企業の一言説明
日本ケミコンは、アルミ電解コンデンサー分野において世界シェア首位の技術力を持ち、車載用キャパシタなど成長市場に注力している企業です。
投資判断のための3つのキーポイント
- 世界トップシェアの技術力と戦略的成長分野への注力: アルミ電解コンデンサーで世界首位の技術と一貫生産体制は強固な競争優位性をもたらしています。特に、今後の成長が期待される車載用キャパシタ市場への注力は、中期的な成長ドライバーとなる可能性があります。
- 財務品質F-Scoreは「良好」、しかし安定的な収益性確保が課題: Piotroski F-Scoreは5/9点で「良好」と評価され、特に収益性を示す純利益・営業キャッシュフロー・ROAは健在です。しかし、営業利益率やROEが低く、フリーキャッシュフローはマイナスで推移しており、安定的な収益確保と効率的な資産活用が目下の重要課題です。
- 市場からの割安評価と今後の株価変動要因: PBRが業界平均を大幅に下回る水準にあり、現時点では純資産価値から見て割安感が強いと判断されます。過去1年間の株価は市場平均を上回る上昇を見せていますが、信用倍率の高さは将来の売り圧力となる可能性があり、利益率改善の進捗や車載事業の動向が今後の株価を左右する主要因となるでしょう。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | D | 停滞・課題有 |
| 収益性 | D | 収益力懸念 |
| 財務健全性 | B | 一部改善要 |
| バリュエーション | S | 非常に割安 |
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 1,572.0円 | – |
| PER | 22.39倍 | 業界平均24.2倍 |
| PBR | 0.63倍 | 業界平均1.6倍 |
| 配当利回り | 1.27% | – |
| ROE | 0.07% | – |
1. 企業概要
日本ケミコンは、1931年創業、1947年設立の歴史ある電子部品メーカーです。その主要事業は、電子機器に不可欠な受動部品であるコンデンサの製造と販売であり、特にアルミ電解コンデンサーの分野では世界トップシェアを誇ります。主力製品には、一般的なアルミ電解コンデンサーのほか、導電性高分子アルミ固体コンデンサー、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサーなどがあります。これらの製品は、家電製品から産業機器、そして近年成長著しい車載分野など、幅広いエレクトロニクス製品に組み込まれています。
同社の強みは、誘電体となるアルミ電解箔の製造から製品までを一貫して手掛ける生産体制にあります。これにより、品質とコストの両面で高い競争力を維持しています。また、単なるコンデンサメーカーに留まらず、積層セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサ、スーパーキャパシタ、金属酸化物バリスタ、チョークコイル、さらにはCMOSカメラモジュールやシリコンウェハー関連製品など、多岐にわたる電子部品・電子機器を提供しており、事業の多様化も進めています。
同社の収益モデルは、自社で開発・製造した高性能コンデンサや各種電子部品をグローバルなエ顧客基盤に供給し、その売上から利益を得るというものです。コンデンサ事業が連結売上高の96%を占めており、その中核的地位が明確です。技術的独自性としては、アルミ電解箔技術が世界級であり、これが製品性能の優位性や小型化・高寿命化に貢献しています。長年の事業活動で培われた材料技術や製造プロセスにおけるノウハウは、他社の新規参入を困難にする高い参入障壁となっています。
2. 業界ポジション
日本ケミコンが属する電気機器産業は、グローバルサプライチェーンに深く組み込まれており、技術革新のスピードが速く、競争が非常に激しいのが特徴です。その中で日本ケミコンは、特にアルミ電解コンデンサーの分野において揺るぎない世界シェア首位の地位を確立しています。この首位の座は、長年にわたる研究開発投資と高品質かつ高信頼性の製品供給能力によって築き上げられたものであり、業界内での確固たる地位を示しています。
競合企業としては、同業のコンデンサーメーカーであるニチコンや東信工業、さらには様々な受動部品を手掛ける村田製作所、TDK、京セラといった大手電子部品メーカーが挙げられます。これらの競合と比較した際の日本ケミコンの強みは、上記の一貫生産体制に加えて、電解コンデンサーという特定の領域において培ってきた専門性と技術の深さにあります。これにより、汎用品から特殊用途向けの高性能品まで、幅広い顧客ニーズに対応できる供給能力と技術サービスを提供できます。一方で弱みとしては、コンデンサー事業への高い収益依存度や、高機能品へのシフトが遅れる場合のリスク、および近年の営業利益率の低迷が挙げられます。特に、グローバル市場での価格競争や為替変動の影響を受けやすい点は、経営上の課題として認識されています。
