エリアクエスト (8912) 企業分析レポート
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
株式会社エリアクエストは、主に不動産ソリューション事業を展開する企業です。ビルオーナーやビル管理者向けに、テナント誘致サービスやビル管理に関するアドバイス・情報提供を行っています。また、サブリース事業にも注力し、賃貸経営の安定化を支援しています。 - 主力製品・サービスの特徴
- テナント誘致サービス: ビル所有者に対し、マーケティングを通じて入居テナントを確保するサービスです。借り主(テナント)側にも出店アドバイスを提供しています。
- サブリース事業: 企業が不動産を借り上げ、それを第三者に転貸することで、ビルオーナーの安定収入を確保するサービスです。ストック型収入として安定的な収益基盤の確立を目指しています。
- ビル管理・賃貸借契約管理: ビルの維持管理や賃貸借契約の更新・管理に関するサービスも提供し、ビル経営全体をサポートしています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
エリアクエストは不動産ソリューション事業に特化しており、特にサブリースによるストック型収入の強化を経営戦略として掲げています。これは、景気変動に左右されにくい安定的な収益源を確保しようとするものです。しかし、不動産業界は競争が激しく、特に中小規模の事業者にとっては、大手不動産会社や多角的なサービスを提供する企業との差別化が課題となります。同社の強みは、テナント誘致からサブリース、管理まで一貫したサービスを提供できる点にあると考えられますが、詳細な競合優位性についてはデータに限りがあります。 - 市場動向と企業の対応状況
現在の国内不動産市場は緩やかな回復基調にあるものの、物流コストや人件費の上昇、地政学リスクなど、先行き不透明な要素も存在します。エリアクエストはこのような外部環境の変化に対応するため、景気変動に左右されにくいストック型収入(サブリース等)の基盤強化を重点戦略としています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
経営陣は、サブリース事業をはじめとするストック型収入の安定化を重視しています。これにより、外部環境の変化に強い収益構造を構築し、持続的な成長を目指す方針です。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
決算短信には具体的な中期経営計画の目標年次やKPIの記載はありませんが、ストック収入の安定化を重視し、そのための営業投資(採用・販促)を継続していることが示されています。 - 新製品・新サービスの展開状況
決算短信において、新製品・新サービスの具体的な展開状況についての記載はありません。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
同社の主力事業であるサブリースは、一度契約を締結すれば長期にわたり安定的な賃料収入が見込めるストック型のビジネスモデルです。これにより、単発の仲介手数料に依存するフロー型ビジネスよりも、市場の急激な変化に対する耐性が高いと言えます。しかし、不動産市況の悪化や金利上昇は、転貸収入の減少や仕入れコストの増加につながるため、市場ニーズの変化への適応能力は重要です。第1四半期の決算では、有価証券運用益が収益を大きく押し上げており、本業の収益安定化と並行して、資産運用益に依存するリスクも考慮する必要があります。 - 売上計上時期の偏りとその影響
データからは売上計上時期の具体的な偏りを示す情報はありませんが、Q1の進捗が売上高で24.8%であることから、概ね均等に計上されると見込まれます。ただし、不動産取引には季節性や大型案件による偏りが生じる可能性もあります。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
データからは、同社の技術開発の動向や独自性に関する具体的な情報は確認できません。 - 収益を牽引している製品やサービス
サブリース事業とテナント誘致サービスが収益の中心です。第1四半期決算では、これらの本業に加え、有価証券運用益が経常利益を大幅に押し上げています。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
- 現在の株価: 157.0円
- 会社予想EPS: 8.99円
- 実績BPS: 95.53円
- PER(会社予想): 157.0円 ÷ 8.99円 = 17.46倍
- PBR(実績): 157.0円 ÷ 95.53円 = 1.64倍
現在の株価は、会社予想の利益を基にするとPER17.46倍、実績の純資産を基にするとPBR1.64倍の水準です。
- 業界平均PER/PBRとの比較
- エリアクエスト: PER 17.46倍, PBR 1.64倍
- 業界平均: PER 11.3倍, PBR 0.9倍
業界平均と比較すると、エリアクエストのPER、PBRともに高いため、現在の株価は業界平均の水準から見ると割高感があります。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は151円から163円の範囲で推移しており、現在の157円はレンジの中央付近に位置しています。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値281円、年初来安値134円に対し、現在の株価157円は年初来安値に近い水準で推移しており、高値圏とは言えません。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
直近の出来高は22,400株、売買代金は3,520千円と小規模です。平均売買高(3ヶ月平均809.12k株、10日平均47.29k株)と比較しても、当日の出来高は平均を下回っており、市場の関心度は低い状態にあると言えます。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高(第1四半期累計):621百万円(前年同期比+4.2%)
- 営業利益(第1四半期累計):52.74百万円(前年同期比+30.7%)
- 経常利益(第1四半期累計):76.02百万円(前年同期比+195.9%)
- 親会社株主に帰属する四半期純利益(第1四半期累計):36.03百万円(前年同期比+136.9%)
- ROE(過去12か月):9.17%
- ROA(過去12か月):4.63%
