以下は、東亜建設工業(1885)の企業分析レポートです。
1. 企業情報
東亜建設工業は、1908年創業の歴史ある総合建設会社です。特に「旧浅野系」と呼ばれる流れをくむ海洋土木の分野で大手としての地位を確立しており、港湾や空港などの大規模インフラ建設で実績を有しています。国内の土木・建築事業に加え、海外での事業展開も積極的で、ODA(政府開発援助)案件などを通じて東南アジアを中心にアフリカ・南アジアでも活動しています。
主な事業セグメントは「国内土木」「国内建築」「海外」「その他」で構成され、2025年3月期(予想)の売上構成比は国内土木43%、国内建築33%、海外20%、その他4%となっています。
2. 業界のポジションと市場シェア
東亜建設工業は、日本の海洋土木分野において主要なプレイヤーの一つです。この分野では、港湾整備、埋め立て、浚渫といった専門性の高い技術とノウハウが求められ、新規参入が容易ではないため、長年の実績と技術力が競争優位性となっています。
海外事業においては、ODA案件などを通じて発展途上国のインフラ整備に貢献しており、国内市場の成熟化が進む中で成長ドライバーの一つとなっています。
建設業界全体としては、資材価格や労務費の高騰、熟練技術者不足といった課題に直面していますが、防災・減災、国土強靱化計画、インフラ老朽化対策、防衛関連インフラ整備など、公共投資は堅調に推移しています。
3. 経営戦略と重点分野
同社の中期経営計画(2023~2025年度)では、「事業部門間連携の強化」「新規事業への挑戦」「多様な人材の確保と社員の幸福度向上」を重点施策として推進しています。部門間の連携強化によるシナジー創出、新たな技術やサービスの開発、そして人材育成と働きがいのある環境づくりを通じて、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、国内外の大規模な土木・建築プロジェクトの受注によるものです。安定した受注残高(手持高)を確保しており、直近の受注状況を見ると、国内の民間建築分野で特に大型案件が増加しています。建設需要が公共投資などで支えられていること、また海外でのインフラ需要が依然として高いことから、事業の持続可能性は高いと評価できます。ただし、大型プロジェクトの採算性や、為替変動を含む海外事業リスクへの対応は継続的な課題です。
5. 技術革新と主力製品
提供された情報からは具体的な技術革新や主力製品に関する詳細な記述はありません。しかし、海洋土木を主軸とする建設会社として、高度な土木技術、環境に配慮した工法、大規模構造物の建設・維持管理技術などが中核をなすと推測されます。近年では、ICTを活用した建設施工(i-Construction)や環境技術(再生可能エネルギー関連工事など)の導入・開発も進められている可能性があります。
6. 株価の評価
- EPSに基づく評価:
- 会社予想EPS: 157.98円
- 会社予想PER: 15.16倍
- 現在の株価: 2,385.0円
- 理論PERから見た株価= 業界平均PER(14.0倍) × 予想EPS(157.98円) = 2,211.72円
- 現在の株価2,385.0円は、業界平均PERで算出した理論株価2,211.72円と比較して、やや割高感があります。
- BPSに基づく評価:
- 実績BPS: 1,304.92円
- 実績PBR: 1.84倍
- 現在の株価: 2,385.0円
- 理論PBRから見た株価 = 業界平均PBR(1.1倍) × 実績BPS(1,304.92円) = 1,435.41円
- 現在の株価2,385.0円は、業界平均PBRで算出した理論株価1,435.41円と比較して、割高感があります。
総合的に見ると、現在の株価は、業界平均と比較して割高な水準にあると言えます。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、10月27日に2,544円で引けた後、翌28日には年初来高値2,560円を記録しましたが、その後は調整局面に入り、2,300円台半ばで推移しています。現在の株価2,385.0円は、年初来高値2,560円をやや下回る水準であり、直近では高値圏からの調整圧力が一部見られます。
しかし、50日移動平均線(2,182.88円)も200日移動平均線(1,670.04円)も明確に上昇トレンドを示しており、中長期的な上昇基調は継続していると判断できます。年初来安値1,067円と比較しても現在の水準は高い位置にあります。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去数年で着実に増加しており、2022年3月期2,198億円 → 2023年3月期2,135億円 → 2024年3月期2,838億円 → 2025年3月期(予想)3,304億円と、特に直近2年間で大きく伸長しています。直近12か月の売上高は3,304億7,200万円で前年同期比約22.0%増(QoQ)と高い成長を示しています。