業界平均との財務指標比較では、日本ケミコンのPER(株価収益率)は22.39倍で、業界平均の24.2倍と比較してやや低い水準にあります。これは、同社の利益水準が不安定であることや、市場が将来の成長性に対して比較的慎重な見方をしている可能性を示唆しています。一方、PBR(株価純資産倍率)は0.63倍と、業界平均の1.6倍をはるかに下回っています。PBRが1倍を下回る企業は、市場がその企業の純資産価値よりも低い評価を下していることを意味し、解散価値以下で取引されていると解釈されることもあります。この極めて低いPBRは、同社が純資産に対して十分な収益を上げていない、あるいは市場が同社の将来の成長性や収益改善に大きな疑念を抱いている可能性を示唆しており、バリュエーションの観点からは非常に割安感があるとも言えますが、同時に「バリュートラップ」の可能性も考慮すべき水準です。
3. 経営戦略
日本ケミコンの経営戦略の要点は、その技術的優位性を活かし、成長市場に資源を集中させることにあります。提供データからは中期経営計画の具体的な内容は明確ではありませんが、「車載用キャパシタへ注力」「車載用キャパシタ育成中」との記載から、CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)革命によって大きく変化する自動車市場を重要な戦略領域と位置付けていることが強く示唆されます。電気自動車(EV)の普及や自動運転技術の進化に伴い、車載用電子部品には高い信頼性、耐久性、小型化が求められ、特にコンデンサはその性能を左右する重要な部品となります。この分野での需要拡大を見込み、研究開発や生産能力の増強を進めていると考えられます。
最近の重要な適時開示としては、2026年3月期第2四半期(中間期)決算短信が挙げられます。この決算では、売上高は前年同期比で増加したものの、営業利益は大幅な減益となりました。売上増加の背景には、データセンター向けなどの需要増があったと推測されますが、売上総利益率の低下が営業利益を圧迫した主な原因とされています。一方で、為替差損の縮小や資金調達費用の減少といった営業外費用の改善により、経常利益および親会社株主に帰属する中間純利益は大幅に増加しました。これは、事業本来の収益力が低下している一方で、一時的な要因によって最終利益が押し上げられた構図を示しており、事業構造改革やコスト削減の必要性を浮き彫りにしています。
通期業績予想に対して、半期時点での売上進捗率は約47%と良好ですが、営業利益の進捗率は約24%、純利益の進捗率は約18%と低く、利益面での遅れが顕著です。このため、下半期においては収益性の改善が急務であり、会社側は製品ミックスの最適化やコスト競争力の強化を通じて、利益目標達成を目指す戦略をとるものと見られます。決算短信からは直接的な経営陣のメッセージやQ&Aの詳細は読み取れませんが、上記のような状況を踏まえ、下期における収益改善計画の実行状況や、車載向け事業の具体的な進捗が投資家にとっての注目ポイントとなるでしょう。今後のイベントとしては、2026年3月30日に配当権利落ち日が予定されています。
4. 財務分析
日本ケミコンの財務状況は、特定の側面では強みを持つものの、全体的には収益性改善と財務体質の強化が求められる状況です。以下に主要な財務指標を分析します。
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
Piotroski F-Scoreは、企業の財務健全性、収益性、効率性を9つの項目で評価する指標です。日本ケミコンの総合スコアは5/9点であり、良好と判断されます。
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 5/9 | A: 良好(全体的に健全だが一部改善余地あり) |
| 収益性 | 3/3 | 良好:純利益、営業キャッシュフロー、ROAがいずれもプラスで安定した収益基盤とキャッシュ創出力がある |
| 財務健全性 | 1/3 | やや懸念:流動比率、負債比率に課題があり、財務基盤のさらなる安定化が必要 |
| 効率性 | 1/3 | 改善余地あり:営業利益率とROEが低く、資本効率と本業での収益力向上に課題を抱える |
各カテゴリの詳細解説:
