企業情報

東陽倉庫は1926年設立の老舗総合物流企業です。主に愛知県名古屋市を地盤とし、中部地方および関東地方で事業を展開しています。特に農水産物、食品、トヨタ関連企業との取引に強みを持つことが特徴です。事業は大きく物流事業と不動産事業の2つのセグメントに分かれ、物流事業が売上高の98%を占める主力事業となっています。国際物流にも力を入れており、米国・アジアを中心に海外展開も進めています。不動産事業では、保有する建物や土地の賃貸を行っており、安定的な収益源となっています。同社は東レIndustries, Inc.の子会社です。

1. 事業内容などのわかりやすい説明

東陽倉庫は、倉庫での保管、荷役、国内・国際輸送、通関手続きなど、物流に関するあらゆるサービスを提供する「総合物流企業」です。加えて、保有する倉庫やオフィスビルの賃貸を行う「不動産事業」も手掛けています。

2. 業界のポジションと市場シェア

名古屋を地盤とし、特に自動車産業(トヨタ関連)、食品、農水産物といった特定産業との強固な取引基盤を築いている点が競争優位性です。また、海外拠点展開により国際物流も強化しており、グローバルサプライチェーンの一翼を担っています。市場動向としては、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加により緩やかな回復基調にあると認識しており、3PL物流の推進やアジアでの拠点展開を通じてこれに対応しています。一方で、労働力不足や燃料費高騰は業界共通の課題であり、同社もリスク要因として認識しています。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣は、物流事業における3PL(Third Party Logistics)物流の推進、およびグローバルな業務強化を重点分野として掲げています。具体的には、アジア地域における拠点の面的展開を進めることで、国際的な物流ネットワークを拡充する方針です。不動産事業においては、保有資産の運用効率を高めることを目指しています。新製品・新サービスの展開に関する具体的な記述はデータ中に見られません。

4. 事業モデルの持続可能性

同社の事業モデルは、主力である物流事業と安定収益源である不動産事業の二本柱で構成されています。物流事業は景気変動の影響を受けやすい側面がありますが、特定の産業との強固な関係性や国際展開によりリスク分散を図っています。不動産事業は相対的に安定した賃料収入をもたらし、事業全体の持続可能性を支えています。市場ニーズの変化に対しては、3PL物流の推進といったサービス高度化で対応しようとしています。売上計上時期の偏りに関する具体的なデータはありません。

5. 技術革新と主力製品

データから、同社の技術革新の具体的な動向や独自性についての情報は確認できませんでした。収益を牽引しているのは、国内外の「物流事業」と「不動産事業」の二つのセグメントです。

6. 株価の評価

現在の株価1,937.0円に対し、
– 会社予想EPS 172.38円に基づくPERは11.24倍です。業界平均PER11.8倍と比較すると、やや割安な水準にあります。
– 実績BPS 3,668.29円に基づくPBRは0.53倍です。業界平均PBR0.5倍と比較すると、ほぼ同水準、わずかに割高です。

資産価値に比べて株価が割安であると評価できます。

7. テクニカル分析

現在の株価1,937.0円は、年初来高値2,080円に比較的近く、年初来安値1,290円からは大きく上昇した高値圏に位置しています。直近10日間の株価推移を見ると、1,969円から1,937円へとわずかに下落する傾向が見られます。出来高は直近10日平均で約1.38万株、3ヶ月平均で約1.41万株と、比較的小規模な市場関心度を示しています。

