企業の一言説明

TKCは、会計事務所と地方公共団体向けに特化した情報処理・ソフトウェア・コンサルティングサービスを提供する、業界での独自の地位を確立しているITサービス大手企業です。クラウドサービスと公共団体向け標準準拠システム移行支援が成長を牽引しています。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 高収益かつ高財務健全性: 独自の専門性に特化したビジネスモデルにより、非常に高い営業利益率とROEを維持し、自己資本比率80%超、流動比率350%超という極めて強固な財務基盤を誇ります。
  • 成長ドライバー明確化: 会計事務所向けクラウド移行推進と、地方公共団体における標準準拠システム・ガバメントクラウドへの移行支援強化が、特に地方公共団体事業部門の売上・利益を大きく伸ばしており、直近四半期で売上高+124.9%、営業利益+599.9%と高い成長性を示しています。
  • 特定の事業依存と市場パフォーマンス: 地方公共団体向け案件の季節性や集中による反動リスク、印刷事業の収益性低下といった事業構造上の課題を抱えています。また、直近1年間の株価リターンは市場平均を下回っており、市場からの評価には注意が必要です。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 A 良好な成長
収益性 S 極めて優良
財務健全性 S 極めて優良
バリュエーション S 割安感あり

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 4,030.0円
PER 17.01倍 業界平均23.2倍
PBR 1.85倍 業界平均2.3倍
配当利回り 2.73%
ROE 11.48%

1. 企業概要

TKCは1966年設立の情報技術サービス企業です。日本の会計事務所と地方公共団体に特化し、情報処理、ソフトウェア開発、コンサルティングサービスを提供しています。主力は会計事務所向けの「FXシリーズ」といったクラウドサービスと、地方公共団体向けの標準準拠システムやガバメントクラウド移行支援です。特定の法律・制度に準拠した専門性の高いサービスを提供することで、高い参入障壁と顧客基盤を確立しています。

2. 業界ポジション

TKCは、会計事務所および地方公共団体というニッチながらも安定した市場において、トップクラスのシェアを誇る独自のポジションを築いています。特定の法律や規制に精通した専門知識と、長年にわたる顧客との信頼関係が競合に対する最大の強みです。汎用的なITサービス企業とは異なり、専門特化型であるため、競争環境は特殊です。PERは17.01倍、PBRは1.85倍であり、業界平均PER 23.2倍、PBR 2.3倍と比較して、割安な水準にあります。

3. 経営戦略

TKCは、会計事務所向けにはクラウドサービスの推進(クラウド比率50%超を目指す)、地方公共団体向けには、政府が推進する標準準拠システム・ガバメントクラウドへの移行支援を中核的な成長戦略としています。大企業で連結・グループソリューションの拡大も図っています。デジタルインボイスにおける国際連携(DATEV社とのペポルインボイス送受信開始)も進めており、新たな収益源の確立とサービス領域の拡大を目指しています。
今後の重要なイベントとしては、2026年3月30日に配当落ち日、2026年5月13日に次期決算発表が予定されています。経営陣は、クラウド移行と公共団体向け標準準拠システム移行の進捗が好調であり、株主還元として配当維持・増配継続の方針を示唆しています。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 7/9 S: 財務優良(収益性・健全性・効率性すべて良好)
収益性 2/3 純利益とROAがプラスで、良好な基盤を示しています。
財務健全性 2/3 流動比率が高く、株式希薄化もないことから、強固な財務構造を維持しています。
効率性 3/3 営業利益率、ROE、四半期売上成長率が全て基準を上回り、効率的な経営を実現しています。

Piotroski F-Scoreは7/9点と「S:財務優良」の評価であり、同社の財務体質の健全性と効率性の高さを示しています。特に効率性に関するスコアが満点であり、高収益性を安定的に維持する能力があることが伺えます。

【収益性】

TKCの収益性は非常に高く、安定しています。

  • 営業利益率(過去12か月): 34.27% (一般的な目安は5-10%程度。高収益事業体質を明確に示しています。)
  • ROE(実績): 11.48% (株主資本利益率。株主のお金でどれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標。一般的に10%以上が良好とされます。)
  • ROA(過去12か月): 10.32% (総資産利益率。会社全体の資産をどれだけ効率的に利益に結びつけたかを示す指標。一般的に5%以上が良好とされます。)