- 収益性 (3/3点): 過去12ヶ月の純利益が228百万円とプラスを確保し、営業キャッシュフローも1,730百万円とプラスであり、ROA(総資産利益率)も1.11%とプラスであるため、収益性の観点では健全な状態です。本業でキャッシュを生み出す能力は維持されています。
- 財務健全性 (1/3点): 流動比率が1.34倍と1.5倍を下回っており、短期的な支払能力にやや懸念があります。また、Total Debt/Equity(負債資本倍率)が133.16%(1.33倍)と1.0倍を上回っているため、レバレッジが高く、負債依存度が高いと評価されます。ただし、株式希薄化は見られないため、一部は評価されます。
- 効率性 (1/3点): 過去12ヶ月の営業利益率は2.41%で、収益性確保の目安となる10%を大きく下回っています。同様に、ROE(株主資本利益率)も0.50%と、資本効率の目安とされる10%には遠く、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す力が弱いと評価されます。ただし、四半期売上成長率が9.0%とプラス成長を達成している点は評価できます。
【収益性】
- 営業利益率 (過去12ヶ月): 2.41%
- 本業の稼ぐ力(売上から原価と販管費を引いた利益率)が低水準にあります。電子部品業界では一般的に10%以上の営業利益率が望ましいとされており、競合他社と比較しても改善が必要です。
- ROE (Return on Equity, 実績): 0.07% (過去12ヶ月: 0.50%)
- 株主のお金(自己資本)をどれだけ効率的に使って利益を上げているかを示す指標です。ベンチマークである10%を大幅に下回っており、株主資本の利用効率に大きな課題があります。
- ROA (Return on Assets, 過去12ヶ月): 1.11%
- 会社が持つ全ての資産をどれだけ効率的に使って利益を上げているかを示す指標です。ベンチマークである5%を下回っており、総資産の活用効率も低い状況です。
【財務健全性】
- 自己資本比率 (実績): 34.5%
- 総資産に占める自己資本の割合で、高いほど会社の財務基盤が安定していることを示します。一般的に30%以上が健全とされますが、製造業では40%以上が望ましい場合もあり、改善の余地があります。
- 流動比率 (直近四半期): 1.34倍 (134%)
- 流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払能力を示します。一般的に200%(2倍)以上が安全圏とされますが、150%程度でも許容される場合があります。134%はやや低く、流動性管理に注意が必要です。
【キャッシュフロー】
- 営業キャッシュフロー (過去12ヶ月): 17.3億円
- 本業で稼いだ現金の流れを示し、企業の本源的な収益力を測る上で重要です。プラスであるため、本業からの現金創出力は維持されています。
- フリーキャッシュフロー (過去12ヶ月): -55.2億円
- 営業キャッシュフローから設備投資などを差し引いた、企業が自由に使える現金です。マイナスであるため、事業活動で稼いだ現金だけでは投資や負債返済などを賄いきれておらず、外部からの資金調達に依存している状況を示します。持続的な成長のためには、プラスへの転換が不可欠です。
【利益の質】
- 営業CF/純利益比率: 7.59倍
- これは営業キャッシュフローが純利益の約7.59倍であることを示します。この比率が1.0倍以上であれば、会計上の利益よりも多くの現金が本業から生み出されていることを意味し、利益の質が「優良」と評価されます。日本ケミコンの場合、純利益が非常に低い水準で推移している状況において、営業キャッシュフローはしっかりとプラスを維持しているため、利益の質は高いと判断されます。
【四半期進捗】
- 通期予想に対する進捗率 (2026年3月期 第2四半期):
- 売上高: 46.9%
- 営業利益: 23.9%
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 17.9%
- 売上高の進捗は順調であるものの、営業利益と純利益の進捗が通期予想に対して大きく遅れており、第3・第4四半期で大幅な収益改善がなければ、通期予想の達成は困難となる可能性があります。特に、営業利益率の低迷が課題です。
- 直近3期間の売上高・営業利益推移(連結):
- 売上高:
- 2023年3月期: 161,881百万円
- 2024年3月期: 150,740百万円
- 2025年3月期: 122,684百万円
- 過去12ヶ月: 127,016百万円
- 営業利益:
