1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
中部鋼鈑株式会社は、主に電気炉を用いて厚い鋼板(厚板)を製造・販売している鉄鋼メーカーです。産業機械や工作機械向けの鋼板を主力としていますが、建築分野にも積極的に製品を提供しています。また、鉄鋼関連事業以外にも、厨房用グリスフィルターのレンタル事業、危険物倉庫を含む物流事業、製鉄所設備の設置・製造・メンテナンスを行うエンジニアリング事業など多角的に事業を展開しています。 - 主力製品・サービスの特徴
主力は厚板の製造・販売です。国内最大級の電気炉を保有しており、多様なニーズに対応できる生産体制を持っています。厚板は、大型機械、建設構造物、船舶など幅広い分野で用いられる基幹素材です。レンタル事業では、厨房の衛生対策に貢献するグリスフィルターのリースや、広告看板の企画制作も手掛けています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
同社は電炉中堅で厚板専業メーカーという特徴を持ちます。国内最大級の電気炉を保有している点は競争上の優位性となり得ます。一方、鉄鋼業界全体が市況変動の影響を受けやすいという課題に直面しています。特に、原材料価格の変動や最終製品需要の動向が、同社の収益に大きく影響を与える構造です。非鉄鋼事業を育成し、収益源の多角化を進めていることは、事業の安定化に寄与する可能性があります。 - 市場動向と企業の対応状況
国内の鉄鋼需要は全体的に低調に推移しています。産業機械・建設機械向けは海外需要の低迷が響き、建築・土木向けも人手不足や資材コスト上昇により工期遅延が発生し、需要が弱含んでいます。同社は、このような市場環境下で、新電気炉の稼働再開による安定生産や生産性改善を進めていますが、市況悪化による販売数量・販売価格の低下やメタルスプレッドの縮小が、現状の業績に大きな影響を与えています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
提供された情報には、具体的なビジョンや中期経営計画の数値目標に関する記載はありません。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
データなし - 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
決算短信には、具体的な新製品・新サービスに関する記述はありません。新電気炉の稼働再開と安定稼働による生産性改善への取り組みが言及されています。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
同社の主要な収益モデルは、鉄鋼製品(厚板)の製造・販売です。この事業は、国内外の経済状況、特に建設、機械、造船といった顧客産業の動向や原材料費(鉄スクラップ、電力など)に大きく左右されます。市況の低迷期には、収益性が圧迫されやすい構造です。レンタル事業など、景気変動の影響を受けにくい非鉄鋼事業を育成している点は、収益モデルの持続可能性を高める試みと評価できます。 - 売上計上時期の偏りとその影響
提供された情報からは、売上計上時期に特定の偏りがあるという記述はありません。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
新電気炉の稼働再開により、生産性の改善や安定稼働に向けた取り組みが進められています。これは、製品の供給能力やコスト競争力に影響を与える技術的な側面への注力と言えます。具体的な独自性のある技術開発に関する詳細な記述はありません。 - 収益を牽引している製品やサービス
売上高の約94%を占める「鉄鋼関連事業」が収益の大部分を牽引しています。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
現在の株価は2,077.0円です。
会社予想EPS(連結)は77.53円であり、これにより計算される予想PERは26.79倍です。
実績BPS(連結)は2,762.55円であり、これにより計算される実績PBRは0.75倍です。 - 業界平均PER/PBRとの比較
業界平均PERが8.0倍、業界平均PBRが0.6倍であることと比較すると、
同社の予想PER 26.79倍は業界平均PERを大幅に上回っており、PER基準では割高感があります。
同社の実績PBR 0.75倍は業界平均PBR 0.6倍を上回っており、PBR基準でも割高感があります。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は2,060円台から2,140円台の範囲で推移しており、本日は下落しています。現在の株価2,077.0円は、直近のレンジの中間からやや下方に位置します。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値は2,560円、年初来安値は1,690円です。現在の株価2,077.0円は、年初来高値からは約18.8%下落し、年初来安値からは約22.9%上昇した水準であり、高値圏と安値圏の中間に位置しています。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
本日の出来高は22,300株、売買代金は46,298千円です。プライム市場上場銘柄としては出来高、売買代金ともに少なめであり、市場の関心度は比較的に低いと言えます。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
売上高は、2023年3月期をピークに減少傾向にあり、過去12か月および2025年3月期予想も減少が見られます。
営業利益および純利益も、同様に2023年3月期をピークに大きく減少し、過去12か月では営業赤字、純損失を計上しています。2025年3月期予想でも、前年より大きな利益減が見込まれています。
ROE(実績: -0.39%)とROA(実績: -0.27%)はともにマイナスであり、収益性の悪化を明確に示しています。 - 過去数年分の傾向を比較
| Breakdown | 3/31/2023 | 3/31/2024 | 3/31/2025(予) | 過去12か月 |
|---|---|---|---|---|
| Total Revenue | 76,320,000 | 67,785,000 | 51,047,000 | 43,779,000 |
| Operating Income | 12,266,000 | 10,429,000 | 2,709,000 | -360,000 |
