2025年12月期第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)
エグゼクティブサマリー
- 決算サプライズ:営業損失(74.47億円)および親会社株主帰属の四半期損失(615.31億円)を計上。主因はAmericas・EMEAに係るのれん等の減損を含む一時的要因。 一方、経常的な業績を示す「調整後営業利益」は前年同期比14.1%増の1,109.75億円と改善(上振れ要素)。決算は「一時損失で下振れ、調整後指標は改善」という混在した結果。
- 業績の方向性:売上総利益は前年同期比△1.7%の減少だが、販管費抑制等により調整後営業利益は増加(増益)。ただし一時的な減損計上により営業損失・当期損失を計上(減収減益(会計上)だが恒常利益は改善)。
- 注目すべき変化:当第3四半期累計での減損損失が866.06億円(うちAmericasのれん減損688.58億円、EMEAのれん減損170.94億円)と大幅に拡大。これが純損失の主因。
- 今後の見通し:通期業績予想を修正済み(公表)。通期の調整後営業利益予想は1,612.00億円で進捗率は約68.8%(第3四半期累計実績基準)、調整後利益ベースでは達成可能性はあるものの、減損等の一時的要因の影響で親会社帰属当期利益は赤字見込み。期末配当は未定のまま。
- 投資家への示唆:恒常的事業の収益力(調整後営業利益や日本セグメントの好調)が回復基調である一方、のれん等資産の見直しに伴う大幅減損で会計利益が毀損。業績判断は「調整後指標」と「会計上の一時損失」を分けて見る必要あり。
基本情報
- 企業概要:
- 企業名:株式会社電通グループ(Dentsu Group Inc.)
- 主要事業分野:広告・マーケティングを中核としたコミュニケーション関連サービス(日本、Americas、EMEA、APACの4セグメントで提供)
- 代表者名:代表執行役 社長 グローバルCEO 五十嵐 博
- URL:https://www.group.dentsu.com/jp/
- 報告概要:
- 提出日:2025年11月14日
- 対象会計期間:2025年1月1日~2025年9月30日(2025年12月期 第3四半期累計、IFRS)
- 決算説明会:有(機関投資家・アナリスト向け)
- セグメント:
- 日本:国内マーケティング、DX/BX、デジタル、SP&E等
- Americas(米州):米国・カナダ中心の広告・コミュニケーション事業
- EMEA:欧州・中東・アフリカ(ロシア除く)
- APAC:日本以外のアジア太平洋
- 発行済株式:
- 期末発行済株式数:265,800,000株
- 期末自己株式数:6,212,956株
- 期中平均株式数(四半期累計):259,580,234株
- 時価総額:–(開示なし)
- 今後の予定:
- 決算発表:本短信(2025/11/14)にて第3四半期開示(通期予想は修正済み)
- IRイベント:決算説明会実施(機関投資家・アナリスト向け)
- その他:期末配当は現時点で未定
決算サプライズ分析
- 予想vs実績(当第3四半期累計:2025/1/1~9/30)
- 売上高(収益):1,014,316 百万円(前年同期比△1.2%) — 会社予想との達成率(通期ベース想定):約71.3%(1,014,316/1,421,000)。進捗は約71%で3Q終了時点として概ね計画に沿う。
- 営業利益(会計上):△7,447 百万円(前年:28,900 百万円) — 大幅下振れ(減損等の一時要因により営業損失化)。
- 調整後営業利益(会社開示の恒常的指標):110,975 百万円(前年同期比+14.1%) — 通期調整後予想161,200に対する達成率約68.8%。
- 純利益(親会社帰属):△61,531 百万円(前年:1,510 百万円) — 大幅未達/赤字(減損が主因)。
- サプライズの要因:
- 主因:Americas・EMEAののれん減損(合計約861.52億円:Americas 688.58億円、EMEA 170.94億円)およびその他減損等の計上により営業損失・大幅純損失を計上。
- 補足:為替(円高)や一部子会社売却の影響で地域別売上総利益は下押しされたが、販管費抑制等により調整後営業利益は改善。
