以下は、バンダイナムコホールディングス(7832)に関する企業分析レポートです。
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
バンダイナムコホールディングスは、バンダイとナムコが経営統合して生まれた総合エンターテインメント企業です。玩具製品で業界トップクラスの地位を占める他、人気キャラクターを軸に、ゲーム(デジタルコンテンツ)、映像、音楽、アミューズメント施設運営など多岐にわたるエンターテインメント事業を展開しています。「機動戦士ガンダム」などの強力なIP(知的財産)を核として、国内外で幅広いファン層に製品やサービスを提供しています。 - 主力製品・サービスの特徴
同社の事業は主に「デジタル事業」「トイホビー事業」「IPプロデュース事業(映像音楽事業)」「アミューズメント事業」の4つのセグメントで構成されます。 - デジタル事業: 家庭用ゲームソフトやネットワークコンテンツ(モバイルゲーム、PCゲーム)を提供。特に人気IPを活用したゲームタイトルが主力です。
- トイホビー事業: 玩具、プラモデル(ガンプラ)、フィギュア、カプセルトイ(ガシャポン)、キャラクターくじ(一番くじ)など。大人向け商材(ハイターゲット層向け)も強化し、国内外で好調です。
- IPプロデュース事業(映像音楽事業): アニメーション制作・配給、映画・イベント企画、音楽コンテンツの制作・販売など。自社IPの多角的な活用を推進しています。
- アミューズメント事業: 国内外でのアミューズメント施設の運営や業務用ゲーム機・景品の企画・開発・販売。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
同社は、長年にわたり培ってきた強力なIP資産(ガンダム、ドラゴンボール、ワンピースなど)と、玩具からゲーム、映像、アミューズメント施設まで多角的な事業展開による「IP軸戦略」が最大の競争優位性です。これにより、単一のIPから複数の収益源を生み出し、長期にわたるファンとの関係構築を図っています。
課題としては、デジタル事業(特にゲーム)において、ヒット作に業績が左右されやすい点や開発コストの増大、競合の激化が挙げられます。また、世界的な景気動向や為替変動、原材料・物流コストの変動も収益に影響を与える可能性があります。 - 市場動向と企業の対応状況
映像配信の普及により、日本のIPがグローバルで人気を拡大している市場環境があります。同社はこれを追い風とし、海外売上比率50%以上を目指す中期経営計画を掲げ、IPのグローバル展開を強化しています。一方で、世界の政情不安や通商政策などの不確実性が継続し、消費や原材料価格の上昇が事業に影響を与えるリスクも存在します。これに対し、同社はサプライチェーンの強靭化や費用管理に努めています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
2025年4月から開始されている3カ年の中期経営計画では、「Fun for All into the Future」(未来へ向けて、世界中の人々に楽しさを。)をパーパスに掲げ、「Connect with Fans」をビジョンとしています。
主なテーマは、「事業規模拡大」「新たな事業の柱獲得」「長期利益体制構築」です。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
- 成長投資: 中期期間で総額6,000億円(制作投資、IPを活用した「360°戦略」への投資など)を計画。
- KPI・数値目標(2028年3月期目標):
- 連結売上高1兆4,500億円
- 連結営業利益2,000億円
- 海外売上比率50%以上
- 維持目標: 営業利益率12%以上、エクイティスプレッド5%以上を継続。
- 重点分野: IP軸戦略をさらに深化させ、世界中のファンとの繋がりを強化するための多角的な事業展開、そしてそれらを支える投資と体制構築を重視しています。
- 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
中間決算では、トイホビー事業でガンプラや大人向け商品が国内外で好調を維持し、カテゴリ拡大に貢献しています。デジタル事業では新作モバイルアプリや家庭用ゲームタイトルが寄与していますが、タイトル構成によりセグメント利益は減少しています。映像音楽事業では新作ガンダムが好調な一方、前年の複数ヒット期と比較して劇場・映像の寄与が減少しました。今後は、特にデジタル事業においてポートフォリオ最適化を進める方針です。ガンダムIPについては、実写映画への共同投資なども進め、中長期的な価値最大化を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
バンダイナムコホールディングスの事業モデルは、強力なIPを軸に、玩具、ゲーム、映像、アミューズメント施設など複数の事業領域で収益を上げる「IP軸戦略」という独自の強みを持っています。これにより、市場ニーズの変化に対して特定のプロダクトに依存しすぎることなく、多様な形でIP価値を最大化し、リスクを分散できる適応力があります。デジタルコンテンツ強化やグローバル展開もその一環です。 - 売上計上時期の偏りとその影響
デジタル事業の家庭用ゲームやネットワークコンテンツは、大型タイトルの発売時期やイベント開催時期に売上が集中する傾向があります。また、トイホビー事業においても、クリスマス商戦や長期休暇など特定の時期に需要が高まることがあります。中間期決算では、営業利益と純利益の通期予想に対する進捗率がそれぞれ63.9%と65.8%と、売上高の51.5%を上回っており、一部利益が前倒しで計上された可能性があります。これは通期達成に順調な進捗を示唆する一方、下期に大型タイトルやヒット作が不発に終わった場合、業績に影響を及ぼすリスクも内包しています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
