株式会社エスコン (8892) 企業分析レポート

1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    株式会社エスコンは、日本の総合不動産会社で、分譲マンションの開発・販売を主力としながら、商業施設、物流施設、賃貸マンション、オフィスビル、ホテル、高齢者向け施設開発など、幅広い不動産事業を手掛けています。親会社である中部電力との連携により、安定的かつ多角的な事業展開を進めています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • 住宅分譲事業:「Le JADE」「Grand Le Jade」などのブランドで分譲マンションや戸建住宅を供給しています。高付加価値物件の開発で市場ニーズに応えます。
    • 不動産開発事業:「tonarie」ブランドの商業施設や「LOGITRES」ブランドの物流施設など、様々なアセットタイプの企画・開発・売却を行います。
    • 不動産賃貸事業: 自身で開発・取得した商業施設や賃貸マンション、ホテルなどを運営し、安定した賃料収入を確保しています。
    • 資産管理事業・その他: アセットマネジメント、プロパティマネジメント、海外不動産投資、納骨堂運営、仲介・コンサルティングなど、サービスも多岐にわたります。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    エスコンは中部電力の子会社であり、これにより強固な事業基盤と比較的安定した資金調達力を有しています。分譲住宅から商業、物流、賃貸に至る多様なアセットタイプを手掛けることで、特定の市場変動リスクを分散し、収益機会を広げています。
    課題としては、不動産開発事業の売却時期によって業績が変動しやすい特性や、金利上昇局面においては借入金利負担が増加するリスクが挙げられます。
  • 市場動向と企業の対応状況
    現在の不動産市場は、一部の高付加価値物件や立地優位性の高いエリアで堅調な需要が見られます。同社は、このような市場の変化に対応し、高価格帯の分譲マンションに加え、安定収益源となる賃貸事業の強化を進めています。M&A(例:芝リアルエステートの取得)も活用し、賃貸ポートフォリオの拡充を図るなど、事業構造の転換を進めています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    中期経営計画において、不動産賃貸事業をコア事業として位置づけ、安定的かつ継続的な収益基盤の確立を目指しています。多角的な不動産ビジネスを通じて、社会ニーズに応えつつ企業価値向上を図る方針です。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    賃貸事業を強化するため、商業施設、物流施設、賃貸マンションなどを積極的に開発・取得しています。また、M&Aも活用し、収益貢献度の高い賃貸物件をポートフォリオに組み入れることで、事業規模の拡大と安定収益の確保を目指しています。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    新製品・新サービスとして特筆すべき発表は見られませんが、既存事業における新物件の開発・展開が継続しています。住宅分譲では「DIAMAS葉山」のような高単価物件の引渡し、不動産賃貸では「tonarie北広島」や「エスコンフィールドHOKKAIDO付帯施設」、取得した芝リアルエステート物件などが収益に貢献しています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    同社は、分譲中心のフロー収益に加え、不動産賃貸によるストック収益の比率を高めることで、市場ニーズの変化や景気変動に対する適応力を高めています。これにより、持続的な成長と安定した収益基盤の構築を目指しています。多様なアセットタイプを扱うことで、特定の市場セグメントの変動リスクを分散しています。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    住宅分譲事業や不動産開発事業は、物件の完成・引渡し時期に売上が集中する傾向があります。直近の中間期決算では、不動産開発事業の物件売却減少が減収の一因となりました。そのため、通期業績の達成には下期の物件引渡しや売却が順調に進むことが重要となります。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    提供データからは、特筆すべき技術革新に関する具体的な記述はありません。一般的に不動産デベロッパーとして、建築技術の導入や環境配慮型設計などは行われていると考えられます。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    直近の決算では、住宅分譲事業が引渡し増と単価上昇により売上・利益を大きく伸ばし、業績を牽引しました。特に高額物件「DIAMAS葉山」の寄与が目立ちました。また、不動産賃貸事業も着実に収益を上げており、今後の主力の一つとして期待されます。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    現在の株価1,141.0円に対し、会社予想EPSは120.17円、実績BPSは787.48円です。これにより、予想PERは9.49倍、実績PBRは1.45倍となります。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    不動産業界平均PER13.6倍、PBR1.6倍と比較すると、エスコンの予想PER9.49倍、実績PBR1.45倍はともに業界平均を下回っており、割安感がある水準と判断できます。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価は、12月11日の1,014円から上昇基調が続き、本日の株価1,141円は本日高値1,149円に近く、短期的には高値圏にあります。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    年初来高値1,149円、年初来安値907円に対して、現在の株価1,141円は年初来高値に非常に近い水準です。安値からは大きく上昇した位置にあります。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    本日の出来高は254,700株、売買代金は290,351千円でした。3ヶ月平均出来高204.37k株よりはやや多いですが、10日間平均321.05k株よりは少ない水準です。株価が高値圏にある中で、出来高に過熱感が見られないことは、今後の動きを判断する上で注目されます。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    過去12ヶ月の売上高は117,748百万円、営業利益は21,905百万円、純利益は11,588百万円です。実績ROEは14.76%と、資本を効率的に活用していることを示しています。
  • 過去数年分の傾向を比較
