企業の一言説明

日本化学産業は、無機化学薬品(メッキ薬品、触媒原料、二次電池用正極材など)を主力とし、防火建材も手掛ける老舗化学メーカーです。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 堅固な財務基盤と安定配当: 自己資本比率85.6%と流動比率6.29倍という極めて高い財務健全性を誇り、安定した配当方針(配当利回り3.34%)を維持しています。
  • 成長分野への積極投資: 電子工業向け薬品や二次電池用正極材受託加工が主力事業を牽引し、中期経営計画においてリチウムイオン電池リサイクル事業への参入を推進するなど、次世代の成長ドライバー育成に注力しています。
  • バリュエーションの割高感と収益効率の課題: PER、PBRともに業界平均を大きく上回る水準で推移しており、株価には割高感が見られます。また、ROEが低い水準にあり、Piotroski F-Scoreが示すように、収益効率の改善が今後の課題です。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 B 堅調な推移
収益性 B 改善余地あり
財務健全性 B 極めて安定
バリュエーション D 割高感強い

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 2,692.0円
PER 23.60倍 業界平均15.9倍
PBR 1.09倍 業界平均0.7倍
配当利回り 3.34%
ROE 5.12%

1. 企業概要

日本化学産業は、1924年創業の老舗化学メーカーです。主要事業は、無機金属製品、有機金属化合物、表面処理剤などを製造・販売する薬品事業(連結売上高の85%)と、防火・防水・換気建材などを扱う建材事業(同15%)です。特に、電子工業向けの薬品や電池材料向けの受託加工を主力とし、高い技術的独自性と市場の参入障壁を持つニッチな分野で強みを発揮しています。二次電池関連材料やリチウムイオン電池リサイクルといった成長分野への事業領域拡大を進めています。

2. 業界ポジション

同社は、特殊化学品(Specialty Chemicals)分野に属し、特に無機化学薬品および表面処理剤において歴史と実績を持つ大手企業です。ニッチな分野で独自の技術力を培い、電子部品や電池材料といった成長領域に製品・サービスを提供しています。競合他社と比較すると、ROEなどの収益性指標には改善余地があるものの、高い自己資本比率に裏打ちされた財務基盤は強みです。業界平均PER15.9倍、PBR0.7倍に対し、同社のPERは23.60倍、PBRは1.09倍であり、現在の株価は業界平均と比較して割高な水準にあります。

3. 経営戦略

日本化学産業は、2023年10月に中期経営計画を策定し、2030年を見据えた成長戦略を推進しています。特に、リチウムイオン電池リサイクル事業への参入を掲げ、パイロットプラントの建設を進めるなど、事業構造の転換と持続的成長の実現を目指しています。直近では、2026年3月期の通期業績予想を上方修正し、主力である薬品事業の堅調な販売拡大やタイ子会社の寄与が好調な業績を牽引しています。

今後のイベント:

  • 2026年3月30日: 配当権利落ち日 (Ex-Dividend Date)

【財務品質スコア】

項目 スコア 投資家向け解釈
Piotroski F-Score 2/9 (C) 要注意レベル

投資家向け解釈: Piotroski F-Scoreが2点と、「要注意」レベルに分類されます。特に、収益性スコア1/3、財務健全性スコア1/3、効率性スコア0/3という内訳であり、高い自己資本や流動性を持ちながらも、資産や経営資源の有効活用といった効率性の面で改善の余地が大きいことを示唆しています。

【収益性】

指標 ベンチマーク 評価
営業利益率 (過去12ヶ月) 9.40% (業界平均と比べるのが望ましい) まずまず
ROE (実績) 5.12% 10% 改善余地あり
ROA (過去12ヶ月) 3.24% 5% 改善余地あり