データなし。決算短信には具体的なR&D活動や技術革新に関する詳細な記述は見られませんでしたが、デジタルコンテンツ開発における新技術の導入や、玩具製造における技術革新は継続的に行われていると推測されます。 - 収益を牽引している製品やサービス
中間期決算では、トイホビー事業が最も高い売上(3,178億円)とセグメント利益(650億円)を稼ぎ出し、全体の収益を牽引しています。特にガンプラや大人向けホビー製品が国内外で好調です。デジタル事業も売上高2,315億円、セグメント利益374億円と、主要な収益源ですが、新作ゲームの寄与はあったものの、タイトル構成の違いにより前年同期比では減益となっています。強力なIP(ガンダム、ドラゴンボールなど)を基盤としたコンテンツと商品群が引き続き収益の柱です。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
- 現在の株価: 4,172.0円
- 会社予想EPS (連): 185.39円
- 実績BPS (連): 1,299.27円
- 会社予想PER (連): 22.50倍 (4172円 / 185.39円)
- 実績PBR (連): 3.21倍 (4172円 / 1299.27円)
- 業界平均PER/PBRとの比較
- 業界平均PER: 14.5倍
- 業界平均PBR: 1.3倍
現在のバンダイナムコホールディングスのPER 22.50倍は業界平均PER 14.5倍と比較して約1.55倍高く、PBR 3.21倍も業界平均PBR 1.3倍と比較して約2.47倍高い水準にあります。この数値だけを見ると、現在の株価は業界平均と比較して割高である可能性があります。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
現在の株価4,172円は、直近10日間の最安値4,172円(本日安値と一致)に位置し、高値は4,299円(2025-12-24)でした。直近の動きとしては下落傾向にあります。 - 年初来高値・安値との位置関係
- 年初来高値: 5,729円
- 年初来安値: 3,417円
現在の株価4,172円は、年初来高値から約27.18%下落、年初来安値からは約22.09%上昇した位置にあります。52週レンジ内では32.7%の位置(0%=安値、100%=高値)にあり、レンジの中ほどからやや安値寄りの水準にあります。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
本日の出来高は1,340,300株、売買代金は5,608,587千円でした。3ヶ月平均出来高1.92M株、10日平均出来高1.5M株と比較すると、本日の出来高は平均を下回っており、市場の関心度はやや低下している可能性があります。 - 長期トレンド分析
- 1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年の株価リターンを評価
- 1ヶ月リターン: -6.25% (下落)
- 3ヶ月リターン: -15.39% (下落)
- 6ヶ月リターン: -17.52% (下落)
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1年リターン: +16.57% (上昇)
短期から中期では下落トレンドにありますが、1年間の長期で見るとプラスのリターンを維持しています。 -
日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス(上回る/下回る)
- 日経平均比:
- 1ヶ月: 8.35%ポイント下回る
- 3ヶ月: 27.15%ポイント下回る
- 6ヶ月: 44.69%ポイント下回る
- 1年: 11.31%ポイント下回る
- TOPIX比:
-
1ヶ月: 8.36%ポイント下回る
直近1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年いずれの期間においても、日経平均およびTOPIXといった主要市場指数を下回るパフォーマンスを示しています。 -
移動平均線(5日、25日、75日、200日)との位置関係(上回り/下回り)
- 5日MA: 4,213.20円(現在株価は下回り 0.98%)
- 25日MA: 4,314.24円(現在株価は下回り 3.30%)
- 75日MA: 4,618.45円(現在株価は下回り 9.67%)
-
200日MA: 4,795.45円(現在株価は下回り 13.00%)
現在の株価は全ての移動平均線を下回る位置にあります。全ての移動平均線が株価よりも上にあり、下降トレンドにあることを強く示唆しています。 -
サポート・レジスタンスレベルと現在株価の位置
- 1ヶ月レンジ: サポート 4,143.00円 – レジスタンス 4,470.00円
-
3ヶ月レンジ: サポート 4,143.00円 – レジスタンス 5,038.00円
現在の株価4,172円は、1ヶ月および3ヶ月レンジのサポートレベル4,143円に非常に近い位置にあります。サポートライン近辺での反発が期待される一方で、これを割り込むとさらなる下落リスクがあります。 -
ゴールデンクロス/デッドクロスのシグナル確認
現在の株価は全ての移動平均線を下回っており、短期移動平均線(5日MA)が中期移動平均線(25日MA)を下回っている状態です。これは短期的な下降トレンド継続を示唆しており、デッドクロスの状態であると考えられます。8. 財務諸表分析
