1. 企業概要

東北化学薬品は、東北地方を地盤とする専門商社です。主に化学工業薬品・試薬、臨床検査試薬・関連機器、食品添加物・加工装置、農薬・農業資材などの多岐にわたる製品を取り扱っています。事業はインダストリー、メディカル、アカデミア・ライフサイエンスの3つのセグメントに分かれ、特に医療分野の検査試薬や機器、食品関連の添加物なども幅広く提供しています。メーカーから製品を仕入れて顧客に販売するフロー型のB2B収益モデルが中心であり、地域に根ざした事業展開と幅広い製品ポートフォリオが特徴です。具体的な技術的独自性や特許に関する情報は提供されていませんが、長年の事業活動で培われた仕入れ網と販売ネットワーク、顧客への提案力が強みと考えられます。

2. 業界ポジション

東北化学薬品が属する「卸売業」において、同社は東北地方を拠点とした化学品や医薬関連品を中心とする専門商社として事業を展開しています。具体的な市場シェアは不明ですが、地域に密着したサービスで一定の存在感を示していると推測されます。
市場動向としては、原材料価格やエネルギー価格の高騰、地政学リスクの長期化など、不確実性の高い外部環境が課題として挙げられます。同社はこれらのリスクを考慮しつつ、成長戦略として「顧客ニーズの多様化や技術革新に対応し、持続的成長の実現に向けた取り組みを推進」するとしています。
競合に対する強みは、地域密着による強固な顧客基盤と、インダストリー、メディカル、アカデミア・ライフサイエンスといった多角的な事業分野を持つことによるリスク分散です。一方、セグメント利益率が比較的低い点や、特定地域への依存度が高い点が弱みとして考えられます。

  • 【定量比較】
    • 業界平均PER: 10.1倍
    • 業界平均PBR: 0.7倍
    • 以下の財務指標において、業界平均(卸売業)との比較を行います。
    • PER(会社予想): 7.96倍 (業界平均PER 10.1倍と比較して割安)
    • PBR(実績): 0.43倍 (業界平均PBR 0.7倍と比較して割安)
    • ROE(実績): 5.58% (業界平均のデータなし。一般的なベンチマーク10%と比較すると低い水準)
    • 営業利益率(実績): 1.50% (業界平均のデータなし)
  • 【同一業種区分企業比較】
企業名 コード 時価総額(百万円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%) 営業利益率(%)
東北化学薬品 7446 3,648 7.96 0.43 5.58 2.76 1.50
ダイワ通信 7116 3,167 17.99 1.38 -6.88 データなし
岩谷産業 8088 394,471 7.94 0.97 10.81 2.79 2.87
- 同社は、比較対象企業の中でPERは岩谷産業と同水準で割安感があり、PBRも割安な水準です。
- ROEは岩谷産業に劣りますが、ダイワ通信がマイナスであることから中間的な位置です。
- 営業利益率は岩谷産業の2.87%(2025/3期)と比較すると低い水準です。

3. 経営戦略

経営陣のビジョンや具体的な中期経営計画に関する詳細な記載は、提供資料からは確認できません。2025年9月期は増収増益を達成し、2026年9月期も増収増益を予想しており、堅実な事業運営を継続する方針と見られます。
重点投資分野や成長戦略に関する具体的な情報も提供資料にはありません。しかし、各セグメントの堅調な推移、特にアカデミア・ライフサイエンスセグメントの高い成長率からは、今後の事業展開において一定の期待が持てます。最近の適時開示情報(大型受注、新製品、M&A等)はありません。
これらが今後の業績に与える影響は、具体的な戦略が不明であるため詳細な分析は困難ですが、引き続き既存事業の強化と、市場環境変化への対応が業績を左右する主要因となるでしょう。