| Net Income | 8,577,000 | 7,133,000 | 1,731,000 | -329,000 |
売上高、営業利益、純利益ともに2023年3月期をピークに減少傾向が顕著であり、特に直近12か月では赤字に転落しています。
- 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2026年3月期第2四半期(中間期)の実績は、通期予想に対して売上高進捗率が44.1%と概ね順当ですが、営業利益進捗率は24.3%、親会社株主に帰属する当期純利益進捗率は21.0%と大きく遅れています。これは、下期での大幅な回復がなければ通期予想の達成は困難であることを示唆しています。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
自己資本比率は89.0%(実績)と非常に高い水準を維持しており、財務基盤は極めて強固です。
流動比率は6.45(直近四半期)と非常に高く、短期的な支払い能力も極めて良好です。
負債合計が8,320百万円に対し、純資産が75,597百万円であるため、負債比率(負債/純資産)は約11.0%と非常に低く、財務健全性は非常に高いと評価できます。 - 財務安全性と資金繰りの状況
高い自己資本比率と流動性から、財務安全性は非常に高いと言えます。手元現金も2025年9月末時点で15,838百万円を保有していますが、期首からは5,600百万円減少しています。過去12か月間の営業キャッシュフローは4.75Bのプラスですが、直近中間期では△6,092百万円とマイナスに転じており、営業活動による資金創出能力の低下が見られます。フリーキャッシュフローも過去12か月で-2.15Bとマイナスです。財務基盤は強固であるものの、営業活動による資金繰りの悪化が継続すると、流動性に影響を与える可能性があります。 - 借入金の動向と金利負担
負債比率が低いため、借入金は相対的に少なく、金利負担も小さいと推測されます。提供された情報では借入金の具体的な動向は確認できません。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
ROE(実績: -0.39%)、ROA(実績: -0.27%)はともにマイナスであり、投下資本に対する収益性が大きく悪化しています。
粗利率(過去12か月: Gross Profit 3.93B / Total Revenue 43.78B = 8.98%)、営業利益率(過去12か月: Operating Income -360M / Total Revenue 43.78B = -0.82%)も低迷または赤字であり、収益構造が悪化していることが示されています。直近中間期の営業利益率は約2.41%と、前年同期の約11.9%から大きく低下しています。 - 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROE(-0.39%)は一般的なベンチマークの10%を大きく下回っており、ROA(-0.27%)もベンチマークの5%を大きく下回っています。現在の収益性は非常に低い状態にあると言えます。 - 収益性の推移と改善余地
過去数年間で収益性は大きく悪化しており、特に直近12ヶ月は赤字に転落しています。収益性の改善には、主力の鉄鋼関連事業における販売数量・価格の回復、メタルスプレッドの改善、またコスト削減努力が不可欠です。レンタル事業など非鉄鋼事業の収益貢献も重要ですが、グループ全体の収益性を大幅に改善するには、鉄鋼事業の回復が大きなカギとなります。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値は0.45です。これは市場全体が1%変動した場合に、同社の株価が0.45%変動する可能性があることを示し、市場感応度は低いと評価できます。市場全体のリスク変動に対して株価が比較的安定している可能性があります。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値は2,560円、52週安値は1,690円です。現在の株価2,077.0円は、このレンジの中央付近に位置しています。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信に記載されている主なリスク要因は以下の通りです。- 鉄鋼市況の更なる悪化
- 販売数量の回復遅延
- 原材料(鉄スクラップ等)価格の変動
- エネルギーコストの上昇
- 労務・物流コストの上昇
- 事故・操業停止リスク(過去に溶鋼漏れ事故あり)
外部環境として、国内鉄鋼需要の低迷、産業機械・建設機械向け海外需要の低迷、建築・土木向け需要の弱含みなどが挙げられています。為替や地政学リスクについては直接的には言及されていませんが、海外需要の低迷を通じて間接的に影響を受ける可能性があります。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
同社の予想PER 26.79倍は、業界平均PER 8.0倍と比較してかなり割高です。
同社の実績PBR 0.75倍は、業界平均PBR 0.6倍と比較してやや割高です。 - 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
業界平均PBR 0.6倍を適用した場合の目標株価は、BPS 2,762.55円 × 0.6 = 1,657.53円(約1,658円)となります。 - 割安・割高の総合判断
現在の株価2,077.0円は、業界平均PBRに基づく目標株価1,658円よりも高い水準にあります。また、予想PERも業界平均を大幅に上回っており、現在の業績と照らし合わせると、バリュエーションの観点からは割高感が強いと判断されます。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
信用買残は46,200株、信用売残は28,400株です。信用倍率は1.63倍であり、買い残が売り残を上回っています。これは、今後株価が上昇した場合に買い方の利益確定売りが出やすく、下落した場合には投げ売りにつながる可能性があるため、需給面ではやや悪化要因となり得ます。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