- 利益: 売上高の増加に伴い、粗利、営業利益、純利益も大きく改善しています。2025年3月期(予想)の営業利益は206億円、純利益は149億円と、過去数年と比較して高水準を維持しています。営業利益率(過去12か月)6.19%も健全です。
- ROE: 実績ROEは14.75%、過去12か月ROEは17.30%と、資本を効率的に活用して収益を上げていると言え、良好な水準です。
- ROA: 過去12か月ROAは5.65%であり、資産効率性も適切に保たれています。
- 自己資本比率: 実績35.6%、直近四半期34.8%と、建設業としては一般的な水準ですが、さらなる向上も期待されます。
- 流動比率: 直近四半期で1.40と、短期的な支払い能力は十分に確保されています。
- キャッシュフロー: 提供された情報からは詳細が不明です。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の配当利回りは3.17%と魅力的です。1株配当は76.00円(会社予想)、配当性向は40.44%であり、安定した利益成長を背景に、比較的高水準の配当を維持する方針であると見受けられます。直近の決算短信でも配当予想に変更はなく、株主還元への意識は高いと言えます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
信用買残が680,300株と信用売残50,600株に対して多く、信用倍率は13.44倍と高水準です。これは、株価上昇を期待する買い方が多いことを示唆しますが、一方で将来的な売り圧力となる可能性も秘めています。直近の株価は年初来高値からやや調整していますが、中長期移動平均線が上向きであり、上昇トレンドは継続しています。
株主構成を見ると、日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行といった信託銀行の他、太平洋セメント、明治安田生命保険などの安定株主、そして自社(自己株口)も上位に名を連ねています。機関投資家保有比率は28.26%です。今後の決算発表(2025年8月12日)は株価に影響を与える主要なイベントとなるでしょう。
11. 総評
東亜建設工業は、海洋土木に強みを持つ総合建設会社であり、国内外の堅調なインフラ需要を背景に、売上高・利益ともに力強い成長を遂げています。特に、昨年度から今年度にかけての業績改善は顕著であり、手持高も安定的に積み上がっていることから、事業基盤は強固です。財務の健全性も維持されており、ROEの高さは資本効率の良さを示しています。
一方で、現在の株価は PER・PBRともに業界平均と比較して割高感があり、市場からの期待値が高い水準にあると言えます。直近の株価は高値圏での調整が見られますが、中長期的な移動平均線は上昇トレンドを示しており、堅調に推移しています。株主還元策として配当利回りも魅力的な水準にあります。
今後の注目点は、中期経営計画の進捗、資材価格や労務費の変動、大型工事の採算性、そして海外事業の安定的な貢献度となるでしょう。
12. 企業スコア
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成長性:A
LTM売上成長率(YoY)が22.00%と高く、過去数年間の売上高も着実に増加しています。特に直近年度の伸長は顕著です。
* 収益性:BGross Profit Margin: 10.58%、Operating Margin: 6.19%。ROEは17.30%と高い水準にありますが、営業利益率は建設業としては標準的です。直近の利益成長は大きいものの、業界平均との比較が困難なため中立寄りの評価とします。
* 財務健全性:B自己資本比率35.6%(直近四半期34.8%)は建設業として標準的な水準です。流動比率1.40、Total Debt/Equity 41.67%は健全性を示しており、全体として安定しています。
* 株価バリュエーション:CPER(15.16倍)は業界平均(14.0倍)を上回り、PBR(1.84倍)は業界平均(1.1倍)よりも高い水準にあり、現在の株価にはやや割高感が見られます。
企業情報
| 銘柄コード | 1885 |
| 企業名 | 東亜建設工業 |
| URL | http://www.toa-const.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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