4. 財務分析

  • 【収益性】
    • 営業利益率(過去12か月): 0.92% (2025年9月期実績は1.50%)
    • ROE(過去12か月): 5.55% (ベンチマーク10%には未達)
    • ROA(過去12か月): 1.82% (ベンチマーク5%には未達)
    • 収益性指標は、卸売業という業態特性もあり、全体的にベンチマークに比べ低い水準です。
  • 【財務健全性】
    • 自己資本比率(実績): 43.0% (安定水準であるベンチマーク40%以上を達成)
    • 流動比率(直近四半期): 1.35倍 (135%) (ベンチマーク200%には未達)
    • D/Eレシオ(直近四半期): 10.13% (非常に低い水準であり、財務健全性は高いです)
  • 【成長性】
    • 売上高成長率(2025年9月期): +7.1% (34,442百万円、前年比)
    • 利益成長率(2025年9月期、親会社株主に帰属する当期純利益): +80.6% (428百万円、前年比)
    • 売上高は堅調に増加しており、利益も前期の低水準から大幅に回復しました。
  • 【キャッシュフロー】
    • 営業CF: 149百万円 (前期 -1,043百万円) → 黒字回復し大幅に改善しました。
    • 投資CF: +19百万円 (前期 -107百万円) → 固定資産売却収入が寄与しプラスに転換しました。
    • 財務CF: △2百万円 (前期 △209百万円)
    • FCF(フリーキャッシュフロー): 営CF 149百万円 + 投CF 19百万円 = 168百万円
    • 営業CF/純利益比率: 149百万円 / 429百万円 ≈ 0.35 (ベンチマーク1.0以上と比較すると低い水準であり、利益の質には懸念が残ります。特に売上債権の増加が営業CFの制約となっています。)
    • 配当カバレッジ比率: 営業CF 149百万円 / 配当支払額 112百万円 ≈ 1.33倍 (配当支払額を営業CFで賄える水準)
  • 【セグメント別分析】
    • 2025年9月期の売上高構成比と成長率:
    • インダストリー: 売上高 178.59億円 (構成比 51.8%)、前年比 +10.9%
    • メディカル: 売上高 141.14億円 (構成比 41.0%)、前年比 +0.1%
    • アカデミア・ライフサイエンス: 売上高 24.39億円 (構成比 7.1%)、前年比 +26.3%
    • セグメント別利益率(売上総利益ベース:提供資料はセグメント利益)
    • インダストリー: 利益率 9.3%
    • メディカル: 利益率 9.4%
    • アカデミア・ライフサイエンス: 利益率 12.3%
    • 成長ドライバーはインダストリーとアカデミア・ライフサイエンスセグメントであり、特にアカデミア・ライフサイエンスセグメントは高い成長率と最も高い利益率を示しています。メディカルセグメントはほぼ横ばいの推移でした。
  • 【四半期進捗】
    • 四半期個別の決算開示がないため、通期予想に対する進捗率は分析できません。

5. 株価分析

  • 【現在の水準】
    • PER(会社予想): 7.96倍
    • PBR(実績): 0.43倍
    • 業界平均PER 10.1倍、業界平均PBR 0.7倍と比較して、PER、PBRともに割安な水準にあります。
    • EPS(会社予想): 477.27円、BPS(実績): 8,798.59円
    • 理論株価レンジ(業種平均PER基準): 4,820円~6,159円となります。現在の株価3,800円はこのレンジを下回っています。
  • 【テクニカル】
    • 52週高値: 4,340円、52週安値: 3,650円。現在の株価3,800円は、52週レンジの28.9%の位置にあり、安値圏に位置しています。
    • 移動平均線との位置関係:
    • 5日MA: 3,799.00円(株価は上回り 0.03%)
    • 25日MA: 3,808.60円(株価は下回り 0.23%)
    • 75日MA: 3,839.53円(株価は下回り 1.03%)
    • 200日MA: 3,911.50円(株価は下回り 2.85%)
    • 短期移動平均線は上回っていますが、中期・長期移動平均線を下回る状況であり、株価は下降トレンド、または、もみ合いからの押し目を示唆している可能性があります。明確なゴールデンクロス/デッドクロスによる目立ったトレンド転換シグナルは現在確認できません。
  • 【市場との比較】
    • 過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年いずれの期間においても、日経平均およびTOPIXといった市場主要指数を大幅に下回る相対パフォーマンスとなっています。

6. リスク評価

  • ベータ値: 0.27 (5Y Monthly)
    • ベータ値が1未満であり、市場全体の値動きに対する感応度が低い(市場のリスクに対してあまり大きく変動しない)ことを示しています。
  • 決算短信記載のリスク要因:
    • 地政学リスク(ロシア・ウクライナ情勢、中東問題、中国景気の不透明感)
    • 為替変動(円高・円安による仕入れコスト等への影響)
    • 原材料・エネルギー価格の高騰
    • 運転資本(特に売上債権の増加)がキャッシュフローを圧迫する可能性
  • 事業特有のリスク:
    • 卸売業であるため、サプライチェーンの安定性やメーカー・顧客との関係性維持が重要です。
    • 東北地方を主要地盤とするため、地域経済の変動が業績に影響を与える可能性があります。
    • 規制対象製品(臨床検査薬、食品添加物など)の法改正リスク。
  • 52週レンジにおける現在位置: 28.9%(安値寄り)

