ビーピー・カストロール(5015)企業分析レポート

1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    ビーピー・カストロールは、英BPグループ傘下で、日本国内で自動車用潤滑油の製造・販売を主に行う企業です。具体的には、ガソリン車・ディーゼル車用のエンジンオイル、自動車用ギアオイル、ブレーキフルード、カーケア製品、ATF(オートマチックトランスミッションフルード)製品などを「カストロール」や「BP」ブランドで展開しています。主な販売先は、カー用品店、ホームセンター、タイヤショップ、自動車整備工場、自動車ディーラーなど多岐にわたります。また、潤滑油および関連製品の研究開発、輸入、輸出も手掛けています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    主力製品は自動車用潤滑油で、特に高性能なエンジンオイルやATF製品が中心です。潤滑油事業が売上の100%を占める単一事業構造です。品質とブランド力が強みであり、多様な販売チャネルを通じて幅広い顧客層に製品を提供しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    ビーピー・カストロールは、世界的な石油メジャーである英BPグループの一員であり、強固なブランド力と技術基盤を背景に競争優位性を確立しています。特に「カストロール」ブランドは、モータースポーツへのスポンサー活動などを通じて高い認知度と信頼性を保持しています。
    課題としては、基盤となる国内新車販売の動向、原材料価格の変動、為替レートの変動、EVシフトによる内燃機関車向け潤滑油需要の長期的な変化などが挙げられます。
  • 市場動向と企業の対応状況
    国内新車販売は、2025年第3四半期累計では前年同期比で回復基調にあるものの、第3四半期単体では減速傾向にあります。原材料価格の高騰と円安は引き続きコストリスクとして存在します。
    企業は、専売品の販促強化、ディーラーチャネルでの高付加価値製品の訴求、eコマースを通じた大容量パッケージの展開、MotoGPなどのスポンサーシップによるブランドイメージ向上を通じて、市場環境の変化に対応しています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    提供データにおいては、明確な経営ビジョンや中期経営計画の具体的な数値目標の開示はありません。ただし、グループ方針として「2050年ネットゼロ」への言及があります。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    決算短信には、専売品の販促強化、ディーラーチャネルにおける高付加価値製品(特にATF)の訴求、eコマースでの大容量パッケージ販売による顧客層拡大、MotoGP等のスポンサーシップを通じた「カストロール」ブランドのマーケティング強化が重点施策として挙げられています。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    具体的な新製品・新サービスの展開状況に関する記載は、決算短信にはありません。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    自動車用潤滑油の販売を主要な収益源とするモデルです。市場ニーズの変化としては、国内新車販売台数の動向、環境規制強化による低燃費・長寿命オイルへの需要、そして長期的なEVシフトによる内燃機関車向け潤滑油需要の減少が挙げられます。同社は高付加価値製品の販売強化やeコマース展開を通じて、変化への適応を図っていますが、長期的にはEV普及への対応が重要となります。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    提供データに売上計上時期の偏りに関する具体的な情報は記載されていません。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    具体的な技術開発の動向や独自性に関する詳細な情報は提供データには記載されていません。親会社であるBPグループの潤滑油部門における技術開発力に支えられていると推測されます。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    自動車用潤滑油が収益の全てを牽引しており、特に自動車向けエンジンオイルやATFが主な収益源です。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在株価:956.0円
    • EPS(会社予想):43.82円
    • PBR(実績):2.24倍
    • BPS(実績):426.13円
    • PER(会社予想):21.82倍
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER:12.1倍
    • 業界平均PBR:0.7倍
      現在の同社のPER 21.82倍は業界平均PER 12.1倍と比較して割高水準にあります。
      現在の同社のPBR 2.24倍は業界平均PBR 0.7倍と比較して割高水準にあります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価は951円から965円の範囲で推移しており、956円は比較的高値圏で安定しています。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    年初来高値が966円、年初来安値が709円であることから、現在の株価956円は年初来高値に非常に近い水準にあります。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    直近の出来高は8,900株、売買代金は8,527千円と、市場全体から見ると比較的小規模であり、市場の関心度はそれほど高くない可能性があります。普段から流動性の低い銘柄であると考えられます。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高: 過去数年で堅調な増加傾向にあります。(2021年:11,091百万円 → 2022年:11,188百万円 → 2023年:12,037百万円 → 2024年予想:13,652百万円 → 過去12ヶ月:14,582百万円)
    • 営業利益: 2021年の2,231百万円から2022年には869百万円に減少しましたが、その後は回復傾向にあり、2024年予想は1,354百万円、過去12ヶ月は1,275百万円です。
    • 純利益: 営業利益と同様の傾向で、2021年の1,547百万円から2022年には572百万円に減少し、その後回復し、2024年予想は932百万円、過去12ヶ月は855百万円です。
    • ROE(実績): 提供された企業財務指標では過去12ヶ月で25.22%、決算短信では9.33%と記載されており、数値に乖離があります。いずれにしても概ね良好な水準です。
    • ROA(実績): 過去12ヶ月で17.91%と高い水準を示しています。
  • 過去数年分の傾向を比較
