企業の一言説明

世紀東急工業は道路舗装工事を主力とする、東急グループを背景に持つ大手建設会社です。環境・景観工事や舗装材の製造販売も手広く展開しています。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 堅固な事業基盤とインフラ需要: 道路舗装という社会インフラに不可欠な事業を展開し、東急グループとの連携により安定した受注基盤を持っています。
  • 良好な財務健全性と株主還元意欲: 自己資本比率が高く、Piotroski F-Scoreも良好な水準です。高い配当利回りを示し、株主への還元意識が伺えます。
  • 減配予想と今後の成長戦略の実行が焦点: 今期は減配予想が出されており、直近の売上成長率もマイナスです。低炭素技術やDX投資など、中期経営計画における成長戦略の着実な実行と、それによる収益改善が今後の重要な焦点となります。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 B 堅実な成長期待
収益性 A 良好な水準
財務健全性 S 非常に優良
バリュエーション B 適正水準

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 1,612.0円
PER 12.83倍 業界平均14.0倍よりやや低い
PBR 1.41倍 業界平均1.1倍よりやや高い
配当利回り 4.34%
ROE 10.12%

1. 企業概要

世紀東急工業は、東京都港区に本社を置く東証プライム上場の建設会社です。主に道路舗装工事を手掛け、土木、建築全般の建設工事、アスファルト合材等の舗装資材の製造販売、産業廃棄物処理、不動産賃貸等も展開しています。特に環境・景観工事に注力し、低炭素アスファルト技術の導入など、環境配慮型事業への技術的な独自性を持つ老舗大手です。東急建設を主要株主とする東急グループの一員であり、安定した事業基盤と技術力を強みとしています。

2. 業界ポジション

世紀東急工業は日本の道路舗装業界における大手企業の一角を占めています。東急グループとの強固な関係性を背景に、公共事業や民間工事において安定的な受注を獲得しています。競合他社と比較して、環境・景観技術や低炭素舗装材の開発・導入に強みを持つ一方で、建設業界全体の人件費・資材費高騰リスクは共通の課題です。バリュエーション指標を見ると、PER(予想)は12.83倍であり、業界平均の14.0倍と比較してやや割安感があります。一方、PBR(実績)は1.41倍で、業界平均の1.1倍と比較するとやや割高な水準です。

3. 経営戦略

世紀東急工業は中期経営計画(2024-2026年度)を策定しており、最終年度の計画値に1年前倒しでの到達を見込んでいます。主要な戦略方針として、「本業強化」、「事業領域拡大(再生・低炭素技術、民間受注強化、海外含むM&A等)」、「人材投資と生産性向上」、「財務健全性維持(自己資本比率≈50%、DEレシオ0.3以下)」を掲げています。具体的には、低炭素アスファルトの導入推進、常温合材の強化、妙見島混合所のリニューアルなどの設備投資、AI・DXによる生産性向上に注力しています。
直近の重要イベントとして、2026年3月30日に配当の権利落ち日(Ex-Dividend Date)が予定されています。経営陣は地政学的リスクや資材・人件費高騰を認識しつつも、中期施策を着実に実行していく姿勢を示しています。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 6/9 A: 良好(全体的に健全だが一部改善余地あり)
収益性 2/3 純利益とROAは良好ですが、営業キャッシュフローのデータが不足しています。
財務健全性 3/3 流動比率、D/Eレシオ、株式希薄化において全て良好な状態を維持しています。
効率性 1/3 ROEは良好ですが、営業利益率が目標に届かず、直近四半期の売上成長率がマイナスです。

Piotroski F-Score6/9点と「A: 良好」判定であり、同社の財務体質は全体的に健全であることが示されています。特に財務健全性においては満点の3点を獲得しており、流動性の高さや負債比率の低さ、株式希薄化がない点が評価されます。収益性も純利益とROAがプラスを維持している点で良好ですが、効率性の項目では営業利益率が目標に届かず、直近四半期の売上成長率がマイナスである点が改善余地とされています。

