企業の一言説明
第一三共は、革新的な抗体薬物複合体(ADC)技術を核に、特にがん領域でグローバル展開を加速する国内製薬大手の企業です。
投資判断のための3つのキーポイント
- オンコロジー(がん)領域の成長ドライバー: 抗体薬物複合体(ADC)「エンハーツ」「ダトロウェイ」がグローバルで高成長を牽引し、売上収益を大きく伸ばしています。
- 高い研究開発投資と収益性: 成長のための研究開発投資を積極的に行い、高いROEを維持しているものの、一過性費用やプロフィットシェア費用が利益を圧迫する局面もあります。
- キャッシュフローの変動と株価の割高感: グローバル事業拡大に伴う投資や一過性費用の影響で営業キャッシュフローが不安定な時期があり、またPBRは業界平均と比較して割高感が見られます。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | S | 非常に高い成長 |
| 収益性 | S | 優れた高収益性 |
| 財務健全性 | B | 概ね良好 |
| バリュエーション | A | やや割安水準 |
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 3,309.0円 | – |
| PER | 21.30倍 | 業界平均27.8倍より低い |
| PBR | 3.71倍 | 業界平均1.4倍より高い |
| 配当利回り | 2.36% | – |
| ROE | 17.86% | – |
1. 企業概要
第一三共は、医薬品の研究開発、製造、販売を手掛ける国内大手製薬企業です。特に、がん領域における革新的な抗体薬物複合体(ADC)技術に強みを持ち、主力製品として「エンハーツ」「ダトロウェイ」をグローバルに展開しています。その他、循環器系や感染症領域、ワクチンなども手掛け、幅広い医療ニーズに応えています。売上の約7割は海外が占め、グローバル展開を加速しています。収益モデルは、自社開発品の販売収入に加え、他社との提携による新薬の共同開発・共同販促・プロフィットシェア(利益分配)によって構成されています。
2. 業界ポジション
第一三共は国内製薬大手の一角であり、特にがん治療薬の分野では、新たなモダリティである抗体薬物複合体(ADC)技術において世界をリードするポジションを確立しつつあります。英アストラゼネカ社との戦略的提携を通じて、グローバル市場での競争優位性を高めています。競合他社に対する強みは、同社のADC技術プラットフォームによる豊富な開発パイプラインと、それに伴う将来の成長期待です。PBR(株価純資産倍率)は3.71倍と業界平均の1.4倍を大きく上回っており、市場が同社の将来の成長性や無形資産(技術力、パイプライン等)を高く評価していることを示唆します。一方、PER(株価収益率)は21.30倍と業界平均27.8倍を下回っており、利益面ではまだ市場の期待に追いついていない、あるいは現在の利益水準に対しては割安感があるとも解釈できます。
3. 経営戦略
第一三共は、「グローバルファーマシUTICALカンパニー」への変革を掲げ、特にオンコロジー(がん)領域での存在感向上を目指す中期経営計画を推進しています。主要な成長戦略は、革新的な抗体薬物複合体(ADC)を核とした「5DXd ADCs and Next Wave」戦略であり、エンハーツ(T-DXd)やダトロウェイ(Dato-DXd)などのグローバル展開と適応拡大に注力しています。研究開発投資を積極的に行い、次世代の創薬技術確立を目指しています。2025年10月31日開示の2026年3月期第2四半期決算短信では、主力製品の売上伸長により通期売上予想を上方修正しました。一方で、一過性費用の計上により営業利益・当期利益は下方修正されるなど、成長投資に伴う利益変動は顕在化しています。
今後のイベント:
- 2026年1月30日: 決算発表予定
- 2026年3月30日: 配当落ち日
4. 財務分析
| 項目 | 値 | ベンチマーク/解釈 | 評価 |
|---|---|---|---|
| Piotroski F-Score | 3/9点 | 7点以上=財務優良、5-6点=普通、4点以下=要注意 | B(普通) |
| 収益性 | |||
| 営業利益率(過去12か月) | 9.49% | 10%以上で良好 | 普通 |
| ROE(実績) | 17.86% | 10%以上で優良 | 優良 |
| ROA(過去12か月) | 4.90% | 5%以上で良好 | 普通 |
| 財務健全性 | |||
| 自己資本比率(実績) | 47.0% | 40%以上で安定 | 安定 |
| 流動比率(直近四半期) | 219% | 150%以上で健全 | 健全 |
| キャッシュフロー | |||
| 営業CF(過去12か月) | 1,021億円 | 持続的なプラスが望ましい | 黒字 |
| フリーCF(過去12か月) | 356億円 | 安定的なプラスが望ましい | 黒字 |
| 利益の質 | |||
| 営業CF/純利益比率(過去12か月) | 0.36倍 | 1.0以上で健全、1.0未満は要確認 | 要確認 |
| 四半期進捗 | |||
| 売上進捗率(通期予想比、中間期) | 46.5% | 四半期均等で50%程度 | 概ね順調 |
| 営業利益進捗率(通期予想比、中間期) | 43.1% | 四半期均等で50%程度 | やや低い |
| 純利益進捗率(通期予想比、中間期) | 45.4% | 四半期均等で50%程度 | やや低い |
解説:
- Piotroski F-Score: 3点と「要注意」の水準にあります。これは、同社の財務が全体的に不安定であることを示唆していますが、製薬業界特有の多額の研究開発投資や一過性の費用・収益が影響している可能性も考慮に入れる必要があります。ただし、過去12か月ベースの営業利益率が低く、営業キャッシュフローが純利益を下回っている点が主な要因です。
- 収益性: ROEは17.86%と非常に高い水準で、株主資本を効率的に活用して利益を上げていることを示しています。一方で、過去12か月の営業利益率は9.49%とベンチマークをやや下回っていますが、これは一過性の費用が影響している可能性があります(2025年3月期実績営業利益率は17.6%)。
- 財務健全性: 自己資本比率は47.0%、流動比率は219%と、いずれも安定性と短期的な支払い能力を示す上で健全な水準です。借入金も総資産に対しては抑えられており、財務基盤は比較的強固と言えます。
- キャッシュフロー: 営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローともに過去12か月ではプラスを維持しており、事業活動から安定的に資金を生み出している点は評価できますが、決算短信の中間期では営業CFがマイナスになるなど、変動が大きい傾向にあります。
- 利益の質: 営業キャッシュフローが純利益の0.36倍にとどまっており、「利益の質」は要注意レベルです。これは、実現した利益に対して現金の流入が少ない状態を示唆し、会計上の利益が必ずしも手元の現金増加に直結していない可能性があるため、より詳細な分析が必要です。
- 四半期進捗: 中間期時点では売上は概ね順調な進捗ですが、営業利益と純利益の進捗率は50%を下回っており、通期予想達成には下半期の巻き返しが必要となります。特に、一過性費用の計上が利益進捗に大きく影響しています。
5. 株価分析
- バリュエーション:
- PER(会社予想)は21.30倍であり、業界平均の27.8倍と比較するとやや割安な水準にあります。これは、現在の利益水準に対して株価が割安に評価されている可能性を示唆します。
- PBR(実績)は3.71倍であり、業界平均の1.4倍と比べると割高です。「株価が純資産の何倍か」を示すPBRが1倍未満であれば解散価値を下回る状態とされますが、同社のPBRが業界平均を大きく上回るのは、高い成長期待や無形資産価値(技術力、パイプラインなど)が株価に織り込まれているためと考えられます。
- 業種平均PER基準の目標株価は4,160円、業種平均PBR基準の目標株価は1,250円と、同社への評価基準によって大きく乖離が見られます。
- テクニカル:
- 現在の株価3,309円は、52週高値4,564円に対して17.9%(52週安値から17.9%高い位置)に位置しており、高値圏からは大きく調整しています。
- 5日、25日、75日、200日移動平均線の全てを下回っており、短期から中長期にわたって下降トレンドにあることを示唆しています。
- 市場比較:
- 過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年間のいずれの期間においても、日経平均株価およびTOPIXといった主要市場指数と比較してアンダーパフォーム(市場平均を下回るパフォーマンス)しています。特に1年間では日経平均を58.62ポイント、TOPIXを58.62ポイント下回っており、市場全体の好調な動きから取り残されている状況です。
6. リスク評価
- 定量リスク:
- ベータ値: -0.27 (市場全体の動きとは逆相関、または相関が非常に低いことを示す)
- 年間ボラティリティ: 39.59% (過去のデータに基づくと、仮に100万円投資した場合、年間で±39.59万円程度の変動が想定されます。)
- 最大ドローダウン: -27.73% (過去の最悪期にはこの程度の下落があり、今後も同様の下落が起こりうることを示唆します。リスクの高い銘柄と言えます。)
- シャープレシオ: 0.72 (リスクに見合うリターンが得られているかを測る指標。1.0以上が良好とされるため、リスクに見合うリターンが十分に得られているとは言えない水準です。)
- 事業リスク:
- 新薬開発・承認のリスク: 医薬品開発は成功確率が低く、臨床試験の失敗や規制当局の承認遅延・不承認は、多大な研究開発投資の損失や将来の収益計画に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に高額な費用を要するがん領域での開発は、このリスクが顕著です。
- プロフィットシェア契約と一過性費用の影響: アストラゼネカ社等とのプロフィットシェア契約による利益分配は、主力製品の売上拡大に伴い増加し、利益率を圧迫する可能性があります。また、製造委託先への損失補償のような一過性費用は、突発的に発生し当期利益を大きく変動させる要因となります。
- 為替変動リスク: 海外売上比率が約7割と高いため、為替レートの変動は業績に直接的な影響を及ぼします。特に円高は海外売上の円換算額を減少させ、収益を圧迫する可能性があります。
7. 市場センチメント
- 信用取引状況:
- 信用買残は4,093,800株と豊富に積み上がっており、信用倍率は59.76倍と非常に高い水準です。これは、一般的に将来の株価上昇を期待して買い建てている投資家が多いことを示しますが、一方で株価が下落に転じた際には、信用買いの投げ売り(損切り)が株価をさらに押し下げる要因となる可能性(しこり玉)もあり、需給面では注意が必要です。
- 信用売残は68,500株と少なく、空売りの圧力は限定的です。
- 主要株主構成:
- 上位株主には日本マスタートラスト信託銀行(信託口)17.11%、日本カストディ銀行(信託口)7.04%、日本生命保険4.53%など、国内の機関投資家が名を連ねており、安定株主が一定割合を占めています。機関投資家の保有比率が高いことは、経営の安定性につながる一方、機関投資家の売りが集中すると株価に大きな影響を与えることもあります。
8. 株主還元
- 配当利回り: 会社予想の配当利回りは2.36%です。これは、現在の株価で投資した場合に期待できる年間配当収入の割合を示します。
- 1株配当: 会社予想は年間78.00円です。2026年3月期の中間配当は39円(前年中間は30円)と増配基調です。
- 配当性向: 会社予想ベースの現在の配当性向は38.5%であり、利益の約4割を配当に回していることを示します。一般的に30-50%が健全な水準とされ、適切な株主還元を行っていると言えます。過去の配当性向を見ると、2022年3月期の77.3%、2023年3月期の52.7%など利益水準によって変動も見られましたが、直近は安定しています。
- 自社株買いの状況: 株主還元方針として成長投資と並行して自己株式取得を機動的に実施しており、直近でも取得・消却実績があります。最大2,000億円または8,000万株を上限とする自社株買い枠を設定するなど、直接的な株主還元にも積極的な姿勢を示しています。
SWOT分析
強み
- がん領域における革新的な抗体薬物複合体(ADC)技術と豊富な開発パイプライン
- グローバルでの強力な事業展開力と、アストラゼネカ社との戦略的提携
弱み
- 高水準の研究開発費やプロフィットシェア費用が利益を圧迫する可能性
- 一過性費用(製造委託先への損失補償等)による利益変動リスク
機会
- ADC技術の適用疾患拡大や新たな革新的な創薬モダリティの開発
- 世界的な高齢化の進展と医療ニーズの高まりによる医薬品市場の拡大
脅威
- 医薬品開発の失敗リスクや競合他社による同種薬の開発
- 為替変動による業績への影響や、製造・供給網におけるリスク
この銘柄が向いている投資家
- 長期的な成長を重視する投資家: 特にがん領域のイノベーションとグローバル展開に強い期待を抱く投資家。
- 高ROEかつ安定した配当を求める投資家: 安定的な配当に加え、高いROEで企業の収益性に着目する投資家。
この銘柄を検討する際の注意点
- 利益の変動性: グローバル事業拡大に伴うプロフィットシェア費用や多額の研究開発投資、一過性費用の発生が利益を変動させる可能性があるため、短期的な利益の増減に一喜一憂しない冷静な視点が必要です。
- キャッシュフローの動向: 営業キャッシュフローが安定せず、利益の質にも課題が見られるため、今後のキャッシュフローの改善状況を注視する必要があります。
今後ウォッチすべき指標
- 主要ADC製品(エンハーツ、ダトロウェイ)のグローバル売上高: 会社計画に対する進捗と適応拡大の状況
- 研究開発費の効率性: 投下した資金が新たな承認やパイプラインの進展にどの程度結び付いているか
- 営業キャッシュフローの持続的な改善: 利益の質向上と財務健全性の強化に繋がるか
成長性: S
売上高は過去5年間で年平均15%以上の成長を継続しており、2026年3月期も二桁成長が見込まれるため、非常に高い成長性を示しています。特にオンコロジー領域の主力製品がグローバルで伸長しており、この成長を牽引しています。
収益性: S
ROEは17.86%と非常に高く、株主資本を効率的に活用して利益を創出しています。また、2025年3月期実績の営業利益率も17.6%と高水準であり、事業の稼ぐ力が優れていると評価できます。
財務健全性: B
自己資本比率は47.0%、流動比率は219%と、財務の安定性と短期的な支払能力は健全な水準にあります。しかし、Piotroski F-Scoreが3点とやや低く、営業キャッシュフローと純利益の間に乖離が見られるため、高い水準とは言えない「概ね良好」と評価します。
バリュエーション: A
PERは21.30倍と業界平均27.8倍よりも低く、現在の利益水準から見れば割安感があります。一方でPBRは3.71倍と業界平均1.4倍を大きく上回っており、将来の成長期待が株価に織り込まれているため、総合的に鑑みて「やや割安水準」と評価します。
企業情報
| 銘柄コード | 4568 |
| 企業名 | 第一三共 |
| URL | http://www.daiichisankyo.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 医薬品 – 医薬品 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 3,309円 |
| EPS(1株利益) | 155.33円 |
| 年間配当 | 2.36円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 21.1% | 25.6倍 | 10,377円 | 25.7% |
| 標準 | 16.3% | 22.3倍 | 7,348円 | 17.4% |
| 悲観 | 9.8% | 18.9倍 | 4,684円 | 7.3% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 3,309円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 3,663円 | ○ 10%割安 |
| 10% | 4,574円 | ○ 28%割安 |
| 5% | 5,772円 | ○ 43%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.15)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。