マイポックス(証券コード: 5381)の企業分析レポートを以下の通りご報告いたします。
1. 企業情報
マイポックスは1925年創業、1941年設立の歴史ある企業で、精密研磨フィルムや液体研磨剤を主軸とする研磨材メーカーです。特に半導体製造用のウエハーやハードディスクドライブ(HDD)、光ファイバー、フラットパネルディスプレイ向けの精密研磨材において、その技術が活用されています。同社は自社技術を活かした加工事業も展開しており、近年はM&Aを通じて一般研磨剤分野も強化しています。提供される製品には、研磨フィルム、研磨紙・布、機能性フィルム、液体研磨剤、ファイバーディスク、各種研磨機や検査装置、洗浄製品、3Dプリントオブジェクト、再帰性反射材など多岐にわたります。これにより、半導体、光学、自動車、建築など幅広い産業でその製品が利用されています。
2. 業界のポジションと市場シェア
マイポックスは液体研磨剤および精密研磨フィルムの分野において、大手の一角を占めています。特に半導体関連、データストレージ(HDD)、光通信といった高精度が求められる領域で製品を提供しており、ニッチな市場で技術的優位性を築いています。
市場動向としては、半導体需要やデータセンター投資の動向に業績が左右されやすい特性があります。近年は、これらの市場の変動に加え、買収による一般研磨剤分野の強化や、3Dプリント関連、機能性フィルムなどの新規分野への展開を図ることで、事業ポートフォリオの多角化を進め、特定の産業への依存リスクを軽減し、市場変動への対応力を高めようとしている状況です。
3. 経営戦略と重点分野
決算短信の一部訂正には主に自己株式の取得に関する情報が記載されており、具体的な経営戦略やビジョン、中期経営計画に関する詳細な記述はデータからは確認できませんでした。
4. 事業モデルの持続可能性
マイポックスの収益モデルは「製品」が89%、「受託」が11%と、製品販売が事業の大部分を占めています。精密研磨フィルムや液体研磨剤といった高付加価値製品により収益を上げています。主要顧客が半導体、HDD、光ファイバー、フラットパネルディスプレイなどの先端産業であり、これらの産業の設備投資や生産動向が業績に大きく影響します。
市場ニーズの変化への適応力としては、3Dプリント技術関連、機能性フィルム、再帰性反射材といった新分野への製品展開が見られ、新たな需要の取り込みを図る姿勢がうかがえます。また、M&Aによる一般研磨剤の強化も、既存事業の補完と市場拡大の戦略として評価できます。
売上計上時期の偏りに関する具体的なデータは確認できませんでした。
5. 技術革新と主力製品
同社の技術開発は、高精度な表面加工を実現する精密研磨フィルムや液体研磨剤に強みがあります。ウエハーや光学部品など、微細な加工が求められる分野で培った独自の技術が競争優位性の源泉です。
収益を牽引しているのは、製品事業(売上構成比89%)であり、特に半導体、光ファイバー・コネクタ、フラットパネルディスプレイ、HDDなどの製造プロセスで使用される研磨材が主力と考えられます。その他、機能性フィルムや3Dプリントオブジェクト、再帰性反射材などの新しい技術分野への展開も見られます。
6. 株価の評価
現在の株価442.0円に対し、PER(会社予想)は11.27倍、PBR(実績)は0.72倍です。
業界平均PERが7.3倍であることと比較すると、同社のPERは業界平均より割高な水準にあります。一方、業界平均PBRが0.7倍であることと比較すると、同社のPBRはほぼ同水準であり、解散価値的には過度な割高感はありません。
EPS(会社予想)39.22円、BPS(実績)609.83円に基づくと、PERは業界平均よりも高いものの、PBRは適正な水準にあると言えます。
7. テクニカル分析
直近の株価は442.0円です。年初来高値838円、年初来安値391円と比較すると、現在の株価は年初来安値に近く、安値圏で推移していると言えます。
本日高値447円、本日安値432円、前日終値451円と、直近では下落傾向にあります。
50日移動平均線465.16円、200日移動平均線515.33円をともに下回っており、短期・中期的に下降トレンドにあることが示唆されます。
出来高は本日186,000株、売買代金は81,545千円でした。3ヶ月平均出来高151.22千株、10日平均出来高183.38千株と比較すると、平均的な水準であり、市場の関心度は標準的と言えるでしょう。
8. 財務諸表分析
過去の損益計算書を見ると、2022年3月期は売上高10,449百万円、純利益1,550百万円と好調でした。しかし、2024年3月期には売上高9,354百万円に減少し、営業利益 -442百万円、純利益 -408百万円と赤字に転落しました。
一方、2025年3月期(会社予想および過去12ヶ月のデータ)では、売上高11,172百万円と回復し、営業利益942百万円、純利益911百万円と大幅な黒字転換が見込まれています。これは業績が大きくV字回復する見通しを示唆しています。
