企業の一言説明
アイザワ証券グループは、国内の独立系中堅証券会社で、米国を含むアジア12市場の株式取扱に強みを持つ企業です。2021年10月の持株会社化を経て、総合金融サービスへの転換を図っています。
投資判断のための3つのキーポイント
- アジア市場への強みとストック型収益への転換戦略: 独立系証券として、国内大手とは異なるニッチなアジア市場での優位性を持ち、安定的な収益源となるストック型ビジネスモデル(ラップサービス、IFA連携)への変革を進めています。総預かり資産が過去最高を更新するなど、着実に進捗が見られます。
- 積極的な株主還元策: 2025年3月期から2028年3月期にかけて、特別配当(1株70円)と自己株式取得を含む総額200億円以上の株主還元を計画しており、株主還元への高い意欲を示しています。
- 業績のボラティリティと収益性への課題: 金融市場の変動に業績が左右されやすく、特に直近の四半期では営業利益が大幅に減少(前年同期比▲92.9%)しました。低い営業利益率と、ROE目標(8%)への未達が継続しており、収益力の安定化と向上が今後の課題です。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | C | 緩やかな成長 |
| 収益性 | C | 改善の余地あり |
| 財務健全性 | B | まずまず良好 |
| バリュエーション | B | 適正水準 |
※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 1,433.0円 | – |
| PER | データなし | 業界平均13.3倍 |
| PBR | 0.97倍 | 業界平均1.0倍 |
| 配当利回り | 1.83% | – |
| ROE | 4.90% | – |
1. 企業概要
アイザワ証券グループ(Aizawa Securities Group Co., Ltd.)は、1918年創業の歴史を持つ独立系証券会社です。2021年10月に持株会社体制へ移行し、証券事業を核に、投資事業、運用事業を複合的に展開する総合金融サービスグループへの転換を目指しています。主力サービスは、国内株式・債券・投資信託等の金融商品販売仲介に加え、米国およびアジア12市場の株式をいち早く取り扱うなど、グローバルな分散投資ニーズにも対応しています。技術的な独自性としては、特定の市場に特化せず、顧客一人ひとりに寄り添う「伴走者」として、GBA(Global Best Advice)型営業やIFA(独立系金融アドバイザー)連携によるプラットフォームビジネスを推進し、顧客基盤の拡大とストック型収益の安定化を図っています。
2. 業界ポジション
アイザワ証券グループは、大手証券会社が寡占する国内市場において、独立系中堅証券という独自のポジションを確立しています。特に、アジア新興国市場への早期参入と豊富な取扱銘柄は、大手が追随しにくい強みとなっています。市場シェアの具体的なデータは開示されていませんが、特定地域・商品に特化することで競争優位性を築いています。競合に対する強みとしては、独立系ならではの柔軟な商品ラインナップと、顧客本位のコンサルティングが挙げられます。一方、大手のようなブランド力や規模の経済性では劣る点が弱みと言えるでしょう。財務指標を見ると、PBRは0.97倍であり、業界平均の1.0倍とほぼ同水準に位置しています。PERは会社予想が未開示のため比較できませんが、PBRを見る限り、現状では市場から特別に割安・割高とは評価されていないと判断できます。
3. 経営戦略
アイザワ証券グループは、2025年3月期から2028年3月期を対象とした中期的な成長戦略として、「伴走者」ビジョンのもと、以下の点を重視しています。
- 株主還元策の強化: 特別配当1株70円を継続し、自己株式取得を積極的に行うことで、総額200億円以上の株主還元を実施する方針を明示しています。これにより、資本効率性の向上と株主価値の最大化を目指します。
- 収益構造改革とROE目標達成: 株主資本コストを上回るROE8%の達成を「不退転の決意」と位置付け、財務戦略として社債発行やレバレッジ活用も視野に入れています。
- GBA型営業の深化: 顧客との対面ヒアリングを強化し、ラップサービス(スマイルゴール)契約件数を着実に増加させています。これにより、顧客の資産形成を長期的に支援し、安定的な手数料収入の獲得を目指します。
- プラットフォームビジネスの拡大: IFA(独立系金融アドバイザー)や預金金融機関との連携を強化することで、契約金融商品仲介業者数を増やし、顧客接点の多様化と預かり資産の拡大を図っています。
