1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    株式会社カナミックネットワークは、主に高齢者介護・医療分野に特化したクラウドサービスを提供する企業です。全国の自治体、医師会、介護事業者向けに、地域包括ケアシステムの実現を支援するプラットフォームを提供しています。また、24時間フィットネスジムの運営による健康寿命延伸サービスや、M&Aを通じて強化したソリューション開発サービスも手掛けています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • カナミッククラウドサービス: 介護保険制度に対応した高齢者介護支援や医療連携支援のクラウドシステムで、地域における多職種連携を効率化します。安定的なストック収益が特徴です。
    • 健康寿命延伸サービス: 24時間フィットネスジム「アーバンフィット」の運営を通じて、地域住民の健康増進に貢献しています。
    • ソリューション開発サービス: Webサイトやバックエンドシステムの企画・開発、導入コンサルティングなど、企業のIT課題解決を支援します。M&Aにより提供範囲を拡大しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    同社は、医療・介護の地域連携プラットフォームにおいて独自の強みを持っています。高齢化の進展や地域包括ケアシステムの推進により、多職種連携や情報共有のニーズは高く、同社のクラウドサービスはこれに応える形で成長してきました。主要顧客への売上集中もなく、外部取引先は分散しています。
  • 市場動向と企業の対応状況
    国内では少子高齢化の進展に伴い、介護・医療サービスの需要が増加しています。政府による介護保険制度改正やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の動きも、同社の事業にとって追い風となっています。同社は、AIを搭載したクラウド介護ソフト「介護AISaaS」の提供開始や、M&Aによる海外展開(シンガポール企業の子会社化)を通じて、新しい市場ニーズや成長機会に対応しています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    同社は「カナミックビジョン2030」を掲げ、「Phase4:海外展開」への着手を発表しており、シンガポールのIT企業であるTHE WORLD MANAGEMENT PTE LTDの完全子会社化を実行しました。これにより、海外市場への進出を本格化し、グローバルでの事業拡大を目指しています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    「カナミックビジョン2030」の「Phase2:プラットフォームサービス拡大」の一環として、AIを搭載したクラウド介護ソフト「介護AISaaS」の提供を開始し、サービス機能の強化と競争力向上を図っています。重点分野としては、既存の国内クラウド事業の継続的な拡大に加え、M&Aを通じたソリューション開発事業の強化、そして海外市場への展開が挙げられます。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    2025年9月期において、AI搭載クラウド介護ソフト「介護AISaaS」の提供を開始しました。また、THE WORLD MANAGEMENT PTE LTDの連結子会社化により、ソリューション開発事業が大幅に伸長しました。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    同社の主力であるカナミッククラウドサービスは、月額利用料モデルのストックビジネスであり、安定した収益基盤を特徴としています。加えて、24時間フィットネスジム運営やM&Aによるソリューション開発事業の強化は、収益源の多様化と、市場ニーズの変化への適応力を高める戦略と考えられます。高齢化社会における医療・介護のDXや健康寿命延伸といった社会的ニーズに合致しており、持続性は高いと評価できます。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    データなし。ただしストック型ビジネスが中心であることから、売上計上時期に大きな偏りは少ないと想定されます。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    AI技術を積極的に取り入れ、クラウド介護ソフト「介護AISaaS」の提供を開始するなど、サービス機能の高度化を図っています。医療と介護の連携を支援する地域連携プラットフォームは、同社の独自の強みであり、他社との差別化に貢献しています。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    連結事業セグメント別では、「カナミッククラウドサービス」を含む「医療・介護クラウドプラットフォーム事業」が全体の売上高の57%を占め、依然として主力であり収益を牽引しています。また、M&Aの効果により「ソリューション開発事業」の成長率が最も高くなっています。