-
売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
過去12か月では、売上高1兆2,739億円、営業利益1,720億円、純利益1,274億円を計上しています。Profit Marginは10.01%、Operating Marginは15.60%です。ROEは15.99%、ROAは9.69%と、いずれも高い水準を維持しています。 - 過去数年分の傾向を比較
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 | 一株利益(円) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022/3連 | 889,270百万円 | 125,496 | 133,608 | 92,752 | 140.70 |
| 2023/3連 | 990,089百万円 | 116,472 | 128,006 | 90,345 | 136.88 |
| 2024/3連 | 1,050,210百万円 | 90,682 | 104,164 | 101,493 | 153.85 |
| 2025/3連 | 1,241,513百万円 | 180,229 | 186,470 | 129,301 | 197.88 |
| 予2026/3連 | 1,250,000百万円 | 165,000 | 172,000 | 120,000 | 185.40 |
売上高は一貫して増加傾向にあり、2025年3月期には大きく伸長しました。営業利益は2024年3月期に一時的に減少したものの、2025年3月期には大幅に回復しています。親会社帰属当期純利益も増益傾向です。
- 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2026年3月期 第2四半期(中間期)の業績は、売上高643,816百万円(前年同期比+5.3%)、営業利益105,481百万円(同△7.2%)、親会社株主に帰属する中間純利益78,909百万円(同△2.3%)でした。
通期修正後予想(売上1,250,000百万円、営業利益165,000百万円、純利益120,000百万円)に対する進捗率は、売上高約51.5%、営業利益約63.9%、親会社純利益約65.8%です。営業利益と純利益の進捗は中間期として非常に順調であり、通期達成に向けて良好な状況と評価できます。ただし、売上高の伸びに対し、販管費の増加やデジタル・映像音楽事業の利益率低下により、中間期の営業利益率は前年同期の18.6%から16.4%へと減少しています。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率(実績):71.9%
- 自己資本比率(中間期末):72.5%
- 流動比率(直近四半期):2.60倍(約259%)
自己資本比率は70%を超え非常に高水準であり、強固な財務基盤を有しています。流動比率も200%を大きく超えており、短期的な支払能力に優れています。提供データに負債比率は直接記載されていませんが、これら指標から財務健全性は極めて高いと評価できます。 - 財務安全性と資金繰りの状況
直近四半期の総現金は3,724億9,000万円と潤沢であり、安定した資金繰りが期待できます。高い自己資本比率と流動比率により、財務安全性は非常に高く、事業活動に必要な資金は十分に確保されていると考えられます。 - 借入金の動向と金利負担
データなし。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(実績):17.33% / 過去12か月:15.99%
- ROA(過去12か月):9.69%
- 営業利益率(過去12か月):15.60%
ROE、ROAともに非常に高い水準にあり、資本を効率的に活用して収益を創出する能力に優れています。営業利益率も高く、事業の収益性が良好であることを示しています。 - 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROE 15.99%は一般的なベンチマーク10%を大きく上回り、ROA 9.69%も一般的なベンチマーク5%を大きく上回っています。これは同社の収益性が優良であることを裏付けています。 - 収益性の推移と改善余地
過去数年間のROEは10%台後半で推移しており、安定して高い収益性を維持しています。中間期では販管費の増加や事業構成の変化により営業利益率が前年同期比で低下しましたが、通期予想では営業利益率13.2%(1,650億円 ÷ 1兆2,500億円)を見込んでおり、年間で一定の収益性を確保する見込みです。今後の改善余地としては、デジタル事業におけるタイトルポートフォリオの最適化や、販管費を含めたコストコントロールが挙げられます。 - 利益の質分析
-
営業キャッシュフローと純利益の比較(OCF/純利益比率)
過去12か月の営業キャッシュフローは1,481億6,000万円、純利益は1,274億8,300万円です。 OCF/純利益比率: 1.16倍 (1,481.6億円 / 1,274.8億円) -
アクルーアルズ比率による利益の質評価
営業キャッシュフローが純利益を上回っており、利益の質は良好です。これは、計上された利益が現金として伴っていることを示し、会計上の操作が少ない健全な収益構造であることを示唆しています。 -
キャッシュフローが利益を上回るか(1.0以上が健全)
OCF/純利益比率が1.16倍であり、1.0を大きく上回っているため、非常に健全な利益の質であると評価できます。11. 市場リスク評価