解説: ROE (株主のお金でどれだけ稼いだか) は5.12%と、一般的な目安である10%を下回っており、資本効率の改善が課題です。ROA (総資産でどれだけ効率的に稼いだか) も3.24%と、同様に改善の余地があります。営業利益率は9.40%と一定水準を維持していますが、販売費及び一般管理費の増加による利益圧迫が見られます。

【財務健全性】

指標
自己資本比率 (実績) 85.6%
流動比率 (直近四半期) 6.29倍

解説: 自己資本比率が85.6%と極めて高く、また流動比率も6.29倍と、短期的な支払い能力も非常に優れており、極めて健全な財務体質を維持しています。借入金も非常に少なく、安定した経営基盤が特徴です。

【キャッシュフロー】

指標
営業CF (過去12ヶ月) 3,050百万円
FCF (過去12ヶ月) 708百万円

解説: 営業活動によるキャッシュフローは安定的にプラスであり、本業で着実に現金を創出できています。フリーキャッシュフローもプラスを維持しており、事業投資や株主還元に充てる資金余力があることを示しています。直近四半期では、定期預金の払戻しにより投資CFが大幅に改善し、全体的なキャッシュポジションは良好です。

【利益の質】

指標 評価 投資家向け解釈
営業CF/純利益比率 1.29 S 優良(キャッシュフローが利益を大幅に上回る)

投資家向け解釈: 営業CF/純利益比率が1.29と1.0を大きく上回っており、帳簿上の利益(純利益)に対し、実質的な現金の流入(営業キャッシュフロー)が豊富であることを示しています。これは、売掛金の回収が順調であるなど、利益の質が極めて高い状態を表します。

【四半期進捗】

項目 中間実績 (百万円) 通期予想 (百万円) 進捗率 評価
売上高 13,289 26,200 50.7% 順調
営業利益 1,517 2,680 56.6% やや上振れ
純利益 1,254 2,220 56.5% やや上振れ

解説: 2026年3月期中間期決算における通期予想への進捗率は、売上高が約51%、営業利益および純利益が約57%と、いずれも50%を超えており、通期目標達成に向けて良いペースで推移しています。これは、会社が通期業績予想を上方修正したこととも整合的です。

【バリュエーション】

指標 業界平均 割安/適正/割高
PER (会社予想) 23.60倍 15.9倍 割高
PBR (実績) 1.09倍 0.7倍 割高
目標株価 (業種平均PER基準) 1,932円
目標株価 (業種平均PBR基準) 1,736円

解説: PER (株価が利益の何年分か) は23.60倍、PBR (株価が純資産の何倍か) は1.09倍であり、それぞれ業界平均である15.9倍、0.7倍と比較して割高な水準にあります。業界平均基準の目標株価を下回っていることから、現在の株価は収益や資産価値に対して高めに評価されている可能性があり、バリュエーション面では割高感があるといえます。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 解釈
MACD 中立 短期トレンド方向を示す
RSI 中立 過熱・売られすぎ判断

解説: MACDおよびRSIともに中立の状態を示しており、直近で強い上昇トレンドや下降トレンド、あるいは買われすぎ・売られすぎといった過熱感は確認されません。

【テクニカル】

現在株価2,692.0円は、年初来高値2,746円に近く、52週レンジ内位置で96.4%と高水準にあります。直近の移動平均線を見ると、5日移動平均線 (2,668.00円)、25日移動平均線 (2,495.64円)、75日移動平均線 (2,334.48円)、200日移動平均線 (2,119.62円)の全てを上回っており、短期から長期にかけて明確な上昇トレンドが継続しています。

【市場比較】

日経平均株価との比較では、過去1ヶ月、3ヶ月、1年間のリターンで日経平均を上回るパフォーマンスを見せています。特に1年リターンでは+77.34%と日経平均の+35.56%を大きくアウトパフォームしており、相対的に強い上昇傾向にあります。TOPIXとの比較でも同様に優位性を示しています。ただし、過去6ヶ月リターンでは日経平均をやや下回っていますが、長期的な観点では市場全体を牽引する動きが見られます。

