1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
株式会社学びエイドは、インターネット教育サービスの企画開発・提供を手掛けています。特に、塾や教育機関向けに映像授業事業を展開しており、1コマ5分の短い講義に特徴があります。 - 主力製品・サービスの特徴
- 学びエイドマスター: 個別ブース型学習塾向け映像授業プラットフォーム。
- 学びエイドマスターforSchool: 高校向け映像授業学習システム。これが現在の主力成長製品となっています。
- 学びエイドforEnterprise: 企業・団体向け教育研修ソリューション。
同社の製品は、細分化された短時間の映像授業コンテンツが強みであり、生徒の学習効率向上に寄与していると考えられます。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
教育デジタル事業の単一セグメントで展開しており、1コマ5分という特徴的な映像授業コンテンツは競争優位性の一つです。NOVAグループの親会社がいなよしキャピタルパートナーズとして筆頭株主となり、ITTO個別指導学院全校舎約1,200校への導入が開始されるなど、教育業界内での販路拡大と企業提携によるシナジー効果は大きな強みとなり得ます。一方で、継続的な赤字状態からの脱却と安定的な収益確保が課題です。 - 市場動向と企業の対応状況
教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)化の進展、スマートフォンやタブレットを活用した学習の普及、少子化の中でサービスの差別化の重要性が増しています。地方での学習機会の均等化や人材不足を補う映像授業への需要は高まっており、同社にとって追い風となっています。企業はNOVAグループとの提携を通じて、語学コンテンツとの融合や新たなサービスの開発を進め、市場ニーズへの対応を強化しています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
具体的なビジョンは示されていませんが、NOVAグループとの資本業務提携を通じて、教育デジタル事業における販路拡大とプロダクト拡充を目指しています。提携によるシナジー効果を最大限に活用し、新規顧客獲得と既存顧客のLTV(顧客生涯価値)向上を図る戦略が推測されます。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
決算短信には具体的な中期経営計画の数値目標は明記されていません。しかし、NOVAグループ傘下のITTO個別指導学院への「学びエイドマスターforSchool」導入を皮切りに、語学コンテンツとの融合や新たなサービス開発が重点施策として挙げられています。 - 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
決算短信では、「学びエイドマスターforSchool」が前期比+57.4%と大幅な成長を遂げ、売上構成の45.6%を占める主力成長分野であることが示されています。これは、学校・塾向けのデジタルトランスフォーメーション需要を捉え、成果を上げているものと見られます。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
月額課金モデルのサブスクリプションが主軸と推測されます。教育機関や企業向けにサービスを提供しており、安定的な収益源を確保することが重要です。「学びエイドマスターforSchool」のような成長サービスが市場ニーズに合致しており、NOVAグループとの提携による販路拡大は、市場ニーズの変化への適応力を高める要因となり得ます。 - 売上計上時期の偏りとその影響
2026年4月期の中間期(5月~10月)売上進捗率は通期予想に対して23.8%と、季節要因を考慮すると概ね想定内です。ただし、通期での黒字予想に対し中間時点で大幅な赤字を計上していることから、下期(11月~4月)に売上や利益が集中する傾向があると考えられます。特に新年度準備や学習塾・学校での導入時期が、売上計上時期に影響を与える可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
映像授業コンテンツの質向上、プラットフォームの機能性強化、データに基づいた学習支援などが技術開発の主要な方向性と考えられます。1コマ5分という短時間のコンテンツ提供は、生徒の集中力維持や効率的な学習を可能にする独自の技術であり、コンテンツ制作・配信ノウハウに特徴があります。 - 収益を牽引している製品やサービス
2026年4月期第2四半期決算短信によると、「学びエイドマスターforSchool」が前期比+57.4%と顕著な伸びを示し、売上構成比の45.6%を占めています。これが現在の収益を牽引する主力サービスとなっています。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
- 現在株価: 486.0円
- BPS(実績): 171.38円
- PBR(実績): 486.0円 / 171.38円 = 2.84倍
- EPS(会社予想): 0.00円 のため、PER(会社予想)は算出できません。
- 業界平均PER/PBRとの比較
- 業界平均PER: 66.2倍
- 業界平均PBR: 3.5倍
同社のPBR(2.84倍)は業界平均PBR(3.5倍)を下回っており、PBR基準ではやや割安であると評価できます。ただし、会社予想EPSが0.00円であり、実績ROEが大幅なマイナスであるため、収益性を考慮した評価には慎重な判断が必要です。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は、520円台から486円へと下落傾向にあります。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値が941円、年初来安値が310円であるのに対し、現在の株価486円は年初来高値から約48%下落し、安値からは約57%上昇した水準に位置しています。年初来安値からは上昇していますが、直近の推移としては下落基調にあり、高値圏とは言えません。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
