個人投資家の皆様へ
本レポートでは、オリジナル設計(4642)について、企業の基本情報から最新の財務状況、市場評価までを包括的に分析し、投資判断の一助となる情報を提供します。

1. 企業情報

オリジナル設計は、1962年設立の老舗建設コンサルタント企業です。主に地方自治体向けに、上下水道や水質保全に関わるコンサルティングサービスを提供しています。具体的には、事業の事前調査、計画策定、詳細設計、診断、建設監理など多岐にわたるサービスを展開しています。
主力製品・サービスは、上下水道施設の新設・改修に関するコンサルティング、水質汚濁対策や河川の氾濫対策といった水環境保全技術の提供です。近年では官民連携(PPP事業)の開拓にも注力しており、地理情報システム(GIS)開発の子会社を持つなど、情報処理技術を融合したソリューション提供も行っています。

2. 業界のポジションと市場シェア

オリジナル設計は、国内の公共インフラ、特に上下水道分野に強みを持つ建設コンサルタントとして確固たる地位を築いています。
業界内での競争優位性や課題: 長年の経験と実績に基づく高い技術力、地方自治体との強固な信頼関係が競争優位性と考えられます。一方で、建設コンサルタント業界は技術者不足や受注競争の激化といった課題も抱えています。
市場動向と企業の対応状況: 決算短信によると、我が国の上下水道インフラ資産は約130兆円に上り、施設老朽化による更新需要が喫緊の課題となっています。水道管路の年間更新率は全国平均で0.64%と低く、下水道の普及率は93.3%に達しているものの、維持管理や耐震化の必要性が高まっています。政府が「ウォーターPPP」を推進していることも、官民連携事業に注力する同社には追い風です。同社はこうした市場ニーズの変化に対応し、M&Aを通じて情報処理部門を強化するなど、事業領域の拡大を図っています。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣が掲げる具体的なビジョンや中期経営計画の詳細は、提供データには記載がありません。
新製品・新サービスの展開状況: 2025年1月に株式会社クラックスシステムの全株式を取得し、連結子会社化しました。これにより、情報処理部門の強化を図り、建設コンサルタント事業とのシナジー創出を通じて、より付加価値の高いサービス提供を目指していると考えられます。これは、デジタル技術を活用したコンサルティングの需要が高まる中、重要な戦略的投資と言えます。

4. 事業モデルの持続可能性

同社の収益モデルは、建設コンサルタント事業が売上の93%、情報処理部門が7%を占める構成です。上下水道・水質保全といった公共インフラ関連事業は、国の政策や自治体の事業計画に大きく左右されますが、インフラの老朽化対策や災害対策は社会的に必要不可欠なサービスであり、安定した市場ニーズが存在します。政府によるPPPの推進も、同社の事業機会を拡大させる要因となり、事業モデルの持続可能性は高いと評価できます。
売上計上時期の偏りとその影響: データなし。

5. 技術革新と主力製品

技術開発の動向や独自性: 具体的な技術開発の詳細は記載されていませんが、非破壊検査技術や情報処理技術への言及があり、これらを活用したインフラ診断や管理効率化に強みを持っている可能性があります。子会社化したクラックスシステムとの連携で、地理情報システムなどのデジタル技術を建設コンサルティングに融合させ、サービスの競争力向上を図ると考えられます。
収益を牽引している製品やサービス: 上下水道施設の新設・改修、水質保全・管理に関するコンサルティングサービスが引き続き収益の主体であり、安定的な利益を創出しています。

6. 株価の評価

EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較:

  • 現在の株価: 1,487.0円
  • EPS(会社予想): 94.71円
  • PER(会社予想): 15.70倍 (= 1,487.0円 / 94.71円)
  • BPS(実績): 1,271.54円
  • PBR(実績): 1.17倍 (= 1,487.0円 / 1,271.54円)

提示されたPER/PBRと株価・EPS/BPSは整合しています。

業界平均PER/PBRとの比較:

