以下は、フジクラ(証券コード: 5803)の企業分析レポートです。

1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    フジクラは、東京都に本社を置く電線大手企業「電線御三家」の一角を占める独立系の企業です。主要な事業領域は、情報通信、エレクトロニクス、自動車、エネルギー、不動産にわたる多角的な事業を展開しています。特に光配線部材などの情報通信関連技術に強みを持っています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • 情報通信事業: 光ファイバ、光ファイバケーブル、光通信用部品、光機器、ネットワーク機器、関連する設備設置サービスを提供しています。生成AIの普及に伴うデータセンタ需要の拡大が追い風となっており、現在最も成長性の高い事業部門です。
    • エレクトロニクス事業: フレキシブルプリント基板(FPC)で世界的な地位を確立しており、電子配線、HDD部品、各種コネクタなどを供給しています。
    • 自動車事業: 車載用ワイヤーハーネスや関連アクセサリー、設置サービスを提供しています。
    • エネルギー事業: 電力ケーブル、通信ケーブル、アルミ電線、エナメルワイヤーなどを扱っています。超電導線材といった先進技術の開発も行っています。
    • 不動産事業: 深川ギャザリアなどの不動産賃貸事業を通じて安定的な収益を得ています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    フジクラは電線業界の主要プレーヤーの一つであり、特に情報通信分野における光配線部材技術に強みを持っています。フレキシブルプリント基板でも世界市場で高い競争力を有しています。
    競争優位性としては、長年培ってきた電線・ケーブル技術を基盤とした多岐にわたる製品ポートフォリオ、グローバルな事業展開力、そして情報通信分野での先進技術開発力が挙げられます。
    課題としては、エレクトロニクスおよび自動車事業において、サプライチェーン問題、為替変動(特にバーツ高)、原材料費の高騰、新モデル生産の立ち上げ遅れなどが収益性を圧迫している点が挙げられます。
  • 市場動向と企業の対応状況
    現在の市場動向としては、生成AIの普及に伴うデータセンタ向け光通信製品の需要急増が最大の追い風となっています。フジクラはこの情報通信分野に注力することで、市場の成長機会を捉え、大幅な増収増益を達成しています。
    一方で、エレクトロニクスや自動車市場では、部品供給の不確実性や原材料費高騰といった外部環境の変化に直面しており、下期もこれらの課題への対応が求められます。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    決算短信からは、情報通信分野への注力を通じた高収益化が明確な戦略として示されています。成長ドライバーである情報通信事業で積極的な事業展開を進める一方で、エレクトロニクスおよび自動車事業については、サプライチェーンやコスト課題の改善が下期の重点ポイントとされています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    中期経営計画の具体的な施策や数値目標の詳細については、提供された決算短信には記載されていません。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    決算短信において個別の新製品・新サービスの具体的な展開状況の記載はありませんが、情報通信事業部門の伸長は、データセンタ向け光通信製品において、市場ニーズに合致した製品・サービスを提供できていることを示唆しています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    フジクラの収益モデルは、情報通信、エレクトロニクス、自動車、エネルギー、不動産と多岐にわたる事業ポートフォリオによって構成されており、特定の事業領域に過度に依存しない分散型です。特に情報通信事業は、生成AI普及によるデータセンタ需要という大きな市場ニーズの変化に迅速に適応し、高収益を上げています。この適応力は事業モデルの持続可能性を高めています。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    データからは売上計上時期に特定の大きな偏りがあるという記述は確認できませんが、一般的に製造業においては、期末に向けて大型案件の売上が集中する傾向が見られることがあります。当期中間決算の通期予想に対する進捗率が売上高50.4%、営業利益50.3%、純利益50.9%とほぼ均衡しており、現時点では大きな偏りは見られません。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    フジクラは光通信分野における長年の技術開発の歴史を持ち、光ファイバや光ファイバケーブル製品で高い技術力を誇ります。また、超電導線材といった次世代技術の開発にも取り組んでおり、今後の成長分野として期待されます。フレキシブルプリント基板においても世界的なシェアを確立しており、独自の技術とノウハウを蓄積しています。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    直近の決算短信によると、生成AIの普及に伴うデータセンタ需要の拡大を背景とした情報通信事業部門が、売上高・利益ともに大幅な成長を遂げ、現時点における収益の主要な牽引役となっています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価: 16,345.0円
