企業の一言説明
Welbyはデジタルヘルスソリューションを展開するPHR(Personal Health Record)プラットフォームの先駆的企業です。
総合判定
高成長期待も財務改善が急務な事業成長フェーズの企業
投資判断のための3つのキーポイント
- PHRプラットフォーム事業の急速な成長と先行投資の収益化による将来的な黒字化期待
- 自己資本比率の急激な低下と負債増加による財務健全性の悪化が継続しており、資金調達リスクを内包する点
- 大幅な赤字が続くにもかかわらず極めて高いPBRが示す、市場の将来性への期待と現在のバリュエーションの乖離
企業スコア
| 観点 | スコア | 判定理由 |
|---|---|---|
| 成長性 | A | 来期の売上急増計画があり先行投資も収益化に向かうため |
| 収益性 | D | 大幅な赤字とマイナスの利益率が継続しているため |
| 財務健全性 | C | 自己資本比率が低く負債増加も流動性は保たれているため |
| バリュエーション | D | 赤字でPER算出不能、PBRが業界平均を大幅に超えるため |
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 302.0円 | – |
| PER | — | 業界平均66.2倍 |
| PBR | 11.36倍 | 業界平均3.5倍 |
| ROE | -109.89% | – |
1. 企業概要
Welbyは、生活習慣病などを中心とした個人健康管理プラットフォームを開発・提供するデジタルヘルスソリューション企業です。製薬企業や医療機関向けにPHRアプリ、ウェブサービス、医療データ管理システムを提供し、メディカルデータリサーチも手掛けています。PHRプラットフォームの開発に技術的な強みを持ち、患者と医療機関を繋ぐ役割を担っています。
2. 業界ポジション
ヘルスケアICT、特にPHR(Personal Health Record)プラットフォーム分野における先駆者の一社です。製薬企業や医療機関との強固な連携を通じて市場での存在感を高めていますが、成長市場ゆえに競合企業の参入や大手IT企業の動向に影響を受ける可能性があります。独自のプラットフォームと連携網が参入障壁として機能しています。
3. 経営戦略
PHRプラットフォーム開発への先行投資はピークアウトし、今後は企業向けソリューションや保険者・医療機関向けの事業拡大で収益性改善を目指します。2026年12月期には売上高14億6,600万円、営業利益▲3,000万円への大幅な改善(赤字縮小)を計画しています。Welbyマイカルテ事業の大幅成長や子会社化、NTTドコモ子会社との業務提携などを通じ、事業領域の拡大と収益化を加速させています。
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 3/9 | B: 普通 |
| 収益性 | 0/3 | 純利益、営業キャッシュフロー、ROAいずれも基準を満たさず |
| 財務健全性 | 2/3 | 流動比率は良好だが負債比率が悪化し株式希薄化はなし |
| 効率性 | 1/3 | 営業利益率とROEは悪化も四半期売上成長は達成 |
Piotroski F-Score解説: Welbyの総合スコアは3/9と「普通」判定ですが、収益性スコアは0/3であり、現在の業績が利益を生み出せていない厳しい状況を明確に示しています。これは、純利益、営業キャッシュフロー、ROAが全てマイナスであることに起因します。財務健全性は2/3と比較的良好であり、流動比率の高さや株式希薄化がない点は評価されますが、負債が急増しているため改善が必要です。効率性は1/3と低いものの、四半期ベースの売上は成長しており、今後の利益への貢献が期待されます。全体として、先行投資フェーズによる収益性の課題がある中、一部の財務基盤は辛うじて維持しているといった状況です。
【収益性】
- 営業利益率: 直近12か月の実績は-12.55%、2025年12月期は-71.2%と大幅なマイナスであり、本業で損失が発生している状況です。これは、PHRプラットフォーム開発への先行投資や高水準の販売費及び一般管理費が影響しています。
- ROE: 2025年12月期実績は-109.89%であり、株主の資本に対して大幅な損失を出している状態です。一般的な目安である10%を大きく下回るだけでなく、企業価値を毀損していることを示唆しています。
- ROA: 2025年12月期実績は-25.50%であり、総資産を効率的に活用して利益を生み出せていない状況が読み取れます。ROEと同様に、企業の全体的な収益性の低さを示しています。
【財務健全性】
- 自己資本比率: 2025年12月期実績は21.0%であり、前年の65.1%から大幅に低下しています。これは負債の増加によるもので、財務基盤の脆弱化が懸念される水準にあります。
- 流動比率: 直近四半期実績は2.45倍であり、短期的な支払い能力は十分に確保されています。流動資産が流動負債を大きく上回っているため、短期的な資金繰りの懸念は低いと言えます。
【キャッシュフロー】
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) | フリーCF(百万円) |
|---|---|---|---|---|
| 2023.12 | -174 | -114 | 341 | -288 |
| 2024.12 | -603 | -235 | 696 | -838 |
| 2025.12 | -329 | -105 | 406 | -434 |