ROEは実績ベースで11.43%(過去12ヶ月では8.70%)、ROAは過去12ヶ月で2.05%と、2024年3月期の赤字から改善はしていますが、ROAは効率性の点でまだ改善の余地があると言えます。
直近四半期(9/30/2025)の前年比売上高成長率は-2.20%と微減ですが、前年比の四半期利益成長率は467.90%と大幅な改善を見せており、業績の回復基調が明確です。
9. 財務健全性分析
自己資本比率は53.1%と、財務の安定性を示す非常に良好な水準です。これは負債への依存度が低いことを意味します。
流動比率は1.46と、短期的な支払能力は確保されており、一般的な目安である200%には及ばないものの、懸念される水準ではありません。
直近四半期のTotal Debt/Equityは79.34%です。総負債が6.7B、現金が2.84B存在しますが、高い自己資本比率が示すように、全体的な財務健全性は良好と評価できます。
借入金の具体的な動向や金利負担に関する詳細はデータにありませんが、Pretax Incomeに対するNet Non Operating Interest Income Expenseの比率から見ると、金利負担は営業外費用として一定程度存在しています。
10. 収益性分析
ROE(実績)は11.43%(過去12ヶ月では8.70%)であり、一般的なベンチマークである10%を実績ベースでは上回っていますが、過去12ヶ月では下回っています。ROA(過去12ヶ月)は2.05%であり、一般的なベンチマークである5%を下回っています。
利益率は、Profit Marginが6.39%、Operating Marginが5.07%となっており、過去12ヶ月で大幅に改善しています。
2024年3月期の赤字から、2025年3月期予想では大幅な増益を見込んでおり、収益性は回復基調にあります。ただし、資産の効率的な活用を示すROAは改善の余地が大きいと言えるでしょう。
11. 市場リスク評価
ベータ値は0.31であり、市場全体の変動と比較して株価の変動が小さいことを示しています。これは比較的、市場リスクに対して感応度が低い、安定志向の銘柄であることを示唆します。
52週高値838.00円、52週安値391.00円に対し、現在の株価は442.0円と52週安値に近い水準で推移しており、株価変動のレンジの下限に近い位置にあります。
決算短信に記載された具体的なリスク要因は確認できませんでした。一般的に、主要顧客である半導体やディスプレイ業界の景気変動、外国為替相場の変動(海外売上比率56%)、原材料価格の変動などが事業リスクとして考えられます。
12. バリュエーション分析
PER(会社予想)は11.27倍で、業界平均PER7.3倍と比較して割高感があります。
PBR(実績)は0.72倍で、業界平均PBR0.7倍と比較してほぼ同水準です。
提供された目標株価レンジは、業種平均PER基準で468円、業種平均PBR基準で425円とされています。現在の株価442円は、PER基準では目標株価を下回り割安感がある一方、PBR基準では目標株価をやや上回るか適正水準と言えます。
総合的に判断すると、PBRは妥当な水準にありますが、PERは業績成長への期待が織り込まれている可能性があり、業界平均と比較すると割高感が否めません。ただし、2024年3月期の赤字からの大幅な業績回復を考慮すると、PERの割高感は今後の成長によって吸収される可能性も考えられます。
13. 市場センチメント分析
信用買い残は865,100株、信用売り残は134,500株で、信用倍率は6.43倍と、信用買いが信用売りを大幅に上回っています。これは将来の売り圧力となる可能性があり、需給面ではやや警戒が必要です。
株主構成を見ると、筆頭株主は渡邉淳氏(代表者)で4.55%を保有しています。インテーザ・サンパオロ・クライアンツ・オムニバス(イタリア)、みずほ銀行、野村信託銀行など、機関投資家や金融機関が上位株主に含まれており、一定の安定株主が存在します。インサイダー保有比率は10.42%、機関投資家保有比率は22.92%です。
14. 株主還元と配当方針
配当利回り(会社予想)は2.26%であり、1株配当は10.00円を予定しています。
配当性向は15.62%と低く、今後の業績回復や成長に応じて配当余力があることを示しています。
直近の決算短信の訂正により、自己株式の取得割合が3.47%に大幅に引き上げられたことが判明しています。これは、株主還元への積極的な姿勢を示すものであり、投資家にとってポジティブな材料です。
15. 最近のトピックスと材料
2025年5月16日付で「(訂正)2025年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)の一部訂正について」が発表されました。これは、自己株式の取得に関する内容で、発行済株式総数(自己株式を除く)に対する取得割合が、当初の0.35%から3.47%へと大幅に訂正・増加されました。
