企業の一言説明
中村屋は和菓子、洋菓子、中華まん、レトルトカレーなどの食品製造・販売、レストラン運営、および不動産賃貸事業を展開する老舗企業です。
投資判断のための3つのキーポイント
- 老舗ブランドと多角化事業による安定性: 1901年創業の老舗企業としてのブランド力と、菓子・食品・不動産賃貸という多様な事業ポートフォリオを持つことで、特定の市場変動に対するリスク分散が図られています。特に中華まんが収益の柱であり、下期偏重の季節性があります。
- 純資産に対する割安感と高い財務健全性: PBRが0.69倍と業界平均の1.2倍を大きく下回っており、純資産に対して株価が割安な水準にあります。さらに、自己資本比率が62.1%と高く、流動比率も215%と財務基盤は非常に安定しています。これは、企業の資産価値に対するバリュー投資の魅力を示唆しています。
- 利益面の不安定さと今後の立て直しに注目: 直近の2026年3月期中間期決算では、工場閉鎖に伴う減価償却費の前倒しや基幹システム更新費用、原材料高騰などが影響し、大幅な営業損失を計上しています。会社は通期予想を据え置いていますが、下期での急激な利益回復が必須であり、構造改革の成果とコスト管理が今後の業績を大きく左右する重要な局面です。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | D | 停滞・後退中 |
| 収益性 | D | 低水準 |
| 財務健全性 | A | 健全 |
| バリュエーション | S | 割安 |
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 3130.0円 | – |
| PER | 34.77倍 | 業界平均16.8倍 |
| PBR | 0.69倍 | 業界平均1.2倍 |
| 配当利回り | 2.24% | – |
| ROE | 3.30% | – |
1. 企業概要
中村屋は1901年創業の老舗食品企業です。事業は「菓子事業」「食品事業」「不動産賃貸事業」の3つを柱とし、洋菓子・和菓子、インド式カレーや中華まんなどのレトルト食品、業務用食品の製造・販売、レストラン運営、商業ビルの賃貸を行っています。主力は中華まんを含む食品事業で、特に冬季に需要が偏重する季節性があります。長年にわたり培われたブランド力と、食品製造から小売、飲食、不動産まで多角的な事業展開が特徴です。
2. 業界ポジション
中村屋は日本の食品業界において、和菓子・中華まん・インドカレーの草分け的存在として老舗の地位を確立しています。特定の製品群で高い認知度を持つ一方で、多様な食品メーカーや小売業との競争に直面しています。PBR0.69倍は業界平均1.2倍を下回っており、純資産価値に対する市場評価は低い水準にあります。一方でPER34.77倍は業界平均16.8倍を大きく上回っており、利益水準と比較すると株価は割高に見えますが、これは直近の利益変動が大きく影響している可能性があります。
3. 経営戦略
中村屋は「中村屋2027ビジョン」を掲げ、構造改革と売上拡大基盤の整備を進めています。直近では、神奈川工場の一部閉鎖に伴う固定資産の耐用年数短縮による減価償却費の前倒し計上や、基幹システムの更新など、将来を見据えた設備投資と一時費用の発生が特徴です。菓子事業では商品のカジュアル化やデイリー化を推進し、食品事業ではレトルトカレー等で新商品を投入しています。2026年3月30日に配当落ち日が予定されています。
4. 財務分析
【財務品質スコア】Piotroski F-Score:0/9 (D: 要注意)
投資家向け解釈:Piotroski F-Scoreは、収益性、財務健全性、効率性の9つの項目で企業の財務状況を評価する指標です。中村屋のスコアは0/9と低く「要注意」と判定されます。これは主に、低い営業利益率やROE、営業キャッシュフローの純利益に対する健全性の欠如などが要因と推測されます。ただし、後述の自己資本比率や流動比率は高水準であり、スコアが低いからといって直ちに倒産リスクがあるわけではなく、収益性の課題に起因する側面が強いと解釈できます。
【収益性】
| 指標 | 値 | ベンチマーク | 評価コメント |
|---|---|---|---|
| 営業利益率(過去12ヶ月) | 2.69% | 10%以上 | ベンチマークより低く、収益性が課題 |