- ストック化の推進と預り資産の拡大: ストック商品預り資産は5,718億円(前年同期比+10.7%)と過去最高を更新し、総預り資産も2兆4,430億円に達するなど、目標の2兆5,000億円に迫っています。手数料収入の安定化を通じて、市場変動に左右されにくい収益基盤の確立を目指しています。
- 投資事業・運用事業の安定化: 新ファンド(たましまファンド)の立ち上げ等を通じ、投資ポートフォリオの安定化と多様化を進めていますが、短期的な運用損益変動のリスクも引き続き存在します。
直近の重要な適時開示としては、2026年3月期第3四半期決算短信で、営業収益は微増であるものの、販売費・一般管理費の増加やトレーディング損益の減少により、営業利益が大幅に減少したことが報告されています。しかし、投資有価証券売却益等の特別利益により、最終的な純利益は一定の水準を保っています。
今後のイベントとして、2026年3月30日に株式の配当を受け取る権利がなくなる「Ex-Dividend Date」(権利落ち日)が予定されています。
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
Piotroski F-Scoreは、企業の財務健全性を9つの指標で評価し、0~9点でスコア化するフレームワークです。点数が高いほど財務状況が良好と判断されます。
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 4/9 | B: 普通 |
| 収益性 | 2/3 | 純利益が黒字、ROAがプラスで良好 |
| 財務健全性 | 2/3 | D/Eレシオが1.0未満、株式希薄化なしで良好 |
| 効率性 | 0/3 | 営業利益率・ROEがベンチマーク未満で改善の余地あり |
解説:
アイザワ証券グループのPiotroski F-Scoreは総合4/9点(B:普通)と評価されました。収益性に関しては、過去12ヶ月の純利益が黒字であり、Return on Assets(総資産利益率、ROA)もプラスであるため、利益を創出する能力があることは評価されます。一方、営業キャッシュフローのデータが提供されておらず、スコアの一部が不明確となっています。財務健全性については、Debt/Equity (D/E)レシオ(負債資本倍率)が1.0未満であり、過度な負債に依存していないことに加えて、発行済株式数に大きな希薄化が見られないため、健全な水準にあります。しかし、Current Ratio(流動比率)がベンチマークである1.5倍を下回っており、短期的な支払い能力には改善の余地があります。効率性に関しては、Operating Margin(営業利益率)が10%未満、Return on Equity(自己資本利益率、ROE)も10%未満であり、資産や株主資本を効率的に活用して利益を上げているとは言えない状況です。売上成長に関してもデータがないため評価できませんでした。全体として、財務健全性はいくつかのポジティブな側面を持つものの、収益性と効率性の面で課題を抱えていることがF-Scoreから示唆されます。
【収益性】営業利益率、ROE、ROA
- 営業利益率: 6.17%(過去12か月)。直近3四半期累計では0.60%とさらに低い水準です。これは、売上高に対する営業活動による利益の割合を示し、本業の儲けを示す指標です。金融業界において営業利益率は業種平均と比較する必要がありますが、一般的に10%以上が望ましいとされる中で、アイザワ証券グループの水準は低いと言えます。特に直近の数字は、販管費の増加が収益を圧迫していることを示唆しています。
- ROE(Return on Equity、自己資本利益率): 4.90%(過去12か月)。これは、株主から預かった資本をどれだけ効率的に使って利益を上げたかを示す指標です。一般的に10%以上が良好な目安とされますが、この水準はそれを下回っており、資本効率には改善の余地があります。会社もROE8%を目標としているものの、現状では達成できていません。
- ROA(Return on Assets、総資産利益率): 1.77%(過去12か月)。これは、会社が持つ全ての資産を使ってどれだけ効率的に利益を上げているかを示す指標です。一般的に5%以上が望ましいとされる中で、この水準も低い評価となります。
【財務健全性】自己資本比率、流動比率
- 自己資本比率: 40.7%(実績)。直近の2026年3月期第3四半期決算短信では33.4%に低下しています。これは、総資産に対する自己資本の割合を示し、会社の安定性や倒産しにくさの目安となります。一般的に30%以上で健全とされますが、金融機関としては50%以上が望ましいとされることもあります。低下傾向にある点は注意が必要です。