ROE、ROAともにベンチマークを大きく上回っており、資本効率・資産効率の良さが際立っています。

【財務健全性】

極めて高い財務健全性を誇ります。

  • 自己資本比率(実績): 83.6% (総資産に占める自己資本の割合。会社の安定性を示す指標で、50%以上が優良とされます。)
  • 流動比率(直近四半期): 3.58倍(358%) (流動負債に対する流動資産の割合。短期的な支払い能力を示す指標で、200%以上が健全とされます。)

自己資本比率、流動比率ともに非常に高く、財務的な安定性は極めて優れています。無利子負債が多く、有利子負債はほとんどないと推測されます。

【キャッシュフロー】

キャッシュフローは安定的にプラスで推移しています。

  • 営業キャッシュフロー(2025年9月期): 12,486百万円
  • フリーキャッシュフロー(2025年9月期): 12,126百万円 (営業CFから投資CFを差し引いたもので、企業の自由に使えるお金を示します。)

営業キャッシュフローは毎年安定してプラスを維持し、成長に必要な投資を賄えるだけの十分なフリーキャッシュフローを創出しています。2025年9月期は投資CFが大きく圧縮され、FCFが大きく増加しています。

【利益の質】

  • 営業CF/純利益比率:12,486百万円 ÷ 12,094百万円 ≒ 1.03倍 (営業活動によるキャッシュフローが純利益の1倍以上であれば、利益の質は健全とされます。)
  • 03倍であり、純利益がしっかりとキャッシュフローとして裏付けられていることを示しており、利益の質は健全です。

【四半期進捗】

令和8年9月期第1四半期の決算は、売上高24,190百万円(前年同期比+38.0%)、営業利益8,288百万円(同+111.2%)、親会社株主に帰属する四半期純利益5,916百万円(同+110.5%)と大幅な増収増益で着地しました。
通期予想(売上高85,500百万円、営業利益16,600百万円、純利益12,150百万円)に対する進捗率は以下の通りです。

  • 売上高進捗率: 28.3%
  • 営業利益進捗率: 49.9%
  • 純利益進捗率: 48.7%

特に利益面での進捗が第1四半期としては非常に高く、通期予想に対して好調なスタートを切っています。これは地方公共団体事業部門における標準準拠システムおよびガバメントクラウド移行の完了が大きく寄与しています。

【バリュエーション】

  • PER(会社予想): 17.01倍 (株価が1株当たり利益の何年分に相当するかを示す指標。業界平均より低ければ割安の可能性。)
  • PBR(実績): 1.85倍 (株価が1株当たり純資産の何倍かを示す指標。1倍を下回ると解散価値を下回ると解釈されることもあります。)

業界平均PER 23.2倍、業界平均PBR 2.3倍と比較すると、TKCのPERは業界平均の約73.3%、PBRは約80.4%となっており、同業他社と比較して割安感がある水準であると判断できます。業種平均PER基準の目標株価は5,432円、業種平均PBR基準では5,002円と算出されており、現在の株価4,030円と比較して上昇余地があると見られます。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: -47.94 / シグナルライン: -40.64 明確なトレンドシグナルは出ていませんが、デッドクロス状態が継続している可能性があります。
RSI 中立 45.2% 売られすぎでも買われすぎでもない、中立的な水準を示しています。
5日線乖離率 +1.26% 現在株価が5日移動平均線をわずかに上回っており、短期的な回復傾向が見られます。
25日線乖離率 -1.25% 短期トレンドを示す25日移動平均線よりやや下に位置しています。
75日線乖離率 -2.60% 中期トレンドを示す75日移動平均線より下に位置しています。
200日線乖離率 -4.60% 長期トレンドを示す200日移動平均線より下に位置しています。

【テクニカル】

現在の株価4,030円は、52週高値4,635円に対して約15%下に位置し、52週安値3,485円に対しては上に位置しています(52週レンジ内位置: 47.4%)。短期的な5日移動平均線(3,980.00円)は上回っていますが、25日、75日、200日といった中長期の移動平均線(4,081.00円、4,137.60円、4,228.12円)を下回っており、上値抵抗線として意識される可能性があります。株価は中長期的な下落トレンドの中で短期的な調整局面にあると見ることができますが、直近では5日移動平均線を上回るなど、やや反発の兆しも見られます。

