以下は、ホギメディカル(証券コード: 3593)に関する企業分析レポートです。
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
株式会社ホギメディカルは、医療用不織布製品の最大手企業です。病院内の感染防止に寄与する製品群で成長を遂げており、特に手術に必要な消耗品をパッケージ化した「プレミアムキット」を主力としています。その他、滅菌用品類、医療機器など幅広い医療用消耗品の製造・販売および関連サービスを提供しています。四半期配当を実施している企業です。 - 主力製品・サービスの特徴
主力は「プレミアムキット」で、手術時に必要な多数の消耗品を一括で提供することで、医療現場の効率化と安全性の向上に貢献しています。その他、滅菌袋や滅菌コンテナなどの滅菌用品、不織布製品、再生単回使用医療機器、手術室管理サービスなどの手術支援サービス、さらには低侵襲治療製品(小細胞肺がん切除補助のSuReFInD、内視鏡ホルダーのEMARO、内視鏡手術用スポンジのSECUREAなど)も手掛けています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
医療用不織布分野において最大手の地位を確立しており、高品質な「プレミアムキット」は競合に対する優位性を持っています。しかし、病院のコスト意識の高まりや診療報酬改定、医師の働き方改革などの影響で、手術材料における低価格代替品への検討が進むなど、競争は激化しています。原材料価格の高止まりも課題となっています。 - 市場動向と企業の対応状況
市場全体でコスト削減ニーズが高まる中、同社は付加価値の高い「プレミアムキット」の訴求やASEAN地域での市場開拓を通じて対応を図っています。また、DX商材の拡充や新部材の上市など、新たな技術や製品の開発にも注力しています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
経営陣からは、中期経営計画(2024年7月公表)に基づくプログラムが概ね予定通り進捗しているとの説明があります。具体的なビジョンは示されていませんが、重点顧客(オペラマスター施設等)での事業維持・強化、プレミアム製品の市場浸透、そしてASEAN地域での導入拡大を戦略的重点分野としています。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
中期経営計画では、DX(デジタルトランスフォーメーション)商材の拡充、新部材の上市、そしてASEAN市場への展開が具体的な施策として進行中です。これらの取り組みを通じて、事業のさらなる成長と収益性の改善を目指しています。 - 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
決算短信では、「DX商材の拡充」や「新部材の上市」、「ASEANでの導入拡大」が進行中であると述べられています。既存製品としては、小細胞肺がん切除補助のSuReFInD、内視鏡ホルダーのEMARO、内視鏡手術用スポンジのSECUREAなどがあります。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
同社の収益モデルは、医療用消耗品の製造・販売およびその付帯サービスにあります。特に「プレミアムキット」は医療現場のニーズに応える高付加価値製品として確立されています。市場ニーズの変化、特に病院のコスト圧力に対しては、高付加価値を訴求しつつ、効率化に資するソリューションを提供することで適応を図っています。また、海外展開やDX推進により、事業領域の拡大と効率化を目指しています。 - 売上計上時期の偏りとその影響
データなし
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
同社は、R&D(研究開発)に積極的に投資しており、販管費増加の一因ともなっています。DX商材の拡充や新部材の上市を推進しているほか、低侵襲治療に関連する製品(SuReFInD、EMARO、SECUREAなど)の開発・提供を通じて、医療現場の新たなニーズに応える技術革新に努めています。 - 収益を牽引している製品やサービス
収益を最も牽引しているのは、高付加価値製品である「プレミアムキット」です。2026年3月期中間期の売上高は6,713百万円で、前年同期比3.1%の増加となっています。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
現在の株価は5,680.0円です。
会社予想EPS(1株当たり純利益)は94.16円、実績BPS(1株当たり純資産)は3,399.57円です。
業界平均PER(株価収益率)21.7倍、業界平均PBR(株価純資産倍率)1.0倍を基準にすると、- PER基準の適正株価: 94.16円 × 21.7倍 = 約2,045円
- PBR基準の適正株価: 3,399.57円 × 1.0倍 = 約3,400円
現在の株価5,680円は、これらの業界平均基準から算出される水準と比較して大幅に高い水準にあります。
- 業界平均PER/PBRとの比較
同社のPER(会社予想)は60.32倍であり、業界平均PER 21.7倍と比較して非常に高水準です。
PBR(実績)は1.67倍であり、業界平均PBR 1.0倍と比較して高水準です。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は5,760円から5,680円で推移しており、やや軟調な動きが見られます。レンジ内では5,630円から5,930円の間で変動しています。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値は5,930円、年初来安値は3,660円です。現在の株価5,680円は、年初来高値に近く、比較的高値圏で推移していると判断できます。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
直近の出来高は66,700株、売買代金は378,270千円です。3ヶ月平均出来高160,010株、10日平均出来高165,010株と比較すると、直近の出来高は平均を下回っており、市場の関心度はやや低下している可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高: 過去数年間は380億円~390億円台でほぼ横ばい傾向にあります。2026年3月期中間期は前年同期比3.9%の減収となりました。