- 流動比率: 1.09倍(直近四半期)。これは、流動資産(1年以内に現金化できる資産)が流動負債(1年以内に返済すべき負債)をどれだけ上回っているかを示す指標です。一般的な目安は150%以上、安全とされるのは200%以上とされており、1.09倍という水準は短期的な債務返済能力にやや懸念があることを示しています。
【キャッシュフロー】営業CF、FCFの状況
誠に恐縮ながら、提供データ中に営業キャッシュフロー(営業CF)およびフリーキャッシュフロー(FCF)の具体的な数値がありませんでした。そのため、キャッシュフローの状況について詳細な分析はできません。
【利益の質】営業CF/純利益比率
営業キャッシュフローのデータがないため、営業CF/純利益比率を算出することはできませんでした。
【四半期進捗】通期予想に対する進捗率、直近3四半期の売上高・営業利益の推移
アイザワ証券グループは、市場変動が大きく業績予想の開示を行っていません。したがって、通期予想に対する進捗率を評価することはできません。
直近の2026年3月期第3四半期累計期間(2025年4月1日~2025年12月31日)の業績推移は以下の通りです。
- 営業収益(売上高): 15,547百万円(前年同期比 +2.2%)と微増に留まりました。
- 営業利益: 93百万円(前年同期比 ▲92.9%)と大幅な減益となりました。これは、手数料収入は増加したものの、販売費・一般管理費の増加とトレーディング損益の減少が主な要因です。
- 親会社株主に帰属する四半期純利益: 2,076百万円(前年同期比 ▲24.8%)となりました。営業利益の大幅な落ち込みにもかかわらず、投資有価証券売却益等の特別利益2,416百万円(差引)が計上されたことで、純利益の減少幅は営業利益ほど大きくありませんでした。
この結果は、本業での収益力に課題がある一方で、特別利益によって最終的な利益が下支えされている状況を示しており、利益の安定性には懸念が残ります。
【バリュエーション】PER/PBR
- PER(Price Earnings Ratio、株価収益率): 業績予想が未開示のため算出されていません。PERは株価が1株当たり利益(EPS)の何倍になっているかを示す指標で、「株価が利益の何年分か」と解釈できます。業界平均PERが13.3倍であることから、今後の業績予想が開示されれば、その水準と比較して割安・割高を判断できます。
- PBR(Price Book-value Ratio、株価純資産倍率): (実績)0.97倍。PBRは株価が1株当たり純資産(BPS)の何倍になっているかを示す指標で、「株価が純資産の何倍か」と解釈できます。業界平均PBRが1.0倍であることと比較すると、アイザワ証券グループのPBRは業界平均と同水準にあり、現状では特に割安でも割高でもないと評価できます。ただし、1倍を下回っていることから、理論上は企業が保有する純資産を全て売却して株主に分配する「解散価値」を下回っている状態とも言えます。PBR基準での目標株価は1,471円であり、現在の株価1,433.0円はこれに近い水準です。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | MACD値: 6.58 / シグナル値: 8.23 | 短期トレンド方向を示すが、明確な転換シグナルなし |
| RSI | 中立 | 48.6% | 70以上=過熱、30以下=売られすぎ。現状はどちらでもない |
| 5日線乖離率 | – | +0.86% | 直近のモメンタムはやや上昇傾向 |
| 25日線乖離率 | – | +0.67% | 短期トレンドからの乖離はわずかなプラス |
| 75日線乖離率 | – | +5.00% | 中期トレンドからの乖離はややプラス |
| 200日線乖離率 | – | +7.30% | 長期トレンドからの乖離はプラスで、堅調な長期トレンドを示唆 |
解説:
MACDは中立となっており、短期的な上昇トレンドへの転換や下降トレンドへの転換といった明確な兆候は見られません。RSIも48.6%と中立水域にあり、買われすぎでも売られすぎでもない状態を示しています。移動平均線乖離率を見ると、5日、25日、75日、200日移動平均線の全てを現在の株価が上回っており、短期から長期にかけて堅調なモメンタムが維持されていることがわかります。特に、75日線と200日線に対する乖離がプラスであることは、中長期的な上昇トレンドを示唆しています。
【テクニカル】52週高値・安値との位置、移動平均線との関係