8. 財務諸表分析

  • 売上高: 2022年3月期から2024年3月期にかけて微減傾向でしたが、2025年3月期は291億円と前年比4.7%増、2026年3月期も295億円と増収予想で、回復基調にあります。
  • 営業利益: 売上高と同様に、2024年3月期に縮小したものの、2025年3月期は12.4億円と前年比9.9%増、2026年3月期も12.5億円と増益を見込んでいます。
  • ROE: 直近12ヶ月で6.40%、2025年3月期実績で5.77%と、一般的なベンチマークとされる10%を下回っています。
  • ROA: 直近12ヶ月で1.67%と、一般的なベンチマークとされる5%を下回っており、資産効率には改善の余地があります。
  • 四半期決算の進捗状況: 過去12ヶ月の当期純利益17億円は、2025年3月期通期予想14.9億円を上回っています。これは、提供されている過去12ヶ月のデータが2025年9月までの数字を含んでいるため、固定資産売却益の増加などが影響している可能性があります。2026年3月期の通期純利益は13億円の予想です。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率: 2025年3月期で54.8%と、非常に高い水準を維持しており、財務基盤は強固です。
  • 流動比率: 直近四半期で1.74倍(174%)と、短期的な支払い能力に問題はなく、財務安全性は良好です。
  • 負債比率: 直近四半期のTotal Debt/Equityは57.70%と健全な範囲にあり、過度な負債に依存していないことを示します。
  • 借入金の動向と金利負担: Total Debtが15.89B円に対し、Net Non Operating Interest Income Expenseは-77.898百万円と、支払利息が受取利息を上回っていますが、全体の規模から見て金利負担は限定的です。

10. 収益性分析

  • ROE(直近12ヶ月): 6.40%。一般的なベンチマーク10%と比較すると低いです。
  • ROA(直近12ヶ月): 1.67%。一般的なベンチマーク5%と比較しても低く、資産を効率的に活用して利益を上げているとは言い難い状況です。
  • 各種利益率: Profit Margin 5.73%、Operating Margin 4.09%(過去12ヶ月)と、堅実な水準ではありますが、特段高い水準ではありません。

収益性の推移は堅調に推移しているものの、資本効率や資産効率の面で改善の余地があります。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値: 5年間の月次ベータ値は0.21と非常に低く、市場全体の変動に対する感応度が低い、いわゆるディフェンシブな特性を持つ銘柄と考えられます。
  • 52週高値・安値のレンジ: 52週高値2,080円、52週安値1,290円に対して、現在の株価1,937.0円は高値圏に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因: 労働力不足の深刻化、燃料費高騰、カーボンニュートラルへの取り組みに伴うコスト増、地政学リスク、米国の通商政策、国内の物価上昇、自然災害などが挙げられています。これらの要因は、特に物流コストや事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較:
    • PER(会社予想)11.24倍は、業種平均11.8倍に対してやや割安です。
    • PBR(実績)0.53倍は、業種平均0.5倍に対してほぼ同水準、わずかに割高です。
  • 目標株価レンジの算出:
    • 業種平均PER基準(EPS 172.38円 × 11.8倍): 2,036円
    • 業種平均PBR基準(BPS 3,668.29円 × 0.5倍): 1,834円
  • 割安・割高の総合判断: PERでは割安感がある一方、PBRでは適正水準です。しかし、PBRが1倍を下回っており、保有資産を考慮すると相対的に割安感があるとも評価できます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況: 信用買残は147,100株と多く、信用売残は600株と少ないため、信用倍率は245.17倍と非常に高倍率を示しています。これは将来的な売り圧力となる可能性を秘めていますが、流動性が低い銘柄では高くなりがちです。需給バランスは信用買い残過多であり、注意が必要です。
  • 株主構成: 大株主にはあいち銀行、ダイセー倉庫運輸、伏見興産、三菱UFJ銀行、第一生命保険など、金融機関や事業法人、安定株主が多く名を連ねています。自社(自己株口)も4.13%保有しています。
  • 大株主の動向: データからは特定の動向は読み取れません。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想): 3.61%と高水準であり、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力的です。
  • 1株配当(会社予想): 70.00円(2026年3月期予想)です。2025年3月期は普通配当60円に設立100周年記念配当10円を加えて年間70円でした。2026年3月期も記念配当10円が含まれる予想です。
  • 配当性向: 26.65%と低く、今後の業績や株主還元方針次第では増配の余地があると考えられます。
  • 自社株買いなどの株主還元策: データ中に自社株買いに関する具体的な情報は見られません。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策: データ中に情報は見られません。

