1. 企業概要

ヨコオは、無線通信・情報伝送向け部品と先進デバイスを提供する企業です。主力事業は、自動車向けアンテナなどのVCCS (Vehicle Communication & Connectivity Solutions) 事業、半導体検査用ソケットやプローブカードなどのCTC (Test Connectors & Devices) 事業、微細コネクタや医療機器部品のFC・MD (Fine Connector & Medical Device) 事業の3つの柱で構成されています。特に車載アンテナでは国内大手であり、金属細管の精密加工技術を基盤としています。収益モデルは主に法人向け(B2B)の部品販売によるフロー型ですが、MaaS/IoT向けのソリューションを提供するインキュベーションセンター事業ではサブスクリプション型サービスへの転換も目指しています。金属細管技術を応用した精密部品製造における長年のノウハウと多角的な事業展開が、同社の技術的独自性と参入障壁となっています。

2. 業界ポジション

ヨコオは車載アンテナ分野で国内大手としての地位を確立しており、半導体・スマートフォン回路検査機器、医療用デバイスと幅広い分野で事業を展開しています。
市場動向としては、CTC事業は生成AIの進展に伴う半導体検査需要の拡大を背景に増収を達成し、インキュベーションセンター事業ではMaaS/IoT領域の中長期的な成長機会を捉えるべく、事業承継を通じてソフトウェア技術確保を進めています。一方で、VCCS事業は自動車市場の回復傾向にあるものの、米国関税政策などの影響を受け、販売やコスト面で課題を抱えています。
競合に対する相対的な強みは、金属細管技術をベースとした精密加工技術と、これを応用した多岐にわたる製品ポートフォリオです。弱みとしては、VCCS事業における特定の海外市場政策による影響や、労務費上昇などのコスト圧力が挙げられます。

業界平均との財務指標比較

指標 ヨコオ (会社予想/実績) 業界平均 評価
PER (倍) 17.03 24.2 割安
PBR (倍) 0.96 1.6 割安
ROE (実績) 4.36% データなし 低め
営業利益率 3.56% (過去12か月) データなし やや低め

ヨコオのPERおよびPBRは業界平均と比較して割安な水準にあります。ただし、ROEや営業利益率はベンチマークや一般的な製造業の水準と比較して低めです。

3. 経営戦略

ヨコオの経営陣は、「ハードからソフトへ」「物売りからコト売りへ」「サブスクへ」という事業構造転換を中期経営計画のビジョンとして掲げています。
その重点投資分野は、MaaS/IoT分野におけるプラットフォーム・サブスクリプション事業を拡大するインキュベーションセンター、および生成AI需要を取り込む半導体検査装置のCTC事業です。
最近の動向として、2025年11月11日には2026年3月期通期業績予想の上方修正を発表しました。これは特にCTC事業での受注拡大と、想定為替レートを1米ドル=145円に見直したことが主な要因です。また、決算短信によれば、インキュベーションセンター事業においては光波社のネットワークソリューション事業を承継し、ソフトウェア技術の確保とMaaS/IoT事業の拡大を目指しています。
これらの戦略は、中長期的には新たな収益柱の確立と安定的な収益モデルへの転換に寄与すると期待されます。短期的な業績面では、CTC事業の好調が牽引役となる一方で、インキュベーションセンターは先行投資フェーズであるため、短期的な損失計上が続く見込みです。通期での業績達成には、CTCの需要持続と為替動向、VCCS事業における関税影響の推移が重要となります。

収益性

  • 営業利益率(過去12か月): 3.56%
  • ROE(過去12か月): 5.81% (ベンチマーク10%に対し低め)
  • ROA(過去12か月): 2.90% (ベンチマーク5%に対し低め)

中間期実績の営業利益率は3.53%と、製造業としてはやや低い水準にあります。ROEおよびROAもベンチマークを下回っており、収益性の改善が課題です。

財務健全性

  • 自己資本比率(直近四半期): 66.6% (非常に健全な水準)
  • 流動比率(直近四半期): 223.8% (流動性良好)
  • D/Eレシオ(直近四半期): 19.14% (負債依存度が低い)

非常に高い自己資本比率と流動比率を維持しており、財務基盤は強固で健全性が高いです。

成長性

  • 売上高成長率(Quarterly Revenue Growth 前年比): 8.70%
  • 売上高(通期修正予想 2026/3): 87,500百万円(2025/3期比 +5.6%)
  • 営業利益(通期修正予想 2026/3): 4,000百万円(2025/3期比 △5.4%)
  • 純利益(通期修正予想 2026/3): 3,000百万円(2025/3期比 +34.7%)

売上高は堅調な成長を続けているものの、営業利益は2024/3期に大きく落ち込み、2026/3期も減益予想です。純利益は特別利益の計上もあり改善が見込まれます。

キャッシュフロー(中間期実績)