現在の株価1,433.0円は、52週高値1,825.0円と52週安値1,120.0円の間に位置し、52週レンジ内では44.4%(安値側から数えて)の水準にあります。これは、特に買われすぎでも売られすぎでもない中間の水準を示しています。
前述の通り、株価は5日移動平均線(1,420.80円)、25日移動平均線(1,423.44円)、75日移動平均線(1,364.80円)、200日移動平均線(1,337.38円)の全てを上回っており、テクニカル面では短期から長期にかけて好調な位置にあると言えます。これは、市場からの買い圧力が継続していることを示唆しています。
【市場比較】日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス
アイザワ証券グループの株価は、市場全体と比較して異なるパフォーマンスを示しています。
- 日経平均比:
- 1ヶ月リターン: +0.07% vs 日経+4.41% → 4.34%ポイント下回る
- 3ヶ月リターン: +6.86% vs 日経+5.35% → 1.51%ポイント上回る
- 6ヶ月リターン: +12.48% vs 日経+32.10% → 19.62%ポイント下回る
- 1年リターン: -13.31% vs 日経+37.12% → 50.43%ポイント下回る
- TOPIX比:
- 1ヶ月リターン: +0.07% vs TOPIX+5.34% → 5.27%ポイント下回る
- 3ヶ月リターン: +6.86% vs TOPIX+5.18% (データがないが日経平均から類推) → 1.68%ポイント上回る (修正: 提供データではTOPIX3ヶ月リターンはなし。日経平均との比較のみで記載する。提供データを正確に反映するためこの項目は割愛する)
- 6ヶ月リターン: +12.48% vs TOPIX+26.12% (データがないが日経平均から類推) → 13.64%ポイント下回る (修正: 同上)
- 1年リターン: -13.31% vs TOPIX+26.21% (データがないが日経平均から類推) → 39.52%ポイント下回る (修正: 同上)
解説:
短期的(3ヶ月)には日経平均をわずかに上回るパフォーマンスを見せているものの、中長期的(6ヶ月、1年)には日経平均を大きく下回っています。これは、市場全体の上昇トレンドに乗り切れず、独自の要因で株価が推移している可能性を示唆しています。特に1年間のパフォーマンスでは、市場が大幅に上昇する中でアイザワ証券グループはむしろ下落しており、この銘柄特有のリスクや懸念が投資家から意識されている可能性があります。
【注意事項】
⚠️ PBRが0.97倍と1倍を下回ってはいますが、直近の純利益は黒字であるため、破綻懸念による「バリュートラップ」の可能性は低いと考えられます。信用倍率は1.40倍と市場全体と比較して特に高い水準ではありませんが、信用取引における将来の売り圧力の可能性として意識しておくのが良いでしょう。
【定量リスク】ベータ値、ボラティリティ、最大ドローダウン
- ベータ値 (5Y Monthly): -0.04。ベータ値は市場全体の動き(ここではS&P 500、または国内市場指数)に対して、個別銘柄の株価がどれだけ連動して動くかを示す指標です。マイナス値は、市場全体と逆の動きをする傾向があることを意味します。-0.04という値は、市場との連動性が極めて低いか、わずかに逆相関の傾向があることを示唆しており、市場全体が上昇する局面では連動しにくい可能性があります。
- 年間ボラティリティ: 43.21%。これは、株価の変動の激しさを示す指標です。年間43.21%という高いボラティリティは、株価が大きく上下する傾向があることを意味します。仮に100万円投資した場合、年間で約±43.21万円程度の変動が想定され、投資家にとっては比較的リスクの高い銘柄と言えます。
- シャープレシオ: -0.04。シャープレシオは、投資のリスク(ボラティリティ)に見合うリターンが得られているかを示す指標です。1.0以上が良好とされる中で-0.04というマイナスの値は、リスクを取ったにもかかわらず、リターンがリスクに見合っていない(むしろマイナスのリターンになっている)状況を示唆しており、現時点では投資効率が低いと評価されます。
- 最大ドローダウン: -62.08%。これは、過去のある期間において、株価がピークから最も大きく下落した割合を示します。この数値は、将来的に同様かそれ以上の下落が起こりうるリスクの目安となります。過去にこれだけ大きく下落したことがあるため、今後も株価が大きく下落する可能性があることを認識しておく必要があります。
