1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    ニッポン高度紙工業は、電気絶縁用紙を専門とするメーカーです。特に、アルミ電解コンデンサ用セパレータの分野では世界トップクラスのシェアを誇ります。近年は、リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ(EDLC)向けのセパレータなど、二次電池用機能材の開発・製造にも注力しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • アルミ電解コンデンサ用セパレータ: 高い電気絶縁性と安定性を持つ特殊な紙で、主に電子機器の電力安定化に不可欠なアルミ電解コンデンサに使用されます。世界シェア6割を占める同社の主力製品です。
    • 機能材(リチウムイオン電池・EDLC向けセパレータなど): 次世代電池の性能向上に貢献するセパレータで、EVや再生可能エネルギー関連機器など、幅広い分野での需要拡大が期待されています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    • 競争優位性: アルミ電解コンデンサ用セパレータにおいて世界シェア6割を握る圧倒的な地位を確立しており、高い技術力と品質が強みです。長年の経験と実績に基づく顧客からの信頼も厚いと考えられます。
    • 課題: セパレータ事業単一のため、特定の市場環境や原材料価格の変動が業績に直接影響を与えやすい構造です。原材料費の上昇は利益を圧迫する要因となります。
  • 市場動向と企業の対応状況
    • 市場動向: データセンター向けなどの生成AI関連投資拡大、EVや再生可能エネルギー貯蔵システムへのシフトにより、アルミ電解コンデンサや二次電池の需要が堅調に推移しています。米国の関税政策や地政学リスク、原材料価格の上昇といった外部環境の変動も存在します。
    • 企業の対応: データセンター向け需要の取り込み、リチウムイオン電池やEDLCといった機能材分野での製品展開強化により、成長市場への対応を進めています。設備投資(米子工場ライン増設)も行い、生産能力増強を図っています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    具体的なビジョンや中期経営計画の数値目標の詳細は決算短信に記載されていませんが、資料からは以下の戦略が読み取れます。
    • 主力であるアルミ電解コンデンサ用セパレータの安定供給と、データセンターなど成長分野での需要取り込み。
    • リチウムイオン電池やEDLC向け機能材の育成と拡販による事業の多角化・成長加速。
    • 継続的な設備投資による生産能力増強と技術革新。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    リチウムイオン電池用セパレータや電気二重層キャパシタ用セパレータを含む「機能材」分野の売上が前年同期比19.5%増と高い成長を見せており、この分野が今後の成長ドライバーとして重点的に展開されています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    セパレータ事業に特化しており、アルミ電解コンデンサ用では強固なグローバルシェアを背景に安定した収益基盤を持ちます。加えて、リチウムイオン電池・EDLCといった成長市場向けの機能材事業を強化することで、市場ニーズの変化への適応と持続的な成長を目指しています。EV化やITインフラの発展といった大きなトレンドに事業が合致している点は持続可能性を高める要因です。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    2026年3月期中間期の実績は、通期修正予想に対して売上高進捗率51.6%、営業利益進捗率57.5%、純利益進捗率59.2%であり、利益の進捗が売上よりもやや先行しています。これは、通常の上・下期配分と比べてやや前半に偏重している可能性を示唆しますが、通期予想にとっては良い進捗と評価できます。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    具体的な技術開発の内容については詳細な記載がありませんが、アルミ電解コンデンサ用セパレータで世界シェア6割を維持していることから、高い製造技術や品質維持能力、顧客ニーズに応える開発力が独自性として存在すると推測されます。また、リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタといった先進的な分野向けの機能材開発も継続して行われていると考えられます。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    • アルミ電解コンデンサ用セパレータ:引き続き売上の大部分を占める主力製品であり、安定した収益を牽引しています。
    • 機能材(リチウムイオン電池・EDLC向けセパレータ):成長率が高く、将来の収益成長を牽引する重要な製品群となっています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 株価: 3,320.0円
    • 会社予想EPS: 199.23円
    • 実績BPS: 2,350.40円
    • 株価/EPS = 3320.0円 / 199.23円 = 16.66倍(PER)
    • 株価/BPS = 3320.0円 / 2350.40円 = 1.41倍(PBR)
      現在の株価は会社予想EPSの16.66倍、実績BPSの1.41倍で評価されています。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 同社PER(会社予想): 16.66倍
    • 業界平均PER: 8.0倍