6. 株価の評価

現在の株価534.0円に対し、以下の状況です。

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 予想PER: 18.43倍 (EPS 28.87円)
    • 実績PBR: 5.43倍 (BPS 97.97円)
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 23.2倍
    • 業界平均PBR: 2.3倍
      同社の予想PERは業界平均PERと比較して割安水準にあります。一方で、実績PBRは業界平均PBRと比較して割高な水準です。これは高い収益性(ROE 26.19%)が評価されている可能性があります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価推移を見ると、11月28日に年初来高値569円を記録した後、株価は徐々に下落し、現在は533円付近で推移しています。高値圏での調整局面にあると言えます。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    年初来高値は569円、年初来安値は349円です。現在の株価534円は、年初来高値に近く、高値圏に位置しています。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    直近の出来高は80,200株、売買代金は43,205千円でした。3ヶ月平均出来高13.96万株、10日平均出来高13.69万株と比較すると、直近の出来高は平均を下回っており、市場の関心度はやや低下している可能性があります。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    過去の推移を見ると、売上高、営業利益、純利益ともに継続的な成長を見せています。
    • 売上高: 過去12か月で5,500百万円 (前年同期比+9.9%)
    • 営業利益: 過去12か月で1,606百万円 (前年同期比+11.6%)
    • 純利益: 過去12か月で1,111百万円 (前年同期比+20.8%)
    • ROE (実績): 26.19% (非常に高水準)
    • ROA (過去12か月): 15.79% (非常に高水準)
  • 過去数年分の傾向を比較
    Total Revenueは2022年の2,502百万円から2024年の5,007百万円、そして過去12ヶ月で5,500百万円と、着実に増加しています。同様に、Operating IncomeやNet Incomeも右肩上がりの成長を示しており、安定した収益拡大を実現しています。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2025年9月期(通期)の連結決算は、売上高5,500百万円、営業利益1,607百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,111百万円となり、前年同期比で増収増益を達成しました。会社側が発表した通期予想との比較データは決算短信に記載がないため、達成度は「不明」ですが、実績は堅調な成長を示しています。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率 (実績): 71.1% (非常に良好な水準で、財務基盤が強固であることを示します。)
    • 流動比率 (直近四半期): 2.76倍 (または276%) (短期的な支払い能力が非常に高いことを示し、問題ありません。)
    • 負債比率 (Total Debt/Equity): 14.15% (負債が少なく、財務的に安定していることを示します。)
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    自己資本比率が高く、流動比率も十分であることから、財務安全性は非常に高いと評価できます。営業キャッシュフローもプラスで推移しており(1,293百万円)、資金繰りにも問題はありません。
  • 借入金の動向と金利負担
    長期借入金は期末で306百万円と前期から減少しています。負債合計も減少傾向にあり、金利負担は限定的と考えられます。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE (実績): 26.19%
    • ROA (過去12か月): 15.79%
    • 売上高営業利益率 (過去12か月): 29.97%
    • 売上高純利益率 (過去12か月): 20.21%
      全ての収益性指標が非常に高い水準にあり、効率的な経営を実現していると評価できます。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROEは一般的なベンチマークである10%を大きく上回っており、ROAもベンチマークの5%を大幅に上回っています。これは株主資本および総資産を非常に効率的に活用し、高い利益を生み出していることを示します。
  • 収益性の推移と改善余地
    過去数年にわたり収益性は高い水準で推移し、利益率も維持・向上しています。M&Aによる事業拡大やAI技術導入による効率化は、さらなる収益性向上の余地をもたらす可能性があります。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値は0.27 (5Y Monthly)であり、市場全体の動きに対する株価の連動性が低いことを示します。市場変動の影響を受けにくい、比較的安定した銘柄であると言えます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値は569.00円、52週安値は349.00円です。現在の株価534.0円は、52週高値に近い水準に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信に記載されている主なリスク要因は、以下の通りです。
    • 為替・海外事業リスク: シンガポール子会社化による海外展開の増加に伴い、為替変動リスクや海外事業固有のリスクが増加します。
    • 原価や人件費の増大: 既存事業および新規事業における原価や人件費の上昇が、収益を圧迫する可能性があります。
    • のれんの減損リスク: M&Aにより発生したのれんについて、将来的に減損が生じるリスクがあります。
    • 介護制度や公的政策の変更: 医療・介護分野のクラウドサービスが主軸であるため、国の介護制度や公的政策の変更が事業環境に大きな影響を与える可能性があります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • 予想PER (18.43倍) は業種平均PER (23.2倍) より割安です。
    • 実績PBR (5.43倍) は業種平均PBR (2.3倍) より割高です。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 業界平均PER基準の目標株価: EPS 28.87円 × 業界平均PER 23.2倍 = 670.8円
    • 業界平均PBR基準の目標株価: BPS 97.97円 × 業界平均PBR 2.3倍 = 225.3円
  • 割安・割高の総合判断
    PER基準では目標株価670.8円に対して現在の株価534.0円は割安感がありますが、PBR基準では目標株価225.3円に対して割高です。これは同社の高い成長性と収益性がPBRを押し上げていると考えられます。そのため、単独の指標で単純な割安・割高を判断することは難しく、成長性や将来性を総合的に考慮する必要があります。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 271,600株(前週比 +29,700株)
    • 信用売残: 59,000株(前週比 +18,700株)
    • 信用倍率: 4.60倍
      信用買残が信用売残を大きく上回っており、需給はやや売り圧力が優勢となる可能性があります。信用買残の増加は、将来的な売りにつながる可能性も示唆します。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    • 経営陣持株比率: 代表者山本拓真氏の保有割合13.9%、関連会社(株)SHOの保有割合28.42%を合わせると、経営陣による支配力が高いことが伺えます。
    • インサイダー保有比率: 51.54%と過半数を占めており、安定株主が多いと言えます。
    • 機関投資家保有比率: 12.71%。
  • 大株主の動向
    経営陣および創業家による安定的な保有が目立ちます。日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行が信託口で大株主に名を連ねており、機関投資家による保有も一定数あります。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想):1.69%
    • 1株配当(会社予想):9.00円(前期7.50円からの増配を計画)
    • 配当性向(連結、実績):32.02%
      同社は、内部留保の充実と株主還元の両立を基本方針とし、当面は配当性向30%以上を目安としています。2025年9月期の配当性向は方針に沿った水準です。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    決算短信に自社株買いに関する明確な記載はありません。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    データなし。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2025年11月13日に発表された2025年9月期決算短信によると、シンガポール企業のTHE WORLD MANAGEMENT PTE LTDを完全子会社化したことが重要なトピックスです。これは「カナミックビジョン2030」の海外展開フェーズへの着手と位置付けられます。
  • これらが業績に与える影響の評価
    THE WORLD MANAGEMENT PTE LTDの連結子会社化は、ソリューション開発事業の売上を前年比+42.6%と大幅に押し上げ、連結業績の増収増益に大きく貢献しました。海外拠点でのソリューション開発能力を強化し、事業の多角化および成長ドライバーとなることが期待されます。一方で、M&Aに伴うのれん発生や、統合コスト、海外事業固有のリスク要因も今後の業績に影響を与える可能性があります。