    売上高は安定的に成長している一方で、利益は2022年に一時的に落ち込みが見られましたが、その後は回復基調にあります。これは原材料価格の高騰などが影響した可能性がありますが、現在はコスト管理と販売価格への転嫁が進んでいると推測されます。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2025年12月期第3四半期累計の決算は、通期予想に対して売上高69.6%、営業利益76.2%、純利益75.3%と良好な進捗を示しており、通期目標達成の可能性は高いと判断されます。会社側も業績予想を据え置いています。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率: 74.5%(決算短信では75.1%)と非常に高い水準を維持しており、財務基盤が極めて安定していることを示しています。
    • 流動比率: 直近四半期で2.88、決算短信の計算では約378%と、いずれの数値も健全な水準であり、短期的な支払い能力に全く問題がないことを示しています。
    • 負債比率: 有利子負債はほとんどなく、負債も低水準であり、非常に安全性の高い財務状況です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    自己資本比率が非常に高く、流動比率も十分であることから、財務安全性は極めて高いと評価できます。営業キャッシュフロー(過去12ヶ月で1,620百万円)も潤沢であり、資金繰りに懸念はありません。
  • 借入金の動向と金利負担
    提供データからは借入金がほとんど見当たらず、金利負担も非常に限定的であると考えられます。流動資産に短期貸付金(BPグループ内のインハウス銀行向け貸付)が大きい点が特徴です。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(過去12ヶ月): 25.22% (または実績9.33%)と高い水準です。
    • ROA(過去12ヶ月): 17.91%と非常に高い水準です。
    • Profit Margin: 12.38%
    • Operating Margin(過去12ヶ月): 19.07%
    • 売上高営業利益率(第3四半期累計): 約10.6%と前年同期比で改善しています。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE 25.22%は一般的なベンチマークである10%を大きく上回っており、ROA 17.91%も5%を大きく上回っています。これは、資本を効率的に活用し、高い収益を上げていることを示しています。
  • 収益性の推移と改善余地
    売上高営業利益率は改善傾向にあり、収益性は良好です。主要製品の品質とブランド力、コストコントロールが奏功していると考えられます。継続的な高付加価値製品の販売強化や効率的な販売戦略により、さらなる収益性向上が期待されますが、市場全体の構造変化への適応が長期的な課題です。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値は0.11(5年月次)と非常に低く、市場全体の変動に対して株価が連動しにくい、ディフェンシブな特性を持つ銘柄と評価できます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値966.00円、52週安値709.00円に対し、現在の株価956.0円は52週高値圏に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    リスク要因として、為替変動(円安)、原材料価格高騰、国内自動車需要の下振れ、地政学的リスクなどが挙げられています。これらは同社の業績に影響を与える可能性があります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    同社の予想PER 21.82倍は業界平均PER 12.1倍と比較して割高です。
    同社の実績PBR 2.24倍は業界平均PBR 0.7倍と比較して割高です。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 業種平均PERを適用した場合の目標株価:EPS 43.82円 × 業界平均PER 12.1倍 = 530.22円
    • 業種平均PBRを適用した場合の目標株価:BPS 426.13円 × 業界平均PBR 0.7倍 = 298.29円
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価956.0円は、業界平均PERおよびPBRを適用して算出した目標株価を大きく上回っており、業界平均との比較では割高と判断されます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    信用買残は46,000株に対し、信用売残は0株であり、信用倍率は0.00倍です。信用売りが入っていないため、需給バランスは売り圧力がない状態ですが、買残があるため将来的な売り要因となり得ます。ただし、市場流動性が低い銘柄であるため、信用取引の影響は限定的かもしれません。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    カストロール・リミテッドが53.25%を保有する筆頭株主であり、ティー・ジェイが11.59%、日本自動車整備商工組合連合会が4.98%と、大株主による安定的な株式保有比率が高いです。インサイダー保有比率も71.99%と高く、経営の安定性が伺えます。
  • 大株主の動向
    提供データに大株主の具体的な売買動向は記載されていませんが、安定株主が大きな割合を占めていることから、株式市場での流通量が比較的少ないと考えられます。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    会社予想1株配当は44.00円で、現在の株価956.0円に基づくと配当利回りは4.60%となります。
    会社予想EPS 43.84円に対する配当性向は約100.4%と非常に高水準です。これは稼いだ利益のほぼ全てを配当に回していることを意味し、安定的な配当維持のためには今後の利益成長が不可欠です。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    提供データ中に自社株買いに関する情報は記載されていません。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    提供データ中に株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策に関する情報は記載されていません。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2025年12月期第3四半期決算短信によると、増収増益を達成しており、専売品の販促、ディーラーチャネルでの高付加価値製品訴求、eコマース(大容量パッケージ)強化、MotoGP等スポンサードを通じたブランド訴求を継続していることが言及されています。
    特別損失として退職金47.9百万円を計上しましたが、経常利益・四半期純利益は前年同期を上回っています。
  • これらが業績に与える影響の評価
    これらの取り組みは、販売数量拡大と利益率改善に貢献し、足元の業績を良好に推移させています。特に、高付加価値製品の販売強化は収益性向上に寄与していると見られます。ただし、国内新車販売の動向や外部コスト要因(為替、原材料価格)が今後の業績に影響を与える可能性があります。