    損益計算書のデータによると、売上高、営業利益、親会社株主純利益ともに、2021年から継続的に増加傾向にあります。これは事業規模の拡大と収益力の向上を示唆しています。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2026年3月期第2四半期決算の通期予想に対する進捗率は、売上高26.5%、営業利益21.3%、純利益16.2%でした。特に純利益の進捗率は中間期としては低めですが、不動産業は下期に売上・利益が集中する傾向があるため、下期での挽回が期待されます。会社は通期予想を据え置いています。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    直近の中間期末自己資本比率は15.7%と、一般的に見て低い水準であり、財務の脆弱性を示す可能性があります。(不動産業界の特性も考慮が必要)
    一方、流動比率は347%と非常に高く、短期的な支払い能力は良好で、資金繰りに懸念はないとみられます。
    Total Debt/Equityは491.54%と、負債に大きく依存する財務構造であることが分かります。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    自己資本比率の低さは、有事の際の耐性において懸念材料ですが、潤沢な現金及び預金(47.87B)と高い流動比率により、短期的な資金繰りは安定しています。
  • 借入金の動向と金利負担
    子会社取得などに伴い、総有利子負債は約367,285百万円に増加しています。これにより、当中間期の支払利息も前年同期比で大幅に増加し、経常利益を圧迫しました。今後の金利動向や負債管理が財務健全性維持のカギとなります。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    ROE14.76%は高水準であり、株主資本を効率的に活用しています。Operating Margin(営業利益率)15.47%、Profit Margin(純利益率)9.84%も良好で、本業での収益力は高いと言えます。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE14.76%は、一般的なベンチマークである10%を大きく上回っており、優れた収益性を示しています。
  • 収益性の推移と改善余地
    過去数年間の売上高、営業利益、純利益の増加傾向から、収益性は改善しています。住宅分譲と賃貸事業の成長がその原動力です。今後は、多額の借入金に対する金利負担の管理や、M&Aによるシナジー効果の最大化がさらなる収益性向上の鍵となります。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値0.35は、市場全体の変動に対して株価が比較的穏やかに動く、ディフェンシブな特性を持つことを示唆します。市場全体のリスクが高まった局面では、相対的に安定した値動きが期待できるでしょう。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値は1,149円、52週安値は907円です。現在の株価1,141円は52週高値に極めて近い位置にあり、上値抵抗を意識する水準です。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信からは、以下のリスク要因が読み取れます。
    • 金利上昇リスク: 借入金に依存した事業構造であるため、金利のさらなる上昇は金利負担増を招き、利益を圧迫する可能性があります。
    • 不動産市況変動リスク: 不動産需要の低迷、建設コスト高騰、土地取得価格の上昇などが業績に影響する可能性があります。
    • 物件売却・引渡し時期の遅延: 特に不動産開発事業において、物件の売却や引渡しが計画通りに進まない場合、業績が下振れするリスクがあります。
    • M&A関連リスク: 子会社取得による負債増加、M&A後の事業統合効果が想定を下回るリスクがあります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    エスコンの予想PER9.49倍、実績PBR1.45倍は、業種平均PER13.6倍、PBR1.6倍と比較して低い水準にあり、割安感があります。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 業種平均PER基準: 120.17円 (予想EPS) × 13.6倍 = 約1,634円
    • 業種平均PBR基準: 787.48円 (実績BPS) × 1.6倍 = 約1,260円
      目標株価レンジは1,260円~1,634円程度と算出されます。
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価1,141円は、上記目標株価レンジに対して割安であると判断できます。特にPERに基づく評価では、大幅な上値余地を示唆しています。ただし、財務健全性や市場リスクも考慮した総合的な判断が重要です。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    信用買残は前週比で減少、信用売残は増加しており、これまでの株価上昇に対する短期的な利益確定売りや、将来的な下落を見込む動きが見られます。信用倍率4.76倍は、売り残よりも買い残が多い状態を示しており、需給はやや買い方に偏っています。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    中部電力が50.31%を保有する筆頭株主であり、経営の安定性が確保されています。経営陣の持株比率も高く、経営陣と株主の利害一致が期待されます。機関投資家の保有比率は6.93%です。
  • 大株主の動向
    大株主リストには、信託銀行が上位に名を連ねており、安定株主が多数を占めています。特定の売買に関する情報は提供されていませんが、安定した株主構成です。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    会社予想配当利回り4.21%、1株配当48.00円、配当性向39.64%です。高水準の配当利回りは、インカムゲインを重視する株主にとって魅力的であり、配当性向も利益を適切に株主還元していると言えます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    当中間期決算では、直近での自社株買いの発表はありませんでしたが、自己株式が計上されており、株式給付信託やESOP信託として活用されている状況です。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    役員向けの株式給付信託やESOP信託制度が継続されており、役員の業績向上に対するインセンティブとして機能しています。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2026年3月期第2四半期決算短信が最新のトピックスです。
    • 子会社取得: 株式会社芝リアルエステートの全株式取得により、連結範囲が拡大しました。これにより、不動産賃貸事業のポートフォリオ強化と安定収益の拡大が期待されます。
    • 住宅分譲事業の好調: 高価格物件の引渡し好調により、住宅分譲事業が業績を牽引しました。通期計画に対する契約進捗も順調です。
    • 不動産賃貸事業の拡大: 新規取得・稼働物件が収益に貢献し、賃貸収益の増加に寄与しています。
  • これらが業績に与える影響の評価
    子会社取得は、短期的に借入増加に伴う金利負担増をもたらしましたが、長期的には賃貸事業の収益安定化に貢献するでしょう。住宅分譲の好調は短期的な利益を押し上げ、不動産賃貸事業の拡大は中長期的な収益基盤強化に繋がります。