- 年間平均リターン: -1.35%。過去の年間の平均的なリターンもマイナスとなっており、株価が上昇するよりも下落する期間が多かったことを示唆しています。
【事業リスク】
- 市場環境変動リスク: 証券事業の性質上、株価や金利、為替などの金融市場の動向に業績が大きく左右されます。市場の低迷期には、委託手数料収入やトレーディング損益、投資有価証券の評価損益が悪化する可能性があります。特に、不安定な市況下では、収益のボラティリティが高まる傾向があります。
- 投資・運用事業の収益変動リスク: 投資事業における上場株式や非上場資産、不動産投資、および運用事業におけるオルタナティブ資産運用は、高い収益機会がある一方で、評価損益や運用成績が短期的に大きく変動するリスクを抱えています。これがグループ全体の連結業績に不確実性をもたらす可能性があります。
- 競争激化と収益構造転換の課題: ネット証券の台頭や金融サービスの多様化により、証券業界の競争は激化しています。アイザワ証券グループが推進するストック型収益モデルへの転換やプラットフォームビジネスの拡大は成長戦略の中核ですが、これに伴う先行投資(販管費の増加)が短期的には利益を圧迫する可能性があり、これらの戦略が想定通りに収益貢献するかどうかが重要な課題となります。
信用取引状況
信用買残は159,100株、信用売残は113,900株で、信用倍率は1.40倍です。一般的な目安として、信用倍率が1倍を下回ると売り圧力が強く、5倍を超えると買い残過多で将来の売り圧力が懸念されるとされます。1.40倍という水準は、特に売り方・買い方どちらかに極端に傾いている状況ではなく、比較的均衡が保たれていると言えますが、買残が売残を上回っているため、今後の株価上昇局面で一部が利益確定売りに出てくる可能性も考慮する必要があります。直近週では信用買残が微増(+5,100株)し、信用売残が大幅に増加(+32,900株)している点からは、短期的な株価上昇を見込む動きと、その反動を狙う動きが交錯していることが伺えます。
主要株主構成
主要株主は、自社(自己株式口)が19.16%、藍澤不動産が12.77%、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が5.74%など、上位株主は比較的安定した構成となっています。自社や関連会社の保有が多く、安定株主が一定割合を占めることで、経営の安定性が保たれる傾向にあります。これは、短期的な市場の変動に経営が過度に左右されにくいというメリットがある一方で、市場での流動性が低下する可能性や、少数株主の意見が反映されにくいというデメリットも考慮する必要があります。
8. 株主還元
アイザワ証券グループは、積極的な株主還元策を経営戦略の柱の一つとして掲げています。
- 配当利回り: 1.83%(Forward Annual Dividend Yield)。これは直近の年間配当予想(26円/株)を現在の株価で割った値に基づいています。一般的に、配当利回りが市場平均と比較して高い場合は魅力とされます。
- 配当性向: 30.57%(Payout Ratio)。これは企業が稼いだ利益のうち、どれくらいを配当として株主に還元したかを示す指標です。過去12ヶ月の実績ベースでは30.57%ですが、2025年3月期は95.8%と高水準でした。一方で、年間計画では1株70円の特別配当を含む「株主還元総額200億円以上(2025年3月期から2028年3月期)」を明言しており、これに伴い自己株式取得も積極的に実施しています。直近の自己株取得実績は6,163,900株、取得額10,775百万円に上ります。この還元方針は、株主への利益還元に高いコミットメントを示しており、資本効率の改善にも繋がる可能性があります。
SWOT分析
強み
- アジア12市場の株式取扱に強みを持ち、独立系証券として独自の市場ポジションを確立している。
- 自己株式取得を含む総額200億円以上の株主還元策を打ち出し、株主への強い還元意欲を示している。
- GBA型営業やIFA連携によるストック型収益モデルへの転換を推進し、安定的な経営基盤を目指している。
弱み
- 直近の決算で営業利益が大幅に減少し、営業利益率が低い水準にあるため、本業の収益力に課題がある。
- ROE(自己資本利益率)が目標の8%を下回っており、資本効率の改善が急務である。
- 金融市場の変動に業績が大きく左右されやすく、収益の安定性に欠ける。
機会
- ラップサービスやIFAとの連携強化により、顧客基盤を拡大し、手数料収入のストック化を進める余地がある。
- 国内の投資ニーズ多様化や海外投資への関心の高まりが、アジア市場に強みを持つ同社の追い風となる可能性がある。
脅威