- 通期への影響:
- 既に業績予想を修正(公表有)。調整後指標ベースでは通期見通しの達成は可能性あり(第3Qまでで約7割進捗)が、追加の減損等一時要因や為替変動が発生すると通期の会計上当期利益は更に影響を受ける可能性あり。
財務指標(要点)
- 損益(第3四半期累計)
- 収益(売上高):1,014,316 百万円(前年同期比△1.2%、△11,826 百万円)
- 売上総利益:851,332 百万円(前年同期比△1.7%)
- 営業利益(会計上):△7,447 百万円(前年:28,900 百万円)
- 調整後営業利益:110,975 百万円(前年同期比+14.1%)
- 税引前四半期利益:△19,035 百万円(前年:17,859 百万円)
- 四半期利益(親会社帰属):△61,531 百万円(前年:1,510 百万円)
- 1株当たり四半期利益(基本):△237.04円(前年:5.76円)
- 調整後1株当たり利益(第3Q累計):217.88円
- 財政状態(2025/9/30)
- 総資産:3,116,008 百万円(前期末3,507,260 百万円より減少)
- 親会社の所有者に帰属する持分:594,208 百万円
- 親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率):19.1%(前期末19.9%) — 目安40%以上(安定)に対して低い(低水準)。
- 現金及び現金同等物:224,961 百万円(前年期首371,989百万円→減少)
- 負債合計:2,450,968 百万円
- 負債/資本比率(負債合計÷資本合計):約3.69(高め)
- 流動資産合計:1,958,380 百万円、流動負債合計:1,783,959 百万円 → 流動比率 ≒ 109.8%(流動性は確保されているが余裕は限定的)
- キャッシュフロー(第3Q累計)
- 営業活動CF:+10,588 百万円(前年は△100,941 百万円) — 改善(支払利息減少・運転資本改善等の影響)
- 投資活動CF:△3,819 百万円
- 財務活動CF:△130,596 百万円(社債償還50,000百万円、長期借入金返済等)
- 期末現金残高:224,961 百万円(前年同期比減少)
- 効率性:
- 調整後営業利益率(オペレーティング・マージン、全社・第3Q累計):13.0%(前年11.3%、上昇170bps) — 収益性は改善。
- セグメント別(売上総利益/調整後営業利益)
- 日本:売上総利益 357,473 百万円(+6.8%)、調整後営業利益 87,792 百万円(+22.1%)、マージン 24.6%(安定~良好)
- Americas:売上総利益 230,555 百万円(△7.2%)、調整後営業利益 52,384 百万円(+2.7%)、マージン 22.7%
- EMEA:売上総利益 188,289 百万円(△1.0%)、調整後営業利益 14,899 百万円(△9.6%)、マージン 7.9%
- APAC:売上総利益 70,328 百万円(△12.2%)、調整後営業損失 5,694 百万円(悪化)、マージン △8.1%
- 財務の解説:
- 恒常的営業力(調整後指標)は改善しているが、のれん等資産の減損が自己資本を圧迫し、自己資本比率が低下。負債面では期末にかけて社債償還等の支出があり財務CFは大幅負転。流動性は現預金で一定確保されているが、資本構成の健全性は引き続き注視が必要。
配当
- 配当実績と予想:
- 2024年12月期:中間 69.75円、期末 69.75円、年間139.50円
- 2025年12月期(現時点):中間 0.00円(既発表)、期末・年間配当予想は未定(期末配当は未定を継続)
- 直近公表配当予想の修正:無
- 配当利回り:–(株価情報が開示されていないため算出不可)
- 配当性向:–(会社の通期当期利益予想が赤字のため算出不可/調整後利益ベースでは算出可能だが会社は未提示)
- 特別配当:なし
- 株主還元方針:自社株買い等の開示なし(自己株式の保有はあるが大規模な買戻しの開示はなし)
セグメント別情報(要点)