【市場比較】

日経平均株価やTOPIXとの相対パフォーマンスを見ると、TKCの株価は過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年全ての期間で市場平均を大幅に下回っています。

  • 1ヶ月リターン: 株式-2.66% vs 日経+10.34%、TOPIX+10.53%
  • 1年リターン: 株式+6.90% vs 日経+50.32%、TOPIX+50.32%と比較して日経平均・TOPIXを40ポイント以上下回っており、市場の大型株優位のトレンドに乗れていない状況が見られます。割安感はあるものの、市場全体のリターンには追随できていないため、個別の企業要因やテーマ性が今後重要になると考えられます。

【定量リスク】

  • 年間ボラティリティ: 19.40% (株価の変動の激しさを示す指標。高いほどリスクが大きい傾向があります。)
  • シャープレシオ: -0.10 (リスクに見合うリターンが得られているかを示す指標。マイナスの場合はリスクフリーレートを下回るリターンであったことを意味します。)
  • 最大ドローダウン: -30.36% (過去に経験した最大の下落率。仮に100万円投資した場合、過去には最大で約30.36万円の損失を被る局面があったことを意味します。)
  • 年間平均リターン: -1.48% (過去のデータに基づくと、年間で平均してこの程度のリターンであったことを示します。)

年間ボラティリティは比較的低めですが、シャープレシオがマイナスであること、過去の最大ドローダウンが約30%に達したことがある点は、投資の際に考慮すべきリスクです。仮に100万円投資した場合、年間で±19.4万円程度の変動が想定され、短期的には30万円以上の下落リスクも歴史的に存在したと認識しておく必要があります。

【事業リスク】

  • 地方公共団体向け移行案件の季節性・偏重: 地方公共団体向けの標準準拠システム移行案件は、特定の時期に収益が集中しやすく、翌期に反動で売上が減少する可能性があります。これにより、四半期ごとの業績が不安定になるリスクがあります。
  • 印刷事業部門の売上減少と収益性低下: 企業全体の売上の一部を占める印刷事業部門は、デジタル化の進展に伴い売上高が減少傾向にあり、利益率もマイナス(営業損失)となっています。これが全体収益の足を引っ張る可能性があります。
  • 市場環境・政策変動の影響: 地方公共団体向けのビジネスは、自治体の予算配分、ガバメントクラウド移行スケジュール、関連する政令や政策の変更に直接影響を受けます。また、ITハードウェアの調達コスト変動や為替変動などが業績に影響を及ぼす可能性があります。

7. 市場センチメント

信用取引状況は、信用買残32,000株、信用売残30,000株で、信用倍率は1.07倍と、売り買いのバランスが比較的均衡しています。信用倍率が極端に高いわけではないため、将来の大きな売り圧力につながるほどの懸念は小さいと考えられます。
主要株主構成を見ると、公益財団法人飯塚毅育英会(14.37%)、大同生命保険(9.17%)、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)(8.65%)などが上位を占めており、安定株主が多い構造です。自社グループ社員持株会も5.81%を保有しており、経営陣と従業員のコミットメントが高いことが伺えます。

8. 株主還元

TKCは株主還元に積極的です。

  • 配当利回り(会社予想): 2.73% (年間予想配当110円に基づき、現在の株価に対する利回りです。)
  • 配当性向: 46.7% (通期予想EPS235.37円に対する年間配当110円で計算。利益の約半分を配当に回しており、安定した配当方針が見られます。過去5年も40%台で安定しています。)

また、ニュース動向では「自社株の買付と消却を発表」とあり、自社株買いを通じて株主価値向上にも取り組んでいることが分かります。継続的な増配傾向も見られ、株主への還元意欲は高いと評価できます。

SWOT分析

強み

  • 会計事務所と地方公共団体に特化した高付加価値ITサービスによる高い参入障壁と安定した顧客基盤。
  • 極めて高い自己資本比率(83.6%)、流動比率(358%)、高水準の営業利益率(34.27%)による強固な財務体質と収益性。

