個人投資家の皆様へ
弁護士ドットコム(証券コード:6027)の企業分析レポートをお届けします。

1. 企業情報

弁護士ドットコムは、弁護士とユーザーをつなぐ法律相談サイト運営や、弁護士向けの営業支援サイトを展開する企業です。近年は特に電子契約サービス「クラウドサイン」が急速に成長しており、事業の柱となっています。また、税理士向けのサービス「税理士ドットコム」なども手掛けています。

  • 主力製品・サービスの特徴
    • 弁護士ドットコム: 一般ユーザー向けに法律相談窓口を提供し、弁護士向けには集客・業務支援を行うプラットフォームです。
    • クラウドサイン: 契約書作成から締結、管理までをオンラインで行える電子契約サービスで、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援し、急速な成長を遂げています。
    • 税理士ドットコム: 税理士向けのサービスを提供しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

弁護士ドットコムは、リーガルテックという専門性の高い市場で事業を展開しています。

  • 業界内での競争優位性や課題について
    • 法務・税務分野のインターネットサービスおよび電子契約市場において、パイオニア的な立場を築いています。特に「クラウドサイン」は国内の電子契約市場で高いシェアを誇り、デジタル化やDX推進の追い風を受けています。
    • 課題としては、競争環境の激化が挙げられます。電子契約市場には新たな参入者もあり、顧客獲得競争や価格競争のリスクが指摘されています。また、法務・税務分野は法規制の変更が事業に影響を与える可能性もあります。
  • 市場動向と企業の対応状況
    • 国内のデジタル化、リモートワークの普及、企業の法務DXへのニーズが高まっており、同社にとって追い風となっています。
    • 企業はこれらの動向に対応するため、法務特化AIエージェント「リーガルブレインエージェント」を2025年5月にリリースするなど、AI技術の導入を積極的に進めています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    • 資料からは明確なビジョンステートメントの記載はありませんが、既存の「弁護士ドットコム」事業の強化に加え、「クラウドサイン」の成長加速、そしてAIを活用した新たなサービスの創出を通じて、リーガルテック市場における事業拡大を目指していると考えられます。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    • 中期経営計画に関する具体的な数値目標や施策の詳細は、提供データには記載がありません。しかし、決算短信からは主要KPI(会員数、有料会員数、送信件数)の継続的な成長、そしてAIを活用した新サービスの導入が重要な戦略と認識されていることが伺えます。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    • 2025年5月に法務特化AIエージェント「リーガルブレインエージェント」をリリースしており、AI技術のビジネスへの活用を積極的に進めています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    • プロフェッショナル支援事業は、専門家からの掲載料やシステム利用料、一般ユーザーからの広告収入などを柱としています。
    • クラウドサイン事業はSaaS(Software as a Service)モデルであり、月額または年間課金制による安定的な収益が期待できます。企業のDX推進やペーパーレス化のニーズが続く限り、成長の持続性が高いと見られます。
    • AIエージェントの導入など、新技術を積極的に取り入れることで、市場ニーズの変化への適応力を高めています。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    • 決算短信に売上計上時期の偏りに関する特段の記載はありません。SaaSを主軸とする事業特性上、比較的安定した月次・四半期収益が見込まれ、特定の時期に偏りが生じにくいモデルと考えられます。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    • 法務特化AIエージェント「リーガルブレインエージェント」の展開に見られるように、AIなどの先端技術を積極的に事業に取り込む姿勢が見られます。専門分野に特化したAI技術の導入は、サービス競争力の強化につながる可能性があります。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    • 電子契約サービス「クラウドサイン」が、連結売上高の50%を占める最大の主力事業であり、高い成長率で全体業績を牽引しています。プロフェッショナル支援事業も堅調に推移しています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価: 2,996.0円
    • 会社予想EPS (連結): 53.11円
    • 実績BPS (連結): 267.70円
    • PER (会社予想・連結): 56.41倍
    • PBR (実績・連結): 11.19倍
    • これらの指標は、高成長企業に見られる高い水準にあり、市場からの成長期待が大きいことが示唆されます。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 25.7倍
    • 業界平均PBR: 2.5倍
    • 弁護士ドットコムのPER 56.41倍、PBR 11.19倍は、それぞれ業界平均のPERの約2.2倍、PBRの約4.5倍と、業界平均と比較して著しく高い水準にあります。これは、同社の高い成長性や将来性への期待が強く株価に織り込まれていることを示しています。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    • 直近10日間の株価は、2,700円台から2,900円台後半で推移しており、本日終値の2,996円はここ数日のレンジの上限に近い水準です。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    • 年初来高値: 3,895円
