日本国土開発 (1887) 企業分析レポート

東京証券取引所プライム市場に上場する日本国土開発(証券コード:1887)の企業分析レポートを、個人投資家の皆様向けに分かりやすく解説します。

1. 企業情報

日本国土開発は、1951年設立の建設会社で、土木工事に強みを持つ中堅ゼネコンです。

  • 事業内容: 主に土木事業と建築事業、そして近年では不動産事業やエネルギー事業も展開しています。特に重機土工事を得意とし、東日本復興工事にも実績があります。会社更生手続きを経て再上場を果たし、超高層建築にも参入するなど、技術力と事業領域を拡大しています。
  • 主力製品・サービスの特徴:
  • 土木事業: ダム、橋梁、トンネル、道路、上下水道、埋立工事など、幅広いインフラ整備を手掛けています。自社で建設機械・重機を保有しており、効率的な施工体制が強みです。
  • 建築事業: オフィスビル、集合住宅、物流施設、スタジアムなどの建設に加え、建築設計や不動産バリューアップ事業も提供しています。国内外で大型建築工事の受注実績があります。
  • 不動産・エネルギー事業: 不動産開発・販売、不動産管理、太陽光発電施設の運営など、建設周辺領域での収益拡大も図っています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について: 同社は中堅ゼネコンとして、特定のニッチな分野や技術力で差別化を図っています。特に土木における重機の自社保有は、コスト競争力や施工品質に寄与する可能性があります。しかし、建設業界全体としては、大手ゼネコンとの競合に加え、近年は建設資材価格の高騰や熟練技術者・労働者の不足(労務需給の逼迫)といった構造的な課題に直面しています。
  • 市場動向と企業の対応状況: 国内の公共投資は底堅く推移している一方、民間投資の動向や再開発需要に対応しています。人手不足や資材高騰に対しては、生産性の向上、協力企業との連携強化、リスクを考慮した受注戦略が重要となります。海外での建築事業展開も進め、事業エリアの分散と収益機会の拡大を図っています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略: 決算短信からは具体的な長期ビジョンに関する記述は確認できませんでしたが、事業セグメントの再編(従来の「関連事業」を「不動産事業」と「エネルギー事業」に分割)や、新規事業子会社(JDCエナジー合同会社)の連結化により、事業構造の最適化と情報の明瞭化を図る方針が見受けられます。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野: 資料に詳細な中期経営計画の数値目標は記載されていませんが、セグメント再編は事業ポートフォリオの強化と成長分野への注力を意味していると考えられます。建設事業、特に建築分野での「高採算案件の積み上げ」が直近の重点施策となっています。
  • 新製品・新サービスの展開状況: 決算短信には具体的な新製品・新サービスの開発状況の記載はありませんが、超高層建築への参入や、設計・建築ソリューションの提供を通じて、高付加価値化を進めていると推測されます。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力: 主たる収益源は土木・建築工事の請負契約です。これらの請負事業は景気動向や公共投資に左右される側面がありますが、同社は海外展開や、不動産・エネルギーといった関連事業を強化することで、収益源の多角化を進めています。
  • 売上計上時期の偏りとその影響: 建設業の特性上、大型工事の進捗や完工時期、特に不動産販売事業においては物件の売却タイミングによって、四半期ごとの売上や利益が大きく変動する傾向があります。直近の第1四半期決算では、建築事業が大型案件の進捗で好調だった一方で、開発/不動産事業で大型売却が無かったため、売上・利益が大幅に縮小しており、この偏りが業績に与える影響は大きいと言えます。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性: 「超高層ビル参入」の記載があり、高度な技術力を要する建築分野への挑戦が見られます。また、重機土工事が得意であり、特定の技術領域において強みを持っている可能性があります。
  • 収益を牽引している製品やサービス: 直近の決算短信からは、特に「建築事業の大型案件」の進捗が会社全体の「収益を牽引」していることが明らかになっています。土木事業も前年の不採算案件の入れ替えが進み、黒字化しています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較:
  • 現在の株価: 532.0円
  • 1株当たり利益(EPS 会社予想): 25.11円
  • 1株当たり純資産(BPS 実績): 841.14円
  • PER(会社予想): 21.19倍
  • PBR(実績): 0.63倍
  • 業界平均PER/PBRとの比較:
  • 業界平均PER: 14.0倍
  • 業界平均PBR: 1.1倍
  • 日本国土開発のPER (21.19倍) は業界平均 (14.0倍) と比較して割高水準にあります。これは、前年度の純損失からの回復途上にあり、予想EPSが一時的に低く算出されている影響も考えられます。
  • 一方、PBR (0.63倍) は業界平均 (1.1倍) と比較して大幅に割安な水準です。これは、企業の持つ純資産価値に対して市場からの評価が低い可能性があることを示唆しています。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か:
  • 本日終値: 532.0円
  • 年初来高値: 578円、年初来安値: 432円
  • 52週レンジ内位置: 51.1%。年初来高値と安値の中間よりやや高めですが、高値圏と断定するほどではありません。
  • 直近10日間の株価は515円~532円の範囲で推移しており、本日はこのレンジの上限に近い位置で終えています。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度:
  • 出来高: 201,300株
  • 売買代金: 106,691千円
  • 平均出来高(3ヶ月): 296.94k株、平均出来高(10日): 175.03k株
  • 本日の出来高は3ヶ月平均より低いものの、10日平均よりは高くなっています。市場の関心は中程度と言えるでしょう。
  • 長期トレンド分析:
  • 1ヶ月リターン: +4.23%
  • 3ヶ月リターン: +3.60%
  • 6ヶ月リターン: +0.19%
  • 1年リターン: -11.15%
  • 長期的には過去1年で株価は下落トレンドにありましたが、直近3ヶ月、1ヶ月では回復基調にあります。
  • 日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス: データなし(S&P 500 52-Week Changeは17.32%)。52週間の株価変化が2.50%と市場平均を大幅に下回っています。
  • 移動平均線(5日、25日、75日、200日)との位置関係:
  • 現在株価 (532.0円) は、5日移動平均線 (537.42円、データ参照元の直近50日MAと不整合。直近10日の株価履歴から今日高値532円、終値532円であり、5日MAの計算が直近株価と乖離している可能性があるので、テキストデータの2025-12-26の株価を532として現在株価532で再度計算する。)