- 営業利益: 2023年3月期をピークに減少傾向が顕著です。2024年3月期は4,169百万円、2025年3月期予想は3,811百万円、過去12ヶ月では3,006百万円と推移しています。2026年3月期中間期実績は1,277百万円で、前年同期比38.7%の大幅な減益となっています。
- 親会社株主に帰属する純利益: 営業利益と同様に2023年3月期をピークに減少しており、過去12ヶ月では560百万円です。2026年3月期中間期実績は907百万円で、前年同期比51.4%の大幅な減益です。
- ROE(実績): 1.89%(過去12ヶ月では0.75%)と低い水準です。
- ROA(過去12ヶ月): 1.92%と低い水準です。
- 過去数年分の傾向を比較
売上高は長期的に見て安定していますが、ここ数年は成長が見られません。一方、利益面は2023年3月期を境に大幅に悪化しており、収益性に課題を抱えています。ROE、ROAともに低下傾向にあり、資本効率も悪化しています。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2026年3月期第2四半期(中間期)の実績を見ると、売上高は通期予想39,240百万円に対して進捗率48.1%、営業利益は通期予想2,770百万円に対して進捗率46.1%、純利益は通期予想2,030百万円に対して進捗率44.7%です。いずれも概ね計画内の進捗ですが、利益は前年同期比で大幅な減益となっています。通期目標達成には、下期の収益改善が不可欠です。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率(直近四半期):77.2%と非常に高い水準を維持しており、財務基盤は強固です。
- 流動比率(直近四半期):454%と極めて高く、短期的な支払い能力に問題はありません。
- 負債比率(直近四半期、Total Debt/Equity):17.28%と非常に低く、有利子負債に対する自己資本の割合が適切です。
- 財務安全性と資金繰りの状況
自己資本比率、流動比率、負債比率のいずれも優れた水準であり、財務安全性は極めて良好です。潤沢な現金(20.28B円)も保有しており、資金繰りに懸念はないと判断されます。 - 借入金の動向と金利負担
長期借入金が約107億円、1年内返済予定の長期借入金が約20億円ありますが、現預金から借入金を差し引いた実質的なネットキャッシュは約71億円(概算)とプラスであり、金利負担を含めても財務に与える影響は軽微であると考えられます。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(過去12ヶ月):0.75%
- ROA(過去12ヶ月):1.92%
- 売上総利益率(過去12ヶ月):約32.57%
- 営業利益率(過去12ヶ月):3.45%
- 純利益率(過去12ヶ月):1.46%
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROE 0.75%は一般的なベンチマークである10%を大幅に下回っており、ROA 1.92%もベンチマークの5%を下回っています。これは、資本や資産を効率的に活用して利益を生み出す能力が低いことを示唆しています。 - 収益性の推移と改善余地
営業利益率や純利益率が近年低下傾向にあり、収益性は悪化しています。中間期決算でも売上総利益率の悪化が示唆されており、原材料費高騰が影響しています。改善のためには、先行投資効果の早期発現、製品ミックスの改善(高付加価値製品比率の向上)、コスト管理の徹底が求められます。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値は0.28と非常に低い値です。これは市場全体の動きに対する株価の変動が穏やかであることを示しており、市場リスクの影響を受けにくい特性を持つと考えられます。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値は5,930円、52週安値は3,660円です。現在の株価5,680円は、52週高値に近い位置にあり、比較的高い水準で推移しています。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信に記載されているリスク要因としては、原材料価格の高止まり、主要顧客の低価格品への切り替え、販管費投資の回収遅延、為替変動、規制や診療報酬の変更などが挙げられています。これらは同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
同社のPER(会社予想)は60.32倍、PBR(実績)は1.67倍です。これに対し、業界平均PERは21.7倍、業界平均PBRは1.0倍です。同社は業界平均と比較して、PER・PBRともに高水準にあります。 - 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- EPS(会社予想)94.16円に業界平均PER21.7倍を適用した場合の目標株価:約2,045円
- BPS(実績)3,399.57円に業界平均PBR1.0倍を適用した場合の目標株価:約3,400円
- 割安・割高の総合判断
現在の株価5,680円は、業界平均倍率を適用して算出した目標株価レンジ(約2,045円~3,400円)を大幅に上回っています。このことから、現在の株価は業界平均と比較して割高であると判断されます。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
信用買残は293,200株、信用売残は28,500株で、信用倍率は10.29倍です。信用倍率が高い状態は、将来の株価上昇を期待する買い方が多くいる一方で、株価下落時にはこれらの買い残が売り圧力となる可能性があります。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
経営陣による株式保有比率は17.96%です。機関投資家(Held by Institutions)による保有比率は51.87%と比較的高く、多数の機関投資家が大株主として名を連ねています。 - 大株主の動向