| ROE(実績) | 3.30% | 10%以上 | 株主資本を効率的に活用できておらず、収益改善が急務 |
| ROA(実績) | 1.96% | 5%以上 | 総資産に対して得られる利益が少なく、資産効率に改善の余地がある |
【財務健全性】
| 指標 | 値 | ベンチマーク | 評価コメント |
|---|---|---|---|
| 自己資本比率(実績) | 62.1% | 40%以上 | 非常に高く、倒産リスクが低い健全な財務基盤 |
| 流動比率(中間期概算) | 215% | 120%以上 | 非常に高く、短期的な支払能力が十分に確保されている |
【キャッシュフロー】
- 営業キャッシュフロー(中間期): +1,207,450千円。税引前損失を計上しつつも、減価償却費や長期前受収益の増加などによりプラスを確保しています。本業からの資金獲得能力は辛うじて維持されている状況です。
- フリーキャッシュフロー(中間期): △848,261千円。積極的な設備投資(有形固定資産取得支出△1,927,973千円)により、営業CFを上回る投資支出があり、フリーCFはマイナスとなっています。これは、資金調達なしには事業活動を賄えない状況を示しており、今後の資金繰りに注意が必要です。
- 現金同等物残高(中間期末): 1,716,580千円。前期末比で約8.9億円減少しています。
【利益の質】
- 営業CF/純利益比率(中間期): 営業CF 1,207,450千円 / 中間純損失 △1,327,419千円 ≈ △0.91。純損失のため比率の解釈には注意が必要ですが、営業キャッシュフローがプラスであることは、帳簿上の赤字にもかかわらず、本業によるキャッシュ創出力が一定程度あることを示唆しています。しかし、その額が純損失をカバーするまでには至っていません。
【四半期進捗】
- 通期予想に対する進捗率(2026年3月期中間期):
- 売上高進捗率:33.2%。同社は冬季(下期)に中華まんなどの需要が高まるため、売上高は下期偏重の季節性があります。これを考慮すると、中間期としての進捗は許容範囲内と見ることができます。
- 営業利益進捗率:約△292.4%(中間期で△1,930,131千円の営業損失)。通期で660百万円の営業利益予想を達成するためには、下半期に大幅な利益改善が不可欠であり、非常に挑戦的な目標と言えます。
- 純利益進捗率:約△255.3%(中間期で△1,327,419千円の純損失)。営業利益同様、通期予想の達成には下期の大幅な回復が必要です。
5. 株価分析
【バリュエーション】
| 指標 | 値 | 業界平均 | 判定 |
|---|---|---|---|
| PER(会社予想) | 34.77倍 | 16.8倍 | 非常に割高 |
| PBR(実績) | 0.69倍 | 1.2倍 | 割安 |
PERは業界平均と比較してかなり割高であり、現在の利益水準から見ると株価は高いと判断できます。しかし、PBRは業界平均を大きく下回り、純資産に対して割安な水準です。これは、企業の保有資産価値から見ると「解散価値を下回る」可能性を示唆し、バリュー投資の観点からは魅力があると言えます。PERとPBRで評価が大きく異なるため、慎重な判断が必要です。業種平均PER基準の目標株価は2240円、業種平均PBR基準の目標株価は5239円と、ここでも大きな乖離が見られます。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 解釈 |
|---|---|---|
| MACD | 中立 | 短期的なトレンドは現時点では不明確 |
| RSI | 中立 | 相場の過熱感や売られすぎ感はなし |
【テクニカル】
現在の株価(3130.0円)は、52週高値3365円の37.5%に位置しており、高値圏からは距離があるものの、安値圏からも少し上昇した水準です。移動平均線を見ると、現在株価は5日移動平均線(3123.00円)、25日移動平均線(3093.00円)、75日移動平均線(3069.40円)、200日移動平均線(3111.88円)の全てを上回っています。これは、短期から中長期にかけて緩やかな上昇トレンドにあるか、少なくとも下落トレンドにはないことを示唆しています。
【市場比較】