- 2023年3月期: 12,939百万円
- 2024年3月期: 9,422百万円
- 2025年3月期: 3,740百万円
- 過去12ヶ月: 2,847百万円
過去数期間を見ると、売上高は2023年3月期をピークに減少傾向にあり、それに伴い営業利益も大きく減少しています。直近12ヶ月では売上高はやや回復傾向にありますが、営業利益は依然として低水準で推移しており、収益力の回復が強く求められます。
- 売上高:
【バリュエーション】
- PER(株価収益率): (連)22.39倍
- 株価が1株当たり利益の何倍かを示す指標で、「株価が利益の何年分か」と解釈できます。日本ケミコンのPERは業界平均の24.2倍と比較してやや割安な水準にあります。ただし、直近の利益水準が非常に低いため、このPERは高く見えている可能性もあります。
- PBR(株価純資産倍率): (連)0.63倍
- 株価が1株当たり純資産の何倍かを示す指標で、企業の解散価値に対する株価の評価を表します。PBRが1倍を下回る場合、株価がその企業の持つ純資産価値(解散価値)よりも低いと市場が評価していることを意味します。日本ケミコンのPBR0.63倍は、業界平均の1.6倍を大幅に下回っており、純資産価値から見ると非常に割安であると言えます。これは、収益性の低さや成長期待の低迷が株価に織り込まれている可能性を示唆しています。
- 目標株価 (業種平均PER基準): 137円
- 提供された情報には、業種平均PERに基づく目標株価として137円とありますが、直近の会社予想EPS(連結70.20円)と業界平均PER(24.2倍)から単純計算した場合、約1,700円となります。この乖離には、計算に用いられたEPSの定義や参照時期に違いがある可能性があります。
- 目標株価 (業種平均PBR基準): 4,003円
- 直近のBPS(1株当たり純資産)2,502.00円と業界平均PBR1.6倍を基に計算すると、4,003円となり、現在の株価1,572円と比較して大幅に高い水準となります。これは、PBRが非常に割安であることを強く示唆しています。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | ゴールデンクロス | MACD値:14.66 / シグナル値:13.19 | 短期的な上昇トレンド転換の可能性を示唆 |
| RSI | 中立 | 47.0% | 買われすぎでも売られすぎでもない中立的な状況 |
| 5日線乖離率 | – | +2.99% | 直近の株価が短期移動平均線よりやや上に位置し、短期的なモメンタムはやや強い |
| 25日線乖離率 | – | +3.42% | 株価が短期トレンドからやや上方向に乖離している |
| 75日線乖離率 | – | +7.50% | 株価が中期トレンドから上方向に乖離しており、中期的な上昇トレンドを形成している |
| 200日線乖離率 | – | +19.60% | 株価が長期移動平均線を大きく上回っており、長期的な上昇トレンドが明確である |
MACDゴールデンクロスは短期的な上昇トレンド転換の可能性を示唆しています。
【テクニカル】
現在の株価1,572.0円は、52週高値1,671円、52週安値714円のレンジにおいて、89.7%の位置にあり、年間での高値圏で推移しています。全ての移動平均線(5日、25日、75日、200日)を上回って推移しており、短期から長期にかけて上昇基調にあることを示唆しています。特に200日移動平均線からの乖離率が+19.60%と大きいことから、昨年からの株価上昇トレンドが続いていることが見て取れます。直近1ヶ月以内のサポートラインは1,420円、レジスタンスラインは1,619円付近と見られます。
【市場比較】
- 日経平均比:
- 1ヶ月: 株式+2.68% vs 日経+4.41% → 1.73%ポイント下回る
- 3ヶ月: 株式+0.00% vs 日経+5.35% → 5.35%ポイント下回る
- 6ヶ月: 株式+24.66% vs 日経+32.10% → 7.44%ポイント下回る
- 1年: 株式+55.80% vs 日経+37.12% → 18.68%ポイント上回る
- TOPIX比:
- 1ヶ月: 株式+2.68% vs TOPIX+5.34% → 2.67%ポイント下回る
過去1年間で見ると、日本ケミコンの株価は日経平均を大きく上回るパフォーマンスを示しており、市場全体の成長を牽引する銘柄の一つであったことが分かります。しかし、直近1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月といった短期・中期では日経平均やTOPIXを下回るパフォーマンスとなっており、足元では相対的な勢いが鈍化している可能性があります。これは、直近の決算発表で営業利益の進捗率が低かったことや、電子部品市場全体の調整局面などが影響している可能性があります。