    • 年初来安値: 2,105円
    • 現在の株価2,996円は、年初来高値から約23%下落した水準であり、年初来安値からは約42%上昇した位置にあります。レンジの中間よりやや安値寄りの位置と言えます。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    • 本日の出来高は247,000株、売買代金は732,870千円でした。
    • 過去3ヶ月の平均出来高172.6千株、過去10日間の平均出来高216.08千株と比較すると、本日の出来高は平均より高く、市場の関心度がやや高まっていることを示唆します。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上総利益: 過去5年間で継続的に増加しており、直近12ヶ月では118.1億円と高い水準です。
    • 営業利益: 過去5年間で変動があるものの、直近12ヶ月では19.2億円と増加傾向にあります。特に2026年3月期中間期では、前年同期比で98.8%の大幅増益を達成しており、収益性改善が顕著です。
    • 純利益: 過去5年間で継続的に増加しており、直近12ヶ月では13.6億円を計上しています。
    • ROE (実績): 22.14% (直近12ヶ月では25.17%) と非常に高い水準で、株主資本を効率的に活用して利益を生み出していることを示します。
    • ROA (直近12ヶ月): 10.85% とこちらも高い水準であり、総資産に対する収益性が良好であることを示します。
  • 過去数年分の傾向を比較
    • 総売上高は過去数年にわたり継続的な成長を示し、年々規模を拡大しています。
    • 利益も増加傾向にあり、特に直近の中間期決算では、売上成長に加え利益率が大幅に改善しています。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    • 2026年3月期第2四半期(中間期)の決算は、通期会社予想に対する進捗率が、売上高48.2%、営業利益54.2%、親会社株主に帰属する中間純利益54.7%でした。
    • 売上高の進捗はやや遅めですが、利益面での進捗は通期予想を上回る良好な状況です。このことから、現時点では通期業績予想達成の可能性は高いと判断されます。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(実績): 47.6% (中間期は51.4%) であり、一般的に健全とされる水準を大幅に上回っています。財務基盤は強固です。
    • 流動比率(直近四半期): 1.93倍(193%)であり、流動資産が流動負債の約2倍ある良好な状態です。短期的な支払い能力に問題はありません。
    • 負債比率(Total Debt/Equity): 36.65%と低く、負債への過度な依存がない、非常に健全な財務状況を示しています。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    • 現金及び預金は4,390百万円と潤沢であり、営業活動によるキャッシュフローも中間期で933百万円と大幅に改善しています。このことから、財務安全性は高く、資金繰りにも余裕があると言えます。
  • 借入金の動向と金利負担
    • 長期借入金の返済が行われており、Total Debt (直近四半期) は2.24Bと、純資産規模と比較しても過度な水準ではありません。
    • Net Non Operating Interest Income Expenseは-15,629千円と非常に小さく、金利負担は経営に大きな影響を与えるレベルではないと考えられます。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(実績): 22.14% (直近12ヶ月では25.17%)
    • ROA(直近12ヶ月): 10.85%
    • 営業利益率(直近12ヶ月): 14.48% (中間期は13.97%)
    • 粗利率(直近12ヶ月): 78.0%
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    • ROEはベンチマークの10%を大幅に上回り、優良な水準です。
    • ROAもベンチマークの5%を大幅に上回り、優良な水準です。
    • 営業利益率も中間期で約14%と高く、粗利率は約78%と非常に高品質な収益構造を持っています。
  • 収益性の推移と改善余地
    • 売上高の成長に加え、直近の決算では営業利益率が前年同期の8.15%から13.97%へと大きく改善しており、収益性は向上傾向にあります。これは、クラウドサイン事業の高成長とコスト効率化が寄与しています。
    • 今後のAI関連投資や事業拡大に伴う先行投資は収益性に一時的な影響を与える可能性もありますが、現状では利益率改善の余地が大きいことを示唆しています。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    • ベータ値(5年月次): 0.10
    • ベータ値が0.10という非常に低い数値は、市場全体の動きに対する感応度が極めて低いことを示します。これは市場変動の影響を受けにくい安定的な特性を持つ一方で、市場の上昇局面でも連動しにくい可能性があります。グロース市場上場企業としては珍しい特性です。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    • 52週高値: 3,895円
    • 52週安値: 2,105円
    • 現在の株価2,996円は、52週レンジの中間よりやや安値寄りの位置にあります。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    • マクロ経済の変動(景気動向、物価上昇、消費動向など)
    • 競合環境の激化による価格競争や顧客獲得コストの上昇
    • 新製品開発(AI導入含む)の実行リスクや遅延
    • 法規制の変更が事業に与える影響