この自己株式の取得割合の大幅な引き上げは、実質的な株主還元策の強化を意味し、発行済株式数の減少を通じて1株当たりの利益(EPS)や自己資本(BPS)の向上に寄与し、株価に対してはポジティブな影響を与える可能性があります。
16. 総評
マイポックスは、精密研磨材のニッチ市場で技術的優位性を確立している企業です。2024年3月期は赤字に転落しましたが、2025年3月期には大幅な業績回復を見込んでおり、特に利益面でのV字回復が注目されます。
財務基盤は自己資本比率53.1%と非常に健全であり、資金繰り上の大きな懸念は少ないと考えられます。また、配当性向は低いものの、自己株式取得の積極的な実施は株主還元への意識の高さを示しています。
株価は年初来安値圏で推移しており、テクニカル的には下落トレンドにありますが、業績の回復期待や株主還元策の強化は、今後の株価に影響を与える可能性があります。PERは業界平均より割高ですが、PBRは同水準であり、今後の業績の持続的な回復が評価されれば、現在の株価水準に対する見方も変わるかもしれません。
強み:
- 精密研磨分野における高い技術力と専門性。
- 半導体、HDD、光通信など多様な高成長産業への製品提供。
- 健全な財務体質(高い自己資本比率)。
- 積極的な株主還元策(自己株式取得の強化)。
- 3Dプリント、機能性フィルムなど新規分野への事業展開。
弱み:
- 過去の業績に大きな変動があり、安定性に課題。
- ROAが業界平均と比較して低い水準にある。
- 信用買い残が多く、需給面での潜在的な重圧。
機会:
- 半導体、データセンター、光通信分野の持続的な成長。
- 新規事業分野(3Dプリント、機能性フィルムなど)の市場拡大。
- 為替市場の変動が海外売上を増加させる可能性。
脅威:
- 主要顧客産業(半導体、HDD、FPDなど)の設備投資サイクルや景気変動。
- 原材料価格の高騰やサプライチェーンのリスク。
- 国際競争の激化。
17. 企業スコア
- 成長性: B
- 過去12ヶ月の売上は前年比-2.20%と微減ですが、2025年3月期予想では売上高、利益ともに大幅な回復を見込んでいます。特に前年比の四半期利益成長率は467.90%と高く、回復基調が明確です。新規製品・サービス展開への意欲も確認できます。
- 収益性: B
- 過去12ヶ月のROEは8.70%(同業他社比較で「普通」)、ROAは2.05%(同業他社比較で「低い」)です。2024年3月期の赤字から回復しているものの、ROAはベンチマーク5%を下回るため、改善の余地があります。
- 財務健全性: A
- 自己資本比率は53.1%と非常に高く、財務健全性は優れています。流動比率も1.46と短期的な支払能力は確保されており、現金保有状況も考慮すると安定した財務基盤を有しています。
- 株価バリュエーション: C
- PER(会社予想)11.27倍は、業界平均PER7.3倍と比較して割高です。PBR(実績)0.72倍は業界平均0.7倍とほぼ同水準であり、PBR基準では妥当な評価ですが、PERの割高感が総合的なバリュエーションを押し下げています。
企業情報
| 銘柄コード | 5381 |
| 企業名 | マイポックス |
| URL | https://www.mipox.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 建設・資材 – ガラス・土石製品 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
現在の指標
| 株価 | 442円 |
| EPS(1株利益) | 39.22円 |
| 年間配当 | 2.26円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 3.0% |
| 5年後の想定PER | 11.3倍 |
5年後の予測値
| 予想EPS | 45.47円 |
| 理論株価 | 512円 |
| 累計配当 | 12円 |
| トータル価値 | 525円 |
現在価格での試算リターン
| 試算年率リターン(CAGR) | 3.49% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 261円 | 130円 | × 算出価格を上回る |
| 12% | 298円 | 149円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 326円 | 163円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.4)」によって自動生成されました。
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