以下に小松ウオール工業(証券コード: 7949)の企業分析レポートをまとめます。
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
小松ウオール工業は、オフィスビルや病院、厚生施設などで使用される間仕切り製品の設計、製造、施工、販売、サービスを一貫して手掛ける国内大手メーカーです。特にオフィスや病院・厚生施設向けの間仕切りでは国内首位級の地位を占めており、国内市場に重点を置いています。 - 主力製品・サービスの特徴
事業の中心は「可動間仕切」(全体の44%)、「固定間仕切」(21%)、「トイレブース」(17%)、「移動間仕切」(13%)などです。可動間仕切はオフィス空間のレイアウト変更に柔軟に対応できる点が特徴で、オフィス移転やリニューアル需要の恩恵を受けやすい製品です。トイレブースは学校や体育施設、工場向けにも伸長しています。軽量スチールドアやインテリア金物なども手掛けています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
同社は間仕切り業界で国内首位級のポジションにあり、特に新設ビル向けに強みを持っています。長年の経験と実績に基づく技術力、安定した施工体制、ブランド力が競争優位性と考えられます。課題としては国内市場に重点を置いているため、国内の建設投資動向やオフィス需要の変化に業績が左右されやすい点が挙げられます。景気変動や原材料価格の高騰もリスク要因です。 - 市場動向と企業の対応状況
市場動向としては、雇用・所得環境の改善により景気は緩やかに回復基調にあり、オフィス移転・リニューアル需要が業界にとって追い風となっています。同社はオフィス関連需要に加え、学校・体育施設・工場向けのトイレブース販売も伸長させており、多角的な需要に対応しています。また、受注高・受注残高が堅調に推移しており、需要を確実に捕捉している状況が見られます。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
経営陣は「NEXT VISION 2028」中期経営計画を掲げ、以下の3つの基本方針を推進しています。 - 既存事業の成長
- 新規製品創出
- 生産・物流オペレーションの高度化
- 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
決算短信からは、生産能力強化に向けた投資が進行していることが示唆されています(加賀工場2号棟建設工事等に伴う建設仮勘定計上)。これは生産・物流オペレーションの高度化に資すると考えられます。既存事業においては、オフィス需要の堅調な「可動間仕切」の伸長や、学校・体育施設・工場向けの「トイレブース」の拡大が見られます。 - 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
決算短信には具体的な新製品・新サービスの詳細な展開状況は記載されていませんが、中期経営計画において「新規製品創出」を基本方針の一つとして掲げています。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
同社の収益モデルは、間仕切製品の設計、製造、施工、販売、サービスによるものです。オフィス空間の多様化や働き方改革、DXの進展などにより、フレキシブルなオフィスレイアウトのニーズは高まっており、可動間仕切はそのニーズに適応しやすい製品です。また、学校や施設のリニューアル需要にも対応しており、幅広い市場ニーズを捉えようとしています。堅実な財務体質と高い自己資本比率は、市場ニーズの変化への投資余力を示唆しています。 - 売上計上時期の偏りとその影響
中間期決算の進捗率を見ると、売上高進捗率45.4%に対して、営業利益進捗率29.4%、純利益進捗率27.9%と、利益の進捗が売上に比べて大幅に低い状況にあります。これは、建設業の特性として下期に売上や利益が偏重する季節性や、大規模案件の施工進捗、または工場建設等の設備投資が先行している可能性を示唆しています。通期目標達成には下期での利益回復が不可欠となります。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
決算短信には具体的な技術開発の独自性に関する詳細な記載はありませんが、国内間仕切り大手としての地位を確立していることから、製品の機能性、デザイン性、施工性などにおいて高い技術力を持っていると考えられます。中期経営計画で「新規製品創出」を掲げており、継続的な技術革新に取り組む姿勢が見られます。 - 収益を牽引している製品やサービス
中間期決算では「可動間仕切」が前年同期比+12.0%と大きく伸長し、総売上高の牽引役となっています。次いで「トイレブース」も+7.7%と好調です。これらの製品が現在の収益の中心を担っていると判断できます。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
- 株価: 2,585.0円
- 会社予想EPS: 166.66円 ← (決算短信の160.97円と差異あり。ここでは企業情報に記載の166.66円を使用)
- 実績BPS: 2,163.36円
- 現在のPER: 2585.0円 / 166.66円 = 15.51倍
- 現在のPBR: 2585.0円 / 2163.36円 = 1.19倍
- 業界平均PER/PBRとの比較
- 業界平均PER: 14.5倍
- 業界平均PBR: 1.3倍
現在のPER15.51倍は業界平均PER14.5倍と比較してやや割高な水準です。現在のPBR1.19倍は業界平均PBR1.3倍と比較してやや割安な水準です。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
現在の株価は2,585.0円です。直近10日間の株価は2,555円から2,650円のレンジで推移しており、現在の株価はその中間付近に位置します。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値が2,772円、年初来安値が1,283円です。現在の株価2,585.0円は、年初来高値に近く、年初来安値からは大きく上昇した高値圏に近い位置にあります。52週高値も2,772円、52週安値も1,283円であり、過去1年間で株価は大幅に上昇しています。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