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • 弁護士ドットコムのPER 56.41倍、PBR 11.19倍に対し、業界平均はPER 25.7倍、PBR 2.5倍です。
    • 圧倒的に業界平均よりも高い水準にあり、これは同社の成長性や将来性への期待が強く株価に織り込まれていることを示しています。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 目標株価(業種平均PER基準): 1,540円
    • 目標株価(業種平均PBR基準): 677円
    • この算出結果は、現在の株価2,996円と比較して大幅に低い水準を示しており、現状の株価が業界平均と比較して割高と評価されていることを裏付けています。
  • 割安・割高の総合判断
    • 収益性や成長性は非常に高いものの、PER、PBRともに業界平均や算出された目標株価と比べて非常に割高と判断されます。これは、市場が同社に高い将来成長を期待しているためと考えられます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 556,400株(前週比 +51,400株)
    • 信用売残: 97,500株(前週比 +22,300株)
    • 信用倍率: 5.71倍
    • 信用買残が信用売残を大きく上回り、買い需要が強い状態が続いています。買い残は増加傾向にあり、今後株価が下落した場合には、投げ売りによる下押し圧力となる可能性も考慮する必要があります。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    • Insiders保有比率: 63.70%
    • 株式の大半をAuthenseHoldings合同会社と代表者である元榮太一郎氏が保有しており、非常に高い経営陣の持株比率です。これは経営の安定性や長期的な視点での事業運営に強みとなります。
    • 機関投資家保有比率: 12.06%
    • 安定株主が多く、浮動株比率が比較的低い状況です。
  • 大株主の動向
    • 大株主構成を見ると、経営陣とその関連会社が中心となっており、特定の買い付けや売却の動きはデータからは確認できませんが、安定的な保有が続いていると推測されます。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 会社予想配当: 0.00円(無配)
    • 配当利回り: 0.00%
    • 配当性向: 無配のため該当なし
    • 同社は現在、成長投資を優先するため無配を継続しています。投資家への還元は、現在のところ配当によるものは期待できません。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    • 自社株買いに関する発表は確認できませんでした。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    • 決算短信には株式報酬型ストックオプションの記載はありませんが、成長企業においては一般的なインセンティブ施策として導入されることがあります。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    • 2026年3月期第2四半期(中間期)決算では、前年同期比で売上高16.0%増、営業利益98.8%増、純利益93.5%増と大幅な増収増益を達成しました。特に営業利益の大幅な改善が注目されます。
    • クラウドサイン事業が売上高27.6%増、セグメント利益54.3%増と好調に推移し、全体の業績を牽引しました。
    • 法務特化AIエージェント「リーガルブレインエージェント」のリリースは、今後の成長に向けた重要な一手です。
    • 株式会社弁護革命の取得・子会社化により、事業領域の拡大やシナジー効果が期待されます。
  • これらが業績に与える影響の評価
    • クラウドサインの継続的な成長と利益率改善は、今後も同社の業績を安定的に押し上げる要因となるでしょう。
    • AI関連の新製品は、競争力強化と新たな収益源創出の可能性を秘めており、中長期的な成長に寄与すると期待されます。子会社化も同様に事業規模拡大と収益貢献が期待されます。