中村屋の株価は、日経平均株価およびTOPIXに対して、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年といった全ての期間で相対的にアンダーパフォームしています。特に6ヶ月、1年という長期で見ると、市場の指数が大きく上昇している中で、中村屋の株価はほぼ横ばいまたは微減となっており、市場全体のパフォーマンスには追随できていない状況です。
6. リスク評価
【注意事項】
⚠️ 信用倍率が5.22倍と高水準です。将来的に信用買い残の反対売買(売り)が発生する可能性があり、株価への下方圧力となることに注意が必要です。
【定量リスク】
- ベータ値: 0.07。市場全体の動きに対する株価の連動性が非常に低いことを示します。市場が大きく変動しても、中村屋の株価は比較的安定している傾向があります。
- 年間ボラティリティ: 14.01%。株価の年間の変動幅は比較的小さいことを示します。
- シャープレシオ: 0.04。リスクに見合うリターンが十分に得られていない、またはリターンがリスクに対して非常に小さいことを意味します。
- 最大ドローダウン: -10.57%。仮に100万円投資した場合、過去の経験則から年間で±14.01万円程度の変動が想定され、最も悪いケースでは10.57万円程度の評価損を被る可能性があったことを示します。
【事業リスク】
- 原材料価格・エネルギーコスト高騰: 食品製造業であるため、原材料や包装資材、人件費、物流費、エネルギー価格の変動は収益を直接圧迫するリスクがあります。
- 消費者の購買意欲の低下: インフレや賃金伸び悩みなどにより、消費者の節約志向が高まることで、菓子やレストラン利用といった嗜好品・サービスへの支出が抑制され、売上に影響が出る可能性があります。
- 構造改革に伴う費用増加と効果発現の遅延: 工場閉鎖やシステム更新などの構造改革は、一時的に多額の費用を伴います。これらの投資が計画通りに収益改善に繋がらない場合や、効果の発現が遅れる場合は、さらなる業績悪化につながる可能性があります。
7. 市場センチメント
信用取引状況:
- 信用買残:9,400株
- 信用売残:1,800株
- 信用倍率:5.22倍
信用倍率が5倍を超えており、比較的高い水準にあるため、将来的に信用買い残が決済される際の売り圧力が株価に影響を与える可能性があります。
主要株主構成:
上位3社は以下の通りです。
- 自社取引先持株会:11.29%(675,000株)
- 日本マスタートラスト信託銀行(信託口):9.82%(587,000株)
- みずほ銀行:4.67%(279,000株)
自社取引先持株会や銀行が上位株主に名を連ねており、比較的安定した株主構成と言えます。機関投資家による保有割合は全体の14.51%です。
8. 株主還元
- 配当利回り(会社予想): 2.24%
- 1株配当(会社予想): 70.00円
- 配当性向(会社予想ベース): 77.75%
配当利回りは市場平均と比較して標準的な水準です。ただし、予想ベースの配当性向が77.75%と高い水準にあり、利益水準に対して積極的に株主還元を行おうとしている姿勢が見えます。しかし、前述の中間期が大幅な損失であることを考慮すると、通期予想EPS90.03円の達成と、その上での安定配当維持の実現可能性には注意が必要です。
- 自社株買いの状況: データなし。
SWOT分析
強み
- 100年以上の歴史を持つ「中村屋」のブランド力と高い知名度。
- 菓子、食品、外食、不動産賃貸といった多角的な事業ポートフォリオによるリスク分散。
- 自己資本比率62.1%、流動比率215%と極めて高い財務健全性。
弱み
- 低水準の収益性(ROE 3.30%、営業利益率 2.69%)と不安定な利益構造、直近の中間期は大幅な営業損失。
- 市場全体のパフォーマンス(日経平均・TOPIX)に対して継続的なアンダーパフォーム。
- 原材料高騰や人件費上昇に対するコスト吸収力の課題。
機会
- インバウンド需要の回復や外食産業の活性化によるレストラン事業の売上改善。
- 構造改革と設備投資(工場閉鎖、システム更新)による将来的な生産性向上とコスト削減。
- PBRが低く、割安感を訴求することで、バリュー投資家からの注目度が高まる可能性。
脅威
- 消費者物価上昇による食料品への購買意欲減退および競合他社との価格競争激化。
- 為替変動や地政学的リスクによる原材料価格のさらなる高騰。
- 構造改革に伴う一時費用の想定以上の膨張や、改革効果が計画通りに発現しないリスク。
この銘柄が向いている投資家