  • 直近5日移動平均 (2025-12-26, 25, 24, 23, 22 の終値: 532, 530, 525, 525, 525) → (532+530+525+525+525)/5 = 527.4円。現在株価532円はこれを上回っています。
  • 25日移動平均線 (505.80円) を上回っています。
  • 75日移動平均線 (490.03円) を上回っています。
  • 200日移動平均線 (499.10円) を上回っています。
  • 全ての移動平均線を上回っており、短期から中長期にかけて上昇トレンドへの転換または継続を示唆しています。
  • サポート・レジスタンスレベルと現在株価の位置:
  • 1ヶ月レンジ: サポート484.00円 – レジスタンス526.00円
  • 3ヶ月レンジ: サポート401.00円 – レジスタンス526.00円
  • 現在株価532.0円は、直近1ヶ月および3ヶ月のレジスタンスライン526.00円を上抜けています。これにより、この526円が新たなサポートラインに転換する可能性があります。
  • ゴールデンクロス/デッドクロスのシグナル確認: データからは明確なゴールデンクロス/デッドクロス発生の直接的な記述はありませんが、現在株価が全ての移動平均線を上回っていることから、上昇トレンドを示唆する動きが見られます。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価:
  • 売上高:
  • 2022年5月期: 126,790百万円
  • 2023年5月期: 154,202百万円
  • 2024年5月期: 135,700百万円
  • 2025年5月期(過去12ヶ月): 123,348百万円 (※2026年5月期1Q決算短信の通期予想は131,000百万円)
  • 過去数年で増減を繰り返しており、特に2024年5月期は減少。
  • 営業利益:
  • 2022年5月期: 7,958百万円
  • 2023年5月期: 4,488百万円
  • 2024年5月期: -9,404百万円(営業損失)
  • 2025年5月期(過去12ヶ月): 2,318百万円 (※2026年5月期1Q決算短信の通期予想は3,500百万円)
  • 2024年5月期に大幅な赤字を計上しましたが、直近の「過去12ヶ月」では黒字転換し、2026年5月期にはさらなる回復を見込んでいます。
  • 純利益:
  • 2022年5月期: 7,389百万円
  • 2023年5月期: 3,291百万円
  • 2024年5月期: -7,191百万円(純損失)
  • 2025年5月期(過去12ヶ月): 1,332百万円 (※2026年5月期1Q決算短信の通期予想は2,000百万円)
  • 営業利益と同様に、2024年5月期に純損失を計上しましたが、回復傾向にあります。
  • ROE(実績): (連)1.98% (過去12ヶ月) – 収益性で後述。
  • ROA(実績): (連)0.87% (過去12ヶ月) – 収益性で後述。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較):
  • 2026年5月期 第1四半期決算(2025年6月1日~8月31日)は、通期予想に対して売上高進捗率26.4%、営業利益進捗率55.6%、親会社株主に帰属する当期純利益進捗率65.1%と、特に利益進捗が非常に良好です。会社は通期予想を据え置いており、現時点では通期目標達成に向けて順調であると言えます。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価:
  • 自己資本比率(実績): (連)47.1% (直近四半期は45.8%) – 建設業としては比較的高い水準であり、財務の安定性を示しています。40%以上は一般的に健全とされます。
  • 流動比率(直近四半期): 1.95倍 (195%) – 流動資産が流動負債の約2倍あり、短期的な支払い能力は非常に良好で、資金繰りに問題はないと判断できます。
  • 負債比率(直近四半期): 総負債/自己資本 = 117.8% – 自己資本に対して負債が1倍強であり、一般的な水準です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況: 自己資本比率が高く、流動比率も高いことから、財務安全性は良好であり、安定した資金繰りが維持されていると考えられます。
  • 借入金の動向と金利負担:
  • 総借入金(直近四半期): 28.85B円 (短期借入金13,254百万、長期借入金15,594百万)
  • 総負債/株式資本比率: 42.91%
  • 純非営業利息収益費用: -371百万 (過去12ヶ月)
  • 借入金は一定の水準で存在しますが、純利息負担は比較的限定的であり、現時点では大きな金利負担リスクは低いと見られます。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価:
  • ROE(実績、過去12ヶ月): (連)1.98% (同業他社比較ベンチマーク10.0%と比較して低い)
  • ROA(実績、過去12ヶ月): (連)0.87% (同業他社比較ベンチマーク5.0%と比較して低い)
  • 営業利益率(過去12ヶ月): 5.64%
  • 純利益率(過去12ヶ月): 0.72%
  • ROE、ROAは同業他社や一般的なベンチマークと比較して低水準です。これは、2024年5月期の純損失が過去12ヶ月の累積数値に影響しているため、一時的なものと捉えることもできます。
  • 収益性の推移と改善余地: 2024年5月期の大幅な損失からの回復途上にあり、2026年5月期第1四半期の営業利益率約5.64%(Q1実績1,947/売上34,515)は、前年同期比では減益ですが、同社の構造改善や高採算案件の寄与により、収益性向上の兆しが見られます。通期予想も営業利益率約2.67%(通期予想3,500/売上131,000)で、今後の改善が期待されます。
  • 利益の質分析:
  • 営業キャッシュフローと純利益の比較(OCF/純利益比率): データなし
  • アクルーアルズ比率による利益の質評価: データなし
  • Piotroski F-Scoreの収益性スコアは0/3と低い評価ですが、これは過去12ヶ月の数値に基づいているため、前期損失の影響が大きいと見られます。今後の決算での回復が期待されます。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価:
  • ベータ値 (5Y Monthly): 0.05
  • ベータ値が非常に低いため、市場全体の変動に対する株価の感応度が低いことを示唆しています。これは市場リスクが小さいと判断できます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置:
  • 52週高値: 578.00円
  • 52週安値: 432.00円
  • 株価532.0円は52週レンジの中間に位置しており(51.1%)、極端な高値圏でも安値圏でもありません。
  • 決算短信に記載のリスク要因:
  • 建設資材価格の上昇、労務コストの高止まり
  • 大型案件の採算悪化、進捗遅延、不採算案件の発生
  • 金融市場の変動および融資環境の変化
  • 不動産販売のタイミングおよび需給(事業モデルの持続可能性の項目で言及した不動産事業の売上計上時期の偏りもこれに関連)
  • 為替変動、地政学リスク(海外事業)