    • EPS(会社予想): 478.40円
    • BPS(実績): 1,687.39円
    • PER(会社予想): 34.17倍
    • PBR(実績): 9.69倍
      現在の株価はEPSに対して34.17倍、BPSに対して9.69倍の評価を受けています。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 80.4倍
    • 業界平均PBR: 0.8倍
      フジクラのPER 34.17倍は、業界平均PER 80.4倍と比較すると「割安」な水準にあります。
      一方、PBR 9.69倍は、業界平均PBR 0.8倍と比較すると「非常に割高」な水準です。
      PERとPBRで評価が大きく異なるため、単純な業界平均との比較は難しい状況です。これは、フジクラの事業内容が「非鉄金属」という業界分類では捉えきれない、高成長が期待される情報通信分野に強みを持つためと考えられます。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価推移を見ると、11月17日の19,840円から11月20日の18,890円、そして11月25日以降も17,000円台で推移していましたが、12月1日には16,345円まで大きく下落しています。現在の株価16,345円は、直近の推移の中では比較的安値圏に位置していると言えます。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    • 年初来高値: 21,680円
    • 年初来安値: 3,592円
      現在の株価16,345円は、年初来高値21,680円から約24.6%下落した水準であり、年初来安値3,592円からは大きく上昇した位置にあります。高値圏から調整局面に入った可能性がありますが、年間のレンジで見れば依然として高いパフォーマンスを維持しています。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    12月1日の出来高は14,664,500株、売買代金は244,594,055千円と非常に高い水準です。これは、市場からのフジクラへの関心が非常に高いことを示しており、特にこの日の株価下落局面で大量の売買が行われたことを意味します。Avg Vol (3 month) 12.03M、Avg Vol (10 day) 12.96Mと比較しても突出しており、大きな材料やイベントに反応した可能性があります。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高: 過去12か月で9,793.75億円から企業財務指標の1.09兆円へと増加傾向にあります。2025年3月期(会社予想)は売上高1兆9百億円で、前期の7,997.6億円から大幅な増収を見込んでいます。
    • 利益: 営業利益は過去12か月で1,355.19億円、当期純利益は911.23億円といずれも高水準です。2025年3月期の通期予想では営業利益1,790.0億円、純利益1,320.0億円と、前年度(営業利益694.84億円、純利益510.11億円)に比べて大幅な増益を見込んでいます。特に営業利益の成長が顕著です。
    • ROE(実績): 24.35% (企業財務指標の過去12か月では30.85%)と非常に高く、株主資本を効率的に活用して利益を生み出している優良な水準です。
    • ROA(実績): 13.44% (過去12か月企業財務指標)と、総資産に対する利益創出力も非常に高く評価できます。
  • 過去数年分の傾向を比較
    損益計算書の推移を見ると、過去数年にわたり売上高は着実に増加傾向にあります(2022年3月期 6,703.5億円 → 2025年3月期(予想)10,900億円)。営業利益、当期純利益も2022年3月期から継続して成長しており、特に2024年3月期以降の利益の伸びは大幅です。これは情報通信事業の好調が大きく寄与していると考えられます。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2026年3月期第2四半期(中間期)の通期予想に対する進捗率は、売上高50.4%、営業利益50.3%、親会社株主に帰属する中間純利益50.9%と、いずれも50%を僅かに上回る良好な進捗を示しており、通期目標達成への期待が高まります。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率: 中間決算(2025年9月30日)で54.5%と、前期末の49.1%から改善しており、非常に高い水準で安定的な財務基盤を示しています。
