笹徳印刷(3958)企業分析レポート

個人投資家の皆様へ、笹徳印刷の企業分析レポートをお届けします。

1. 企業情報

笹徳印刷株式会社は、愛知県豊明市に本社を置く総合印刷会社です。1890年創業という長い歴史を持ち、各種印刷物の企画・デザイン・編集・製版・印刷を手掛けています。近年は、単なる印刷物の製造だけでなく、販促プロモーションなども含めた販売支援を手掛けるなど、事業領域を広げています。

主力製品・サービスの特徴:

同社の事業は、大きく「パッケージング分野」と「コミュニケーション分野」に分かれています。
* パッケージング分野(売上構成比71%): 菓子や食品、日用品などのパッケージ(包装資材)の企画・製造が中心です。EC(電子商取引)市場の拡大に伴う需要増加の恩恵を受ける可能性があります。
* コミュニケーション分野(売上構成比29%): 商業印刷物や販促物が中心とみられ、企業のマーケティング活動を支援しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

業界内での競争優位性や課題:

同社が属する印刷業界は、情報デジタル化の進展により紙媒体の需要が構造的に減少傾向にあり、厳しい競争環境にあります。しかし、同社の主力であるパッケージング分野は、EC市場の拡大や物流需要の高まりにより、比較的堅調な需要が見込まれます。この分野でのノウハウや顧客基盤が競争優位性となりえます。一方、コミュニケーション分野は市場縮小の課題に直面しており、事業構造の転換が求められます。

市場動向と企業の対応状況:

決算短信によると、パッケージング分野の売上高は前年同期比で増加しており、堅調に推移しています。これはEC需要といった市場の変化に対応できている点と評価できます。一方で、コミュニケーション分野は同15.2%減と低調です。原材料価格の高騰や為替変動、中国経済の停滞といった外部環境のリスクにも対応が必要です。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣が掲げるビジョンや戦略:

2026年中期経営計画として「『コミュニケーション』と『包む』技術で、お客さまと新しい感動を創り、未来へつなげる」を掲げています。これは、パッケージング(包む)とコミュニケーション(販促プロモーションなど)の両軸で顧客価値を創造し、持続的な成長を目指す姿勢を示しています。

中期経営計画の具体的な施策や重点分野:

決算短信では具体的な施策の詳細は言及されていませんが、セグメント別状況から、パッケージング分野での市場深耕と、コミュニケーション分野の構造改革または新たな付加価値創出が重点分野であると推察されます。

新製品・新サービスの展開状況:

決算短信には新製品・新サービスの具体的な展開状況の記載はありません。

4. 事業モデルの持続可能性

収益モデルや市場ニーズの変化への適応力:

同社の収益モデルは、印刷物の企画・製造・販売を基本としています。特に売上の大半を占めるパッケージング分野は、デジタル化の波を受けにくい点が強みです。EC市場の拡大という新たな市場ニーズを捉え、梱包・発送資材、店頭販促物といった分野で製品・サービスを提供していくことで、事業モデルの持続可能性を高めることができるでしょう。ただし、コミュニケーション分野については、既存の紙媒体印刷からの脱却や、デジタル媒体との連携など、より積極的な変化への適応が課題となります。

売上計上時期の偏りとその影響:

データなし。

5. 技術革新と主力製品

技術開発の動向や独自性:

技術開発の動向に関する具体的な情報や独自性についての記載はデータにありません。

収益を牽引している製品やサービス:

売上構成比から、パッケージング分野が収益の大部分を牽引していることが明らかです。菓子箱、食品トレーのラベル、日用品の包装材などがこれに該当すると考えられます。

6. 株価の評価

現在の株価は555.0円
* PER(会社予想): 11.95倍
* PBR(実績): 0.34倍
* EPS(会社予想): 46.44円
* BPS(実績): 1,649.87円

現在の株価は、会社予想EPSに基づくとPER11.95倍となり、実績BPSに基づくとPBR0.34倍となります。
業界平均PER8.0倍と比較するとPERは割高、業界平均PBR0.5倍と比較するとPBRは割安な水準にあります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移: 直近10日間の株価は555円前後で推移しており、上下の値動きは小さいです。大きなトレンド転換は見られません。
  • 年初来高値・安値との位置関係: 年初来高値581円、年初来安値496円に対し、現在の株価555円は高値圏と安値圏の中間よりもやや高値寄りに位置しています。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度: 直近の出来高は400株、売買代金は222千円と極めて少なく、市場の関心度は低い状態が続いています。取引量が少ないため、わずかな買いまたは売りで株価が大きく変動する可能性があります。

8. 財務諸表分析

売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価:

  • 売上高: 過去数年間は118億円~130億円で推移しており、直近12か月は127億61百万円と概ね横ばい傾向です。2025年6月期第3四半期は96億89百万円で前年同期比3.3%減となっています。
  • 営業利益: 2021年の1億4千万円から2024年6月期には3億7千万円まで増加傾向にありましたが、直近の過去12か月では2億7千万円と減少しており、2025年6月期第3四半期実績では1億8千万円と前年同期比55.6%減と大幅な減益となっています。
  • 純利益: 2023年6月期に一時的に大幅な純利益を計上しましたが、それ以降は減少傾向にあります。直近の過去12か月では4億4百万円、2025年6月期第3四半期実績では2億3千万円と前年同期比39.0%減となっています。
  • ROE(実績): 2.64%と低水準です。
  • ROA(過去12か月): 0.87%と低水準です。

過去数年分の傾向を比較:

売上高は安定しているものの、利益が変動しやすい傾向が見られます。特に2025年6月期第3四半期は、売上高が減少傾向にあり、利益が前年同期比で大幅に減少しています。

四半期決算の進捗状況(通期予想との比較):

2025年6月期第3四半期時点での通期予想に対する進捗率は以下の通りです。
* 売上高: 96億89百万円(通期予想129億53百万円に対し約74.8%)
* 営業利益: 1億84百万円(通期予想3億78百万円に対し約48.7%)
* 経常利益: 3億43百万円(通期予想5億32百万円に対し約64.5%)
* 親会社株主に帰属する四半期純利益: 2億33百万円(通期予想3億96百万円に対し約58.8%)

売上高は順調な進捗ですが、営業利益の進捗率が通期予想の半分にも達しておらず、第4四半期で挽回が必要な状況です。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率(実績): 65.3%と非常に高い水準を維持しており、財務基盤は強固です。
  • 流動比率(直近四半期): 1.30です。これは短期的な債務の支払能力を示すもので、一般的に1.0以上が健全とされます。
  • 負債比率(Total Debt/Equity): 7.70%と非常に低く、負債が少ない安全性の高い財務状況です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況: 自己資本比率が高く、負債比率が低いため、財務安全性は非常に高いと言えます。手元流動性も総現金10億円を保有しており、資金繰りも安定していると考えられます。
  • 借入金の動向と金利負担: 総負債7億1千万円と比較的小さく、利息収入と利息費用を比べても、金利負担は経営を圧迫する水準ではありません。

10. 収益性分析

  • ROE(実績): 2.64% は、一般的なベンチマークである10%を大きく下回っており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す力が低いと評価されます。
  • ROA(過去12か月): 0.87% も、一般的なベンチマークである5%を下回っており、総資産に対する利益率が低い状況です。
  • 各種利益率:
    • 粗利率(過去12か月):約19.8% (Gross Profit 2.52B / Total Revenue 12.76B)
    • 営業利益率(過去12か月):損益計算書から算出すると約2.1% (Operating Income 272M / Total Revenue 12.76B)。企業財務指標に記載の過去12か月Operating Marginは-0.47%ですが、損益計算書の方が実態に近いと判断します。いずれにしても低水準です。
  • 収益性の推移と改善余地: 粗利率は比較的安定していますが、営業利益率や純利益率が低く、効率性の改善が課題です。特に販管費の効率化や、高付加価値製品・サービスの強化を通じて、収益性向上が期待されます。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値(5Y Monthly): 0.14と非常に低く、市場全体の変動に対して株価が連動しにくい、ディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置: 52週高値581円、52週安値493円に対し、現在株価555円はレンジの中央よりやや高値寄りに位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因:
    • 外部環境: 原材料や燃料価格の高騰によって、製造コストが増加するリスク。
    • 為替: 為替レートの変動が、原材料調達コストや輸出入事業に影響を及ぼすリスク。
    • 地政学: 中国経済の低迷等、特定の地域経済状況が業績に影響を及ぼすリスク。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較:
    • PER(会社予想11.95倍)は業種平均PER8.0倍と比較すると割高です。
    • PBR(実績0.34倍)は業種平均PBR0.5倍と比較すると割安です。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用):
    • 業界平均PER基準: EPS(連)46.44円 × 業界平均PER8.0倍 = 371.52円(当レポートでの算出値。提供データでは346円)
    • 業界平均PBR基準: BPS(連)1,649.87円 × 業界平均PBR0.5倍 = 824.94円
  • 割安・割高の総合判断:

    PERで見ると、収益性に対しては割高感がありますが、PBRで見ると、資産価値に対しては割安であると言えます。これは、純資産が多く、その割に利益創出力が低い現状を示唆している可能性があります。市場が出口戦略を見出しにくい状況ではPBRが低く評価される傾向もあります。

    13. 市場センチメント分析

    • 信用取引の状況:
    • 信用買残: 129,600株
    • 信用売残: 0株
    • 信用倍率: 0.00倍 (信用売りがないため、信用買いが一方的に存在する状況)