直近の出来高は42,400株、売買代金は109,707千円です。3ヶ月平均出来高62.7千株、10日平均出来高53.93千株と比較すると、直近の出来高は平均を下回っており、市場の関心はやや低下している可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高(過去12ヶ月):45,606百万円
- 営業利益(過去12ヶ月):3,857百万円
- ROE(過去12ヶ月実績):7.16%
- ROA(過去12ヶ月実績):5.22%
ROEはベンチマーク10%に対しやや低いですが、ROAはベンチマーク5%をわずかに上回っています。 - 過去数年分の傾向を比較
| Breakdown | 過去12か月 | 2025/3 | 2024/3 | 2023/3 | 2022/3 |
|---|---|---|---|---|---|
| Total Revenue | 45,606 | 44,616 | 43,551 | 37,772 | 34,541 |
| Operating Income | 3,857 | 3,636 | 3,641 | 2,307 | 1,781 |
| Net Income | 2,729 | 2,650 | 2,775 | 1,627 | 1,240 |
過去数年間の売上高は一貫して増加傾向にあります。これに伴い営業利益、純利益も増加傾向で、特に2023年3月期から2024年3月期にかけて大きく伸長しています。足元は緩やかな利益成長となっています。
- 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2026年3月期第2四半期の中間実績は、売上高が通期予想の45.4%に対し、営業利益は29.4%、純利益は27.9%と、売上進捗と比較して利益進捗が低い状況です。会社は通期予想を据え置いており、下期での利益の巻き返しを想定していると見られます。受注残高が堅調に増加している点は下期の売上を支える要因となります。しかし、利益率改善が継続するかに注目が必要です。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率(中間期実績):81.8% (前期末80.8%)
- 流動比率(中間期実績):4.77倍
提供データに負債比率(D/Eレシオ)は記載がありませんが、自己資本比率が80%台と極めて高く、流動比率も4.77倍と高水準であることから、財務健全性は非常に良好と言えます。流動資産27,845百万円に対し流動負債5,837百万円と、短期的な支払い能力に全く問題がありません。 - 財務安全性と資金繰りの状況
自己資本比率、流動比率ともに極めて高く、財務安全性は非常に高いと評価できます。現金及び現金同等物は13,029百万円を保有しており、資金繰りにも余裕があると見受けられます。 - 借入金の動向と金利負担
負債合計は8,444百万円と自己資本に対して非常に低く、Net Non Operating Interest Income Expenseが6百万円とわずかな利息収入があることから、実質無借金経営に近い状況と推測されます。金利負担は非常に小さいと考えられます。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(過去12ヶ月):7.16%
- ROA(過去12ヶ月):5.22%
- Profit Margin:5.98%
- Operating Margin(過去12ヶ月):7.71%
ROEは7.16%で一般的なベンチマーク10%には届いていませんが、ROAは5.22%で一般的なベンチマーク5%を上回っています。売上総利益率は中間期で35.2%と改善しており、これが営業利益率の改善に寄与しています。 - 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROAはベンチマークをクリアしていますが、ROEはわずかに下回っています。高い自己資本比率を考慮すると、より効率的な資本活用が望まれる余地があるかもしれません。 - 収益性の推移と改善余地
中間期での売上総利益率の改善(35.2%、前年同期比+1.3pt)は収益性改善の好材料です。これが通期で持続できれば、利益率向上に繋がります。ただし、人件費増を増収で吸収する形であり、コストコントロールも重要となります。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
- Beta (5Y Monthly): 0.33
ベータ値が0.33と低いことから、市場全体の変動に対する株価の感応度が低いと評価できます。変動性の低い安定志向の銘柄と言えます。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
- 52週高値: 2,772.00円
- 52週安値: 1,283.00円
現在の株価2,585.0円は、52週高値圏に位置しており、過去1年で株価は大きく上昇(70.70%)しています。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信に記載のリスク要因として、受注の地域・業態別偏り、原材料・物流コストの変動、工場建設や投資の遅延、景気鈍化等が挙げられています。また、海外要因(米国の通商政策等)が国内景気に与える影響もリスクとして認識されています。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- 現在のPER: 15.51倍 (業界平均PER: 14.5倍)
- 現在のPBR: 1.19倍 (業界平均PBR: 1.3倍)
PERでは業界平均よりやや割高、PBRでは業界平均よりやや割安という状況です。 - 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- 目標株価(業種平均PER基準): 2,211円 (提供データより)
- 目標株価(業種平均PBR基準): 2,812円 (提供データより)
※提供データの目標株価をそのまま利用。 - 割安・割高の総合判断
現在の株価2,585.0円は、PER基準の目標株価2,211円と比較すると割高ですが、PBR基準の目標株価2,812円と比較すると割安です。高い財務健全性や安定した事業基盤を考慮すると、PBRが参考になる可能性もあります。総合的には、現在の株価はPER基準ではやや割高、PBR基準ではやや割安と判断でき、判断が分かれる水準です。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
- 信用買残: 94,600株
- 信用売残: 22,300株
- 信用倍率: 4.24倍