    • 流動比率: 直近四半期で2.25倍(225%)であり、流動負債に対する流動資産の比率が高く、短期的な支払能力に非常に優れています。
    • 負債比率(Total Debt/Equity): 直近四半期で27.98%と、自己資本に対する有利子負債の比率が低く、財務的なレバレッジが過度に高くない、健全な状態です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    自己資本比率の改善、高い流動比率、低い負債比率から、財務安全性は非常に高いと評価できます。営業キャッシュフローはプラスですが、前年同期比では減少しており(+13,125百万円)、法人税等の支払増加が主な要因でした。ただし、現金及び預金は1,499.02億円を保有しており、資金繰りに問題はないと判断できます。
  • 借入金の動向と金利負担
    直近四半期のTotal Debtは1,384.4億円に対し、Total Cashは1,539.9億円であり、ネットでは約155億円のキャッシュ超過状態です。これにより、実質的な金利負担は非常に小さいと考えられ、財務上のリスクは低いと評価できます。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE: 過去12か月で30.85%と、一般的なベンチマーク(10%)を大きく上回る非常に高い水準です。株主資本を効率よく使って利益を上げていることを示します。
    • ROA: 過去12か月で13.44%と、一般的なベンチマーク(5%)を大きく上回る高い水準です。総資産を効率よく使って利益を上げていることを示します。
    • 営業利益率: 過去12か月で16.86%と、製造業としては非常に高い収益性を示しています。中間期の情報通信事業の売上高営業利益率は特に高く、全体の利益率を押し上げています。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE(30.85%)はベンチマークの約3倍、ROA(13.44%)はベンチマークの約2.7倍であり、非常に優れた収益性を達成しています。
  • 収益性の推移と改善余地
    過去数年にわたり収益性は着実に改善しており、特に情報通信事業の成長がその原動力となっています。エレクトロニクスや自動車事業においては、サプライチェーン問題やコスト高騰が収益を圧迫しているため、これらの課題解決が下期の収益性改善余地となります。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値(5Y Monthly)は0.82です。これは市場全体の動きと比較して、フジクラの株価がやや低い感応度を示すことを意味します。市場全体が10%変動した場合、フジクラの株価は約8.2%変動する傾向があると考えられ、比較的安定した値動きが期待できると見られます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    • 52週高値: 21,680.00円
    • 52週安値: 3,592.00円
      現在の株価16,345円は、52週高値の約75%の水準にあり、高値圏から調整局面に入った位置です。しかし、年間では大きく上昇しており、このレンジの中で変動が見られます。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信に記載された主なリスク要因は以下の通りです。
    • 為替変動リスク: 特にバーツ高がエレクトロニクス事業の利益を圧迫していることが言及されています。
    • 原材料費上昇リスク: 各事業部門、特に自動車事業で材料費高が利益を圧迫しています。
    • サプライチェーン問題: エレクトロニクス事業を中心に、川下のサプライチェーン問題が継続しています。
    • 需要変動リスク: 自動車市場の受注プログラムの端境期による納入数量の減少など、需要変動リスクがあります。
      地政学リスクについては具体的な記載はありませんが、グローバルに事業展開しているため、間接的に影響を受ける可能性があります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • フジクラ PER 34.17倍 vs 業界平均PER 80.4倍:業界平均に比べて「割安」。
    • フジクラ PBR 9.69倍 vs 業界平均PBR 0.8倍:業界平均に比べて「非常に割高」。