6. リスク評価

注意事項: ⚠️ 信用倍率が0.00倍と表示されていますが、信用売残が0株に対し信用買残が653,700株と積み上げられており、将来的な売り圧力が懸念される可能性があります。

【定量リスク】

指標 投資家向け解釈
ベータ値 (5Y Monthly) 0.37 市場全体(日経平均など)の変動に対し、株価の変動は相対的に小さい
年間ボラティリティ 26.90% 仮に100万円投資した場合、年間で±26.9万円程度の変動が想定される
最大ドローダウン -54.13% 過去最悪期には、株価が54.13%下落した経験がある。この程度の下落は今後も起こりうる
シャープレシオ -1.18 リスクに見合うリターンが得られていない(過去5年間)
年間平均リターン -31.32% 過去5年間の平均リターンはマイナス。ただし、直近1年間は+77.34%と大幅な上昇を見せているため、足元では状況が異なる。

解説: ベータ値0.37は市場全体と比べて価格変動が小さい傾向を示しており、比較的安定した銘柄と言えます。しかし、年間ボラティリティ26.90%は、投資元本に対する年間約27%の価格変動幅を覚悟する必要があることを意味します。最大ドローダウン-54.13%は、過去に経験した最大の下落率であり、将来的な投資においても同様のリスクが存在する可能性を示唆します。シャープレシオはマイナスであり、過去5年間ではリスクに見合うリターンが得られていなかったと評価されますが、これは株価トレンドデータ(直近1年で+77.34%)と乖離があるため、評価期間の違いに注意が必要です。

【事業リスク】

  • 原材料価格・為替変動リスク: 無機化学薬品は国内外の資源価格や為替レートに大きく影響を受けるため、調達コストの変動や採算悪化のリスクがあります。
  • 市場競争・需要変動リスク: 主力事業である電子工業向け薬品や二次電池向け材料は、技術革新や市場環境の変化、特にEV市場の動向に大きく左右され、競争激化や需要減少が収益に影響を及ぼす可能性があります。
  • 販売費及び一般管理費の増加: 直近の中間決算では、売上増にもかかわらず販管費の増加が営業利益の伸びを抑制しており、コストコントロールが適切に行われない場合、収益性が圧迫されるリスクがあります。

信用取引状況

  • 信用買残: 653,700株
  • 信用売残: 0株
  • 信用倍率: 0.00倍 (※信用売残が0株のため、計算上0倍と表示。実質的には信用買いが積み上がっており、将来的な売り圧力が懸念される可能性があります。)

解説: 信用売残が0株である一方で、信用買残が60万株以上と多量に積み上がっている状況は、将来的な「需給の緩み」となる可能性があります。これは、信用で株を買った投資家が、いずれは売却に転じるため、潜在的な売り圧力が存在することを示唆します。

主要株主構成

上位3社は以下の通りです。

  • 自社取引先グループ持株会: 10.38%
  • 日本カストディ銀行(信託口): 6.70%
  • 大樹生命保険: 4.93%

解説: 取引先グループや持株会、機関投資家が大株主に名を連ねています。自社株口も2.58%保有しており、安定株主が多い構造と言えます。

株主還元指標

指標
配当利回り (会社予想) 3.34%
1株配当 (会社予想) 90.00円
配当性向 (通期予想ベース) 78.9%

解説: 配当利回り3.34%は、現在の市場金利と比較しても魅力的な水準です。配当性向 (利益の何%を配当に回しているか) は78.9%と高めですが、安定した配当を継続する姿勢がうかがえます。過去の配当性向履歴を見ると、直近3期は40-70%台で推移しており、増配傾向にあります。自社株買いに関する直近の具体的な発表はありません。