主要株主には三井物産スチール(9.09%)、自社取引先持株会(8.71%)、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)(7.59%)、日鉄物産(4.58%)などが名を連ねています。機関投資家による保有割合は16.13%、インサイダー(経営陣含む)による保有割合は39.33%です。安定株主が一定程度存在すると考えられます。 - 大株主の動向
提供された情報からは、大株主の直近の株式売買動向については確認できません。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
会社予想の1株配当は101円であり、現在の株価2,077.0円に対する配当利回りは4.86%と高い水準です。
会社予想EPSが77.53円であるため、単純計算上の配当性向は101円 / 77.53円 = 約130.3%となります。これは、予想利益を上回る配当を予定していることになり、現在の利益水準に対してはかなり高い配当性向と言えます。 - 自社株買いなどの株主還元策
決算短信には、当期中の自社株買いの実績や、株主還元方針に関する変更の記載はありません。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
提供された情報からは、株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策に関する記述はありません。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
直近の最も重要なトピックスは、「2026年3月期第2四半期(中間期)業績予想と実績値との差異及び通期業績予想の修正に関するお知らせ」です。 - これらが業績に与える影響の評価
通期業績予想の下方修正は、現在の鉄鋼市況の悪化や販売数量の低迷、メタルスプレッド縮小が継続していることを示しており、業績面ではネガティブな材料です。中間期の実績が通期予想に対して大きく遅れているため、下期の著しい回復がなければ、修正後の通期予想すら達成が困難になる可能性を内包しています。
16. 総評
中部鋼鈑は、国内最大級の電気炉を保有する厚板専業の鉄鋼メーカーであり、多角的な事業展開も行っています。非常に強固な財務基盤(高い自己資本比率、流動比率)は大きな強みですが、主力の鉄鋼事業が市況悪化の影響を強く受けており、収益性が大きく低下している点が現在の最大の課題です。
- 財務の安全性: 極めて高い自己資本比率と潤沢な流動資産を有しており、企業の倒産リスクは低いと考えられます。
- 収益性の悪化: 直近の決算では大幅な減収減益となり、過去12ヶ月では赤字に転落しています。今後の業績回復は、鉄鋼市況の改善に大きく依存します。
- 高配当だが高配当性向: 予想配当利回りは高水準ですが、会社予想EPSに対する配当性向が100%を超えており、現在の利益水準から考えると持続性に疑問符がつく水準です。
- バリュエーション: 業種平均PBRやPERと比較して、現在の株価は割高感があります。
- 市場関心度: 出来高・売買代金が少なく、市場からの注目度は低い状態です。
強み・弱み・機会・脅威の整理:
- 強み (Strengths)
- 極めて高い自己資本比率と流動比率による財務健全性。
- 国内最大級の電気炉を保有し、厚板専業としての地位を確立。
- レンタル、物流、エンジニアリングなど、非鉄鋼事業による収益源の多角化。
- 弱み (Weaknesses)
- 主力である鉄鋼関連事業の収益性が市況変動に大きく左右される。
- 直近の業績悪化(赤字転落、ROE・ROAの著しい低下)。
- 高い配当性向による配当持続性への懸念。
- 機会 (Opportunities)
- 国内外の鉄鋼需要市況の回復。
- 新電気炉の稼働安定化によるさらなる生産効率向上。
- 非鉄鋼事業の成長によるグループ収益への貢献拡大。
- 脅威 (Threats)
- 鉄鋼市況のさらなる悪化や回復の遅延。
- 原材料価格、エネルギーコスト、労務・物流コストの高騰。
- 競合他社との価格競争激化。
- 国内経済の停滞。
17. 企業スコア
- 成長性: C
売上高が過去12ヶ月および直近四半期で減少傾向にあり、通期予想も修正済みです。主力の鉄鋼事業の低迷が顕著で、新電気炉の効果も市況で相殺されています。 - 収益性: D
過去12ヶ月の純利益は赤字で、ROE、ROAもマイナスと、一般的なベンチマークを大きく下回っています。営業利益率も前年比で大幅な悪化が見られます。 - 財務健全性: S
自己資本比率89.0%、流動比率645%、負債比率約11.0%と、非常に高い水準を誇ります。極めて強固な財務基盤です。 - 株価バリュエーション: C
予想PER26.79倍は業界平均8.0倍を大きく上回り、実績PBR0.75倍も業界平均0.6倍より高めです。業界平均に基づく目標株価1,658円と比較しても割高感があります。
企業情報
| 銘柄コード | 5461 |
| 企業名 | 中部鋼鈑 |
| URL | http://www.chubukohan.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 2,077円 |
| EPS(1株利益) | 77.53円 |
| 年間配当 | 4.86円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 8.0% |
| 5年後の想定PER | 15.0倍 |
5年後の予測値
EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。
| 予想EPS | 113.92円 |
| 理論株価 | 1,709円 |
| 累計配当 | 31円 |
| トータル価値 | 1,740円 |
現在価格での試算リターン
現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。
| 試算年率リターン(CAGR) | -3.48% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 865円 | 432円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 1,080円 | 540円 | × 算出価格を上回る |
| 5% | 1,363円 | 681円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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