      PER基準では割安ですが、PBR基準では非常に割高であり、単純な業種平均との比較には注意が必要です。これは、フジクラの事業内容が「非鉄金属」という伝統的な分類だけでは捉えきれない、高成長が期待される情報通信分野に強みを持っているためと考えられます。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 目標株価(業種平均PER基準): EPS 478.40円 × 業界平均PER 80.4倍 = 37,811円
    • 目標株価(業種平均PBR基準): BPS 1,687.39円 × 業界平均PBR 0.8倍 = 1,350円
      業界平均倍率を単純に適用すると、PER基準では現在の株価よりも大幅に高い目標株価となりますが、PBR基準では大幅に低い目標株価となり、非常に大きな乖離が生じています。この乖離は、フジクラの事業特性(特に情報通信分野の高成長性)が、伝統的な「非鉄金属」という業界分類の平均的なバリュエーションとは異質な評価を受けている可能性を示唆しています。
  • 割安・割高の総合判断
    PER基準では割安感がありますが、PBRが約9.7倍と絶対値として非常に高く、純資産価値を大きく上回る評価を受けているため、総合的に見ると「割安」とは判断しにくい状況です。高成長が評価されている側面もあるため一概には言えませんが、財務構造や過去の業績から見てもPBRの水準は高めです。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 4,566,500株
    • 信用売残: 1,241,300株
    • 信用倍率: 3.68倍
      信用買残は売残の約3.7倍であり、信用買いが信用売りを上回っています。これは、今後も株価上昇を期待する買い方が優勢であることを示唆します。ただし、信用買残の水準自体は高めであり、将来の株価下落時には投げ売りによる下押し圧力となる可能性も秘めています。直近週では買残、売残ともに減少しており、やや需給が引き締まる方向です。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    日本マスタートラスト信託銀行(16.53%)と日本カストディ銀行(7.68%)が上位大株主であり、機関投資家による保有が中心です。自社(自己株口)も6.58%を保有しています。機関投資家の保有割合(54.26%)は高く、安定株主が一定数存在すると考えられますが、経営陣の持株比率は1.85%と低いです。
  • 大株主の動向
    大株主リストには上位に信託銀行が複数名を連ねており、年金基金や投信などの実質的な投資主体の動向が影響します。個別の動向は不明ですが、一般的に信託銀行は長期保有の傾向が強いです。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想): 1.16%
    • 1株配当(会社予想): 190.00円
    • 配当性向(Payout Ratio 4): 34.40%
      会社予想の年間配当190円に基づくと、配当利回りは1.16%となります。配当性向34.40%は、利益の約3分の1を株主還元に回すという方針であり、企業の成長投資とのバランスを考慮した妥当な水準と言えます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    決算短信には、2026年3月期の年間配当予想が190円に大幅増額されたことが明記されており、積極的な株主還元姿勢が伺えます。自己株式も一定数保有していますが、直近の自社株買いの発表については記載がありません。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    提供データからは株式報酬型ストックオプション等の具体的なインセンティブ施策についての記載はありません。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2025年11月7日付の決算短信において、以下の重要な情報が開示されています。
    • 2026年3月期 第2四半期決算の大幅な増収増益達成: 売上高、営業利益、中間純利益ともに前年同期比で大幅に増加しました。特に情報通信事業部門がデータセンタ向け需要の急増を背景に、売上高63.4%増、セグメント利益117.5%増と驚異的な成長を遂げました。
    • 通期業績予想および配当予想の修正: 上半期の好調な業績を受け、通期の売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、そして年間配当金(年間100円から190円へ)を上方修正しました。
  • これらが業績に与える影響の評価
    情報通信事業部門の著しい成長は、生成AIの普及というマクロトレンドを背景とした構造的な需要増を取り込めていることを示しており、今後も業績の主要な牽引役となる可能性が高いです。通期業績予想と配当予想の上方修正は、会社の業績に対する自信の表れであり、株主還元への意識の高さも伺えます。これらの要因は、フジクラの株価に対して強力なポジティブ材料となります。