  • 営業CF: 3,195百万円(前年同期比 △738百万円)
  • 投資CF: △2,177百万円(前年同期比 △1,921百万円、投資拡大)
  • 財務CF: △60百万円(前年同期比 △765百万円、借入増で配当等をカバー)
  • FCF(フリーキャッシュフロー): 営業CF − 投資CF = 約1,018百万円(黒字)
  • 営業CF/純利益比率(過去12か月): 2.18 (1.0以上で利益の質は非常に健全)

営業キャッシュフローは前年同期比で減少したものの、フリーキャッシュフローはプラスを維持しています。営業CF対純利益比率も高く、利益の質は優良と評価できます。

セグメント別分析(中間期実績)

  • VCCS (Vehicle Communication & Connectivity Solutions):
    • 売上: 27,238百万円(前年同期比 △1.7%)
    • 利益: 895百万円(前年同期比 △35.5%)
    • 自動車市場の関税影響とコスト増により減収減益。
  • CTC (Test Connectors & Devices):
    • 売上: 8,952百万円(前年同期比 +19.9%)
    • 利益: 804百万円(前年同期比 +1.9%)
    • 生成AI関連の半導体検査需要が好調で増収。利益への寄与は限定的。
  • FC・MD (Fine Connector & Medical Device):
    • 売上: 5,525百万円(前年同期比 +1.2%)
    • 利益: 239百万円(前年同期比 △31.1%)
    • POS向け受注調整などで減益。
  • インキュベーションセンター:
    • 売上: 956百万円(前年同期比 +485.4%)
    • 損失: 453百万円(前年同期損失430百万円、損失拡大)
    • 光波事業承継により売上が急増するも、先行投資により赤字が継続。

成長ドライバーはCTC事業であり、インキュベーションセンター事業は将来への成長投資段階にあります。VCCSおよびFC・MD事業は課題を抱えています。

四半期進捗(通期修正予想に対する中間進捗)

  • 売上高進捗率: 48.8%
  • 営業利益進捗率: 37.7%
  • 親会社株主に帰属する中間純利益進捗率: 44.4%

売上高は概ね順調な進捗ですが、営業利益の進捗が通期予想に対して遅れており、下半期での回復が求められます。純利益は特別利益(負ののれん発生益、補助金計532百万円)の計上により進捗率が高まっていますが、継続的な収益力としての評価には注意が必要です。

現在の水準

  • PER(会社予想): 17.03倍
  • PBR(実績): 0.96倍

業界平均PER24.2倍、PBR1.6倍と比較すると、PER、PBR共に割安な水準にあります。

  • EPSベース理論株価レンジ: 128.70円 (EPS) × 24.2 (業界平均PER) = 3,119.54円
  • BPSベース理論株価レンジ: 2,291.23円 (BPS) × 1.6 (業界平均PBR) = 3,665.97円

現在の株価2,192.0円は、これらの理論株価レンジと比較して下回る水準です。

テクニカル

  • 52週高値・安値との位置関係: 52週高値2,360円、安値1,018円に対し、現在の株価2,192.0円は52週レンジの87.5%の位置にあり、高値圏で推移しています。
  • 移動平均線との位置関係:
    • 5日移動平均線 (2,195.60円) を下回り 0.16%。
    • 25日移動平均線 (2,237.12円) を下回り 2.02%。
    • 75日移動平均線 (1,908.53円) を上回り 14.85%。
    • 200日移動平均線 (1,547.93円) を上回り 41.61%。

短期移動平均線は下回っていますが、中期・長期移動平均線は大きく上回っており、基調としては上昇トレンドが継続しています。

  • トレンドシグナル: 50日移動平均線が200日移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生しており、長期的な上昇トレンドを示唆しています。短期的な調整局面にあると考えられます。

市場との比較

  • 日経平均比: 過去1ヶ月では日経平均を下回るパフォーマンスですが、過去3ヶ月、6ヶ月では日経平均を大きく上回るパフォーマンスを見せています。1年リターンでは日経平均を下回っています。
  • TOPIX比: 過去1ヶ月ではTOPIXを下回るパフォーマンスです。

6. リスク評価

  • ベータ値: 0.77

ベータ値が1未満であるため、市場全体(日経平均など)の変動と比較して、ヨコオの株価変動は緩やかである(市場感応度が低い)傾向があります。ややディフェンシブな特性を持つ可能性があります。