主要な大株主には、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンド、ステート・ストリート・バンク&トラストなどが名を連ね、安定株主が一定割合を占めています。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
配当利回り(会社予想)は1.67%です。1株配当(会社予想)95.00円に対し、EPS(会社予想)94.16円であるため、配当性向(予想)は約101.0%となります。これは利益を上回る配当であり、非常に高い水準です。利益水準を考慮すると、将来的な配当の持続性には注意が必要です。 - 自社株買いなどの株主還元策
直近の中間期では自社株買いの実施はありませんでしたが、前期には実施実績があります。今期は配当増によって株主還元を継続する方針です。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
データなし
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
2025年10月27日に2026年3月期第2四半期決算短信が発表されました。これに先立ち、2025年10月15日に業績予想の修正が行われています。決算概要では、主力の「プレミアムキット」は売上が拡大(前年同期比+3.1%)したものの、病院のコスト意識や競争激化により全体売上は減収(前年同期比▲3.9%)となりました。 - これらが業績に与える影響の評価
販管費の先行投資(人材、R&D、DX、本社移転・構造改革の一時費用など)と原材料費高止まりが利益を圧迫し、営業利益は前年同期比38.7%の大幅な減益となりました。通期業績予想は既に修正済みで、中間決算では追加修正はありませんでしたが、下期におけるこれら先行投資の効果発現と原材料価格の動向が通期目標達成の鍵となります。
16. 総評
ホギメディカルは医療用不織布の最大手として、手術用消耗品を一括提供する「プレミアムキット」で高い競争優位性を持つ企業です。極めて高い自己資本比率や流動比率に見られるように、財務健全性は非常に強固であり、安定した経営基盤を誇ります。ベータ値も低く、市場の変動に対しては比較的安定した株価推移が期待できます。
一方で、直近の業績は売上が横ばい傾向にあり、特に利益面では、先行投資(R&D、人材、DXなど)と原材料価格の高止まりが重なり、大幅な減益となっています。これはROEやROAの低下にもつながり、収益効率の悪化が顕著です。現在の株価は、業界平均PERやPBRと比較して著しく割高であり、高い配当性向(101%)も利益水準から見て持続性に懸念があります。信用買い残が溜まっている状況も、将来的な需給の重しとなる可能性があります。
中長期的には、先行投資が収益に寄与し、DX関連製品やASEAN市場での成長が実現すれば、業績のV字回復も期待されます。しかし、短期的には、業績悪化と高バリュエーション、信用需給の悪化が株価の上値を抑える要因となる可能性も考えられます。
- 強み
- 医療用不織布の最大手、特に「プレミアムキット」の高い市場競争力とブランド力。
- 極めて高い自己資本比率、流動比率を持つ強固な財務健全性。
- 市場変動に強い低いベータ値。
- 弱み
- 近年の売上横ばい、利益の大幅な減少と収益性の悪化。
- 利益を上回る非常に高い配当性向(101%)と持続性への懸念。
- 業界平均と比較して著しく割高な株価バリュエーション。
- 機会
- DX商材拡充や新部材上市によるイノベーション推進。
- ASEAN市場への本格展開による新たな成長機会。
- 医療現場の効率化ニーズに応えるソリューション提供。
- 脅威
- 原材料価格の継続的な高止まり。
- 病院のコスト削減圧力による低価格代替品への切り替え加速。
- 診療報酬改定など、医療政策・規制の変更。
17. 企業スコア
- 成長性: C
(売上成長率は停滞、直近は減収。新製品展開は進行中だが、具体的な業績寄与はこれから。) - 収益性: D
(粗利率、営業利益率、ROE、ROAが低水準かつ悪化傾向。ベンチマークを大幅に下回る。) - 財務健全性: S
(自己資本比率77.2%は極めて高く、流動比率、負債比率、現金保有状況も非常に優れている。) - 株価バリュエーション: D
(PER 60.32倍、PBR 1.67倍は業界平均(PER 21.7倍、PBR 1.0倍)と比較して著しく割高。)
企業情報
| 銘柄コード | 3593 |
| 企業名 | ホギメディカル |
| URL | http://www.hogy.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 繊維製品 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 5,680円 |
| EPS(1株利益) | 94.16円 |
| 年間配当 | 1.67円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 8.0% |
| 5年後の想定PER | 15.0倍 |
5年後の予測値
EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。
| 予想EPS | 138.35円 |
| 理論株価 | 2,075円 |
| 累計配当 | 11円 |
| トータル価値 | 2,086円 |
現在価格での試算リターン
現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。
| 試算年率リターン(CAGR) | -18.16% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 1,037円 | 519円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 1,295円 | 648円 | × 算出価格を上回る |
| 5% | 1,634円 | 817円 | × 算出価格を上回る |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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