    • 同社PBR(実績): 1.41倍
    • 業界平均PBR: 0.5倍
      同社のPER、PBRともに業界平均と比較して高い水準にあります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    • 年初来高値: 3,395円
    • 年初来安値: 1,351円
    • 現在株価: 3,320円
      現在の株価は年初来高値に非常に近く、高値圏にあると評価できます。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    年初来高値3,395円に対して、現在株価3,320円はわずか2.2%低い位置にあり、年初来安値1,351円からは大きく上昇しています。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    • 本日出来高: 111,400株
    • 本日売買代金: 373,569千円
    • 平均出来高(3ヶ月): 74.72k株
    • 平均出来高(10日): 91.04k株
      本日の出来高111,400株、売買代金373,569千円は、過去3ヶ月平均や10日平均と比較して比較的高い水準であり、市場からの関心が高まっていることを示唆します。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上(過去12ヶ月): 17,166百万円
    • 営業利益(過去12ヶ月): 2,519百万円
    • ROE(過去12ヶ月実績): 7.64%
    • ROA(過去12ヶ月実績): 4.40%
      最新の決算短信(中間期)では、売上高9,347百万円(前年同期比+13.8%)、営業利益1,784百万円(前年同期比+3.4%)、純利益1,243百万円(前年同期比+5.0%)と増収増益を達成しています。
  • 過去数年分の傾向を比較
    損益計算書を見ると、2022年3月期から2024年3月期にかけて売上高と利益は減少傾向にありましたが、2025年3月期(予想)、2026年3月期(予想、中間実績を含む)では売上、利益ともに回復・成長する見通しです。特に、2024年の実績と比較して、2025年、2026年の業績改善が見込まれています。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2026年3月期中間期の進捗率は、通期修正予想に対して売上高51.6%、営業利益57.5%、純利益59.2%と、概ね順調あるいはやや先行した進捗です。通期予想の達成可能性は高いと考えられます。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(中間期末): 70.3%
    • 流動比率(直近四半期): 301%
    • 総負債/株主資本比率(直近四半期): 30.03%
      自己資本比率は70%を超え非常に高く、流動比率も300%超と、極めて優れた財務健全性を示しています。総負債/株主資本比率も低く、負債負担が小さいことがわかります。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    高い自己資本比率と潤沢な流動資産により、財務安全性は非常に高く、安定した資金繰りが確保されていると評価できます。
  • 借入金の動向と金利負担
    直近四半期の総有利子負債は7,445百万円程度ですが、純資産と比較して低水準です。損益計算書のNet Non Operating Interest Income Expenseは過去12ヶ月で-25百万円、2025年3月期で-13百万円と金利負担が若干発生していますが、利益規模に対しては小さいです。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(過去12ヶ月実績): 7.64%
    • ROA(過去12ヶ月実績): 4.40%
    • 売上総利益率(中間期概算): 30.4%
    • 営業利益率(過去12ヶ月実績): 19.76% (中間期は19.1%)
      売上総利益率および営業利益率は比較的高い水準にありますが、ROEとROAは一般的なベンチマークと比較してやや低い水準です。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE(7.64%)はベンチマークの10%を下回り、ROA(4.40%)もベンチマークの5%を下回っています。
  • 収益性の推移と改善余地
    2024年3月期は利益率が低下しましたが、2025年、2026年3月期は利益が回復基調にあります。中間期では売上総利益率は改善しているものの、営業利益率は前年中間期より若干低下しており、原材料費上昇や減価償却費増が影響しています。今後の収益性改善には、コスト管理の徹底や高付加価値製品(機能材)の比率向上による売上総利益率のさらなる改善が重要となります。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値(5年月次): 0.77
    ベータ値が1を下回るため、市場全体の変動と比較して株価は比較的穏やかに推移する傾向があると評価できます。市場全体のリスクに対して感応度が低い。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    • 52週高値: 3,395.00円
    • 52週安値: 1,351.00円
      現在の株価3,320円は、52週高値と安値のレンジにおいて高値圏に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    • 為替変動
    • 原材料価格上昇
    • 関税政策
    • 地政学リスク
    • 設備投資の遅延