16. 総評

フジクラは、電線大手の一角を占める企業ですが、特に情報通信分野における光配線技術とフレキシブルプリント基板で世界的な競争力を持つ多角的な事業体です。

全体的な見解:

同社は、生成AIの台頭に伴うデータセンタ需要の拡大という市場の大きな変化を的確に捉え、情報通信事業部門を成長の牽引役として大幅な業績向上を実現しています。直近の決算では大幅な増収増益を達成し、通期業績および配当予想を上方修正するなど、非常に好調な事業環境にあります。財務健全性も高く、収益性も業界トップクラスであり、経営の効率性も優れています。ただし、エレクトロニクスや自動車事業における外部環境リスクへの対応は継続的な課題です。

  • ポジティブ要因:
    • 情報通信事業(特にデータセンタ向け)の急成長と高い収益貢献。
    • 非常に高いROE(30.85%)とROA(13.44%)を達成し、資本効率が優れている。
    • 自己資本比率54.5%、流動比率225%、ネットキャッシュポジションと、極めて健全な財務状況。
    • 通期業績予想の上方修正と年間の大幅な増配計画により、株主還元への積極的な姿勢が明確。
    • 業界平均PERに対しては割安感があり、成長性への期待が高い。
  • ネガティブ要因:
    • PBRが業界平均に対して非常に高く、絶対値としても高い水準にあるため、バリュエーション面で割高感も指摘され得る。
    • エレクトロニクスおよび自動車事業において、サプライチェーンの混乱、原材料費高騰、為替変動(バーツ高)が収益性に影響を与える可能性が残る。
    • 直近の株価は、年初来高値からやや調整局面に入っており、短期的なボラティリティがある。

強み・弱み・機会・脅威 (SWOT分析):

  • 強み (Strengths):
    • 情報通信、エレクトロニクス、自動車、エネルギー、不動産にわたる多角的な事業ポートフォリオ。
    • 光通信技術およびフレキシブルプリント基板における高い技術力と市場競争力。
    • 非常に高い収益性と資本効率(ROE、ROA、営業利益率)。
    • 強固な財務基盤(高い自己資本比率、潤沢な現金、ネットキャッシュポジション)。
  • 弱み (Weaknesses):
    • エレクトロニクス・自動車事業における外部要因(サプライチェーン、為替、原材料費)への収益性低下リスク。
    • 経営陣の持株比率が比較的低い。
  • 機会 (Opportunities):
    • 生成AIの普及によるグローバルなデータセンタ需要の継続的な拡大。
    • DX推進による情報通信インフラ投資の増加。
    • 超電導線材などの次世代技術開発を通じた新たな市場創出。
  • 脅威 (Threats):
    • 世界経済の景気後退や地政学的リスクによる需要減退。
    • 原材料価格やエネルギー価格の高騰。
    • 為替レートの変動(特に円高方向への振れ)。
    • 国際競争の激化。

17. 企業スコア

  • 成長性: A
    • 売上高は前年同期比+24.9%、過去12か月で1兆円超え、今期も通期で13.2%増収予想。情報通信部門は63.4%増収と極めて高い成長を実現しており、生成AI関連需要が今後も牽引役となる見込み。
  • 収益性: S
    • ROE 30.85%、ROA 13.44%と一般的なベンチマークを大きく上回る非常に高い水準。営業利益率も16.86%と優良で、情報通信部門の高収益性が全体を牽引。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率54.5%(中間期)、流動比率2.25倍、Total Debt/Equity 27.98%と、いずれの指標も非常に優れており、財務基盤は盤石。ネットキャッシュの状況も良好。
  • 株価バリュエーション: C
    • PER 34.17倍は業界平均PER(80.4倍)より低いものの、PBR 9.69倍は業界平均PBR(0.8倍)と比べて非常に高く、絶対値としても高水準。成長性は評価されるが、株価は純資産価値に対してかなり織り込まれていると判断され、割安とは言えない。

企業情報

銘柄コード 5803
企業名 フジクラ
URL http://www.fujikura.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 鉄鋼・非鉄 – 非鉄金属

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 16,345円
EPS(1株利益) 478.40円
年間配当 1.16円

予測の前提条件

予想EPS成長率 8.0%
5年後の想定PER 15.0倍

5年後の予測値

EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。

予想EPS 702.93円
理論株価 10,544円
累計配当 7円
トータル価値 10,551円

現在価格での試算リターン

現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。

試算年率リターン(CAGR) -8.38% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 5,246円 2,623円 × 算出価格を上回る
10% 6,551円 3,276円 × 算出価格を上回る
5% 8,267円 4,134円 × 算出価格を上回る

関連情報

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By ジニー

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