【収益性】

過去12か月ベースの営業利益率8.53%であり、建設業としては堅実な水準です。ROE(株主資本利益率)10.12%と、一般的な目安とされる10%を上回っており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出していると評価できます。一方、ROA(総資産利益率)4.83%であり、ベンチマークの5%にはわずかに届かないものの、良好な水準を維持しています。

【財務健全性】

自己資本比率50.5%と非常に高く、財務基盤の安定性を示しています。これは建設業においてリスク耐性の高さを示す重要な指標です。流動比率1.65倍(165%)であり、短期的債務支払能力は十分に確保されています。総負債に対する株主資本の比率を示すTotal Debt/Equityも16.09%と非常に低く、借入金への依存度が低い強固な財務体質です。

【キャッシュフロー】

過去のキャッシュフローの推移を見ると、2024年3月期は営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローともに大幅なプラスで安定していましたが、2025年3月期は営業キャッシュフローがマイナス-971百万円)、フリーキャッシュフローもマイナス-2,310百万円)と悪化しています。直近12か月間の営業キャッシュフローの情報は提供されていませんが、過去12ヶ月の純利益が4,455百万円であることを踏まえると、営業CF/純利益比率は直近の推移を注視する必要があります。利益に対するキャッシュ創出能力にはやや懸念があるため、今後の改善が期待されます。

【四半期進捗】

2026年3月期 第3四半期の連結決算では、通期売上高予想101,300百万円に対し69,848百万円(進捗率69.0%)、営業利益予想6,600百万円に対し4,513百万円(進捗率68.4%)、親会社株主に帰属する四半期純利益予想4,600百万円に対し2,987百万円(進捗率64.9%)となっています。第3四半期時点での進捗率は売上・利益ともに70%弱であり、建設業の特性として期末に工事完成が集中することを考慮すれば許容範囲と考えられますが、今後の工事進捗と利益計上が重要となります。
直近3四半期の状況は、第3四半期の売上高が前年同期比で△5.2%と減少した一方で、営業利益は前年同期比+9.5%と増加しており、利益率の改善が見られます。セグメント別では、建設事業の売上高は減少したものの、舗装資材製造販売事業の売上高は微減ながら営業利益が+89.7%と大幅に改善し、全体の利益を牽引しています。これは原材料費の変動や効率的な製造販売活動が寄与している可能性があります。

【バリュエーション】

同社の株価バリュエーションは、PER(会社予想)が12.83倍と、業界平均の14.0倍と比較してやや割安な水準にあります。これは、利益水準に対して株価が低めに評価されている可能性を示唆します。一方、PBR(実績)は1.41倍で、業界平均の1.1倍と比較するとやや割高です。これは、同社の純資産価値に対して株価が比較的高く評価されていることを意味します。
業種平均PER基準で算出した目標株価は1,706円と現在の株価(1,612円)よりも高めですが、業種平均PBR基準では1,255円と現在の株価を下回ります。PERとPBRで異なる評価が出ているため、割安・割高の判断には多角的な視点が必要です。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: -20.38 / シグナル値: -9.42 短期トレンドに明確な方向性は示されていません。
RSI 中立 42.3% 買われすぎでも売られすぎでもない中立的な状態です。
5日線乖離率 +0.52% 直近のモメンタムはわずかに上昇傾向です。
25日線乖離率 -3.48% 短期トレンドからはやや下方に乖離しています。
75日線乖離率 -2.18% 中期トレンドからもやや下方に乖離しています。
200日線乖離率 +3.98% 長期トレンドからは上方に乖離しており、長期的に株価は上昇しています。

MACDとRSIは中立的なシグナルを示しており、短期的な明確なトレンドは見えません。株価は5日移動平均線をわずかに上回っていますが、25日・75日移動平均線は下回っており、短中期的な調整局面にある可能性を示唆しています。しかし、200日移動平均線を上回っていることから、長期的な上昇トレンドは維持されていると解釈できます。