-
ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値(5Y Monthly):-0.00。この値は、市場全体の変動に対して同社株価がほとんど感応しないことを示唆しています。通常、ほとんどの株式は正のベータ値を持つため、この数値は特異であり、データ解釈には慎重な検討が必要です。もしこの値が正確であれば、市場リスクに対する影響は極めて低いことになります。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
- 52週高値: 5,729.00円
- 52週安値: 3,417.00円
現在の株価4,172円は、52週レンジ内において約32.7%の位置にあり、高値を更新する動きからは遠ざかっているものの、安値圏からも一定の距離があります。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信では、以下のリスク要因が挙げられています。 - 為替変動: グローバルに事業展開しているため、為替レートの変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。
- 原材料・燃料・物流コスト上昇: 製造業を主とする事業構造上、これらのコスト上昇は利益を圧迫する可能性があります。
- 作品・タイトルのヒット不確実性: 特にデジタル事業において、新作ゲームやコンテンツのヒットが業績に大きく影響するため、不確実性が高いです。
- 世界情勢の不透明性: 世界経済の減速、地政学リスク、貿易摩擦などが消費行動や事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- PER(会社予想): 22.50倍 (業界平均: 14.5倍)
- PBR(実績): 3.21倍 (業界平均: 1.3倍)
バンダイナムコホールディングスのPERとPBRは、いずれも業界平均を大きく上回っています。これは、市場が同社の成長性や安定した収益力を相対的に高く評価しているか、あるいは現在の株価が割高である可能性を示唆しています。 - 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- 目標株価(業種平均PER基準): 2,845円
- 目標株価(業種平均PBR基準): 1,689円
現在の株価4,172円と比較すると、業界平均倍率を適用した目標株価は大幅に低い水準にあります。 - 割安・割高の総合判断
現在の株価は、PERおよびPBRの両面で業界平均と比較して割高な水準にあります。算出された目標株価も現在株価を下回ることから、バリュエーションの観点からは割高であると判断できます。ただし、同社の強力なIPと安定した収益性、高い財務健全性といった質的な要因が、他の企業よりも高いプレミアムとして評価されている可能性も考慮されるべきです。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
- 信用買残: 694,600株
- 信用売残: 49,100株
- 信用倍率: 14.15倍
信用倍率が14.15倍と高く、信用買いが先行している状況です。これは、将来の株価上昇を期待する投資家が多いことを示唆する一方で、信用買残が積み上がっている場合は、株価が下落した際に投げ売り(反対売買)が発生し、下落圧力が強まる可能性もあるため、需給面では注意が必要です。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
- 内部者(Insiders)保有比率: 14.48% (経営陣を含む)
- 機関投資家(Institutions)保有比率: 42.09%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、日本カストディ銀行(信託口)、JPモルガン・チェース・バンクなどが大株主として名を連ねており、安定株主が一定割合を占めていると推測されます。ソニーグループや任天堂といった同業他社も株主として名を連ねている点は注目されます。 - 大株主の動向
大株主の情報からは、特定の変動があったとの記述はありません。機関投資家や信託銀行が主要な株主であることから、一般的な市場の動向に沿った売買が行われていると考えられます。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
- 実績配当利回り(Trailing Annual Dividend Yield):1.96%
- 予想配当利回り(Forward Annual Dividend Yield):0.80% (年間配当額が未定のため、この数値は不確実性が高い)
- 配当性向(実績、Payout Ratio):17.31% (過去12ヶ月)、通期予想配当性向は35.9% (2025年3月期)
実績配当性向17.31%(過去12ヶ月)は比較的低い水準であり、利益を内部留保または成長投資に充てる方針と推測されます。2025年3月期の配当性向は35.9%でした。中間配当は23.00円と前年(11.00円)から増配されていますが、期末配当は未定であり、年間配当の確定まで不確実性があります。 - 自社株買いなどの株主還元策
2025年4月30日に自己株式10,000,000株を消却しています。これは発行済株式数を減らすことで1株当たりの価値を高める株主還元策であり、株価に対してポジティブな影響を与える可能性があります。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