16. 総評

エスコンは、中部電力の子会社として安定した事業基盤を持つ総合不動産会社です。分譲マンションを主軸としつつも、商業施設、物流施設、賃貸マンションなど多様な不動産アセットを展開することで、事業ポートフォリオの多角化を進めています。過去数年間で売上・利益ともに着実に成長しており、ROEも高水準を維持するなど、収益性は優れています。
直近の決算では、住宅分譲事業と不動産賃貸事業が好調に推移した一方、子会社取得に伴う借入増加により金利負担が増し、経常利益を圧迫しました。自己資本比率は低い水準にありますが、流動比率は極めて高く、短期的な資金繰りに懸念はありません。株価は年初来高値圏にありますが、PERやPBRは業界平均と比較して割安であり、配当利回りも魅力的な水準です。

  • 強み: 親会社の安定性、多角化された事業ポートフォリオ、高い収益性(ROE)、高配当利回り。
  • 弱み: 低い自己資本比率と高い負債依存度、金利上昇による財務負担増のリスク、物件売却時期による業績変動性。
  • 機会: 賃貸事業のさらなる拡大による安定収益強化、M&Aを通じた成長戦略、都市圏における高付加価値物件需要。
  • 脅威: 金利の継続的上昇、不動産市況の悪化、建築コストの高騰。

17. 企業スコア

  • 成長性: A
    売上高は過去数年間で一貫して増加傾向にあり、直近12ヶ月も高い成長率を示しています。住宅分譲事業の契約進捗は良好で、不動産賃貸事業も積極的な物件取得により拡大しています。
  • 収益性: A
    粗利率、営業利益率、ROE(14.76%)全てにおいて良好な水準を維持し、一般的なベンチマークを大きく上回っています。資本効率も優れています。
  • 財務健全性: C
    自己資本比率が15.7%と低く、負債に大きく依存する財務構造です(D/E比率が高い)。流動比率は高いものの、多額の有利子負債と金利負担の増加がリスクとなります。
  • 株価バリュエーション: A
    予想PER9.49倍、実績PBR1.45倍は、業界平均(PER13.6倍、PBR1.6倍)と比較して割安であり、高配当利回りも加味すると、株価は魅力的な水準にあると評価できます。

企業情報

銘柄コード 8892
企業名 エスコン
URL https://www.es-conjapan.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 不動産 – 不動産業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,141円
EPS(1株利益) 120.17円
年間配当 4.21円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 15.2% 10.9倍 2,656円 18.7%
標準 11.7% 9.5倍 1,980円 12.0%
悲観 7.0% 8.1倍 1,359円 4.0%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,141円

目標年率 理論株価 現在株価との乖離 判定
15% 999円 +142円 (+14%) △ 割高
10% 1,248円 -107円 (-9%) ○ 割安
5% 1,574円 -433円 (-28%) ○ 割安

【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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