SWOT分析

強み

  • 高い自己資本比率と流動比率に裏打ちされた盤石な財務基盤
  • 電子工業向け薬品や二次電池材料分野での長年の技術と実績

弱み

  • ROEが低く、資本効率と収益性の改善が課題
  • 販管費増加による営業利益の伸び悩み、Piotroski F-Scoreが示す経営効率の懸念

機会

  • リチウムイオン電池リサイクルなど、サステナビリティ関連の新規事業領域への拡大
  • 東アジア・東南アジア市場での需要拡大と海外拠点の寄与

脅威

  • EV市場の成長鈍化懸念や為替・原材料価格の変動が収益を圧迫する可能性
  • 想定以上の販管費増加や研究開発投資が短期的な利益を抑制する可能性

この銘柄が向いている投資家

  • 安定志向の長期投資家: 極めて高い財務健全性と安定した配当を重視する投資家。
  • 成長分野への投資を期待する投資家: 二次電池関連やリサイクル事業など、将来の成長テーマに関心がある投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • バリュエーションの割高感: PER/PBRが業界平均を上回っており、現在の株価水準が適正か、期待される成長性が織り込まれているかを慎重に評価する必要があります。
  • 収益性改善の進捗: 低いROEやPiotroski F-Scoreが示す資本効率・経営効率の課題に対し、中期経営計画がどのように収益改善に寄与するかを継続的に確認することが重要です。

今後ウォッチすべき指標

  • ROE改善: 目標値8%以上への達成状況
  • 新規事業(リサイクル等)の進捗と収益貢献度: 具体的な売上・利益貢献のフェーズ
  • 営業利益率の推移: 販管費増加を抑制し、収益性を確保できるか

10. 企業スコア(詳細)

  • 成長性: B (堅調な推移)
    • 根拠: 過去の売上高成長率は変動があるものの、直近1年間では増収基調にあり、2026年3月期の通期予想も上方修正されています。特に、電子工業向けや次世代電池関連といった成長分野への注力による将来的な成長期待は持てるものの、持続的かつ大幅な成長を示しているとまでは言えないため「B」と評価しました。
  • 収益性: B (改善余地あり)
    • 根拠: 営業利益率(過去12ヶ月)9.40%はベンチマーク(5-10%)の範囲内で堅調ですが、ROE(実績)5.12%はベンチマーク(10%)を大きく下回っています。営業利益率が「B」の基準を満たす一方で、ROEが「C」の基準に該当するため、総合的に見て「B」と評価しました。特に資本効率の改善が今後の課題です。
  • 財務健全性: B (極めて安定)
    • 根拠: 自己資本比率85.6%と流動比率6.29倍は、それぞれS評価の基準(自己資本比率60%以上、流動比率200%以上)を大きく上回る極めて高い水準です。しかし、Piotroski F-Scoreが2点とC評価(2-3点)に留まっているため、これらの高評価を相殺し、総合的な財務健全性を「B」と評価しました。F-Scoreが低いのは、収益性や効率性で点数が取れなかったことが要因です。
  • バリュエーション: D (割高感強い)
    • 根拠: PER23.60倍、PBR1.09倍は、それぞれ業界平均PER15.9倍、PBR0.7倍と比較して大きく上回っています。評価基準では業界平均の130%以上は「D」となるため、PER/PBRともに「D」の基準に該当し、全体として「D」と評価しました。現在の株価は収益性や資産価値に対して割高に評価されていると判断できます。

企業情報

銘柄コード 4094
企業名 日本化学産業
URL http://www.nihonkagakusangyo.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 素材・化学 – 化学

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 2,692円
EPS(1株利益) 114.08円
年間配当 3.34円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 5.4% 25.8倍 3,822円 7.4%
標準 4.1% 22.4倍 3,133円 3.2%
悲観 2.5% 19.1倍 2,459円 -1.6%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 2,692円

目標年率 理論株価 判定
15% 1,567円 △ 72%割高
10% 1,957円 △ 38%割高
5% 2,470円 △ 9%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.17)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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