8059 第一実業 企業分析レポート
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
第一実業は、国内外でプラント・機械設備を扱うエンジニアリング商社です。具体的には、天然資源開発、石油化学プラント、リチウムイオン電池製造設備などのエネルギー・化学分野、自動車部品製造ライン、半導体製造装置、ヘルスケア関連機器、航空地上支援機材など、幅広い産業分野にわたる製造設備・システムの設計、製造、輸出入、販売、エンジニアリングサービスを提供しています。機械商社としての機能に加え、技術サービスやデジタルトランスフォーメーション (DX) 支援も手掛けています。 - 主力製品・サービスの特徴
非常に多岐にわたる事業ポートフォリオを持つ点が特徴です。連結事業では「エナジーソリューションズ」「エレクトロニクス」「自動車」「ヘルスケア」などが主要な収益源となっています。特に、リチウムイオン電池製造設備や電気自動車 (EV) 関連の設備、医療関連機器製造装置などが今後の成長ドライバーと位置付けられています。これらの分野では、先端技術を要する製造設備の提供を通じて、顧客の生産性向上や新製品開発に貢献しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
同社は多岐にわたる産業分野に対応する幅広い製品・サービスラインナップと、国内外に広がる拠点ネットワークを強みとしています。特に、電動車関連やヘルスケア関連といった成長分野での大型案件受注実績は、技術力と提案力の競争優位性を示唆しています。課題としては、商社事業の特性上、特定の大型案件の受注や納入時期によって業績が変動しやすい点、また、海外景気や為替変動、地政学リスクなどの外部環境の影響を受けやすい点が挙げられます。 - 市場動向と企業の対応状況
現在の市場は、国内の緩やかな景気回復とともに、海外景気減速、地政学リスク、為替変動のリスクが指摘されています。同社は、自動車向けの電動化関連設備や医療機器向けの需要が堅調であることに対応し、これらの成長セグメントでの事業を強化しています。特に、中間決算ではヘルスケア事業と自動車事業が大幅な増収増益を牽引しており、市場ニーズの変化に合わせた重点分野への対応が進んでいると言えます。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
決算短信には具体的なビジョンや中期経営計画の数値目標の詳細は記載されていませんでしたが、ヘルスケアや自動車(電動車関連)といった成長領域への注力が示唆されています。これらの分野での大型案件獲得は、今後の企業成長の鍵となります。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
— データなし - 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
決算短信からは、ヘルスケア事業における医療関連機器および自動包装機ライン、自動車事業における電動駆動関連設備など、新たな需要に対応した製品・サービスの提供が進んでいることが確認できます。これらは、収益成長を牽引する重要な要因となっています。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
第一実業の収益モデルは、多様な産業機械や設備の国内外での販売、および関連するエンジニアリングサービスを主軸としています。特定の産業に偏らず、幅広い顧客基盤を持つことで、市場ニーズの変化に対する適応力を高めています。特に、近年需要が拡大しているEV関連やヘルスケア分野への注力は、持続的な成長に向けた戦略的な取り組みと言えます。 - 売上計上時期の偏りとその影響
商社事業の特性上、大型プロジェクトの受注から納入までの期間が長く、また、売上計上時期が特定の四半期に集中するといった偏りが発生する可能性があります。実際に、中間決算では一部事業で前期の大口案件の反動による減収が見られました。このような売上計上時期の偏りは、単年度の業績変動に影響を与える可能性がありますが、複数事業に分散投資することでリスクを緩和しています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
同社は、エナジーソリューションズにおけるリチウムイオン電池・燃料電池技術や、次世代バッテリーの研究開発、デジタルトランスフォーメーション (DX) 関連サービスなど、先進技術分野への関与を強めています。これにより、顧客企業の技術革新を支援し、自身の競争力を高めています。 - 収益を牽引している製品やサービス
直近の中間決算では、ヘルスケア事業の医療関連機器や自動包装機ライン、自動車事業の電動駆動関連設備における大型案件が特に収益を牽引しています。これらは、今後の成長戦略における主力製品・サービス群と考えられます。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
現在の株価2,867.0円に対し、- 会社予想EPSは300.84円であるため、PERは 2,867.0円 ÷ 300.84円 = 9.53倍です。
- 実績BPSは2,629.22円であるため、PBRは 2,867.0円 ÷ 2,629.22円 = 1.09倍です。
- 業界平均PER/PBRとの比較
- 同社のPER(9.53倍)は、業界平均PER(12.1倍)と比較して割安です。
- 同社のPBR(1.09倍)は、業界平均PBR(1.0倍)と比較してほぼ同水準、わずかに割高です。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価推移を見ると、概ね2700円台から2900円台で推移しており、本日は2,867円で引けています。年初来高値2,999円、年初来安値1,861円に対して現在の株価は高値圏に位置しています。年初来高値に近づく水準であり、比較的堅調な推移です。
200日移動平均線(2,499.09円)や50日移動平均線(2,752.76円)を上回っており、短期・中期的に上昇トレンドを示唆しています。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値2,999円に対し、本日株価2,867円は高値から約4.4%下落した水準です。年初来安値1,861円からは大きく上昇しており、高値圏での推移が続いています。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