16. 総評

カナミックネットワークは、高齢化社会において不可欠な医療・介護分野のクラウドサービスを主力とする企業です。安定的なストックビジネスを基盤とし、高い収益性と強固な財務健全性を維持しています。AI搭載サービスやM&Aによる海外展開など、成長戦略も明確です。

  • 強み
    • 高齢化社会を背景とした市場ニーズへの適合性が高く、主力事業が安定したストック収益型。
    • ROE 26.19%、ROA 15.79%、営業利益率29.97%と非常に高い収益性。
    • 自己資本比率71.1%、流動比率2.76倍と極めて高い財務健全性を誇る。
    • AI技術導入や海外展開(M&Aを含む)による積極的な成長戦略。
    • ベータ値0.27と市場変動に強い安定性。
  • 弱み
    • M&Aに伴うのれんの減損リスクや海外事業固有のリスク。
    • 介護制度や公的政策の変更が事業に与える影響。
    • 信用買残が信用売残を上回っており、需給面での潜在的な重圧。
    • PBRが業界平均と比較して割高水準にある。
  • 機会
    • 地域包括ケアシステムの深化、医療・介護連携の強化、DX推進によるクラウドサービス需要の拡大。
    • 海外市場(特にアジア圏)への事業展開による新たな成長機会。
    • AI技術の進化を活用したサービスの差別化と競争力強化。
  • 脅威
    • 競合他社の参入やサービス競争の激化。
    • 原価や人件費の高騰による利益率への影響。
    • 地政学リスクや為替変動による海外事業への影響。
      同社は、堅実なストックビジネスと積極的な成長投資を両立しており、ファンダメンタルズは極めて良好です。株価バリュエーションはPER基準では割安感がありますが、PBR基準では割高感もあります。ただし、非常に高い収益性と財務健全性を考慮すると、PBRが市場平均より高いことは、成長期待の表れとも解釈できます。経営陣による安定的な株式保有比率が高く、株主還元方針も明確である点は好材料です。長期的な視点での成長への期待と、M&Aや海外展開に伴うリスクとを総合的に評価することが重要です。

17. 企業スコア

  • 成長性: A
    売上高と利益は過去数年堅調に成長しており、2025年9月期も増収増益を達成。AI搭載の新サービス展開やM&Aによる海外・ソリューション事業の拡大は、今後の成長ドライバーとして期待されます。
  • 収益性: S
    ROE 26.19%、ROA 15.79%、営業利益率29.97%、純利益率20.21%といずれも非常に高水準であり、業界ベンチマークを大幅に上回っています。効率的な経営体制と市場における優位性を示しています。
  • 財務健全性: S
    自己資本比率71.1%は極めて高く、流動比率2.76倍、負債比率14.15%も極めて良好な水準です。財務基盤は非常に強固であり、安定性が高いと評価できます。
  • 株価バリュエーション: B
    PER(18.43倍)は業界平均(23.2倍)に比べて割安感があります。しかし、PBR(5.43倍)は業界平均(2.3倍)よりも割高であり、高い成長性や収益性がすでに評価されていると考えられます。相対的には中立的な評価とします。

企業情報

銘柄コード 3939
企業名 カナミックネットワーク
URL http://www.kanamic.net/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 534円
EPS(1株利益) 28.87円
年間配当 1.69円

予測の前提条件

予想EPS成長率 5.0%
5年後の想定PER 15.0倍

5年後の予測値

EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。

予想EPS 36.85円
理論株価 553円
累計配当 10円
トータル価値 562円

現在価格での試算リターン

現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。

試算年率リターン(CAGR) 1.05% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 280円 140円 × 算出価格を上回る
10% 349円 175円 × 算出価格を上回る
5% 441円 220円 × 算出価格を上回る

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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