  • 業界平均PER: 15.0倍
  • 業界平均PBR: 1.2倍

同社のPER15.70倍は業界平均PER15.0倍と比較してやや割高、PBR1.17倍は業界平均PBR1.2倍と比較してやや割安な水準にあります。

7. テクニカル分析

直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か:

直近10日間の株価は、11月11日の1,514円から11月18日の1,432円まで下落した後、本日11月25日には1,487円までやや回復しています。全体としては緩やかな下落トレンドからもち直している状況です。

年初来高値・安値との位置関係:

  • 年初来高値: 2,495円
  • 年初来安値: 1,100円
  • 現在の株価: 1,487.0円

現在の株価は、年初来高値からは約-40%下落しており、年初来安値からは約+35%上昇した水準に位置しています。年初来のレンジで見ると、安値圏に比較的近い水準にあると言えます。

出来高・売買代金から見る市場関心度:

本日出来高は4,300株、売買代金は6,263千円と非常に少なく、市場の関心度は低いと見られます。発行済株式数約740万株に対して、日々の取引量が少ないため、株価の変動が大きくなる可能性や、売買が成立しにくい流動性のリスクも考慮する必要があります。

8. 財務諸表分析

売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価:

過去5年間の損益計算書を見ると、Total Revenue(売上高)、Gross Profit(売上総利益)、Operating Income(営業利益)、Net Income(純利益)のいずれも着実に増加傾向にあります。
* Total Revenue: 6,207百万円 (2021) → 7,122百万円 (2024E) → 7,803百万円 (過去12か月) と成長。
* Operating Income: 575百万円 (2021) → 845百万円 (2024E) → 900百万円 (過去12か月) と成長。
* Net Income: 376百万円 (2021) → 650百万円 (2024E) → 555百万円 (過去12か月) (直近12か月はやや減少だが、2024年予想比では堅調)。

ROE(過去12か月)は9.12%、ROA(過去12か月)は6.22%と、収益性も良好な水準にあります。

四半期決算の進捗状況(通期予想との比較):

2025年12月期第1四半期決算(1-3月)では、売上高2,561百万円、営業利益560百万円を計上しました。通期売上高予想8,200百万円に対して約31%、通期営業利益予想730百万円に対して約76%の進捗となっています。第1四半期の営業利益進捗が非常に高いですが、建設コンサルティング事業の特性上、特定の時期に業務完成高や利益が集中する可能性があるため、今後の四半期の推移を注視する必要があります。M&Aに関連する費用の計上も通期利益を圧迫するリスクとして挙げられています。

9. 財務健全性分析

自己資本比率、流動比率、負債比率の評価:

  • 自己資本比率(2025年12月期第1四半期・連結): 65.1%
  • 流動比率(直近四半期): 4.92倍
  • 負債比率(Total Debt/Equity): 26.32%

自己資本比率65.1%は非常に高く、財務基盤が極めて安定していることを示しています。流動比率4.92倍も短期的な支払い能力が十分に高いことを示しており、資金繰りに問題はないと考えられます。負債比率も低く、借入金が少ない健全な財務状況です。
借入金の動向と金利負担: 総借入金は1.98Bドル(約19.8億円)とあり、潤沢な現金(Total Cash: 5.41Bドル、約54.1億円)と比較しても非常に健全な水準です。金利負担に関する具体的な情報は少ないですが、Net Non Operating Interest Income Expenseがマイナスの場合もあり、金利収支はほぼ中立か軽微な費用に留まっていると推測されます。

10. 収益性分析

ROE、ROA、各種利益率の評価:

  • ROE(過去12か月): 9.12%
  • ROA(過去12か月): 6.22%
  • 売上総利益率 (Gross Profit)(過去12か月):34.2% (2,668,456 / 7,803,080)
  • 営業利益率 (Operating Income) (過去12か月):11.5% (900,027 / 7,803,080)
  • 純利益率 (Profit Margin) (過去12か月): 7.41%

一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較:

ROEはベンチマークの10%には僅かに届きませんが、ROAはベンチマークの5%を上回っており、資産を効率的に活用して利益を生み出していると言えます。各利益率も公共事業を主体とする事業としては良好な水準です。
収益性の推移と改善余地: 売上高の増加に伴い、利益も着実に成長傾向にあり、収益性は改善しています。情報処理部門の強化によるサービスの高付加価値化や、効率的な資産運用により、ROE・ROAのさらなる改善余地があると考えられます。

11. 市場リスク評価

ベータ値による市場感応度の評価:

ベータ値は0.31と非常に低く、市場全体の変動に対して株価が反応しにくい特性を持っていることを示します。これは、生活インフラに関わる安定的な事業を手掛けているため、景気変動の影響を受けにくいことを示唆しており、安定志向の投資家には魅力的な特性と言えます。

52週高値・安値のレンジと現在位置:

  • 52週高値: 2,495.00円
  • 52週安値: 1,082.00円
  • 現在の株価: 1,487.0円

現在の株価は、52週レンジの下半分に位置しており、高値から大きく調整された水準です。

決算短信に記載のリスク要因:

M&Aに関連する費用の計上が、短期的には業績に影響を与える可能性があるとされています。外部環境(景気変動、自然災害)、為替、地政学リスクなど、一般的な事業リスクについての具体的な記載はありませんでしたが、建設コンサルタント事業は公共投資の動向に左右される側面があることに留意が必要です。

12. バリュエーション分析

業種平均PER/PBRとの比較:

  • 同社PER(会社予想): 15.70倍、業界平均PER: 15.0倍
  • 同社PBR(実績): 1.17倍、業界平均PBR: 1.2倍

PERは業界平均よりやや高く、PBRは業界平均よりやや低い水準です。

目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用):

  • 業種平均PER基準目標株価: 1,410円 (= 94.71円(EPS) × 15.0(業界平均PER))
  • 業種平均PBR基準目標株価: 1,526円 (= 1,271.54円(BPS) × 1.2(業界平均PBR))

割安・割高の総合判断:

現在の株価1,487円は、PER基準ではやや割高ですが、PBR基準ではやや割安と評価できます。総合的には、業界平均に対しては概ね適正水準か、やや割安な範囲にあると判断できます。

13. 市場センチメント分析

信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス):

信用買残は51,800株ありますが、信用売残は0株のため信用倍率は0.00倍となっています。信用買いが積み上がっている状態であり、今後、信用買いの解消(売却)が進む場合に株価に下押し圧力がかかる可能性も考えられます。ただし、出来高が少ないため、実際の需給には大きく影響しない可能性もあります。

株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況):

インサイダー(内部関係者)の株式保有比率は52.66%と高く、主要な大株主には東京スペックス、自社(自己株口)、UHパートナーズ、光通信などが名を連ねています。これは、経営陣や主要株主による安定した経営基盤と、長期的な視点での企業価値向上へのコミットメントを示唆しています。一方で、経営の透明性や株主構成の多様性については注視が必要です。
大株主の動向: 特に大きな変動を示すデータはありません。

14. 株主還元と配当方針

配当利回りや配当性向の分析:

  • 配当利回り(会社予想): 2.35%
  • 1株配当(会社予想): 35.00円
  • 配当性向(過去12か月): 34.04%

配当性向34.04%は、企業の成長投資と株主還元をバランス良く行っている水準と言えます。安定した配当を継続する方針と見て取れます。

自社株買いなどの株主還元策:

大株主の中に「自社(自己株口)」が18.74%含まれており、過去に自社株買いを実施し、発行済み株式の約2割を保有していることが分かります。これは株主還元への意識が高いことを示唆します。
株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策: データなし。

15. 最近のトピックスと材料

適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等):

2025年1月に株式会社クラックスシステムを連結子会社化したことが重要なトピックです。これは情報処理部門の強化、ひいては建設コンサルティング事業のデジタル化推進、高付加価値化に繋がる戦略的な動きです。

これらが業績に与える影響の評価:

クラックスシステムの連結子会社化は、情報処理部門の売上・利益貢献に加え、既存の建設コンサルティング事業とのシナジーを通じて、長期的な成長ドライバーとなる可能性があります。ただし、短期的なM&A関連費用が計上されるリスクも決算短信で言及されています。第1四半期の好調な利益進捗を鑑みると、現時点ではプラスに作用している可能性が高いです。

16. 総評

オリジナル設計(4642)は、上下水道・水質保全分野の建設コンサルティングを主軸とする企業であり、日本の社会を支えるインフラ整備・維持管理という、非常に安定した事業基盤を持つことが強みです。インフラの老朽化が進む中、更新需要や政府が推進する官民連携(PPP)事業は同社にとって大きな機会となります。

強み:

  • 安定した事業領域: 公共性の高いインフラ事業(特に上下水道)に特化しており、景気変動の影響を受けにくい。
  • 強固な財務体質: 自己資本比率が高く、流動性も潤沢で、非常に健全な財務状況を保っています。
  • 着実な成長: 過去数年間、売上高・利益ともに安定的に成長しています。
  • M&Aによる事業強化: 情報処理部門の子会社化で、将来のデジタル化ニーズに対応し、事業の高付加価値化を図る。

弱み:

  • 市場流動性の低さ: 出来高が少なく、市場の注目度が低い可能性があります。
  • 特定の市場への依存: 公共事業への依存度が高く、政策変更や地方財政の悪化がリスクとなりうる。
  • 成長ドライバーの具体性: 長期的な成長戦略や新技術開発の詳細が見えにくい部分がある。

機会:

  • インフラ老朽化対策の加速: 高まる社会的なインフラ更新・維持管理需要。
  • ウォーターPPPの推進: 官民連携事業の拡大による新たな事業機会。
  • デジタル技術との融合: 情報処理部門の強化によるサービスの高付加価値化と効率性向上。

脅威:

  • M&A関連費用: 短期的に利益を圧迫する可能性。
  • 公共投資の動向: 政府や自治体の財政状況により公共投資が抑制されるリスク。
  • 人材不足: 建設コンサルタント業界全体の人材不足。
  • 安定志向の長期投資家向け: ベータ値が低く、財務健全性が高いため、株価の大きな変動を避けたい安定志向の投資家にとっては魅力的な銘柄です。
  • インフラ関連テーマへの投資: 日本のインフラ老朽化問題やPPP推進といった社会課題解決に貢献する企業として、テーマ性を持った長期的な視点での投資が考えられます。
  • M&Aによるシナジー効果: 子会社化したクラックスシステムとの連携が、今後どのように収益に貢献し、企業価値向上に繋がるか注目されます。

17. 企業スコア

観点 評価 理由
成長性 A 売上高・利益は堅調な増加傾向。M&Aによる情報処理部門強化が新たな成長機会となる可能性。
収益性 A ROE9.12%(ベンチマークに僅かに届かない)、ROA6.22%(ベンチマーククリア)と良好な水準。利益率も安定。
財務健全性 S 自己資本比率65.1%、流動比率4.92倍、負債比率26.32%と極めて高く、非常に健全。
株価バリュエーション B PERは業界平均よりやや高め、PBRは業界平均よりやや低め。総合的に見て概ね適正水準。

本レポートは、提供されたデータに基づき作成されたものであり、個別の投資助言を行うものではありません。本レポートの情報は、投資判断の参考としてご活用ください。実際の投資にあたっては、ご自身の判断と責任において行ってください。


企業情報

銘柄コード 4642
企業名 オリジナル設計
URL http://www.oec-solution.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 情報通信・サービスその他 – サービス業

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

現在の指標

株価 1,487円
EPS(1株利益) 94.71円
年間配当 2.35円

予測の前提条件

予想EPS成長率 5.0%
5年後の想定PER 15.0倍

5年後の予測値

予想EPS 120.88円
理論株価 1,813円
累計配当 14円
トータル価値 1,827円

現在価格での試算リターン

試算年率リターン(CAGR) 4.20% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 908円 454円 × 算出価格を上回る
12% 1,037円 518円 × 算出価格を上回る
10% 1,134円 567円 × 算出価格を上回る

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.4)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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