本日出来高3,300株、売買代金1,611千円と、出来高・売買代金ともに非常に少ない水準です。これは市場からの関心度が低い、または流動性が低いことを示唆しています。50日移動平均線(543.74円)と200日移動平均線(538.35円)も現在の株価よりも上にあり、短期・長期ともに下降トレンドにあると言えます。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高: 過去12ヶ月で304,757千円。2024年4月期は628,721千円と大きく伸長しましたが、2025年4月期(通期)では289,910千円に減少しています。
- 営業利益: 過去12ヶ月で△261,748千円。2023年、2024年4月期は黒字でしたが、2022年、2025年、2026年4月期中間期は赤字が続いています。
- 純利益: 過去12ヶ月で△330,518千円。同様に赤字が継続しています。
- ROE(実績): (単)-150.00%と非常に低い水準であり、収益性の深刻な課題を示しています。
- ROA: データなし。
- 過去数年分の傾向を比較
売上は2023年4月期から2024年4月期にかけて大きく成長しましたが、その後再び減少に転じています。利益面では黒字を計上した年度もありますが、全体的には赤字が常態化しており、安定的な収益確保が喫緊の課題です。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2026年4月期第2四半期(中間期)の売上高は138,940千円で、通期予想(585,000千円)に対する進捗率は23.8%です。これは季節要因を考慮すると概ね想定内といえます。しかし、中間期で営業損失△122,488千円、当期純損失△130,023千円と大幅な赤字を計上しており、通期で営業利益4,000千円、当期純利益0千円という会社予想を達成するためには、下期に大幅な収益改善が不可欠な状況です。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
2026年4月期第2四半期決算短信によると、自己資本比率は88.6%に大幅に向上しています(実績では61.6%)。流動資産586,302千円、流動負債51,124千円から流動比率は約1,147%であり、非常に高い水準です。負債合計が75,148千円、純資産585,577千円から負債比率は約12.8%と、これも非常に良好な水準です。 - 財務安全性と資金繰りの状況
2025年6月に行われた第三者割当増資による資本増強により、現金及び預金が大幅に増加し、財務健全性は著しく改善しました。これにより、従来の事業継続に重要な不確実性があるとの注記は解消されています。流動性の高さからも、短期的な資金繰りの懸念は極めて低い状態です。 - 借入金の動向と金利負担
決算短信に詳細な借入金の動向は記載されていませんが、資本増強によって財務基盤が固められており、金利負担が財務を圧迫する状況ではないと考えられます。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(実績): -150.00%と極めて低い水準です。当期純損失を計上しているため、マイナス値となっています。
- ROA: データなし。
- 売上総利益率: 2026年4月期中間期では28.4%(前年同期15.1%)と改善しています。
- 営業利益率: 中間期で約△88.2%(前年同期約△127.2%)と改善傾向は見られますが、依然として大幅な赤字です。
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROE -150%は一般的なベンチマーク(ROE 10%)を大きく下回っており、現在の収益性は非常に低いと評価できます。 - 収益性の推移と改善余地
売上総利益率は改善しているものの、販売費及び一般管理費等の営業費用が大きく、営業利益および純利益の段階で赤字となっています。今後は、NOVAグループとの提携による販路拡大を通じた売上拡大と、コスト効率化による費用削減が収益性改善のカギとなります。特に「学びエイドマスターforSchool」の成長を持続させ、LTV(顧客生涯価値)を向上させることが重要です。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値のデータは提供されていません。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値941.00円、52週安値310.00円に対し、現在の株価486.0円は安値から約57%高い水準、高値から約48%低い水準に位置しています。レンジの中間やや下方に位置していると言えます。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
- 新規販路からの収益化が想定通りに進まないリスク。
- 採用活動の強化や広告宣伝の増加に伴う費用が先行し、その回収が遅れるリスク。
- 資本業務提携の想定シナジーが効果的に実現しない場合、成長が鈍化するリスク。
- 教育市場における競争激化や制度変更による影響。
- 為替や地政学リスクについては、国内事業が主であるため直接的な影響は限定的とみられますが、経済全体の変動が教育費に与える影響は考慮されます。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- PER: 会社予想EPSが0.00円であるため、PERは算出できません。
- PBR: 同社のPBR(実績)は2.84倍であり、業界平均PBR(3.5倍)を下回っています。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
PBR基準で算出すると、業界平均PBR 3.5倍 × BPS 171.38円 = 599.83円となります。 - 割安・割高の総合判断
PBR基準では業界平均よりも割安感がありますが、現状が赤字であり、EPSが0.00円であるため、PBRのみで割安と判断するのは時期尚早です。PBRは企業の資産価値に対して評価されており、財務健全性が大幅に改善された点はプラス材料ですが、将来の収益成長が見通せない限り、投資家の評価は限定的となる可能性があります。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