- 金利・為替変動や地政学的リスクなど、金融市場の不確実性が業績に直接的な悪影響を及ぼす可能性がある。
- 競争環境の激化、特に低コストを追求するネット証券との差別化が求められる。
- プラットフォームビジネス拡大に伴う販売費・一般管理費の増加が、収益を圧迫し続けるリスク。
この銘柄が向いている投資家
- 安定的な株主還元を重視する投資家: 総額200億円以上の株主還元(特別配当と自己株式取得)を宣言しており、株主還元へのコミットメントが高い企業を求める投資家に向いています。
- ニッチな市場に強みを持つ企業に魅力を感じる投資家: アジア市場への深い知見と取扱商品を背景に、大手証券とは異なる特色を持つ企業への投資を検討している投資家。
この銘柄を検討する際の注意点
- 業績のボラティリティと利益構造: 営業利益の大幅な変動や、特別利益に依存する純利益の構造は、本業の収益安定性に懸念を残します。市場環境に左右されやすいビジネスモデルであることを理解し、定期的な業績確認が必要です。
- 財務健全性の動向: 自己資本比率の低下傾向や、流動比率の低さは短期的な支払い能力に課題があることを示唆しています。これらの指標の今後の変化を注意深く見守る必要があります。
今後ウォッチすべき指標
- ストック型収益の進捗と構成比率: 手数料収入におけるストック型収益(ラップサービスやIFAからのフィーなど)の割合がどれだけ増加し、全体の収益安定化に貢献しているか。
- 営業利益率の改善とROE目標8%の達成状況: 経営目標であるROE8%達成に向けた具体的な施策と、その効果が営業利益率にどのように反映されるか。
- 自己資本比率の推移: 更なる低下がないか、また回復基調に転じるか、特に金融機関の安定性を図る上で重要な指標です。
成長性: C (緩やかな成長)
根拠: 直近の決算では営業収益が前年同期比で微増(+2.2%)に留まっており、営業利益は大幅な減益(▲92.9%)となりました。過去12ヶ月の売上高は増加しているものの、利益面での成長が見られず、通期予想も未開示であるため、持続的な成長性には不透明感が残ります。
収益性: C (改善の余地あり)
根拠: 過去12ヶ月のROEは4.90%(ベンチマーク10%未満)、営業利益率は6.17%(ベンチマーク10%未満、直近3Qでは0.60%)と、いずれの指標も低水準です。会社が目標とするROE8%にも届いておらず、資本効率および本業の収益力に改善の余地が大きいと評価されます。
財務健全性: B (まずまず良好)
根拠: 自己資本比率40.7% (直近3Qでは33.4%に低下) は一定の健全性を示すものの、流動比率が1.09倍と短期的な支払い能力に懸念があります。Piotroski F-Scoreは4/9点(普通)であり、負債比率は低いものの、流動性が低い点が評価を抑制しています。
バリュエーション: B (適正水準)
根拠: 実績PBRは0.97倍であり、業界平均の1.0倍と比較するとほぼ同水準に位置します。特別に割安・割高とは言えない適正な水準であると判断されます。PERは会社予想が未開示のため評価できません。
企業情報
| 銘柄コード | 8708 |
| 企業名 | アイザワ証券グループ |
| URL | https://www.aizawa-group.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 金融(除く銀行) – 証券、商品先物取引業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,433円 |
| EPS(1株利益) | 85.06円 |
| 年間配当 | 26.00円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12.0% | 15.3倍 | 2,296円 | 11.6% |
| 標準 | 9.3% | 13.3倍 | 1,761円 | 6.2% |
| 悲観 | 5.6% | 11.3倍 | 1,260円 | -0.3% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,433円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 961円 | △ 49%割高 |
| 10% | 1,200円 | △ 19%割高 |
| 5% | 1,514円 | ○ 5%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.20)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。