キャッシュフローは、過去3年間一貫して営業キャッシュフローおよびフリーキャッシュフローがマイナスで推移しています。これは本業によって現金を生み出せていない状況を示し、事業拡大のための投資を自己資金で賄うことができていないことを意味します。財務キャッシュフローは、借入れや増資によりプラスを維持しており、外部資金で事業を支えている状況です。
【利益の質】
営業CFが純利益とともにマイナスであるため、経営指標上は「要注意(赤字かつキャッシュフロー悪化)」と判断されます。これは、損益計算書上の利益と実際の現金の動きが乖離しているだけでなく、本業での現金創出能力に課題があることを示しています。
【四半期進捗】
通期業績予想は未開示であるものの、決算説明資料によれば2026年12月期は売上高14億6,600万円、営業利益▲3,000万円への大幅な改善(赤字縮小)を見込んでいます。2025年12月期の売上高は6億3,572万円で前年比+20.4%増収となり、特にWelbyマイカルテ売上が+148.2%と大きく伸長しています。四半期売上高ではQ4が2億5,500万円となり、通期売上の40.1%を占めるなど、四半期によって売上の変動が大きい点が特徴です。
【バリュエーション】
WelbyのPERは赤字のため算出不能です。PBRは11.36倍(実績)と、業界平均の3.5倍を大きく上回る極めて割高な水準にあります。この高いPBRは、現状の財務状況や収益性を考えると合理的な説明が難しく、市場が同社のPHRプラットフォーム事業の将来性、特に大幅な成長期待を強く織り込んでいることを示唆しています。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | MACD値: -8.54 / シグナルライン: -6.03 | 短期トレンド方向を示す |
| RSI | 中立 | 41.4% | 70以上=過熱、30以下=売られすぎ |
| 5日線乖離率 | – | -0.26% | 直近のモメンタム |
| 25日線乖離率 | – | -6.79% | 短期トレンドからの乖離 |
| 75日線乖離率 | – | -5.92% | 中期トレンドからの乖離 |
| 200日線乖離率 | – | -5.64% | 長期トレンドからの乖離 |
RSIが41.4%と中立圏にあるため、短期的には買われすぎでも売られすぎでもない状態です。MACDも中立であり、明確なトレンド転換シグナルは出ていません。現在の株価は全ての移動平均線(5日、25日、75日、200日)を下回っており、短期から長期にわたって下落トレンドが継続していることを示唆しています。
【テクニカル】
現在株価は302.0円であり、52週高値558.00円に対して約9.2%の位置と、年初来高値に比べ大きく下落した水準にあります。一方で、52週安値276.00円には比較的近い位置にあり、過去3年の安値264.00円にも迫っています。株価が全ての移動平均線を下回っているため、今後の上昇局面ではそれぞれの移動平均線が上値抵抗線として機能する可能性があります。
【市場比較】
| 期間 | 当銘柄 | 日経平均 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | -11.70% | +10.74% | -22.44%pt |
| 3ヶ月 | +2.72% | +11.53% | -8.81%pt |
| 6ヶ月 | +1.00% | +22.35% | -21.35%pt |
| 1年 | -8.48% | +71.36% | -79.84%pt |
過去1年間を通じて、Welbyの株価パフォーマンスは日経平均を大幅に下回っています。特に直近1ヶ月および1年では20%以上もの大幅なアンダーパフォームとなっており、市場全体の堅調な動きに乗れていない銘柄特有の要因が株価に強く影響している状況が窺えます。
【注意事項】
⚠️ バリュートラップの可能性あり(赤字、低資産価値に対して株価が高い)。財務悪化の進行には特に注意が必要です。
基本リスク指標
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| ベータ値 | 1.24 | △やや注意 | 市場平均より値動きが大きいか小さいか |
| 年間ボラティリティ | 64.25% | ▲注意 | 1年間でどれくらい価格がブレるか |
| 最大ドローダウン | -61.87% | ▲注意 | 過去最悪の下落率。この程度は今後も起こりうる |
| シャープレシオ | 0.76 | ○普通 | リスクを取った分だけリターンが得られているか |
リスク効率指標
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| ソルティノレシオ | -0.16 | ▲注意 | 下落リスクだけで見たリターン効率 |
| カルマーレシオ | -0.10 | ▲注意 | 最大下落からの回復力 |
市場連動性
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| 市場相関 | 0.17 | ○普通 | 日経平均とどれだけ連動するか |
| R² | 0.03 | – | 値動きのうち市場要因で説明できる割合 |
【ポイント解説】
