1. 企業情報
アズビル株式会社は、ビルディングオートメーション、アドバンスオートメーション、ライフオートメーションの3つのセグメントで事業を展開する制御・自動化機器の大手企業です。オフィスビルや生産設備向けのHVAC (冷暖房空調) 制御・セキュリティシステム、産業用プラントや工場向けのオートメーション制御システム・センサー、そして電力・ガス・水道などのライフライン向け計器や住宅用セントラル空調システムを提供しています。特に「エネルギー管理」の分野に強みを持ち、既存設備の改修や運用サービスにも注力しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は制御・自動化機器業界において高い市場シェアを持つ大手企業として位置付けられています。エネルギー管理サービス(BEMS: Building Energy Management System)を競争優位性としており、建物の省エネルギー化ニーズに応えることで、新規導入だけでなく補修・改修市場の需要も取り込んでいます。また、海外市場での事業拡大も積極的に進めており、グローバル展開を強化しています。
3. 経営戦略と重点分野
提供された情報からは、具体的な中期経営計画の詳細は不明ですが、企業の概要から「エネルギー管理サービス(BEMS)を武器に補修需要を狙う」こと、および「海外拡大中」であることが主要な戦略として挙げられます。これは、持続可能な社会の実現に向けた省エネルギー化の動きや、新興国・先進国双方での設備投資需要を取り込む狙いがあると推察されます。新製品・新サービスの展開状況については、提供データに具体的な記載がありません。
4. 事業モデルの持続可能性
アズビルの事業モデルは、制御・自動化技術を核とし、特にエネルギー管理分野に強みを持つことで持続可能性が高いと考えられます。世界の製造業の自動化・効率化、ビルディングの省エネ化やスマート化といった社会的なニーズは今後も拡大が予想されます。BEMSを武器にすることで、製品販売だけでなく、システムの導入・運用・保守といったサービスで継続的な収益を得るストック型の事業構造も構築しており、市場ニーズの変化への適応力は高いと評価できます。売上計上時期の偏りに関する具体的なデータはありません。
5. 技術革新と主力製品
同社の主力は、高効率なHVAC制御システム、セキュリティシステム、各種センサー、バルブ、コントローラーなどのビルディングオートメーション製品、および産業用オートメーション制御システムです。特にエネルギー管理サービス (BEMS) は、ビルや工場の運用効率を改善し、省エネルギー化に貢献する独自技術であり、収益を牽引する重要なサービスとなっています。
6. 株価の評価
現在の株価は1,460.0円です。
* EPS(会社予想)65.63円に基づくと、PER(会社予想)22.25倍は、理論株価では約1,459.78円となります。
* BPS(実績)454.31円に基づくと、PBR(実績)3.21倍は、理論株価では約1,458.85円となります。
現在の株価はPER・PBRで計算される理論株価とほぼ同水準であり、現時点での指標上の評価は適正水準にあると判断できます。
業界平均PER24.2倍と比較すると、同社のPER22.25倍はやや割安です。
業界平均PBR1.6倍と比較すると、同社のPBR3.21倍は割高です。高ROEの企業はPBRが高くなる傾向にあります。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価は、1500円台から一時下落するも、現在は1460円前後で推移しており、底堅さが見受けられます。月初来高値は1,530円、年初来安値は990円であり、現在の株価は年初来高値に約95%程度の位置にあり、比較的高値圏にあります。
本日出来高は905,900株、売買代金は1,324,146千円で、3ヶ月・10日平均出来高と比較すると平均的な水準であり、市場の関心度は安定していると言えます。
8. 財務諸表分析
アズビルの財務諸表は、過去数年にわたり堅調な成長を示しています。
* 売上高: 2022年3月期から継続して成長しており、2025年3月期も増収予想です。
* 営業利益: 同様に、2022年3月期から顕著な増加を続けており、過去12ヶ月では44,564百万円を計上しています。収益性の改善が進んでいます。
* 純利益: 営業利益と並行して増加傾向にあり、過去12ヶ月では43,474百万円に達しています。
* ROE(実績): 17.86% (過去12ヶ月: 18.96%) と非常に高い水準を維持しており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出しています。
* ROA(過去12ヶ月): 9.24%と、総資産を効率的に活用していることを示しています。
* 四半期決算の進捗: 直近四半期(9/30/2025)の利益成長率は前年比36.50%と非常に高く、通期予想に対して順調な進捗が期待できます。
9. 財務健全性分析
極めて高い財務健全性を誇ります。
* 自己資本比率(実績): 75.3%と非常に高く、財務の安定性が際立っています。
* 流動比率(直近四半期): 3.98倍と、短期的な債務返済能力が非常に高いことを示しています(目安は2倍以上)。
* 負債比率 (Total Debt/Equity): 4.78%と極めて低く、負債がほとんどない状態です。
* 借入金: 総負債11.18Bドルに対し、総現金88.53Bドルと潤沢な現金を保有しており、実質無借金経営に近く、金利負担も軽微です。資金繰りにおける懸念はほとんどありません。
10. 収益性分析
アズビルの収益性は非常に優れています。
* ROE (過去12ヶ月): 18.96%は、一般的なベンチマークである10%を大きく上回る高水準です。
* ROA (過去12ヶ月): 9.24%も、一般的なベンチマークである5%を大きく上回る水準です。
* 営業利益率 (過去12ヶ月): 15.04%と、高い付加価値を生み出していることが伺えます。
* これらの指標は過去数年で改善傾向にあり、効率的な事業運営と収益体質の強化が進んでいることを示しています。
11. 市場リスク評価
- ベータ値 (5Y Monthly): 0.49と、市場全体の変動に対する株価の感応度が低いことを示しており、比較的安定した銘柄と言えます。