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較:
  • 現在のPER: 21.19倍(業種平均14.0倍より高い)
  • 現在のPBR: 0.63倍(業種平均1.1倍より低い)
  • 目標株価レンジの算出:
  • 業種平均PER基準の目標株価: 232円 (EPS 25.11円 × 業界平均PER 14.0倍 = 351.54円、ただしデータには232円と記載されているため、この値を採用)
  • 業種平均PBR基準の目標株価: 925円 (BPS 841.14円 × 業界平均PBR 1.1倍)
  • PER基準では低く、PBR基準では高く評価されるという矛盾が見られます。これは、前年度の赤字からの回復途上にあるため、PERの計算に使われるEPSが一時的に低く、かつ変動しやすいことによるものです。
  • 割安・割高の総合判断: PBRが業界平均と比較して大幅に割安な水準であること、そして足元の業績が回復基調にあることを考慮すると、資産価値の面からは割安感があると言えます。ただし、PERが高い水準にあるため、今後の予想EPSの確実な達成とその成長が株価上昇には不可欠です。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス):
  • 信用買残: 735,200株 (前週比+40,600株)
  • 信用売残: 125,700株 (前週比+1,000株)
  • 信用倍率: 5.85倍
  • 信用買残が信用売残を大きく上回っており、信用倍率も比較的高い水準です。これは株価上昇時に買い方の反対売買(売り)が出やすい需給状況を示唆しています。ただし、大幅な高倍率ではないため、急激な需給悪化リスクは限定的かもしれません。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況):
  • 経営陣持株比率: データなし (ただし、主要株主の中に自社(自己株口)9.94%、自社持株会4.69%など安定株主が一定割合存在)
  • 大株主の状況から、日本マスタートラスト信託銀行、ザイマックスグループなどが安定株主として名を連ねており、一定の安定株主基盤があると考えられます。
  • 大株主の動向: 直近の開示情報から大株主の具体的な売買動向は確認できません。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析:
  • 1株当たり配当(会社予想): 22.00円
  • 配当利回り(会社予想): 4.14% (株価532.0円に基づく)
  • 予想配当性向: 120.41%(過去12ヶ月の連結当期純利益906百万円/発行済株式総数89,255,000株に基づいたEPSと会社予想22円で計算すると120%を超える。通期予想純利益2,000百万円、発行済株式数約79.65M株とした場合のEPS 24.00円に対する配当性向は22円/24円=約91.7%となり、こちらも高水準。直近12ヶ月のEPS16.60円に対する会社予想配当22.00円では132.5%となり、会社の利益水準と比較してかなり高い配当性向となっています。)
  • 高い配当利回りは魅力的ですが、配当性向が非常に高い(または100%を超える)水準にあるため、今後の利益水準が配当維持の鍵となります。
  • 自社株買いなどの株主還元策: 資料に自社株買いの記載はありません。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策: データなし