第1四半期は増収増益となり、特に有価証券運用益の増加が経常利益と純利益を大幅に押し上げました。ROE、ROAは同業他社比較(後述)で普通レベルですが、ベンチマークにはわずかに届いていません。
- 過去数年分の傾向を比較
過去数年分の詳細なデータが提供されていないため、傾向の比較は困難です。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
会社は通期予想(売上高2,500百万円、営業利益230百万円、親会社株主帰属当期純利益144百万円)を据え置いています。- 売上高進捗率: 621百万円 ÷ 2,500百万円 = 24.8%
- 営業利益進捗率: 52.74百万円 ÷ 230百万円 = 22.9%
- 純利益進捗率: 36.03百万円 ÷ 144百万円 = 25.0%
第1四半期としては概ね順調な進捗と言えますが、営業利益の進捗率がやや低い点は注視が必要です。また、利益の伸びを有価証券運用益が牽引している点も考慮する必要があります。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率(第1四半期末):37.9%(前期末35.1%から改善)
- 流動比率(直近四半期):0.63(約63.5%)
- 負債比率(負債合計/純資産合計):約164%(2,514.3百万円 ÷ 1,531.5百万円)
自己資本比率は改善傾向にありますが、目安とされる40%以上にはまだ到達していません。流動比率は約63.5%と、短期的な支払い能力の目安である100%を大きく下回っており、流動性には課題があります。
- 財務安全性と資金繰りの状況
流動比率の低さは、一時的な支払い能力の脆弱性を示唆しますが、長期預り保証金(1,156.6百万円)のような特定の負債構成がこれを引き下げている可能性もあります。Total Debt/Equity(有利子負債対純資産比率)は39.61%であり、これが低いことは有利子負債の負担が比較的限定的であることを示唆します。しかし、全体的な負債水準は高めです。 - 借入金の動向と金利負担
短期借入金は増加(84.7百万円→124.6百万円)、長期借入金は減少(176.6百万円→143.1百万円)しており、借入金全体では一部変動が見られます。金利負担に関する具体的な情報は提供されていませんが、金利上昇は収益に影響を与えるリスク要因として挙げられています。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(過去12か月):9.17%
- ROA(過去12か月):4.63%
- 営業利益率(第1四半期累計):8.5%
- 純利益率(過去12か月):5.32%
- 売上総利益(過去12か月):736M(粗利率約29.4%)
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROE(9.17%)は一般的な目安とされる10%にわずかに届かず、ROA(4.63%)も5%にわずかに届かない水準です。営業利益率8.5%は、不動産業界としては標準的な範囲と言えますが、高い収益性とは言えません。 - 収益性の推移と改善余地
第1四半期では営業利益率が前年同期の6.8%から8.5%に改善しており、本業の収益性は向上傾向にあります。ただし、経常利益や純利益の大きな伸びは有価証券運用益に大きく依存しており、本業による収益性の持続的な改善が今後の課題です。ストック収入の強化は、収益安定化には寄与しますが、大幅な利益率改善には事業規模の拡大や効率化が不可欠です。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値は0.22と非常に低く、市場全体の動きに対する感応度が小さいことを示しています。これは、市場全体が変動しても株価が大きく連動しにくい特性を持っていることを意味します。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値は281.00円、安値は130.00円です。現在の株価157.0円は、52週安値に近い位置にあり、過去1年間で見ると比較的低位で推移しています。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信には以下のリスク要因が記載されています。- 不動産市況・賃貸市況の悪化
- 金利上昇による金融費用増
- 投資有価証券の評価損失リスク(Q1で評価益に寄与しているため、今後の反転リスクあり)
- 法制度・税制変更
- 景気後退による入居率低下等
特に、Q1の収益を押し上げた有価証券運用益は、市場変動による評価損失リスクも内包している点に注意が必要です。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- エリアクエストのPER(会社予想)は17.46倍、PBR(実績)は1.64倍です。
- 不動産業界平均PERは11.3倍、PBRは0.9倍です。
同社は業界平均と比較して、PER、PBRともに割高な水準にあります。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- 目標株価(業種平均PER基準):EPS 8.99円 × 業界平均PER 11.3倍 = 101.59円(約102円)
- 目標株価(業種平均PBR基準):BPS 95.53円 × 業界平均PBR 0.9倍 = 85.977円(約86円)
提供されている分析結果には、目標株価(業種平均PER基準)79円、目標株価(業種平均PBR基準)86円とありますが、EPS 8.99円に対してPER 11.3倍だと101.59円、BPS 95.53円に対してPBR 0.9倍だと85.977円となります。提供値と手計算値に若干の乖離が見られますが、ここでは手計算値を使用します。
現在の株価157円と比較すると、業界平均のPER/PBRで評価した場合の理論上の目標株価は大幅に下回っています。
- 割安・割高の総合判断
現在の株価は、PERおよびPBRの両指標において、業界平均と比較して割高と判断されます。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
信用買残は484,300株で、信用売残25,500株に対し、信用倍率は18.99倍と非常に高いです。これは、買い方が多く、売り方が少ない状態であり、将来的に株価上昇圧力が弱まる可能性や、踏み上げのリスクがあるなど、需給バランスの悪化を示唆しています。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