【注意事項】
⚠️ 信用倍率4.88倍と高い水準にあり、将来の売り圧力に注意が必要です。
【定量リスク】
- ベータ値 (5Y Monthly): 0.57
- 市場全体(日経平均やTOPIXなど)が1%変動する際、日本ケミコンの株価が0.57%変動することを示します。ベータ値が1.0未満であるため、市場全体の変動と比較して株価は比較的安定している(市場との連動性が低い)と言えます。これは、市場全体が大きく下落する局面では、相対的に下落幅が小さい可能性があることを意味します。
- 年間ボラティリティ: 51.45%
- 株価の年間変動幅が約51.45%であることを示します。これは高い水準であり、株価が大きく変動する可能性があることを意味します。仮に100万円投資した場合、年間で±51.45万円程度の変動が想定されるため、価格変動リスクを十分に理解しておく必要があります。
- シャープレシオ: 0.14
- リスク(ボラティリティ)に見合うリターンが得られているかを示す指標です。1.0以上が良好とされますが、0.14と低水準にあり、リスクに対するリターン効率が低いことを示唆しています。
- 最大ドローダウン: -56.23%
- 過去の株価がピークからどれだけ下落したかを示す最大の下げ幅です。日本ケミコンの過去の投資において最大で56.23%の下落があったことを意味し、今後も同様の大きな下落が発生する可能性を投資家は認識しておく必要があります。
【事業リスク】
- 市場競争と単価下落圧力: 電子部品業界は技術革新が激しく、熾烈な価格競争に常にさらされています。特に汎用性が高い製品では、新興国のメーカーとの競争も激化しており、利益率の低下圧力となり得ます。アルミ電解コンデンサーのリーディングカンパニーである強みはありますが、技術優位性の維持とコスト競争力の確保が常に求められます。
- 電子部品市況の変動と需要サイクル: 半導体やその他の電子部品市場は、景気サイクルや設備投資の波、技術革新のタイミングによって需要が大きく変動します。特に、近年はCOVID-19パンデミックによるサプライチェーン混乱後の特需と反動減が激しく、市況の急変が業績に直接影響を及ぼすリスクがあります。在庫調整のずれや需要予測の誤差が、収益を大きく左右する可能性があります。
- 為替変動リスク: 日本ケミコンの海外売上高比率は79%と非常に高く、為替レートの変動が業績に与える影響は大きいです。円安は輸出企業の収益を押し上げる効果がありますが、原材料輸入コストの上昇や、将来的な円高への反転リスクも常に存在します。決算短信でも為替差損の縮小が経常利益改善の一因とされており、為替動向は常に注目すべきリスク要因です。
7. 市場センチメント
市場全体の日本ケミコンに対するセンチメントは「ポジティブ」と評価されています。これは、直近のニュースとして「日本ケミコン、26年3月期経常予想が前週比3.3%上昇」という情報が報じられており、業績改善への期待が高まっていることが背景にあります。このような好材料は、投資家の関心を引き、株価へのポジティブな影響を与える可能性があります。
信用取引状況を見ると、信用買残が902,800株、信用売残が184,900株となっており、信用倍率は4.88倍です。これは、買い残が売り残の約4.88倍に達していることを意味し、将来的にこれらの信用買いが決済される際に売り圧力となる可能性があります。株価が上昇した場合、利益確定売りが出やすくなるため、需給状況は常に監視しておくべきでしょう。
主要株主構成を見ると、上位3社は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が10.55%、コリア・セキュリティーズ・デポジトリー・サムスンが7.39%、インタラクティブ・ブローカーズが4.25%となっています。複数の機関投資家が上位に名を連ねており、株式の大部分が安定株主や機関投資家によって保有されている状況は、短期的な市場の思惑に左右されにくい安定性をもたらす可能性があります。しかし、信託銀行などによる保有は、指数連動型ファンドのパッシブ運用によるものである場合も多く、必ずしも経営への積極的な関与を意味するものではありません。
8. 株主還元
日本ケミコンの株主還元策について、現在のデータから分析します。
- 配当利回り: 1.27%