信用買残が信用売残を上回っており、信用倍率も4.24倍であることから、買い方の残高が多く、やや需給が悪化している可能性があります。ただし、前週比で信用買残・売残ともに減少しており、整理が進んでいると見られます。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
大株主にはKANO(株)(17.56%)、自社(8.97%)、日本マスタートラスト信託銀行(8.83%)、日本カストディ銀行(4.07%)、自社従業員持株会(3.92%)などが名を連ねています。創業者一族や自己株式、信託銀行、従業員持株会が上位を占めるため、安定株主が多く経営基盤は安定していると考えられます。インサイダー保有比率が24.99%と高い点も、経営陣の当事者意識が高いことを示唆します。 - 大株主の動向
データなし
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
- 配当利回り(会社予想): 5.03%
- 1株配当(会社予想): 130.00円
- 配当性向(通期予想に基づく概算): 80.8%
5%を超える高い配当利回りは、株主にとって魅力的な水準です。配当性向は80.8%と比較的高く、利益の大部分を配当として還元する方針が見受けられます。 - 自社株買いなどの株主還元策
中間期においては、自社株取得は少額またはほぼ実施されなかったと記載されています。配当を重視する方針のようです。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
データなし
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
2026年3月期第2四半期決算短信では、受注高の増加(前年同期比+3.0%)と受注残高の大幅な増加(同+9.3%)が報告されており、これは今後の業績を支える好材料です。また、加賀工場2号棟建設工事等に伴う建設仮勘定計上があり、今後の生産能力増強に向けた投資が進んでいることが伺えます。 - これらが業績に与える影響の評価
受注残の積み上がりは、下期の売上高および利益の達成に貢献すると期待されます。工場建設への投資は、将来的な生産効率の向上や事業拡大に繋がり、中長期的な収益基盤強化に寄与する可能性があります。
16. 総評
小松ウオール工業は、国内間仕切り業界で首位級の地位を確立する企業です。堅実な事業運営と極めて高い自己資本比率(81.8%)に裏付けられた、非常に強固な財務体質が最大の強みと言えます。オフィス需要の回復や学校・施設向けなど、幅広い需要を捉えることで、過去数年間安定した増収増益を達成しています。5%を超える高い配当利回りは投資家にとって魅力的です。
一方で、PERは業界平均よりやや割高感があり、ROEもベンチマークにはわずかに届いていない点は改善余地として挙げられます。また、通期予想に対する中間期の利益進捗が売上に比べて低いことから、下期での利益回復が重要となります。これは季節性や投資先行に伴うものである可能性も高く、今後の業績変動に注視が必要です。国内市場に重点を置いているため、国内景気や建設投資動向が業績に与える影響は大きいと考えられますが、ベータ値が低いことから、全体市場の変動に対して比較的安定した値動きが期待できます。
- **強み**: 極めて高い財務健全性、安定した事業基盤と国内市場における確固たるポジション、高配当利回り、堅調な受注残高。
- **弱み**: 国内市場への依存度、現状の利益進捗の遅れ(下期回復が前提)、ROEの改善余地。
- **機会**: オフィス空間の多様化やリニューアル需要、学校・施設投資の継続、生産能力増強による効率化。
- **脅威**: 国内景気の悪化、原材料価格高騰や物流コスト増、人件費上昇。
17. 企業スコア
- 成長性: A
売上高は過去数年堅調に増加しており、直近中間期も増収。受注残高も前年同期比+9.3%と大きく増加しており、今後の成長が期待されます。中期経営計画での「新規製品創出」や設備投資計画も成長への意欲を示しています。 - 収益性: B
売上総利益率は改善傾向にあり、ROAもベンチマーク5%を上回っています(5.22%)。一方でROEは7.16%とベンチマーク10%には届いていません。中間期の営業利益率5.65%も、売上総利益率の高さと比較すると販売費及び一般管理費のコントロールがポイントとなります。 - 財務健全性: S
自己資本比率81.8%は非常に高く、流動比率4.77倍も極めて高水準です。実質無借金経営に近いと推測され、財務安全性は極めて優れています。現金保有も潤沢です。 - 株価バリュエーション: B
現在のPER15.51倍は業界平均PER14.5倍に対してやや割高ですが、PBR1.19倍は業界平均PBR1.3倍に対しやや割安です。総合的に見ると、市場平均並みの評価と判断できます。
企業情報
| 銘柄コード | 7949 |
| 企業名 | 小松ウオール工業 |
| URL | http://www.komatsuwall.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – その他製品 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 2,585円 |
| EPS(1株利益) | 166.66円 |
| 年間配当 | 5.03円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 5.0% |
| 5年後の想定PER | 15.0倍 |
5年後の予測値
EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。
| 予想EPS | 212.71円 |
| 理論株価 | 3,191円 |
| 累計配当 | 29円 |
| トータル価値 | 3,220円 |
現在価格での試算リターン
現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。
| 試算年率リターン(CAGR) | 4.49% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 1,601円 | 800円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 1,999円 | 1,000円 | × 算出価格を上回る |
| 5% | 2,523円 | 1,261円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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