【テクニカル】

現在の株価1,612円は、52週高値1,729円72.9%の水準)と比較して高値圏に位置し、年初来安値1,298円からは大きく上昇しています。直近1ヶ月のリターンは-4.78%と下落傾向にありますが、3ヶ月、6ヶ月、1年リターンはプラスを維持しており、一時的な調整と見ることもできます。株価は5日移動平均線(1,603.60円)を上回っていますが、25日移動平均線(1,670.04円)と75日移動平均線(1,647.89円)を下回っており、これらの移動平均線が短期的なレジスタンスとなり得る可能性があります。

【市場比較】

同社の株価パフォーマンスを市場指数と比較すると、直近1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年のいずれの期間においても日経平均株価およびTOPIXを下回っています。特に6ヶ月、1年間の日経平均株価に対するアンダーパフォームは25%ポイント以上、39%ポイント以上と顕著であり、市場全体の強い上昇トレンドに乗り切れていない状況が伺えます。これは、同社固有のテーマ性や成長期待が市場全体と比べて低かった可能性や、過去のキャッシュフローの不安定さ、減配予想などが影響していると考えられます。

【注意事項】

⚠️ 信用倍率14.77倍と高水準にあり、将来の売り圧力に注意が必要です。

【定量リスク】

同社の年間ボラティリティ22.09%です。これは、仮に100万円を投資した場合、年間で約±22.09万円程度の変動が想定されることを意味します。過去のデータでは、最大ドローダウン-22.80%とされており、この程度の資産減少は今後の投資においても起こりうるリスクとして認識しておく必要があります。シャープレシオ0.06と低い水準であり、リスクに見合うリターンが十分に得られているとは言えない状況です。

【事業リスク】

  • 原材料・人件費高騰リスク: 決算説明資料でも言及されている通り、資材・エネルギー価格の高止まりや運搬費・人件費の上昇は、建設コストの増加を通じて収益性を圧迫する可能性があります。
  • 公共投資・景気動向への影響: 道路舗装工事は公共事業に大きく依存するため、政府の公共投資政策や景気変動によって、受注高や事業環境が影響を受けるリスクがあります。
  • 工事進捗の遅延リスク: 建設工事の特性上、天候不順、資材調達難、人手不足などにより工事の進捗が遅延する可能性があり、これが収益計上時期のずれやコスト増につながるリスクがあります。

7. 市場センチメント

信用取引状況を見ると、信用買残が214,100株に対し信用売残が14,500株であり、信用倍率は14.77倍と高い水準です。これは株価下落時に、信用買い残が将来的な売り圧力となる可能性を指摘しており、需給面での注意が必要です。
主要株主は、筆頭株主である東急建設23.86%を保有しているほか、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)8.83%、親会社の東急4.1%を保有しています。発行済み株式の33.90%がインサイダーによって保有されており、安定株主による経営安定化が期待できる一方で、浮動株が比較的少ない状況です。

8. 株主還元

同社の配当利回り(会社予想)は4.34%と非常に高い水準で、安定的なインカムゲインを求める投資家にとって魅力的です。1株配当70.00円(会社予想)ですが、これは前年度の90.00円から減配となる予想です。配当性向は65.64%と高く、利益の大部分を配当に回す方針を示していますが、前年度の84.5%から考えると、利益水準に応じた柔軟な配当政策を取っていると見られます。過去の配当性向には100%を超える時期もあり、利益が不安定な時期には配当を持続するために高い配当性向を維持してきた経緯が見られます。自己株式の取得に関する情報はありません。

SWOT分析

強み

  • 道路舗装業界における大手としての安定した事業基盤と技術力(環境・景観技術、低炭素アスファルト等)。
  • 東急グループとの連携による堅固な事業ネットワークと高い財務健全性(自己資本比率50.5%、F-Score6点)。