- 日本:インターネット広告、BX/DX、SP&E等が成長。オーガニック売上総利益成長率6.8%、調整後営業利益・マージンともにセグメント中で最も強い改善(調整後営業利益877.92億円、+22.1%)。収益の牽引役。
- Americas:オーガニック成長率△3.4%、売上総利益は為替や一部子会社売却の影響で減少。ただし販管費抑制により調整後営業利益は増(523.84億円、+2.7%)。のれん減損を計上した点が業績に大きく影響。
- EMEA:一部国で厳しい市況もありオーガニック△1.9%、調整後営業利益は減少(148.99億円、△9.6%)。のれん減損計上あり。
- APAC:オーガニック△10.1%、売上総利益・調整後営業損失ともに悪化(売上総利益703.28億円、△12.2%)。地域ごとの回復度合いに差。
- セグメント戦略:日本・Americasでの効率化やデジタル強化が進む一方、APAC・EMEAは市場環境次第で不確実性が高い。のれん等の資産クオリティに対する合理的な評価が行われた。
中長期計画との整合性
- 中期経営計画:開示資料中に具体的数値目標の進捗は明記なし(詳細は中期計画資料を参照)。ただし調整後営業利益率の向上(オペレーティング・マージン13%台目標)を継続して示唆。
- KPI達成状況:調整後営業利益は前年より改善しており、恒常事業の収益性改善は見られる。のれん減損は過去のM&A案件の資産化に関連する評価見直しであり、中期計画上は一時的な調整と位置付けられる可能性。
競合状況や市場動向
- 競合他社との比較:同業他社(グローバル広告・PR系)でも地域別に回復差が見られるため、米国・欧州市場の厳しさは共通課題。電通グループは日本市場での強さが相対優位。具体的他社比較データは資料に未記載(–)。
- 市場動向:世界経済の不透明感(通商政策、地政学リスク、為替変動)が継続し、特に米国・欧州・中国の広告市場の動向が業績に影響。
今後の見通し
- 業績予想:
- 通期(2025年12月期、会社修正)
- 収益:1,421,000 百万円(+0.7%)
- 売上総利益:1,182,600 百万円(△1.6%)
- 調整後営業利益:161,200 百万円(△8.5%)
- 営業利益(会計):17,600 百万円(表記「17,600」)
- 親会社の所有者に帰属する調整後当期利益:83,400 百万円(△10.3%)
- 親会社の所有者に帰属する当期利益:△52,900 百万円(赤字予想)
- 基本1株当たり当期利益(会社予想):△203.79円
- 予想修正の有無:有(第3四半期実績および見込みを反映して修正)
- 前提:為替換算レートは2025年1~10月平均(1USD=148.4円、1GBP=195.4円)を採用
- 予想の信頼性:調整後利益ベースでは期中の進捗は約7割で概ね計画に沿っている。一方で、のれん等の資産評価や外部環境の悪化により会計上の当期利益は追加変動リスクあり。
- リスク要因:為替(円高でマイナス影響)、景気後退や広告需要の急減、さらなる減損リスク、規制・地政学リスク、M&A関連の条件付対価評価の変動等。
重要な注記
- 会計方針の変更:ヘッジ会計を期首からIFRS第9号に基づく会計処理へ変更。ヘッジコストの区分等、包括利益・持分変動計算書の表示に影響(前期比較で注記あり)。
- 一時的要因:ロシア事業は既に2024年7月に譲渡完了(2024年に関連費用計上)。当期はAmericas/EMEAののれん減損を計上。
- 監査:添付の要約四半期連結財務諸表は有限責任あずさ監査法人による期中レビュー済(異常事象なし)。
上記の内容は、AIによる自動要約に基づいて作成されたものであり、正確性や網羅性について保証するものではありません。内容の解釈や利用に際しては、必ず公式の決算短信 をご参照ください。信頼性を確保するよう努めていますが、情報の完全性についてはご自身での確認をお願い致します。
企業情報
| 銘柄コード | 4324 |
| 企業名 | 電通グループ |
| URL | https://www.group.dentsu.com/jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.4)」によって自動生成されました。
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