- 現在の株価1,572.0円と会社予想1株配当20.00円に基づくと、配当利回りは1.27%となります。これは、日本のプライム市場上場企業としては平均的な水準か、やや低めの水準と言えるかもしれません。
- 1株配当 (会社予想): 20.00円
- 2026年3月期の年間配当として20円を予想しています。過去の配当性向履歴を見ると、直近数年間は「0%」と記載されており、これは会計上の純利益が赤字または極めて低かったために配当が実施されなかったか、利益に対する配当の割合が計算上0%となったためと推測されます。しかし、2026年3月期には予想として20円の配当が予定されており、これは経営陣が株主への利益還元を再開する意向を示していると考えられます。2026年3月期の予想EPSが62.3円であるため、この配当が実現すれば配当性向は約32.1%となり、一般的な水準の範囲内となります。
- 配当性向: 0.00%
- 上記のように、直近のデータでは0.00%となっています。これは、過去数期間において企業が赤字を計上していたり、純利益が非常に低く、配当が実施されていなかった期間があったためと考えられます。しかし、2026年3月期には配当を再開する方針であり、今後の配当性向は改善が見込まれます。
- 自社株買いの状況:
- 提供されたデータからは、直近の大規模な自社株買いの実施について具体的な言及はありません。ただし、主要株主リストに「自社(自己株口)」が0.18%(41,000株)と記載されているため、過去に自社株買いを実施した実績はあるようです。自社株買いは、発行済み株式数を減らすことで1株当たりの価値を向上させたり、資本効率を高めたりする効果があり、株主還元策の一つとして活用されます。日本ケミコンが今後、配当安定化に加え、より積極的な自社株買いを行うかどうかも株主還元を評価する上での注目点となるでしょう。
全体として、日本ケミコンは過去の厳しい業績により、一時的に株主還元(特に配当)が停滞していましたが、2026年3月期には配当再開の意向を示しており、株主還元に対する姿勢を回復させようとしていることが伺えます。
SWOT分析
強み
- アルミ電解コンデンサー分野で世界首位の市場シェアと、材料からの一貫生産による高い技術力・競争力。
- 成長が期待される車載用キャパシタ市場への戦略的な注力。
弱み
- 低い営業利益率(2.41%)とROE(0.50%)が示す収益性の課題。
- フリーキャッシュフローがマイナスであり、事業活動からの資金創出力に懸念。
機会
- EV化や自動運転技術の進展に伴う車載用電子部品市場の拡大。
- データセンター投資など、高性能・高信頼性コンデンサの需要増大。
脅威
- 電子部品業界におけるグローバルな価格競争の激化と市況変動。
- 為替変動や原材料価格高騰によるコスト増加リスク。
この銘柄が向いている投資家
- 長期的な産業リーダーシップと成長分野への投資に関心のある投資家: アルミ電解コンデンサーのリーディングカンパニーとしての地位と、車載用コンデンサといった将来性のある分野への注力は、長期的な視点での成長を期待させる要素です。
- 純資産価値に着目するバリュー投資家: PBRが業界平均を大幅に下回る水準にあり、企業が持つ純資産に対して割安に評価されていると見ている投資家。将来的な企業価値の向上や収益性改善によるPBRの是正を期待する場合に適しています。
この銘柄を検討する際の注意点
- 収益性の持続的な改善: 低い営業利益率とROE、そしてマイナスのフリーキャッシュフローは、投資家にとって大きな懸念事項です。これらの指標がどのように改善していくかを、四半期ごとに慎重に確認する必要があります。
- 需給バランスと株価変動リスク: 信用倍率が比較的高い水準にあるため、信用買い残が将来的に売り圧力となり、株価の変動要因となる可能性があります。また、年間ボラティリティが高い銘柄であるため、急な価格変動にも耐えうる資金管理が求められます。
今後ウォッチすべき指標
- 四半期ごとの営業利益率の改善: 少なくとも5%以上への回復を目指し、その進捗を注視。
- 車載用コンデンサー事業の具体的な成長率と売上構成比: 戦略分野の貢献度とその拡大ペースを確認。
- フリーキャッシュフローのプラス転換: 設備投資などを本業の現金で賄えるようになるか、その動向を継続して確認。
10. 企業スコア(詳細)
以下に、日本ケミコンの各企業スコアについて、具体的な評価基準に基づきS、A、B、C、Dの5段階で評価し、その根拠を説明します。
- 成長性: D (停滞・課題有)
- 評価基準: S(15%以上) / A(10-15%) / B(5-10%) / C(0-5%) / D(マイナス)