本日出来高は9,600株、売買代金は27,653千円と、過去10日の中でも低めの水準です。Avg Vol (3 month) が24.68k株、Avg Vol (10 day) が22.89k株であり、本日の出来高は平均出来高を下回っています。これは、市場の関心度がやや低下しているか、この水準での売り買いが落ち着いている状態を示唆している可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高: 過去5年間で増収傾向が続いており、2022年3月期1,480億円から過去12か月では2,277億円へと着実に成長しています。2025年3月期予想も2,217億円と堅調です。
- 営業利益: 同様に増加傾向にあり、2022年3月期68億円から過去12か月では135億円、2025年3月期予想では131億円となっています。
- ROE: 過去12か月実績で11.88%であり、一般的な目安とされる10%を上回る良好な水準です。
- ROA: 過去12か月実績で4.79%であり、一般的な目安とされる5%にわずかに届かないものの、比較的良好な水準です。
- 過去数年分の傾向を比較
過去数年間、売上高、営業利益、純利益は増加傾向にあり、持続的な成長を示しています。特に、事業の多様化と成長分野への投資が功を奏していると考えられます。EPSも順調に増加しており、企業価値向上の取り組みがうかがえます。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2026年3月期第2四半期(中間期)の連結業績は、売上高107,326百万円、営業利益6,591百万円、親会社株主に帰属する中間純利益4,966百万円でした。これらの数字は、会社が上方修正した通期予想(売上高225,000百万円、営業利益13,200百万円、純利益9,600百万円)に対して、それぞれ47.7%、49.9%、51.7%の進捗率であり、概ね均等な進捗を示しているため、通期予想の達成可能性は高いと考えられます。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率: 直近中間期で51.0% (前期末46.5%) と、非常に高い水準を維持しており、財務基盤は強固です。
- 流動比率: 直近中間期で約185.8% (流動資産141,386百万円 / 流動負債76,083百万円) であり、短期的な支払い能力に優れています。
- 総負債対純資産比率 (Total Debt/Equity): 直近四半期で2.57%と極めて低い水準であり、負債依存度が非常に低いことを示しています。
- 財務安全性と資金繰りの状況
自己資本比率の高さ、潤沢な現金及び預金(39,563百万円)、そして非常に低い有利子負債(短期借入金2,160百万円)から、財務安全性は極めて良好と評価できます。実質ネットキャッシュの状態であり、資金繰りに懸念はありません。 - 借入金の動向と金利負担
有利子負債は少なく、長期借入金の返済も進んでいます。金利負担は非常に軽微であると推測され、財務的なリスクは低い状況です。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(過去12か月): 11.88%
- ROA(過去12か月): 4.79%
- 売上総利益率(過去12か月): 16.97% (38,656,000千円 / 227,793,000千円)
- 営業利益率(過去12か月): 7.07%
- 純利益率(過去12か月): 4.18%
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROEは10%のベンチマークを上回っており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出していると言えます。ROAは5%のベンチマークにわずかに届かないものの、堅実な水準です。営業利益率7.07%は、商社業としては良好な水準であり、収益性は安定していると評価できます。 - 収益性の推移と改善余地
過去数年で売上高と利益が順調に伸びており、収益性は改善傾向にあります。特に、高付加価値案件(ヘルスケア、自動車など)の比率が高まることで、利益率のさらなる改善余地があると考えられます。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値は0.19です。これは市場全体(S&P 500)の動きと比較して、同社の株価が非常に変動しにくいことを示しており、市場感応度が低い特性を持っています。市場全体の変動リスクに対しては比較的堅牢であると言えます。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値は2,999.00円、52週安値は1,861.00円です。現在の株価2,867.0円は、52週高値に近い高値圏に位置しています。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信に記載されたリスク要因としては、大型受注案件の納期・完成・収益認識タイミングの変動、海外景気や為替変動、地政学リスク、素材・部品価格変動などが挙げられています。これらの外部環境要因は、同社の事業展開において不確実性をもたらす可能性があります。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- 現在のPER 9.53倍は、業種平均PER 12.1倍と比較して割安です。
- 現在のPBR 1.09倍は、業種平均PBR 1.0倍と比較してほぼ同水準であり、わずかに割高です。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- 業種平均PER基準の目標株価: 3,606円
- 業種平均PBR基準の目標株価: 2,631円
これらの目標株価レンジは、業界平均と比較した場合の理論的な株価を示しており、現在の株価2,867円と比較して、PER基準では上値余地があり、PBR基準ではほぼ評価されている水準と言えます。
- 割安・割高の総合判断
PERが業界平均と比べて割安である一方、PBRはほぼ平均水準です。企業の成長性と堅実な財務状況を考慮すると、現在の株価は割安感があると言えるでしょう。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
信用買残は28,800株、信用売残は3,200株、信用倍率は9.00倍です。買残が売残を大きく上回っており、需給は買い方に偏っています。信用倍率が高いため、将来的に買い残整理による株価下落圧力となる可能性も考慮に入れる必要があります。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