弱み

  • 地方公共団体向け大型案件に起因する業績の季節性や偏重。
  • 印刷事業部門(DPS)の売上減少と営業損失が続く構造的な課題。

機会

  • 政府主導の地方公共団体における標準準拠システムやガバメントクラウドへの移行需要増大。
  • デジタルインボイスやDX推進による会計事務所・企業のITサービス需要拡大。

脅威

  • 地方公共団体向け移行スケジュール変更や政策変動による事業計画への影響。
  • 特定の事業領域への依存度が高く、市場や技術トレンドの変化への対応力。

この銘柄が向いている投資家

  • 安定した財務基盤と高収益性を重視する長期投資家: 非常に健全な財務と高い収益性を持つため、腰を据えて企業価値の成長を享受したい投資家。
  • 配当と株主還元を重視する投資家: 安定した配当に加え、増配傾向や自社株買いなどの株主還元策を評価する投資家。
  • 公共事業や専門特化型ITサービスの成長に注目する投資家: 地方公共団体のDX推進や会計分野のデジタル化という特定テーマの恩恵を受けたいと考える投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 市場全体の動向との乖離: 直近のリターンは市場平均を下回っており、市場トレンドとの乖離に注意が必要です。
  • 事業成長の持続性: 地方公共団体向け案件の反動リスクや印刷事業の構造的な課題を理解し、今後の成長ドライバーが持続的に機能するかを慎重に評価する必要があります。

今後ウォッチすべき指標

  • 地方公共団体事業部門の新規受注状況とプロジェクト進捗: 標準準拠システム移行の進捗とそれに伴う売上・利益の季節性を注視。
  • 会計事務所向けクラウドサービスの契約数とクラウド化比率: 中期経営計画で重要視されているクラウドシフトの進捗を確認。
  • 各四半期の営業利益率の推移: ハードウェア売上増に伴う原価上昇のリスクが示唆されているため、利益率の動向を継続して確認。

10. 企業スコア

  • 成長性: A (良好な成長)
    • FY2025予想売上高成長率は約10.98%と堅調であり、直近第1四半期の売上高は前年同期比+38.0%、純利益は+110.5%と大きく伸長しています。これは主に地方公共団体事業の大型案件によるものであり、その持続性には季節性や偏重の影響を考慮する必要があるため、「良好」と評価します。
  • 収益性: S (極めて優良)
    • 実績ROEは11.48%と良好な水準ですが、特に過去12ヶ月の営業利益率は34.27%と非常に高く、同業他社と比較しても際立っています。これは、専門特化型のビジネスモデルが高収益体質を維持している証拠であり、Sランクに値します。
  • 財務健全性: S (極めて優良)
    • 自己資本比率は83.6%、流動比率は3.58倍(358%)と、いずれも極めて高い水準を維持しています。Piotroski F-Scoreも7/9点(優良)であり、これらの指標全てが財務の安定性、安全性の高さを示しており、Sランクと評価します。有利子負債もほとんどなく、盤石な財務基盤です。
  • バリュエーション: S (割安感あり)
    • PER(会社予想)17.01倍、PBR(実績)1.85倍は、それぞれ業界平均PER 23.2倍、PBR 2.3倍を下回っています。これは、市場全体のリターンを追えていない現状があるものの、企業の高い収益性と堅実な財務健全性を考慮すると、現在の株価には相対的に割安感があると判断でき、Sランクに近い評価とします。

企業情報

銘柄コード 9746
企業名 TKC
URL http://www.tkc.jp/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 4,030円
EPS(1株利益) 236.88円
年間配当 2.73円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 5.4% 20.6倍 6,364円 9.6%
標準 4.2% 17.9倍 5,213円 5.3%
悲観 2.5% 15.2倍 4,087円 0.4%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 4,030円

目標年率 理論株価 判定
15% 2,600円 △ 55%割高
10% 3,247円 △ 24%割高
5% 4,097円 ○ 2%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
オービックビジネスコンサルタント 4733 6,320 4,765 27.07 2.85 11.0 1.75
ミロク情報サービス 9928 1,803 582 11.19 1.69 17.7 3.32

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.28)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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