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況:
    • 信用買残: 4,500株 (前週比 +500株)
    • 信用売残: 0株
    • 信用倍率: 0.00倍 (売残が0株のため)
    • 信用買残はありますが、信用売残がないため、株価上昇への強い期待や下落への投機的な動きは限定的とみられます。
  • 株主構成と大株主の動向:
    • 青森みちのく銀行 (9.33%)、自社取引先持株会 (8.57%)、自社従業員持株会 (5.41%) など、複数の安定株主が存在します。
  • 経営陣の持株比率と安定株主の状況:
    • 代表取締役社長 東康之氏が3.35%を保有し、主要な経営陣による株式保有が見られます。内部インサイダー保有比率40.33%、機関投資家保有比率14.62%であり、安定した株主構成です。

8. 株主還元

  • 配当利回り(会社予想): 2.76% (1株配当105.00円)
  • 配当性向(会社予想、2026年9月期): 22.0%
  • 配当の継続性・増配傾向:
    • 継続的な配当を実施しており、2025年9月期は上場30周年記念配当20円を含め年間125円でした。2026年9月期は記念配当なしの年間105円を予想しており、減配となる見込みです。
    • 過去の配当性向は年度によって変動がありますが、20%〜50%台で推移しています。
  • 自社株買いの実績と方針:
    • 2025年9月期に自己株式取得額125千円とごく少額の実績はありますが、積極的な自社株買いの方針は示されておらず、株主還元は主に配当を通じて行われています。

9. 総合評価

  • 【投資ポイント】
    • 業界平均と比較してPBR・PERともに割安な水準にあり、上方修正余地が存在する可能性がある。
    • 自己資本比率43.0%と財務健全性が高く、D/Eレシオも低水準で安定している。
    • 地域密着型の事業展開と多角的な事業ポートフォリオにより、一定の事業安定性を有する。
  • 【強み】
    • 安定した財務基盤と低い有利子負債比率。
    • 地域に根差した強固な顧客基盤と幅広い製品ラインナップ。
    • インダストリー及びアカデミア・ライフサイエンスセグメントの成長性。
  • 【弱み】
    • 営業利益率やROEなどの収益性指標がベンチマークと比較して低い。
    • 営業CF/純利益比率が低く、利益の質に懸念。
    • 積極的な事業拡大戦略やM&A、新技術導入に関する具体的な情報が不足。
  • 【機会】
    • アカデミア・ライフサイエンスセグメントの継続的な成長。
    • 割安な株価水準が再評価され、PBR1倍超えに向けた株価是正期待。
    • 東北地方の産業構造の変化や、新たな需要の取り込み。
  • 【脅威】
    • 原材料・エネルギー価格高騰、為替変動、地政学リスクといった外部環境要因。
    • 地域経済の停滞や人口減少による需要減退。
    • 競合他社との価格競争やサービス競争の激化。
  • 【注目すべき指標】
    • 営業利益率の改善(2026年9月期予想1.51%からの上振れ)
    • 営業CF/純利益比率の持続的な改善(1.0以上への引き上げ)
    • アカデミア・ライフサイエンスセグメントの売上高成長率と利益率の維持・向上

10. 企業スコア

  • 成長性: C (2025年9月期 売上成長率 7.1%)
  • 収益性: C (ROE 5.55%、営業利益率 1.50%)
  • 財務健全性: A (自己資本比率 43.0%、流動比率 135%、D/Eレシオ 10.13%)
  • 株価バリュエーション: A (PER 7.96倍、PBR 0.43倍、いずれも業界平均比で割安)

企業情報

銘柄コード 7446
企業名 東北化学薬品
URL http://www.t-kagaku.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 商社・卸売 – 卸売業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 3,800円
EPS(1株利益) 477.27円
年間配当 2.76円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 9.2倍 4,369円 2.9%
標準 0.0% 8.0倍 3,799円 0.1%
悲観 1.0% 6.8倍 3,394円 -2.2%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 3,800円

目標年率 理論株価 判定
15% 1,896円 △ 100%割高
10% 2,367円 △ 61%割高
5% 2,987円 △ 27%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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By ジニー

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