企業の一言説明

クミアイ化学工業は全農系の農薬専業トップクラスで、水稲用除草剤が主力製品の企業です。近年は先端半導体向け化成品事業も拡大しています。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 割安なバリュエーション: PER、PBRともに業界平均を大幅に下回る水準にあり、企業価値に対して割安感があります。
  • 化成品事業の成長と安定した財務: 農薬事業に加え、生成AIサーバー向けなど先端半導体材料としての化成品が成長を牽引。自己資本比率が高く、営業キャッシュフローも大幅に改善しており財務は安定しています。
  • 一時的な要因による利益下振れと回復期待: 直近の純利益は減損損失などの一時的な特別損失、および持分法投資利益の減少などが主因で大幅に減少しましたが、2026年10月期は増益回復が予想されており、この回復が実現できるかが注目点です。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 C 課題あり
収益性 D 低水準
財務健全性 A 比較的高水準
バリュエーション S 非常に割安

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 689.0円
PER 12.96倍 業界平均20.4倍
PBR 0.57倍 業界平均1.1倍
配当利回り 3.48%
ROE 3.02%

1. 企業概要

クミアイ化学工業(4996)は、農薬(殺虫剤、殺菌剤、除草剤など)の製造・販売を主力とする全農系の化学メーカーです。水稲用除草剤が特に強く、海外展開も積極的に行っています。近年はクロロトルエン系化学品や精密化学品を中心とする化成品事業にも注力し、特に先端半導体向けビスマレイミド類などが成長ドライバーとなっています。同社は、全農との連携による強固な国内基盤と、多様な製品ポートフォリオ、研究開発力に技術的独自性があります。

2. 業界ポジション

同社は全農グループの一員として国内農薬業界でトップクラスの地位を確立しており、特に水稲用除草剤分野で強みを持っています。海外売上高比率は59.3%に達し、グローバル市場での存在感も高めています。競合他社に対する強みは、開発から販売まで一貫した体制と全農との連携による安定した販売チャネルです。一方で、世界的メーカーと比較すると規模で劣り、ジェネリック品との価格競争は課題です。各種指数を見ると、PER12.96倍に対して業界平均は20.4倍、PBR0.57倍に対して業界平均は1.1倍と、業界平均と比較して割安なバリュエーション水準にあります。

3. 経営戦略

クミアイ化学工業は、中期経営計画「KUMI STORY 2026」の下、持続可能な農業への貢献、気候変動対策、研究開発強化、事業拡大を重点課題としています。具体的には、新規殺ダニ剤「バネンタ」の国内登録申請や微生物農薬「エコアーク」の上市準備など、次世代製品の開発に注力しています。また、化成品事業では生成AIサーバー向け需要に対応するビスマレイミド類など、先端半導体材料向けの製品開発・供給を強化し、事業ポートフォリオの多角化と成長を目指しています。2026年1月28日に定時株主総会、1月29日に配当支払開始予定日を控えています。

4. 財務分析

指標 2025年10月期実績 ベンチマーク/評価 投資家向け解釈
財務品質スコア(Piotroski F-Score) 2/9点 C (やや懸念) 7点以上で財務優良、5-6点なら普通、4点以下は要注意。現状は注意が必要な水準です。
営業利益率 6.2% 低水準(目安10%以上) 売上に対する本業の儲けの割合。目安を下回っています。
ROE(自己資本当期純利益率) 3.02% 低水準(目安10%以上) 株主のお金でどれだけ効率的に稼いだか。目安を下回っています。
ROA(総資産経常利益率) 2.51% 低水準(目安5%以上) 会社全体の資産でどれだけ効率的に稼いだか。目安を下回っています。
自己資本比率 58.2% 健全(目安40%以上) 会社の総資産のうち返済不要な自己資本の割合。高いほど倒産リスクが低いです。
流動比率 208% 健全(目安200%以上) 流動資産が流動負債をどれだけカバーしているか。高いほど短期的な支払い能力が高いです。
営業CF +33,803百万円 大幅改善 本業で稼ぎ出した現金。大幅にプラスに転じ、改善傾向にあります。
フリーCF(FCF) +24,874百万円 良好 営業CFから投資CFを差し引いた、企業が自由に使える現金。プラスで良好です。
営業CF/純利益比率 7.72倍 S (優良) キャッシュフローが純利益を上回るほど、利益の質が高いことを示します。1.0以上が健全とされます。
親会社株主に帰属する当期純利益 4,381百万円(△67.8%) 大幅減益 最終的な純利益。前年比で大幅に減少しました。