弱み

  • 原材料価格・人件費の高騰による収益性への圧力。
  • 直近の市場に対する株価パフォーマンスの劣後、および減配予想。

機会

  • インフラ老朽化対策としての国内舗装需要の継続。
  • 環境配慮型技術(低炭素アスファルト)やDX推進による競争優位性の確立と市場拡大。

脅威

  • 公共投資の変動や景気後退による事業環境の悪化。
  • 建設業界における競争激化と、工事単価の決定における制約。

この銘柄が向いている投資家

  • 安定配当を重視するインカムゲイン投資家: 高い配当利回りを魅力に感じる投資家。
  • インフラ関連企業の安定性を求める長期投資家: 社会インフラに不可欠な事業基盤を持つ企業を中長期的に保有したい投資家。
  • 財務健全性を重視する保守的な投資家: 高い自己資本比率と良好なF-Scoreに安心感を得る投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 減配リスクの継続的な確認: 今期減配予想が出ているため、今後の配当政策及び利益水準の回復状況を注視する必要があります。
  • 事業コストの動向: 原材料価格や人件費の変動が収益に与える影響を定期的に確認することが重要です。
  • 成長戦略の実行度と効果: 低炭素技術やDX投資などの成長戦略が、売上成長や利益改善にどの程度貢献するかを評価する必要があります。

今後ウォッチすべき指標

  • 営業キャッシュフローの推移: 2025年3月期のマイナスからの改善状況と、利益に対するキャッシュ創出能力。
  • 新規受注高の動向: 中期経営計画における受注基盤強化の成果、特に民間受注の拡大状況。
  • 低炭素技術関連の売上貢献: 環境配慮型技術がどれだけ収益に結びついているか。
  • 配当政策の見直し: 減配後の株主還元方針や、利益水準に伴う配当性向の変化。

10. 企業スコア

成長性:B

過去数年の売上高は変動し、2026年3月期は増収予想であるものの、直近四半期の売上成長率は前年同期比で△7.50%とマイナスを記録しています。中期経営計画での事業領域拡大戦略は評価できるものの、現時点では積極的な高成長とは言い難く、堅実な成長期待としてB評価とします。

収益性:A

ROE10.12%とベンチマークの10%を上回っており、株主資本の利用効率は良好です。過去12カ月の営業利益率8.53%と堅調です。業界特性を考慮すると、安定した収益力を有していると判断し、良好な水準としてA評価とします。

財務健全性:S

自己資本比率50.5%と非常に高く、財務の安定性を示しています。流動比率1.65倍と短期的な支払い能力に問題はありません。加えて、Piotroski F-Scoreで6点(A:良好)を獲得していることから、非常に優良な財務体質と評価しS評価とします。

バリュエーション:B

PER(会社予想)は12.83倍で業界平均の14.0倍よりわずかに割安ですが、PBR(実績)は1.41倍で業界平均の1.1倍より割高です。目標株価もPER基準とPBR基準で乖離があり、一概に割安とは言えない状況です。PERとPBRの総合的なバランスを考慮し、適正水準に近いB評価とします。


企業情報

銘柄コード 1898
企業名 世紀東急工業
URL http://www.seikitokyu.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 建設・資材 – 建設業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,612円
EPS(1株利益) 125.60円
年間配当 4.34円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 19.7% 14.8倍 4,554円 23.3%
標準 15.2% 12.8倍 3,263円 15.4%
悲観 9.1% 10.9倍 2,116円 5.9%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,612円

目標年率 理論株価 判定
15% 1,639円 ○ 2%割安
10% 2,047円 ○ 21%割安
5% 2,583円 ○ 38%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
インフロニア・ホールディングス 5076 2,380 6,541 10.90 1.26 11.5 3.86
東亜道路工業 1882 1,844 929 22.65 1.65 7.3 4.88

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.31)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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