筆頭株主は謙雅産業(41.41%)、次いで鈴木洋氏(11.14%)、自社(自己株口)(6.53%)、代表者である清原雅人氏(2.72%)などが名を連ねています。インサイダー保有比率は61.71%と高く、安定した株主構成と言えます。 - 大株主の動向
データからは大株主の具体的な売買動向は不明です。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
決算短信によると、2026年6月期(予想)の1株当たり配当金は中間3.00円、期末3.00円の合計6.00円です。- 配当利回り(会社予想に基づく): 6.00円 ÷ 157.0円 = 3.82%
- 配当性向(会社予想に基づく): 6.00円 ÷ 8.96円(通期予想EPS)= 67.0%
配当利回り3.82%は魅力的な水準ですが、予想配当性向が67.0%と高めであり、利益成長が停滞した場合の減配リスクや、内部留保の積み増しを通じた財務基盤強化への影響も考慮する必要があります。
- 自社株買いなどの株主還元策
決算短信において、自社株買いに関する記載はありません。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
データからは、株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策に関する具体的な記載はありません。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
直近の第1四半期決算短信(2025年11月12日発表)によると、売上高は前年同期比で増加し、営業利益も30.7%増と好調でした。特に経常利益は有価証券の評価益・運用益が寄与し、前年同期比で195.9%の大幅増を記録しました。 - これらが業績に与える影響の評価
有価証券運用益による経常利益の大幅増は、短期的に収益を押し上げる要因となりますが、市場環境によって変動する可能性があるため、その持続性には不確実性があります。会社は通期予想を据え置いており、本業である不動産ソリューション事業の堅調な推移と、ストック収入の継続強化が業績達成の鍵となります。
16. 総評
エリアクエストは不動産ソリューション事業を手掛け、サブリースによるストック型収入の安定化を目指す企業です。直近の第1四半期決算は増収増益を達成し、特に有価証券運用益が大きく寄与して経常利益を押し上げました。
- 強み:
- サブリースを主軸としたストック型ビジネスモデルにより、比較的安定した収益基盤の構築を目指している。
- 第1四半期の増収増益、特に営業利益の改善が見られる。
- ベータ値が低い(0.22)ため、市場全体の変動に比較的左右されにくい。
- 高い配当利回り(会社予想3.82%)は、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力的。
- 弱み:
- ROAやROEが業界の一般的なベンチマークにわずかに届いておらず、収益性のさらなる向上が課題。
- 流動比率が低く、短期的な財務健全性に改善の余地がある。
- 第1四半期の好業績に有価証券運用益が一過性で寄与しており、本業による利益成長の持続性が重要。
- 信用倍率が非常に高く、需給バランスが悪化している。
- 機会:
- 経済の緩やかな回復基調や不動産需要の回復が、本業のストック収入拡大に繋がる可能性。
- 金融市場の好調が続けば、有価証券運用益が継続して収益に貢献する可能性。
- 脅威:
- 不動産市況の悪化や金利上昇が、サブリース事業の収益性や金融費用に悪影響を与えるリスク。
- 投資有価証券の市場価格変動による評価損発生のリスク。
- 業界平均と比較してPER、PBRともに割高感があり、市場からの評価が厳しい可能性がある。
- 高い配当性向は、業績下振れ時の減配リスクとなり得る。
17. 企業スコア
- 成長性: B (第1四半期は増収増益だが、利益成長の一部は有価証券運用益に依存。ストック型収入の強化は評価されるが、Q1の売上成長率は堅実な水準。)
- 収益性: B (ROE 9.17%、ROA 4.63%は一般的なベンチマークにわずかに届かず、営業利益率も特段高いわけではない。有価証券運用益の一過性寄与を除く本業の収益力は平均的。)
- 財務健全性: C (自己資本比率37.9%は改善しているものの、40%の目安に届かず。流動比率が63.5%と低く、短期的な財務健全性に課題があるためC評価。)
- 株価バリュエーション: D (PER 17.46倍、PBR 1.64倍は、業界平均PER 11.3倍、PBR 0.9倍と比較して大幅に割高と判断されるためD評価。目標株価レンジは現在の株価を大きく下回る。)
企業情報
| 銘柄コード | 8912 |
| 企業名 | エリアクエスト |
| URL | http://www.area-quest.com/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 不動産 – 不動産業 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 157円 |
| EPS(1株利益) | 8.99円 |
| 年間配当 | 1.91円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 5.0% |
| 5年後の想定PER | 15.0倍 |
5年後の予測値
EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。
| 予想EPS | 11.47円 |
| 理論株価 | 172円 |
| 累計配当 | 11円 |
| トータル価値 | 183円 |
現在価格での試算リターン
現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。
| 試算年率リターン(CAGR) | 3.13% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 91円 | 46円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 114円 | 57円 | × 算出価格を上回る |
| 5% | 144円 | 72円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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