Welbyはベータ値1.24、年間ボラティリティ64.25%、最大ドローダウン-61.87%がいずれもリスクが高いと判断される水準にあります。この銘柄は市場との相関性が低く、R²が0.03と非常に小さいことから、市場全体の動きにほとんど連動せず、独自の要因で値動きする傾向が強いと言えます。現在のボラティリティは過去1年で「通常」水準にありますが、過去の最大下落からの回復は「未回復」の状態であり、一度下落すると回復には時間を要する特性を持つことに留意が必要です。ソルティノレシオやカルマーレシオもマイナス判定であり、下落リスクに見合うリターンが得られていない状況を示しています。
【投資シミュレーション】
> 仮に100万円投資した場合: 年間で±68万円程度の変動が想定されます。
> 分散投資の目安: ポートフォリオの3%程度が目安です。
> ※これらは過去データに基づく参考値であり、将来の成果を保証するものではありません。投資助言ではありません。
【事業リスク】
- PHRプラットフォームと医療データを扱うため、個人情報流出やサイバー攻撃によるセキュリティインシデントのリスクが常に存在します。
- 医療・ヘルスケア分野は法規制の変更が頻繁に行われるため、関連法令の改正が事業モデルや収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
- デジタルヘルス市場は成長性が高い反面、競合企業の参入や大手IT企業の市場支配力が増すことで、激しい競争に巻き込まれ市場シェアを失うリスクがあります。
- 自己資本比率の急速な低下と継続的な純損失により、今後の事業拡大に必要な資金調達が困難になったり、既存株主の株式が希薄化されたりするリスクがあります。
7. 市場センチメント
信用買残は314,700株と一定数存在しますが、信用売残が0株となっているため、算出上の信用倍率は0.00倍です。これは、売り圧力が低い状況を示唆する一方で、将来の株価上昇に対する見方が限定的である可能性も考えられます。
主要株主構成:
- 比木武: 34.32%
- スズケン: 20.02%
- ブライトリンクパートナーズ: 5.43%
8. 株主還元
現在の配当利回り、1株配当、配当性向はいずれも0.00%であり、Welbyは現時点では株主への配当を実施していません。事業は先行投資フェーズにあり、収益が安定していないため、当面は無配が続く見込みです。
【配当持続可能性】
無配を継続しているため、配当目的の投資には向いていません。
SWOT分析
| 分類 | 項目 | 投資への示唆 |
|---|---|---|
| 💪 強み | PHRプラットフォーム開発の先行者としての知見 Welbyマイカルテの大幅な成長と医療機関連携 |
成長市場でのリーダーシップ確立に貢献する |
| ⚠️ 弱み | 大幅な赤字の継続と純損失の拡大傾向 自己資本比率の急激な低下と流動性の維持 |
財務基盤が脆弱化し事業継続性に影響する |
| 🌱 機会 | 健康寿命延伸への社会的ニーズの高まり メディカルデータ活用による新規事業創出と提携戦略 |
サービス拡大と収益源の多様化を加速させる |
| ⛔ 脅威 | 競合企業の参入と価格競争の激化 資金調達の困難化および株式希薄化リスク |
収益性改善が遅れるか、株主価値が希薄化する |
この銘柄が向いている投資家
| 投資家タイプ | 相性が良い理由 |
|---|---|
| 成長戦略を重視する長期投資家 | PHR市場の確かな成長性と事業戦略の成功に期待できるため |
| ハイリスク・ハイリターンを許容できる投資家 | 積極的な先行投資とそれに伴う株価変動が大きいため |
この銘柄を検討する際の注意点
- 財務状況の急速な悪化: 自己資本比率が大幅に低下し負債が急増しており、今後の資金繰りや資金調達動向に注意が必要です。
- 継続する赤字と将来性への過大な期待: 大幅な赤字が続く現在、極めて高いPBRは市場の期待先行の可能性も高く、事業計画の進捗を厳しく監視すべきです。
- 市場全体の動向との乖離: 日経平均が好調な局面でも株価が軟調であり、同社の独自性が強く投資判断には個別要因の注視が不可欠です。
今後ウォッチすべき指標
| 指標 | 現状 | トリガー条件 | 注目理由 |
|---|---|---|---|
| 営業利益(通期) | △452百万円 | 営業利益黒字化(△30百万円達成) | 収益性改善の兆候を確認するため |
| 自己資本比率 | 21.0% | 30%以上への回復 | 財務健全性の改善を確認するため |
| Welbyマイカルテ売上 | 298.4百万円 | 計画通り成長ペース維持 | 中核事業の成長性を測るため |
企業情報
| 銘柄コード | 4438 |
| 企業名 | Welby |
| URL | https://welby.jp/ |
| 市場区分 | グロース市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
競合他社
| 企業名 | コード | 現在値(円) | 時価総額(億円) | PER(倍) | PBR(倍) | ROE(%) | 配当利回り(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| エムスリー | 2413 | 1,496 | 10,163 | 19.92 | 2.44 | 13.4 | 1.40 |
| ソフトウェア・サービス | 3733 | 11,270 | 618 | 10.30 | 1.40 | 14.3 | 1.50 |
| メディカル・データ・ビジョン | 3902 | – | – | – | – | 19.5 | – |
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