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • 同社PER(会社予想): 16.66倍
    • 業種平均PER: 8.0倍
    • 同社PBR(実績): 1.41倍
    • 業種平均PBR: 0.5倍
      同社の現在のPER、PBRともに、業種平均を大きく上回っています。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 目標株価(業種平均PER基準): 1,394円
    • 目標株価(業種平均PBR基準): 1,175円
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価3,320円は、業種平均倍率を適用した目標株価レンジ(1,175円~1,394円)を大幅に上回っています。このバリュエーション指標から見ると、現在の株価は割高であると判断できます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 96,000株
    • 信用売残: 20,200株
    • 信用倍率: 4.75倍
      信用買残が信用売残を大きく上回っており、信用倍率も4.75倍と高めです。これは、株価上昇を期待する買い方が優勢であるものの、将来的な需給悪化(買い残りの解消売り)のリスクも内包していると見ることができます。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    • 内部者保有比率: 23.00%
    • 機関投資家保有比率: 19.40%
      大株主に東京産業洋紙、日本マスタートラスト信託銀行、日本紙パルプ商事、四国銀行などが名を連ね、一定の安定株主が存在します。経営陣の保有比率もそれなりにあり、経営の安定性につながると考えられます。
  • 大株主の動向

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想): 2.41%
    • 1株配当(会社予想): 80.00円
    • 配当性向(会社予想): 43.05%
      予想配当利回りは2.41%で、配当性向は43.05%と、利益の一部を株主に還元する姿勢が見られます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    決算短信には自社株買いに関する記載はありません。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
  • 最近のトピックスと材料
    2026年3月期の中間配当を40円(前期中間25円)に増額、通期配当予想を80円(前期実績60円)に増額修正しており、株主還元への積極的な姿勢が示されています。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    • 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信の発表。
    • 同時に、2026年3月期の通期連結業績予想および配当予想の上方修正を発表。
    • 中間期実績として、データセンター向けを始めとするアルミ電解コンデンサ用セパレータと機能材(Li電池・EDLC向け)の需要が堅調に推移し、増収増益を達成。
    • 米子工場でのライン増設に伴う設備投資は継続しており、減価償却費が増加する要因となっています。
  • これらが業績に与える影響の評価
    堅調な需要と新分野の成長が今後の業績を牽引すると見込まれ、会社側も通期業績予想を上方修正しています。これはポジティブな材料ですが、設備投資に伴う減価償却費増や原材料高は利益率への影響も考慮する必要があります。

16. 総評

ニッポン高度紙工業は、アルミ電解コンデンサ用セパレータで世界トップシェアを誇る高い技術力と安定した事業基盤を持つ企業です。データセンター需要やEV化の進展を背景に、主力製品に加え、リチウムイオン電池・EDLC向け機能材が成長ドライバーとなり、業績は回復基調にあります。
財務状況は極めて健全で、高い自己資本比率と潤沢な流動性から経営の安定性が際立っています。株主還元にも積極的で、配当の増額を実施しています。
一方で、セパレータ事業単一という事業構造は、特定の市場環境や原材料価格の変動リスクを抱えます。また、現在の株価は業界平均と比較してPER、PBRともに割高な水準にあり、テクニカル分析上も年初来高値圏に位置しています。今後の成長戦略が、現在の株価水準に見合う高いリターンを生み出せるかが焦点となるでしょう。

- **強み**:
- アルミ電解コンデンサ用セパレータの世界トップシェアという圧倒的な競争優位性。
- リチウムイオン電池・EDLC向け機能材という成長分野への展開と実績。
- 極めて健全な財務体質(高い自己資本比率、流動性)。
- 安定的な株主構成と積極的な株主還元(配当増額)。
- **弱み**:
- 単一セグメント事業ゆえの市場変動への脆弱性。
- 原材料価格変動や減価償却費増による利益率への圧力。
- ROE・ROAが業界ベンチマークを下回る収益効率性。
- **機会**:
- 生成AI、データセンター、EV、再生可能エネルギーといったグローバルな成長市場からのセパレータ需要拡大。
- 機能材分野での更なる技術革新と市場シェア拡大。
- **脅威**:
- 原材料価格の継続的な高騰。
- 為替変動、関税政策、地政学リスクなどの外部環境要因。
- 競合他社の技術革新や価格競争激化。

17. 企業スコア

  • 成長性: A
    • 四半期売上成長率8.90%、通期売上高予想も12.9%増と二桁成長を見込み、特に機能材分野が19.5%増と高い伸びを示しているため。
  • 収益性: B
    • 営業利益率19.76%と良好な一方で、ROE 7.64%とROA 4.40%が一般的なベンチマーク(ROE10%、ROA5%)を下回るため。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率70.3%(40%以上でS~A)、流動比率301%、総負債/株主資本比率30.03%と、極めて高い安全性を示しているため。
  • 株価バリュエーション: D
    • PER(会社予想16.66倍)が業界平均PER(8.0倍)を大きく上回り、PBR(実績1.41倍)も業界平均PBR(0.5倍)を大幅に上回っており、割高感があるため。

企業情報

銘柄コード 3891
企業名 ニッポン高度紙工業
URL http://www.kodoshi.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 素材・化学 – パルプ・紙

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 3,320円
EPS(1株利益) 199.23円
年間配当 2.41円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 17.7倍 3,519円 1.2%
標準 0.0% 15.4倍 3,060円 -1.5%
悲観 1.0% 13.1倍 2,734円 -3.7%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 3,320円

目標年率 理論株価 判定
15% 1,528円 △ 117%割高
10% 1,908円 △ 74%割高
5% 2,407円 △ 38%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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