    需給バランスとしては、信用買残が積み上がっており、将来的な売り圧力となる可能性があります。しかし、日々の出来高が極めて少ないため、これが現時点での株価に大きな影響を与えているとは言えません。
    * 株主構成:
    * インサイダー保有比率: 53.27% と非常に高く、経営陣による安定した経営が見込まれます。
    * 大株主には王子マテリア、国際紙パルプ商事といった事業関連会社や、自社(自己株口)、自社グループ従業員持株会も名を連ねており、安定株主が多い構造です。浮動株が少なく、流動性が低い可能性があります。
    * 大株主の動向: 特定の売買動向を示すデータはありません。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想): 3.24%と比較的高い水準です。
  • 1株配当(会社予想): 18.00円
  • 配当性向: 41.59% と妥当な水準であり、利益を株主へ還元する姿勢が見られます。
  • 自社株買いなどの株主還元策: 自己株口で9.25%の株式を保有しており、過去に自社株買いを実施した実績があると考えられます。直近の実施情報はデータにありません。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策: データなし。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(2025年6月期 第3四半期決算短信):
    • 売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益はそれぞれ前年同期比で減収減益となりました。
    • 通期業績予想は変更されていませんが、特に営業利益の進捗が通期予想に対して遅れており、今後の動向が注目されます。
  • これらが業績に与える影響の評価:

    直近の四半期決算は芳しくなく、特にコミュニケーション分野の不振が全体の業績に影響を与えています。パッケージング分野の堅調さがどこまで業績を支えられるかが今後の焦点となるでしょう。原材料価格の高騰を製品価格に転嫁できるかどうかも重要な要素です。

    16. 総評

    笹徳印刷は、130年以上の歴史を持つ総合印刷会社であり、高い自己資本比率と低い負債比率を誇る非常に健全な財務体質が最大の強みです。主力であるパッケージング分野はEC需要の恩恵を受け、堅調に推移しています。配当利回りも3%を超えており、安定的なインカムゲインを求める投資家にとっては魅力的な要素となりえます。
    一方で、収益性の低さ(ROE、ROAともにベンチマークを大きく下回る)と、紙媒体市場の縮小という逆風を受けるコミュニケーション分野の不振が課題です。直近の四半期決算では減収減益となり、通期業績予想に対する営業利益の進捗が遅れている点は懸念材料です。市場の関心度も低く、流動性も限定的です。

強み:

  • 非常に強固な財務健全性(高い自己資本比率65.3%、低い負債比率7.70%)。
  • EC需要に支えられたパッケージング分野の堅調な事業基盤。
  • 比較的高い配当利回り(3.24%)と安定した株主還元姿勢。
  • ベータ値が低く、市場変動の影響を受けにくいディフェンシブな特性。

弱み:

  • 収益性の低さ(ROE 2.64%、ROA 0.87%)と営業利益率の低迷。
  • コミュニケーション分野の市場縮小による業績への下押し圧力。
  • 直近の四半期決算における減収減益と通期利益予想に対する進捗の遅れ。
  • 極めて低い出来高と売買代金による市場流動性の低さ。

機会:

  • パッケージング分野における新たな需要開拓や高機能・環境配慮製品へのシフト。
  • コミュニケーション分野におけるデジタルソリューションとの融合や付加価値サービスへの転換。
  • 強力な財務基盤を活かしたM&Aや設備投資による事業拡大・構造転換。

脅威:

  • 原材料(紙、インクなど)価格の継続的な高騰。
  • 為替変動や国際情勢(中国経済の低迷など)による事業環境の悪化。
  • 印刷業界全体の更なる縮小と競争激化。

17. 企業スコア

観点 評価 理由
成長性 C 直近の売上・利益は減少傾向。パッケージング分野は堅調もコミュニケーション分野の不振が重荷。新製品展開情報なし。
収益性 D ROE 2.64%、ROA 0.87% と低い。営業利益率も低迷しており、収益性に課題あり。2023年の一過性利益を除外。
財務健全性 S 自己資本比率65.3%と非常に高く、流動比率1.30、負債比率7.70%と財務は極めて健全。
株価バリュエーション B PERは業界平均より割高だが、PBRでは割安。資産価値は高いものの、収益性の低さが評価を押し下げている可能性があるため、中立と判断。

企業情報

銘柄コード 3958
企業名 笹徳印刷
URL https://www.sasatoku.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 素材・化学 – パルプ・紙

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

現在の指標

株価 555円
EPS(1株利益) 46.44円
年間配当 3.24円

予測の前提条件

予想EPS成長率 3.0%
5年後の想定PER 11.9倍

5年後の予測値

予想EPS 53.84円
理論株価 643円
累計配当 18円
トータル価値 661円

現在価格での試算リターン

試算年率リターン(CAGR) 3.56% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 329円 164円 × 算出価格を上回る
12% 375円 188円 × 算出価格を上回る
10% 410円 205円 × 算出価格を上回る

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.4)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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