財務品質スコアの解釈: クミアイ化学工業のPiotroski F-Scoreは2/9点と「C: やや懸念」と評価されます。これは、ROA(純利益率)の低さや利益の質を示す健全な営業利益率の未達が主な要因で、効率性スコアが0点であることが響いています。一般的に7点以上を優良、4点以下を要注意と判断するため、財務の効率性には改善の余地があることを示します。
収益性: ROEは3.02%、ROAは2.51%と、いずれも一般的な目安とされる10%や5%を大きく下回る水準です。営業利益率も6.2%と、業界内で最高の収益性を誇るわけではありません。これは、農薬市場における価格競争の激化や、研究開発投資などの固定費が影響している可能性があります。
財務健全性: 自己資本比率は58.2%、流動比率は208%と、いずれも高い水準にあり、短期的・長期的な支払い能力は十分に確保されています。この点では非常に健全な財務体質と言えます。
キャッシュフロー: 営業キャッシュフローは33,803百万円と前年(△16,725百万円)から大幅に改善しました。これは主に棚卸資産の減少が寄与しています。投資キャッシュフロー(△8,929百万円)を差し引いたフリーキャッシュフローも24,874百万円と潤沢であり、本業で安定して現金を創出できる体質は評価できます。
利益の質: 営業キャッシュフロー/純利益比率は7.72倍と非常に高く、「S: 優良」と評価されます。これは、純利益が減損損失などの一時的な非現金費用(会計上の費用だが現金が出ていかないもの)によって押し下げられた一方で、本業のキャッシュフローは堅調に推移していることを示しています。
四半期進捗: 2025年10月期の親会社株主に帰属する当期純利益は4,381百万円と、前年(13,590百万円)から67.8%と大幅な減益となりました。これは減損損失(3,978百万円)、持分法による投資利益の減少(約△3,450百万円)、為替差損(555百万円)といった一時的な要因が大きく影響しています。翌期(2026年10月期)は、売上・営業利益は減少を予想するものの、純利益は減損損失の剥落などにより6,400百万円への回復が予想されています。

5. 株価分析

指標 現在値 業界平均 評価 投資家向け解釈
株価 689.0円 今日の終値です。
PER 12.96倍 20.4倍 割安 株価が利益の何年分か。業界平均より低く、株価は割安な可能性があります。
PBR 0.57倍 1.1倍 割安 株価が純資産の何倍か。1倍未満で解散価値を下回る水準であり、割安感があります。
配当利回り 3.48% 魅力的 配当金と株価の割合。安定したインカムゲインを求める投資家にとって魅力的です。

バリュエーション: クミアイ化学工業のPERは12.96倍、PBRは0.57倍であり、それぞれ業界平均の20.4倍、1.1倍を大きく下回っています。特にPBRが1倍を割り込んでいることは、企業の純資産価値よりも株価が低い状態を示しており、割安と判断できます。業種平均PER基準の目標株価は743円、業種平均PBR基準の目標株価は1320円であり、現在の株価はそれらと比較しても割安感が際立っています。
テクニカル: 現在の株価689.0円は、52週高値871円からは大きく下がり、年初来安値665円に近い11.7%の位置にあります。また、5日移動平均線(691.20円)、25日移動平均線(694.28円)、75日移動平均線(716.01円)、200日移動平均線(771.33円)の全てを株価が下回っており、短期的から長期的に見て下降トレンドにあることが示唆されます。直近1ヶ月のリターンは+2.84%とわずかに回復基調を見せていますが、3ヶ月、6ヶ月、1年リターンはそれぞれ-15.56%、-13.33%、-8.50%と軟調な推移が続いています。
市場比較: 過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年の全ての期間において、日経平均株価およびTOPIXといった主要市場指数をアンダーパフォームしており、市場全体の上昇トレンドに乗れていない状況が続いています。

6. リスク評価

【定量リスク】

  • ベータ値: -0.24 (5年間の月次データに基づく)
    • ベータ値がマイナスであるため、市場全体の動きとは逆の傾向を示すことがあります。これは、特定の市場変動要因に対して独自の値動きをする可能性を示しますが、予測が難しい側面もあります。
  • 年間ボラティリティ: 25.34%
    • 仮に100万円投資した場合、年間で±25.34万円程度の変動が想定されることを意味します。この数値は市場平均と比較してやや高めであり、株価の変動リスクがあることを示唆しています。
  • 最大ドローダウン: -24.80%
    • 過去に経験した最も大きな下落率は約24.80%です。これは、今後も同様の下落が起こりうる可能性を示しています。
  • シャープレシオ: 0.42
    • リスクに見合うリターンが得られているかを示す指標で、1.0以上が良好とされます。現在の0.42という数値は、リスクを取った割にはリターンが低いことを示唆しています。

【事業リスク】

  • グローバル市場での価格競争激化: 農薬事業において、特に海外市場でのジェネリック品の参入が加速しており、これによる価格競争は収益性を圧迫する主要なリスク要因です。同社の主要製品であるアクシーブなどもこの影響を受けています。
  • 海外市場および為替変動リスク: 海外売上高比率が高いため、各国の景気変動、政治・経済情勢の変化、ブラジルにおける税制変更(後発事象として発表済み)といった海外固有のビジネスリスク、および為替レートの変動が業績に直接的な影響を与える可能性があります。
  • 原燃料価格の高騰: 石油化学製品を原料とする化成品事業において、原燃料価格の変動は製造コストに大きな影響を与え、利益を圧迫するリスクがあります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引状況: 信用買残は1,170,700株、信用売残は176,400株、信用倍率は6.64倍です。信用買い残が売り残を大きく上回る状況ですが、特段過熱感のある水準ではありません。
  • 主要株主構成: 全国農業協同組合連合会が19.92%と筆頭株主であり、次いで自社(自己株口)が9.58%、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が7.63%となっています。農林中央金庫など農業協同組合系の株主が多く、安定した経営基盤と株主構成を維持しています。機関投資家の保有比率は22.34%です。