データなし。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
2025年11月6日、2026年3月期 第2四半期決算短信と合わせて、通期業績予想の上方修正を発表しました。売上高を1兆2,000億円から1兆2,500億円へ、営業利益を1,450億円から1,650億円へ、親会社株主に帰属する当期純利益を1,000億円から1,200億円へとそれぞれ引き上げています。 - これらが業績に与える影響の評価
通期業績予想の上方修正は、中間期の堅調な業績と、下期以降の商品・サービス計画を踏まえたものであるため、今後の業績に対する経営陣の自信の表れと捉えられます。特にトイホビー事業の好調が継続する見込みや、デジタル事業での新作タイトルへの期待が背景にあると推測されます。これは株価に好影響を与える材料となり得ます。自己株式の消却も、1株当たりの価値向上を通じて長期的な株主価値向上に寄与する施策です。
16. 総評
バンダイナムコホールディングスは、強力なIPと多角的な事業展開による「IP軸戦略」を核に、安定した収益力と高い財務健全性を誇る総合エンターテインメント企業です。売上高は長期的に増加傾向にあり、収益性指標(ROE、ROA)も業界ベンチマークを大きく上回ります。中間決算では売上が堅調に推移し、通期業績予想も上方修正されるなど、事業そのものは好調に推移していると評価できます。
強み:
- 「機動戦士ガンダム」などの世界的に認知された強力なIPポートフォリオ。
- 玩具、ゲーム、映像、アミューズメント施設と多角的な事業展開によるIP価値最大化と収益基盤の多様性。
- 非常に高い自己資本比率と潤沢な現金、健全なキャッシュフローによる強固な財務体質。
- 中期経営計画に基づいた成長投資とグローバル展開の推進。
弱み:
- デジタル事業におけるタイトルヒットの不確実性と、ゲーム開発コストの高騰。
- 中間期では販管費の増加や事業構成の違いにより営業利益率が低下傾向。
- 株価が業界平均PER/PBRと比較して割高であると判断されること。
機会:
- 日本IPのグローバル人気拡大と、それに伴う海外市場でのさらなる成長。
- 新規技術を活用したコンテンツ開発や、新たなエンターテインメント体験の創出。
- M&Aや提携による事業拡大・シナジー創出。
脅威:
- 世界経済の減速、地政学リスク、原材料価格高騰など外部環境の不確実性。
- 競合他社との激しい競争、特にデジタルコンテンツ市場での動向。
- 為替変動が海外事業の収益に与える影響。
投資判断の参考となるポイント:
同社は堅固な事業基盤と成長戦略を有しており、事業面ではポジティブな要素が多いです。ただし、現在の株価は業界平均と比較して割高な水準にあり、株価のバリュエーションには注意が必要です。テクニカル分析では短期・中期的に下降トレンドにあることが示唆されており、主要市場指数に対してもアンダーパフォームしています。今後の株価は、中期経営計画の進捗状況、特にデジタル事業における新作のヒット状況やコスト管理、そして市場全体の動向に大きく左右されるでしょう。
17. 企業スコア
- 成長性: A
売上高は過去数年堅調に推移し、中期経営計画でも事業規模拡大と海外売上比率50%以上を目指す積極的な姿勢が見られます。トイホビー事業の好調や新製品展開も成長を牽引しています。中間期も増収達成。 - 収益性: A
ROE(15.99%)とROA(9.69%)は一般的なベンチマークを大きく上回り、売上高営業利益率も高い水準にあります。収益性は非常に優良と評価できます。中間期の営業利益率低下は懸念点だが、通期予想では回復見込み。 - 財務健全性: S
自己資本比率が約72%と極めて高く、流動比率も250%超と非常に健全です。潤沢な現金も保有しており、財務安全性は最高水準であると評価します。 - 株価バリュエーション: C
現在のPER(22.50倍)およびPBR(3.21倍)は、業界平均PER(14.5倍)およびPBR(1.3倍)と比較して大幅に割高な水準にあります。算出された目標株価も現在株価を下回ることから、バリュエーションの観点からは割高と判断します。
企業情報
| 銘柄コード | 7832 |
| 企業名 | バンダイナムコホールディングス |
| URL | http://www.bandainamco.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – その他製品 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 4,172円 |
| EPS(1株利益) | 185.39円 |
| 年間配当 | 34.00円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11.4% | 24.5倍 | 7,797円 | 14.0% |
| 標準 | 8.8% | 21.3倍 | 6,015円 | 8.4% |
| 悲観 | 5.3% | 18.1倍 | 4,339円 | 1.7% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 4,172円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 3,100円 | △ 35%割高 |
| 10% | 3,872円 | △ 8%割高 |
| 5% | 4,886円 | ○ 15%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.6)」によって自動生成されました。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。