  • 決算短信記載のリスク要因:
    • 為替変動リスク: 売上高の約7割が海外であるため、想定為替レート(1米ドル=145円)からの変動は業績に大きな影響を与える可能性があります。
    • 地政学・貿易政策リスク: 米国関税政策などが主要セグメントであるVCCSやFC・MDの販売、調達コストに影響を及ぼす可能性があります。
    • コスト上昇リスク: 原材料費や労務費の高騰が利益を圧迫する可能性があります。
    • 新規事業投資リスク: インキュベーションセンター事業への先行投資が続く中で、投資回収が計画通りに進まない場合、損失が拡大するリスクがあります。
  • 事業特有のリスク:
    • 半導体市場の変動: CTC事業は半導体市場の景気サイクル(シリコンサイクル)に影響を受けます。
    • 技術陳腐化リスク: 急速な技術革新が進む電子部品業界において、継続的な研究開発投資と新技術への対応が求められます。
    • 競争激化: 各事業分野における競争激化により、価格競争や市場シェアの変動が生じる可能性があります。
  • 52週レンジにおける現在位置: 52週レンジの87.5%と高値圏に位置しており、短期的には調整局面や下落圧力に注意が必要です。

7. 市場センチメント

  • 信用取引の状況:
    • 信用買残: 106,200株
    • 信用売残: 67,900株
    • 信用倍率: 1.56倍

信用倍率が1.56倍と極端な水準ではなく、売りと買いの需給は比較的拮抗していると考えられます。信用買残、信用売残ともに前週比で減少しており、短期的なポジション調整が進んでいる可能性があります。

  • 株主構成と大株主の動向:

大株主には日本マスタートラスト信託銀行、日本カストディ銀行といった信託銀行に加え、群馬銀行、第一生命保険、三菱UFJ銀行などの機関投資家が多く名を連ねています。これは比較的安定した株主構成を示唆しており、市場からの長期的な評価が期待できます。

  • 経営陣の持株比率と安定株主の状況:

Insidersによる株式保有比率は7.96%であり、経営陣も一定の株式を保有することで、株主目線での経営への意識が高いと考えられます。大口の機関投資家が多いことも、株主構成の安定性に寄与しています。

8. 株主還元

  • 配当利回り(会社予想): 2.28%(株価2,192.0円、年間配当予想50円より算出)
  • 配当性向(会社予想): 38.85%(EPS128.70円、年間配当50円より算出)
  • 配当の継続性・増配傾向:

ヨコオは継続的に配当を実施しています。2024年3月期には減配がありましたが、2025年3月期は48円、2026年3月期は50円と増配傾向にあります。2026年3月期は中間期で25円の実績があり、期末も25円が予想されています。

  • 自社株買いの実績と方針:

提供されたデータおよび決算短信に、自社株買いの実績や方針に関する具体的な記載はありません。

投資ポイント

  • 半導体関連(CTC)事業の生成AI需要を背景とした成長性と、MaaS/IoT領域への事業構造転換に向けた積極的な投資。
  • 非常に強固な財務健全性(自己資本比率、流動比率、D/Eレシオ)。
  • 業界平均と比較して割安な株価バリュエーション。

強み

  • 金属細管技術を核とした、車載アンテナ、半導体検査、医療用デバイスといった多角的な事業ポートフォリオ。
  • 高い自己資本比率と潤沢なキャッシュフローに裏打ちされた盤石な財務基盤。
  • グローバルに展開する事業網。

弱み

  • VCCSセグメントにおける海外の貿易政策(米国関税)やコスト上昇に起因する収益性への影響。
  • インキュベーションセンター事業の早期黒字化が課題であり、現時点では先行投資による損失が継続。
  • ROE、ROA、営業利益率といった収益性指標が業界平均やベンチマークと比較して低位。

機会

  • 生成AI市場の拡大に伴う半導体関連デバイス(CTC)の需要増加。
  • MaaS/IoT市場の成長による新たなアンテナ・ソリューションやサブスクリプション型サービス展開の可能性。
  • 自動車のEV化・CASE化に伴う車載部品の高度化・多機能化ニーズ。

脅威

  • 為替レートの急激な変動が多大な海外売上比率に与える影響。
  • 世界経済の減速や地政学的リスク(貿易摩擦、関税問題)の深刻化。
  • 原材料価格や労務費の高騰による利益率への圧力。
  • 各事業分野における技術陳腐化と競争激化。

注目すべき指標

  • CTCセグメントの売上高成長率と利益率の継続的な向上。
  • インキュベーションセンターセグメントの黒字化時期および赤字幅の推移。
  • 通期営業利益予想4,000百万円の達成状況と、下半期における営業利益進捗率の改善。
  • ROEの継続的な向上(中期的な目標として10%以上を目指す動きに注目)。

10. 企業スコア

  • 成長性: B
  • 収益性: C
  • 財務健全性: S
  • 株価バリュエーション: S

企業情報

銘柄コード 6800
企業名 ヨコオ
URL http://www.yokowo.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 電機・精密 – 電気機器

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 2,192円
EPS(1株利益) 128.70円
年間配当 2.28円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 1.9% 20.8倍 2,944円 6.2%
標準 1.5% 18.1倍 2,505円 2.8%
悲観 1.0% 15.4倍 2,082円 -0.9%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 2,192円

目標年率 理論株価 判定
15% 1,252円 △ 75%割高
10% 1,563円 △ 40%割高
5% 1,972円 △ 11%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.10)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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