- 安定した財務基盤を重視するバリュー投資家: PBRが低く、自己資本比率が高いことから、企業の持つ純資産価値に注目する投資家にとって魅力的な可能性があります。
- 老舗ブランドを応援する長期投資家: 企業が長年培ってきたブランド力や歴史に価値を見出し、短期的な業績変動よりも中長期的な成長と文化継承を期待する投資家。
この銘柄を検討する際の注意点
- 通期業績予想に対する中間期の大幅赤字を鑑み、設定された下期の回復シナリオが実現可能かどうかを慎重に判断する必要があります。特に、原材料価格や販売チャネル戦略の動向は重要な要素です。
- 低い収益性と成長性が改善されない場合、PBRの割安感が長期的に解消されない可能性(バリュートラップ)があります。構造改革の具体的な成果と利益率改善の進捗を注視することが不可欠です。
今後ウォッチすべき指標
- 下期の業績進捗率: 特に営業利益と純利益が通期予想に対してどの程度回復するか。
- 営業利益率の改善状況: コスト削減や値上げの効果がどの程度織り込まれるか。
- フリーキャッシュフローの改善: 積極的な設備投資後の資金創出力の推移。
- 原材料価格の動向: 小麦粉、食肉、エネルギーなどの主要原材料価格の安定化。
10. 企業スコア(詳細)
成長性:D
中村屋は、売上高は微増傾向にあるものの、利益面で不安定さが目立ちます。特に2023年3月期には営業、経常、純利益が赤字となり、直近の2026年3月期中間期でも大幅な営業損失を計上しています。これは持続的な成長を示しているとは言えず、むしろ停滞または後退していると判断できます。
収益性:D
実績ベースのROEは3.30%(日経2025/3)、営業利益率は2.69%(過去12ヶ月平均)と、一般的な目安であるROE10%や営業利益率5%を大きく下回っています。さらに、直近の中間期では営業損失を計上しており、株主資本および事業活動から効率的に利益を生み出す能力は低いと評価されます。
財務健全性:A
自己資本比率62.1%は非常に高く、企業の安定した財務基盤を示しています。また、中間期概算の流動比率も215%と短期的な支払能力に問題はありません。Piotroski F-Scoreが0点と低い評価ですが、これは主に収益性の低さに起因するものであり、自己資本や流動性の高さは極めて健全な水準にあります。この安定した財務体力を考慮し、A評価とします。
バリュエーション:S
PBRは0.69倍(実績)と、業界平均1.2倍の約58%の水準にあり、純資産価値から見て非常に割安です。これは評価基準の「S(PER/PBR業界平均の70%以下)」を満たします。一方でPERは34.77倍(会社予想)と業界平均16.8倍の2倍強と高く、利益水準から見ると割高な評価ですが、PBRの強い割安感を重視し、総合的にS評価とします。PERの高さは直近の収益性の不安定さに大きく影響を受けている可能性があります。
企業情報
| 銘柄コード | 2204 |
| 企業名 | 中村屋 |
| URL | http://www.nakamuraya.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 食品 – 食料品 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 3,130円 |
| EPS(1株利益) | 90.03円 |
| 年間配当 | 2.24円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 23.7% | 33.8倍 | 8,825円 | 23.1% |
| 標準 | 18.3% | 29.4倍 | 6,119円 | 14.4% |
| 悲観 | 11.0% | 25.0倍 | 3,781円 | 3.9% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 3,130円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 3,052円 | △ 3%割高 |
| 10% | 3,811円 | ○ 18%割安 |
| 5% | 4,809円 | ○ 35%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.17)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。