15. 最近のトピックスと材料

2025年5月12日に発表された2025年3月期の決算短信によると、営業収益、営業利益、当期純利益ともに増収増益を達成しました。特に不動産における固定資産売却益の増加が当期純利益の増加に寄与しています。2026年3月期も増収増益を予想しており、設立100周年記念配当(10円)の継続を予定しています。

16. 総評

東陽倉庫は、名古屋を地盤とする老舗総合物流企業であり、安定した財務基盤と堅実な事業運営が特徴です。物流と不動産の二本柱により、経済環境の変化に対する一定の耐性を持ち合わせています。

強み:

  • 強固な財務健全性: 自己資本比率54.8%、流動比率1.74倍と極めて健全な財務状況です。
  • 安定した収益基盤: 物流事業と不動産事業のバランス、特定顧客との強固な関係性により、堅実な収益を上げています。
  • 株主還元姿勢: 高い配当利回りを維持しており、安定配当が期待できます。
  • ディフェンシブ特性: ベータ値が低く、市場全体の変動に対するリスクが低いと評価されます。

弱み:

  • 収益性の伸び悩み: ROE、ROAともに業界平均やベンチマークを下回っており、資本効率・資産効率の改善が課題です。
  • 市場関心度の低さ: 出来高が少なく、市場の注目度は限定的です。
  • 特定の産業への依存: トヨタ関連企業への強みが、その産業の動向に業績が左右されるリスクも内包しています。

機会:

  • 3PL物流の推進: 顧客ニーズに応じた高付加価値サービス提供による収益力向上。
  • 国際物流の強化: グローバルネットワークの拡充による事業拡大。
  • アジアでの拠点展開: 新たな市場開拓と成長機会の追求。

脅威:

  • 外部環境リスク: 労働力不足、燃料費高騰、地政学リスク、国内物価上昇といった外部要因が収益を圧迫する可能性。
  • 競争激化: 物流業界における競争激化。

割安なPBRが示すように、資産価値を考慮すると株価には割安感があります。また、高配当利回りと堅実な財務状況は、安定志向の投資家にとって魅力的です。一方で、収益性の改善と事業成長の加速が今後の株価上昇の鍵となるでしょう。

17. 企業スコア

  • 成長性: B(中立)

    売上高は過去数年微増減後、2025年・2026年と緩やかな成長を予想していますが、大きな加速要素や新製品展開の情報は見られません。
    収益性: C(やや懸念)

    粗利率、営業利益率は堅実ですが、ROE 6.40%(ベンチマーク10%未満)、ROA 1.67%(ベンチマーク5%未満)と、資本・資産効率は改善の余地が大きいと評価されます。
    財務健全性: A(良好)

    自己資本比率54.8%と非常に高く、流動比率、D/E比率、現金保有状況も良好であり、極めて健全な財務体質です。
    株価バリュエーション: A(割安)

    PERは業界平均よりやや割安であり、PBRも業界平均とほぼ同水準、1倍を大きく下回るため、資産価値に対しては割安感があると判断できます。


企業情報

銘柄コード 9306
企業名 東陽倉庫
URL http://www.toyo-logistics.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 運輸・物流 – 倉庫・運輸関連業

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

現在の指標

株価 1,937円
EPS(1株利益) 172.38円
年間配当 3.61円

予測の前提条件

予想EPS成長率 3.0%
5年後の想定PER 11.2倍

5年後の予測値

予想EPS 199.84円
理論株価 2,246円
累計配当 20円
トータル価値 2,266円

現在価格での試算リターン

試算年率リターン(CAGR) 3.19% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 1,127円 563円 × 算出価格を上回る
12% 1,286円 643円 × 算出価格を上回る
10% 1,407円 703円 × 算出価格を上回る

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.4)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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