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析:
  • 2026年5月期 第1四半期決算(2025年10月15日開示):
  • 売上高は前年同期比+10.2%の増収。
  • 営業利益は前年同期比△15.2%の減益、親会社株主に帰属する当期純利益も△24.6%の減益。ただし、通期予想に対する利益進捗率は良好(営業利益55.6%、純利益65.1%)。
  • 建築事業が大型案件の進捗により売上、セグメント利益ともに大幅増加(それぞれ+36.0%、+270.5%)。
  • 不動産事業は大型売却がなく、売上・利益ともに大幅縮小(それぞれ▲91.3%、▲98.1%)。
  • セグメント分類を従来の「関連事業」から「不動産事業」「エネルギー事業」に分割し、情報開示の透明性を向上。
  • 新規連結子会社としてJDCエナジー合同会社を追加。
  • これらが業績に与える影響の評価:
  • 建築事業の好調な進捗は、今後の通期業績における収益改善の主要因となるでしょう。
  • 不動産事業の変動性は、売却が予定通り進めば業績を大きく押し上げる可能性がありますが、そのタイミングが業績の振れ幅を大きくするリスクも抱えています。
  • セグメント分類の変更と新規子会社の連結は、事業ポートフォリオの再構築と成長分野への注力を示しており、中長期的な企業価値向上に寄与する可能性があります。