8. 株主還元

  • 配当利回り: 会社予想で3.48% (1株配当24円) と、市場平均と比較しても高い水準であり、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力的です。
  • 配当性向: 2025年10月期の実績は66.0%と一時的に高水準でしたが、これは減損損失等で純利益が大幅に減少したことが主な要因です。2026年10月期の会社予想では45.2%と、一般的な水準に落ち着く見込みです。
  • 自社株買い: 今回の決算短信では大規模な自社株買いに関する特段の記載はありません。

SWOT分析

強み

  • 全農系としての強固な事業基盤と国内トップクラスの農薬事業、特に水稲用除草剤における競争力。
  • 化成品事業における先端半導体材料向けの製品(ビスマレイミド類など)の成長ポテンシャル。
  • 高い自己資本比率と潤沢なフリーキャッシュフローに裏打ちされた健全な財務体質。

弱み

  • グローバル農薬市場でのジェネリック品との価格競争激化による収益性への圧力。
  • 特定の海外市場(ブラジルなど)の景気変動、税制変更、為替リスクによる業績変動の大きさ。
  • 直近のROE、ROAが低水準であり、資本効率に改善の余地がある点。

機会

  • 世界的な人口増加に伴う長期的な農薬需要の拡大、および環境配慮型微生物農薬市場の成長。
  • 生成AI関連技術の進展による、電子材料向け化成品事業のさらなる需要増加。

脅威

  • 地政学リスクの高まりや原燃料価格の継続的な高騰。
  • 予期せぬ海外規制・関税の変更、または知財に関する訴訟リスク。
  • グローバル経済の減速が農薬・化成品両事業の需要に悪影響を及ぼす可能性。

この銘柄が向いている投資家

  • 安定配当を求める長期投資家: 高い配当利回りと安定した株主構成、健全な財務体質から、中長期的な視点で安定したインカムゲインを得たい投資家に向いています。
  • 割安なバリュエーションに着目する投資家: 現在の株価がPER、PBRともに業界平均と比較して割安であるため、企業の潜在的価値を見出し、今後の再評価に期待する投資家。
  • 農薬と先端材料の複合成長を期待する投資家: 堅調な農薬事業に加え、化成品事業が半導体関連市場での成長機会を捉えることに期待する投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 直近の純利益は減損損失などの一時要因で大幅減益となっており、2026年10月期の業績回復が予想通りに進むか、その確実性を慎重に見極める必要があります。
  • 海外事業比率が高いため、為替変動、海外税制変更、および各国市場の景気動向が業績に与える影響を継続的にモニターすることが重要です。
  • 株価は長期的には下降トレンドにあり、主要移動平均線を下回る状況が続いています。投資を検討する際には、底打ちの兆候やトレンド転換のサインを慎重に判断することが推奨されます。

今後ウォッチすべき指標

  • 2026年10月期の会社予想(親会社株主に帰属する当期純利益6,400百万円、EPS53.15円)に対する四半期ごとの進捗率。目標値: 通期で進捗率100%以上。
  • 農薬事業におけるジェネリック品との競争状況と、最新製品(バネンタ、エコアークなど)の市場浸透度。
  • 化成品事業における電子材料向けの売上高と利益率の推移。

10. 企業スコア(詳細)

  • 成長性: C
    • 売上高は過去12か月で前年比+5.8%と増加基調にあるものの、直近の純利益は大幅に減少し、2026年10月期の会社予想も売上高・営業利益は減少を見込んでいます。高成長の基準には達しておらず、純利益の回復が課題です。
  • 収益性: D
    • ROE3.02%は「ROE5%未満」の基準に該当し、営業利益率6.2%も「3%未満」ではないものの高水準ではありません。全体として収益性は低く、資本効率の改善が求められます。
  • 財務健全性: A
    • 自己資本比率58.2%(基準40-60%)と流動比率208%(基準150%以上)は良好な水準です。これは、安定した支払い能力と財務的な堅実性を示しています。しかし、Piotroski F-Scoreが2点と低いため、ROAや営業利益率といった効率性指標には課題が残ります。
  • バリュエーション: S
    • PER12.96倍とPBR0.57倍はそれぞれ業界平均PER20.4倍、PBR1.1倍と比較して大幅に割安な水準にあります。株価が企業価値に対して過小評価されている可能性が高いと判断できます。

企業情報

銘柄コード 4996
企業名 クミアイ化学工業
URL http://www.kumiai-chem.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 689円
EPS(1株利益) 53.15円
年間配当 3.48円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 14.9倍 792円 3.3%
標準 0.0% 13.0倍 689円 0.5%
悲観 1.0% 11.0倍 615円 -1.7%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 689円

目標年率 理論株価 判定
15% 351円 △ 96%割高
10% 439円 △ 57%割高
5% 553円 △ 25%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.15)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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