機関投資家による保有割合は28.98%であり、また、UHPartners系の投資事業有限責任組合や光通信KKなどの投資ファンドが大株主に名を連ねています。Insiders(経営陣および役員等)による保有割合は33.51%と高く、経営陣が会社の業績向上にコミットしている姿勢が伺えます。自社社員持株会や主要銀行も大株主となっており、一定の安定株主が存在します。 - 大株主の動向
大株主リストには投資ファンドが多く含まれているため、これらの株主の動向(売買)は市場に影響を与える可能性があります。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
会社予想配当利回りは4.25%、1株配当は122.00円です。Payout Ratio(配当性向)は31.54%と公表されており、利益を着実に株主還元に回していることが分かります。
2026年3月期の年間配当予想122.00円(中間51.00円、期末71.00円)は、前年の92.00円から増配となっており、株主還元への積極的な姿勢が見られます。 - 自社株買いなどの株主還元策
決算短信には当中間期における自社株買いの目立った記載はありませんでしたが、自己株口の保有が2.52%あります。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
— データなし
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
2025年11月6日に2026年3月期第2四半期決算短信が公表され、通期業績予想と配当予想の上方修正が発表されました。これは、ヘルスケア事業の医療関連機器や自動包装機ライン、自動車事業の電動駆動関連設備における大型案件の売上計上が寄与したためです。 - これらが業績に与える影響の評価
上記の上方修正は、主要な成長セグメントでの堅調な事業拡大と大型案件の順調な売上計上を示しており、今後の業績に対するポジティブな材料です。特に、ヘルスケアや自動車といった高成長分野での実績は、中期的な収益基盤の強化に繋がると評価できます。
16. 総評
第一実業は、多様な産業分野にわたる機械設備とエンジニアリングサービスを提供する商社であり、特にヘルスケアや自動車(電動化関連)といった成長分野で実績を伸ばしています。過去数年にわたり増収増益を達成し、直近の中間期決算でも通期予想を上方修正するなど、堅調な業績推移を見せています。
- 強み:
- 多様な事業ポートフォリオによるリスク分散と幅広い顧客層。
- ヘルスケア、自動車(電動化)といった高成長分野での競争力および大型案件での実績。
- 極めて強固な財務体質(高い自己資本比率、潤沢な現金、少ない有利子負債)。
- 高い株主還元意欲(増配、配当性向の安定)。
- 弱み:
- 商社事業特有の大型案件による業績変動リスク。
- 一部事業における前期大口案件の反動減。
- ベータ値が低く市場全体の株価上昇時に追随しにくい側面。
- 機会:
- 電動車市場の拡大や医療・ヘルスケア分野での技術革新による需要増加。
- エンジニアリングサービスやDX関連など付加価値の高いサービス展開の強化。
- 脅威:
- 海外景気減速、地政学リスク、為替変動などの外部環境要因。
- 主要素材・部品価格の変動。
- 特定の大型案件終了後の反動減。
現在の株価は年初来高値圏にありますが、PERは業界平均と比較して割安であり、配当利回りも高い水準です。財務健全性が極めて高く、安定した経営基盤を持っています。成長分野での継続的な受注動向や、為替変動などの外部リスク要因への対応が今後の注目点となるでしょう。
17. 企業スコア
- 成長性: A
- 中間期の連結売上高は前年同期比+6.0%の増収。特にヘルスケア事業+52.1%、自動車事業+37.2%と高成長セグメントが全体を牽引。通期予想も上方修正されており、今後の成長期待も高い。
- 収益性: A
- ROEは11.88%とベンチマーク10%を上回り良好。ROAは4.79%でベンチマーク5%に迫る水準。営業利益率も商社として堅実な7.07%を確保している。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率は直近中間期で51.0%と非常に高く、流動比率も約185.8%と短期の支払い能力に優れる。D/Eレシオは2.57%と極めて低く、現金保有も潤沢で実質ネットキャッシュの状態。
- 株価バリュエーション: A
- 会社予想PERは9.53倍で業界平均12.1倍と比較して割安。PBRは1.09倍で業界平均1.0倍とほぼ同水準。PERの割安感を考慮すると、バリュエーションは良好と判断される。
企業情報
| 銘柄コード | 8059 |
| 企業名 | 第一実業 |
| URL | https://www.djk.co.jp |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 2,867円 |
| EPS(1株利益) | 300.84円 |
| 年間配当 | 4.25円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 3.0% |
| 5年後の想定PER | 9.5倍 |
5年後の予測値
EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。
| 予想EPS | 348.76円 |
| 理論株価 | 3,327円 |
| 累計配当 | 23円 |
| トータル価値 | 3,350円 |
現在価格での試算リターン
現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。
| 試算年率リターン(CAGR) | 3.17% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 1,666円 | 833円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 2,080円 | 1,040円 | × 算出価格を上回る |
| 5% | 2,625円 | 1,313円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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