信用買残が194,600株(前週比+3,500株)、信用売残が0株であるため、信用倍率は計算上ありません。信用買残は存在しますが、売残がないため、現時点では買い方が優勢な需給バランスにあると言えます。ただし、出来高が少ないため、信用買い残が株価に与える影響は注意が必要です。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
筆頭株主であるいなよしキャピタルパートナーズが33.35%、代表者の廣政愁一氏が23.71%を保有しており、安定株主が大きな割合を占めています。これは経営の安定性を示す一方で、市場での株式流通量が限られる可能性があります。 - 大株主の動向
いなよしキャピタルパートナーズ及びK&Pパートナーズの投資事業有限責任組合が上位株主に名を連ねています。また、SBI証券、ABNアムロ・クリアリングバンク、JPモルガン・セキュリティーズといった金融機関も保有していますが、直近の売買動向は不明です。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
会社予想の1株配当は0.00円であり、配当利回りも0.00%です。現在のところ無配です。 - 自社株買いなどの株主還元策
決算短信には、配当の修正や自社株買いに関する記載はありません。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
2026年4月期第2四半期決算短信が最新の適時開示情報です。- 資本増強: 2025年6月の第三者割当増資により、約2.9億円の資金調達を実施。これにより現金及び預金が大幅に増加し、自己資本比率が88.6%に向上、継続企業の前提に関する重要な不確実性が解消されました。これは財務面で非常に大きなプラス材料です。
- NOVAグループとの資本業務提携: 筆頭株主であるいなよしキャピタルパートナーズはNOVAホールディングスの親会社であるため、NOVAグループとの連携強化が期待されます。実際にITTO個別指導学院全校舎約1,200校への「学びエイドマスターforSchool」導入が開始されました。
- 「学びエイドマスターforSchool」の成長: 前年同期比+57.4%と好調で、同社の成長ドライバーとなっています。
- これらが業績に与える影響の評価
資本増強は財務面での不安を解消し、事業拡大への投資余力を生み出します。NOVAグループとの提携は、既存の塾・学校向けサービスに、語学教育等の新たなコンテンツや販路が加わることで、売上拡大に直結する可能性を秘めています。特にITTO個別指導学院への導入は、下期以降の「学びエイドマスターforSchool」のさらなる成長を後押しし、通期売上目標達成に寄与することが期待されます。ただし、販路拡大に伴う費用増と、それが利益に結びつくまでのタイムラグには注意が必要です。
16. 総評
学びエイドは、教育DX市場において映像授業サービスを展開する企業です。1コマ5分の独自コンテンツと、塾・学校・企業向けに幅広くサービスを提供しています。
- 全体的な見解
最近の決算では、増収を達成し、特に「学びエイドマスターforSchool」が大きく成長しており、事業拡大の方向性は明確です。また、第三者割当増資による資本増強で財務健全性が大幅に改善し、継続企業の前提に関する問題が解消されたことは特筆すべきポジティブな要素です。NOVAグループとの資本業務提携により、新たな販路と事業シナジーが見込まれることも今後の成長を期待させる材料です。
しかし、依然として営業利益・純利益が赤字であり、収益性の改善が最大の課題です。通期での黒字予想達成には、下期における大幅な収益改善が不可欠であり、新規販路からの収益性が計画通りに進むかどうかが焦点となります。- ポジティブ要因:
- 財務健全性が大幅に改善され、資金繰りの懸念が解消された点。
- 「学びエイドマスターforSchool」が強力な成長ドライバーとなっている点。
- NOVAグループとの提携による販路拡大とシナジー効果への期待。
- 成長が見込まれる教育DX市場に属している点。
- ネガティブ要因:
- 継続的な営業赤字・純赤字であり、収益改善が急務である点。
- 通期の黒字予想達成に向けて下期の大幅な巻き返しが必要な点。
- 出来高が少なく、市場の関心度が低い可能性がある点。
- 強み・弱み・機会・脅威の整理
- 強み (Strengths):
- 独自の短時間映像授業コンテンツと複数のサービスラインアップ。
- NOVAグループとの資本業務提携による強力な販路拡大。
- 資本増強による大幅な財務健全性向上。
- 「学びエイドマスターforSchool」の顕著な成長。
- 弱み (Weaknesses):
- 継続的な営業損失・純損失。
- 低い収益性(ROEが大幅マイナス)。
- 利益率改善のためのコスト管理能力。
- 機会 (Opportunities):
- 教育DXの推進、「EdTech」市場の拡大。
- 提携によるコンテンツ融合や新規顧客層へのアプローチ。
- 地方の教育ニーズへの対応。
- 脅威 (Threats):
- 教育市場における競争の激化。
- 新規販路の収益貢献が想定を下回るリスク。
- 費用増加を上回る利益成長が実現できないリスク。
- 少子化による市場規模の構造的変化。
17. 企業スコア
- 成長性: A (売上成長率の増加、特に主力製品forSchoolの好調な伸び、資本提携による販路拡大の可能性を評価)
- 収益性: D (売上総利益率は改善しているが、営業利益・純利益ともに継続的な大幅赤字、ROEが極めて低い状況を評価)
- 財務健全性: S (第三者割当増資による大幅な自己資本比率向上、高水準の流動比率、継続企業の前提の懸念解消を評価)
- 株価バリュエーション: B (PERは算出不可。PBRは業界平均比でやや割安だが、現在の収益性を考慮すると割安判断は慎重にする必要があり、中立と評価)
企業情報
| 銘柄コード | 184A |
| 企業名 | 学びエイド |
| URL | https://corp.manabi-aid.jp/ |
| 市場区分 | グロース市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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