- 根拠: 過去12ヶ月の純利益が228百万円と極めて低い水準にあり、ROEも0.50%と低迷しています。過去の業績推移を見ると、売上高や利益が年度によって大きく変動しており、安定的な成長トレンドが見られません。特に、純利益の絶対値が小さく、会社予想EPSも62.3円とまだ回復途上にあることから、現時点での成長性は低いと判断せざるを得ません。四半期売上成長率(前年比9.0%)はプラスですが、利益との連動性に課題があります。
- 収益性: D (収益力懸念)
- 評価基準: S(ROE15%以上かつ営業利益率15%以上) / A(ROE10-15%または営業利益率10-15%) / B(ROE8-10%または営業利益率5-10%) / C(ROE5-8%または営業利益率3-5%) / D(ROE5%未満かつ営業利益率3%未満)
- 根拠: 過去12ヶ月のROEは0.50%とベンチマークの5%を大きく下回り、営業利益率は2.41%と3%未満です。これは、非常に低い資本効率と本業の稼ぐ力の弱さを示しており、収益性において重大な課題を抱えていると判断されます。電子部品業界の競争環境を考慮しても、この水準では投資家からの評価を得ることは困難であり、早急な収益構造の改善が求められます。
- 財務健全性: B (一部改善要)
- 評価基準: S(自己資本比率60%以上・流動比率200%以上・F-Score7点以上) / A(自己資本比率40-60%・流動比率150%以上・F-Score5-6点) / B(自己資本比率30-40%・F-Score3-4点) / C(自己資本比率20-30%・F-Score1-2点) / D(自己資本比率20%未満・F-Score0点)
- 根拠: 自己資本比率は34.5%で、評価Bの基準(30-40%)に該当します。流動比率は1.34倍(134%)と、評価Aの基準である150%には届かず、短期的な流動性にはやや懸念があります。F-Scoreの財務健全性スコアは1/3点と低く、特にD/Eレシオが133.16%と高水準である点が負債依存度を示唆しています。総合的な財務健全性は一定の水準を保っているものの、流動性と負債構造には改善の余地があるため、「B」評価としました。
- バリュエーション: S (非常に割安)
- 評価基準: S(PER/PBR業界平均の70%以下) / A(80-90%) / B(90-110%) / C(110-130%) / D(130%以上)
- 根拠: PERは22.39倍で業界平均24.2倍の約92%と、やや割安感がある水準です。しかし、特筆すべきはPBRで、0.63倍と業界平均1.6倍の約39%に過ぎません。これは、業界平均の70%をはるかに下回る水準であり、純資産価値に比して株価が極めて低いことを示しています。市場が同社の収益性や成長性に対して厳しい評価を下している結果とも言えますが、純資産価値から見ると「非常に割安」と判断せざるを得ず、「S」評価としました。このギャップは、将来的な企業価値改善への大きな期待を裏付ける可能性があります。
企業情報
| 銘柄コード | 6997 |
| 企業名 | 日本ケミコン |
| URL | http://www.chemi-con.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,572円 |
| EPS(1株利益) | 70.20円 |
| 年間配当 | 1.27円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 0.0% | 26.1倍 | 1,829円 | 3.2% |
| 標準 | 0.0% | 22.7倍 | 1,591円 | 0.3% |
| 悲観 | 1.0% | 19.3倍 | 1,421円 | -1.9% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,572円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 794円 | △ 98%割高 |
| 10% | 992円 | △ 59%割高 |
| 5% | 1,251円 | △ 26%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
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証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.20)」によって自動生成されました。
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