 過去数年間は営業赤字が継続しており、LTM営業利益率も-24.62%と低い水準です。2025年第3四半期累計で黒字転換しましたが、通期予想の営業利益率も約3.4%と依然として低く、業界平均と比較しても低いと評価します。
- 財務健全性: S
- 直近四半期の自己資本比率は48.9%、流動比率は3.70、D/E比率は11.17%と、いずれの指標も非常に健全な水準にあります。主に投資有価証券の評価益による純資産の大幅な増加が背景にあるものの、財務数値上は極めて良好です。
- 株価バリュエーション: D
- PER(会社予想)213.85倍は業界平均66.2倍を大幅に上回っています。PBR(実績)13.19倍も業界平均3.5倍と比べて非常に高く、現在の株価は割高であると評価します。
企業情報
| 銘柄コード | 3807 |
| 企業名 | フィスコ |
| URL | http://www.fisco.co.jp/ |
| 市場区分 | グロース市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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