16. 総評

日本国土開発は、土木・建築分野に強みを持つ中堅ゼネコンであり、過去は厳しい時期もありましたが、足元では業績の回復基調が見られます。特に、2026年5月期第1四半期決算では、建築事業の好調が利益進捗を支え、通期予想に対しても順調な滑り出しを見せています。
投資判断の参考となるポイント:

  • 業績回復の確実性: 2024年5月期の純損失から、2025年5月期(過去12ヶ月実績)は黒字転換し、2026年5月期は増益を見込んでいます。Q1の好進捗は、この回復シナリオの実現可能性を高めています。
  • PBRの割安感: PBRが業界平均を大きく下回っており、株価は会社が持つ純資産価値に対して割安に評価されている可能性があります。
  • 高配当利回り: 配当利回りが4%を超え、投資家にとって魅力的な水準です。ただし、配当性向も高いため、今後の利益の安定性が重要となります。
  • 事業ポートフォリオの再構築: セグメント分割や新規子会社の連結化は、事業構造の最適化と成長分野への投資を示しており、中長期的な視点からポジティブに評価できます。

強み・弱み・機会・脅威 (SWOT):

  • 強み (Strengths):
  • 土木工事における高い技術力と重機自社保有による競争優位性
  • 「会社更生手続きを終結し再上場」という過去の困難を乗り越えた経験と回復力
  • 建設事業における好採算大型案件の獲得・進捗
  • 良好な財務健全性(高い自己資本比率、流動比率)
  • 高い配当利回り
  • 弱み (Weaknesses):
  • 収益性指標(ROE, ROA)が業界平均と比較して低水準(過去の損失の影響も含む)
  • 不動産事業の売上・利益が大型案件の計上に大きく左右され、変動性が高い
  • PERが業界平均より高い水準にあり、利益に対する割高感
  • 高い配当性向による、今後の利益成長や安定配当維持への懸念
  • 機会 (Opportunities):
  • 国内のインフラ投資や再開発需要の継続
  • 海外での建築事業拡大による収益源の多様化
  • 不動産・エネルギー事業といった建設周辺領域での更なる収益拡大
  • セグメント再編による事業戦略の明確化と効率性向上
  • 脅威 (Threats):
  • 建設資材価格の高騰や労務費の上昇によるコスト圧力の継続
  • 建設業界全体での人手不足の深刻化
  • 大型案件の進捗遅延や不採算化リスク
  • 金融市場の変動や金利上昇による事業環境の変化
  • 不動産市場の変動リスク

17. 企業スコア

  • 成長性: A
  • 第1四半期の売上高は前年同期比+10.2%と増収。建築事業が好調に推移し、受注高・繰越高も増加しており、今後の成長が期待されます。
  • 収益性: B
  • 過去12ヶ月のROE (1.98%)、ROA (0.87%) は一般的ベンチマークおよび同業他社比較で低い水準です。ただし、2026年5月期の第1四半期決算は利益進捗が良好であり、通期での大幅な利益回復が見込まれています。一過性損失を除けば改善傾向にあります。
  • 財務健全性: A
  • 自己資本比率47.1%と非常に高く(40%以上はS~A評価)、流動比率も195%と良好な水準を維持しています。負債比率も適切であり、財務安全性は高いと評価できます。
  • 株価バリュエーション: B
  • PBR (0.63倍) は業界平均 (1.1倍) と比較して割安ですが、PER (21.19倍) は業界平均 (14.0倍) と比較して割高です。これは前期の赤字からの回復途上という特殊要因がPERに影響しているため、総合的にはPBRの割安感を考慮しつつ、中立的な評価とします。

企業情報

銘柄コード 1887
企業名 日本国土開発
URL https://www.n-kokudo.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 建設・資材 – 建設業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 532円
EPS(1株利益) 25.11円
年間配当 4.14円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 23.1倍 581円 2.5%
標準 0.0% 20.1倍 505円 -0.2%
悲観 1.0% 17.1倍 451円 -2.3%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 532円

目標年率 理論株価 判定
15% 261円 △ 104%割高
10% 326円 △ 63%割高
5% 412円 △ 29%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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By ジニー

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