16. 総評

弁護士ドットコムは、リーガルテック市場の成長を背景に、電子契約サービス「クラウドサイン」を中心に高成長を続ける企業です。収益性の改善も顕著で、強固な財務基盤も持ち合わせています。AI技術の導入など、将来に向けた投資も積極的に行っており、今後のさらなる成長が期待されます。一方で、現在の株価は業界平均と比較して非常に割高であり、高い成長期待がすでに織り込まれていると考えることができます。株主還元策としては、現状無配であり、成長投資を優先する方針です。

- **強み**:
- 電子契約市場における高い競争力と成長性(クラウドサイン)。
- AI技術導入によるサービス強化とDX推進への高い適応力。
- 高い収益性(ROE、ROA、利益率)と堅実な財務健全性。
- 経営陣の持株比率が高く、経営の安定性が高い。
- **弱み**:
- 株価バリュエーションが業界平均と比較して非常に割高であること。
- 無配継続による株主還元姿勢が限定的であること。
- 「弁護士ドットコム」事業の成長率が「クラウドサイン」に比べて緩やかである点。
- **機会**:
- 法務DX、企業のデジタル化ニーズのさらなる拡大。
- AI技術を活用した新たなサービスや市場の創出。
- 事業領域の拡大(M&Aなど)。
- **脅威**:
- 競合他社の参入や競争激化による価格・顧客獲得コストの上昇。
- 新技術(AI等)の開発・導入におけるリスクや遅延。
- 法規制の変更や、マクロ経済環境の変動(景気後退など)。

17. 企業スコア

  • 成長性: A
    • LTM売上成長率約15%、四半期売上成長率16.80%と継続的な成長を示し、特にクラウドサイン事業が27.6%と高い伸びを記録しています。AI新製品のリリースも今後の成長を後押しする材料です。
  • 収益性: S
    • ROE 25.17%、ROA 10.85%と一般的なベンチマークを大きく上回る優良な水準です。営業利益率もLTMで14.48%と高く、収益構造が非常に良好です。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率 47.6%(中間期51.4%)、流動比率 193%、負債比率 36.65%と非常に健全な財務状況です。現金保有も潤沢で、高い財務安全性を持っています。
  • 株価バリュエーション: D
    • PER 56.41倍、PBR 11.19倍は、業界平均(PER 25.7倍、PBR 2.5倍)と比較して著しく割高な水準です。これは既に高い成長期待が株価に織り込まれていることを示しています。

企業情報

銘柄コード 6027
企業名 弁護士ドットコム
URL http://corporate.bengo4.com/
市場区分 グロース市場
業種 情報通信・サービスその他 – サービス業

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 2,996円
EPS(1株利益) 53.11円
年間配当 0.00円

予測の前提条件

予想EPS成長率 8.0%
5年後の想定PER 15.0倍

5年後の予測値

EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。

予想EPS 78.04円
理論株価 1,171円
累計配当 0円
トータル価値 1,171円

現在価格での試算リターン

現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。

試算年率リターン(CAGR) -17.14% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 582円 291円 × 算出価格を上回る
10% 727円 363円 × 算出価格を上回る
5% 917円 459円 × 算出価格を上回る

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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