16. 総評

ビーピー・カストロールは、英BPグループ傘下の強固なブランド力と安定した財務基盤を持つ自動車用潤滑油メーカーです。

  • 強み
    • 親会社BPグループの強力なブランド力と技術力。
    • 自己資本比率75.1%、流動比率378%と極めて健全な財務体質。
    • ROE 25.22%、ROA 17.91%と高い収益性。
    • ベータ値0.11と市場変動に強いディフェンシブな特性。
    • 高い配当利回り(4.60%)。
  • 弱み
    • 潤滑油単一事業であり、EVシフトなどの自動車産業の長期的な構造変化を考慮すると、将来的な事業ポートフォリオの多角化・転換が課題となる可能性。
    • 原材料価格や為替変動によるコストリスク。
    • 配当性向が約100%と高く、利益成長がなければ配当水準維持が困難になる可能性。
    • 市場流動性が低い(出来高が少ない)。
  • 機会
    • 高付加価値製品の販売強化やeコマース展開による新たな顧客獲得。
    • BPグループとしてのグローバルな技術開発力を活用した次世代製品への対応。
  • 脅威
    • 国内新車販売台数の減少。
    • 競合他社との競争激化。
    • 世界的な脱炭素化の動きによる内燃機関車向け潤滑油市場の縮小。
    • 地政学リスクに伴うサプライチェーンの混乱。

全体として、財務は極めて健全で収益性も高い優良企業ですが、長期的な自動車業界の変革期において、主要事業の持続可能性と成長戦略が注目されます。現在の株価は、業界平均と比較すると割高な水準にあります。

17. 企業スコア

  • 成長性: B(売上高は堅調に増加しているものの、特定の大型受注や新製品展開に関する情報が不足しており、長期的な市場環境の変化への適応力が課題となる可能性があるため)
  • 収益性: S(営業利益率19.07%、ROE 25.22%、ROA 17.91%と、業界平均やベンチマークを大きく上回る非常に高い水準にあるため)
  • 財務健全性: S(自己資本比率75.1%と非常に高く、流動比率も極めて良好で、有利子負債もほとんどないため)
  • 株価バリュエーション: D(PER 21.82倍、PBR 2.24倍ともに業界平均のPER 12.1倍、PBR 0.7倍と比較して大幅に割高であるため)

企業情報

銘柄コード 5015
企業名 ビーピー・カストロール
URL https://www.bp.com/ja_jp/bp-castrol-japan.html
市場区分 スタンダード市場
業種 エネルギー資源 – 石油・石炭製品

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 956円
EPS(1株利益) 43.82円
年間配当 4.60円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 12.8% 23.4倍 1,872円 14.8%
標準 9.8% 20.4倍 1,426円 8.8%
悲観 5.9% 17.3倍 1,010円 1.7%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 956円

目標年率 理論株価 現在株価との乖離 判定
15% 724円 +232円 (+32%) △ 割高
10% 905円 +51円 (+6%) △ 割高
5% 1,141円 -185円 (-16%) ○ 割安

【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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