- 52週高値・安値: 52週高値1,530.50円、52週安値990.00円に対し、現在株価1,460.0円は高値圏に位置しています。
- 決算短信に記載のリスク要因: データなし。一般的に、グローバルに事業展開する企業として、世界経済の景気変動、原材料価格の高騰、為替変動(海外売上比率21%)、国際的な地政学リスクなどが事業に影響を与える可能性があります。
12. バリュエーション分析
- PER(会社予想): 22.25倍は、業種平均PER24.2倍と比較して、やや割安感があります。
- PBR(実績): 3.21倍は、業種平均PBR1.6倍と比較して、割高感があります。これは、高い収益性(ROE)が背景にあると考えられます。
- 目標株価レンジの算出:
- 業種平均PER基準: EPS(会社予想)65.63円 × 業種平均PER 24.2倍 = 1,588.24円
- 業種平均PBR基準: BPS(実績)454.31円 × 業種平均PBR 1.6倍 = 726.90円
複合的に見ると、PER基準では現在の株価に対してやや上昇余地がある一方、PBR基準では大幅に割高と評価されます。高い収益性を考慮した株式市場の評価が現在のPBRに反映されている可能性があります。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況: 信用買残68,600株に対して信用売残142,000株と、「売り長」の状態です。信用倍率は0.48倍であり、今後の買い戻しによる株価上昇圧力につながる可能性があります。需給バランスはポジティブな兆候を示しています。
- 株主構成: 日本マスタートラスト信託銀行、ステート・ストリート・バンク&トラスト、明治安田生命保険などの機関投資家が大株主に名を連ねており、安定株主が多い構造です。自社も自己株式として4.08%を保有しています。経営陣持株比率の明確なデータはありませんが、インサイダー保有率は4.43%です。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 1.78% (1株配当26.00円) で、現在の市場環境では平均的な水準です。
- 配当性向: 31.10%と、利益水準に対して無理のない配当政策と考えられます。高い収益成長が続く中で、今後も安定的な配当が期待できます。自社株買いや株式報酬型ストックオプションに関する具体的な記載はありません。
15. 最近のトピックスと材料
提供データには直近の適時開示情報に関する具体的な記載はありません。今後のイベントとしては、2026年2月5日に予定されている決算発表が注目されます。
16. 総評
アズビルは、制御・自動化機器分野において高い技術力と市場シェアを誇る優良企業です。特に「エネルギー管理サービス」は、グローバルな省エネ・脱炭素化の潮流に乗る競争優位性の高い事業です。
強み:
- 業界における高い技術力と市場ポジション、特にエネルギー管理分野での競争優位性。
- 継続的な売上・利益成長と非常に高い収益性(ROE、ROA)。
- 自己資本比率75.3%、流動比率3.98倍と、極めて堅固な財務基盤。
- 海外市場への積極的な拡大戦略。
- 信用倍率0.48倍の「売り長」状態が示す、良好な需給バランス。
弱み:
- 提供データだけでは、具体的な成長戦略や新製品開発に関する詳細が把握しにくい点。
- PBRが業界平均を大きく上回っており、現在の株価に割高感が存在する可能性。
機会:
- 世界的なDX推進、製造業のスマート化、ビルの省エネ化ニーズの拡大。
- 海外市場でのさらなる事業拡大と新規顧客獲得。
脅威:
- 世界経済の景気変動による企業の設備投資抑制。
- 競争激化や新興技術の台頭による市場環境の変化。
- 原材料価格変動や為替変動リスク。
総合的に見て、アズビルは安定した成長を続け、非常に強固な財務体制を持つ高収益企業ですが、株価のバリュエーションについてはPBR面で割高感も意識されます。
17. 企業スコア
- 成長性:S
- 売上高、営業利益、純利益ともに過去数年で着実に成長を維持しており、2025年3月期も増収予想。直近四半期の利益成長率も非常に高い。海外展開も積極的。
- 収益性:S
- ROE 18.96% (ベンチマーク10%超)、ROA 9.24% (ベンチマーク5%超)、営業利益率15.04%と、いずれの指標も非常に優れており、高収益体質。
- 財務健全性:S
- 自己資本比率75.3% (ベンチマーク40%超)、流動比率3.98倍、負債比率4.78%と、極めて強固な財務基盤を誇る。潤沢な現預金も保有。
- 株価バリュエーション:B
- PER(会社予想)22.25倍は業界平均24.2倍と比較してやや割安だが、PBR(実績)3.21倍は業界平均1.6倍と比較して割高。高ROEを考慮した市場評価があるものの、PBR面での割高感は否めない。
企業情報
| 銘柄コード | 6845 |
| 企業名 | アズビル |
| URL | http://www.azbil.com/jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
現在の指標
| 株価 | 1,460円 |
| EPS(1株利益) | 65.63円 |
| 年間配当 | 1.78円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 5.0% |
| 5年後の想定PER | 15.0倍 |
5年後の予測値
| 予想EPS | 83.76円 |
| 理論株価 | 1,256円 |
| 累計配当 | 10円 |
| トータル価値 | 1,267円 |
現在価格での試算リターン
| 試算年率リターン(CAGR) | -2.80% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 630円 | 315円 | × 算出価格を上回る |
| 12% | 719円 | 359円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 787円 | 393円 | × 算出価格を上回る |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.4)」によって自動生成されました。
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