企業の一言説明
テクノマセマティカルは画像・音声処理に強みを持つソフトウェア/ハードウェアIPの開発・ライセンス事業を展開する独自技術型の情報通信企業です。
総合判定
上場維持基準対応中の回復期待銘柄
投資判断のための3つのキーポイント
- 長年の赤字から脱却し、直近第3四半期で黒字転換を果たし、通期でも黒字化を予想するなど、業績の回復が進行しています。
- 画像・音声処理における独自の技術力とIPライセンスモデルは高い成長性を示し、特に四半期売上高成長率は189.0%と非常に高い水準です。
- 東証上場維持基準(流通株式時価総額10億円未満)への対応が喫緊の課題である一方、自己資本比率95%超と極めて高い財務健全性を保っています。
企業スコア
| 観点 | スコア | 判定理由 |
|---|---|---|
| 成長性 | S | 四半期売上成長率が極めて高い |
| 収益性 | D | ROEが低く、利益安定性に課題 |
| 財務健全性 | S | 自己資本比率が高く非常に強固 |
| バリュエーション | A | PBRが業界平均より大幅に割安 |
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 424.0円 | – |
| PER | 18.3倍 | 業界平均17.6倍 |
| PBR | 0.60倍 | 業界平均1.6倍 |
| ROE | 1.37% | – |
1. 企業概要
テクノマセマティカルは、画像、音声、ビデオに関するソフトウェアIP(知的財産)とハードウェアIP(設計データ)の開発・ライセンス供与を行う企業です。特に画像圧縮ソフトウェアでの独自技術や音声処理に定評があり、これらを電子機器、エンターテイメント、セキュリティ、医療など幅広い産業分野に提供しています。収益はIPライセンスとソリューション提供によるモデルです。
2. 業界ポジション
情報・通信技術分野において、画像・音声処理IPというニッチかつ専門性の高い市場で事業を展開しています。特定の独自技術に強みを持ち、デジタルデバイスの高性能化・高機能化を支える重要な役割を担っています。大手IT企業と直接競合するのではなく、彼らの製品開発を支援する形で市場に貢献しています。
3. 経営戦略
中期経営計画では、上場維持基準(流通株式時価総額10億円未満)への対応を最重要課題とし、売上拡大と利益の安定化を推進しています。具体的には、ライセンスとソリューションの拡販、クラウド対応映像伝送装置や超低遅延ネットワーク技術の開発、既存技術の高機能化と共に海外案件獲得を強化しています。直近では為替差益の計上や投資有価証券売却益も一時的要因として貢献しています。
4. 財務分析
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 6/9 | A: 良好 |
| 収益性 | 2/3 | 純利益とROAがプラスを達成 |
| 財務健全性 | 2/3 | 流動比率が高く、株式希薄化なし |
| 効率性 | 2/3 | 営業利益率と四半期売上成長率が良好 |
Piotroski F-Scoreは6/9点と「良好」な水準です。特に純利益の達成、ROAのプラス転換、高水準な流動比率などが評価されています。ただし、ROEが10%を下回っている点は改善余地として指摘されています。
【収益性】
過去12か月の営業利益率はデータ上で41.44%と高水準ですが、P&Lを見ると営業利益は継続して赤字でした。直近の第3四半期での黒字転換が確認できていますが、ROEは1.37%と低く、ROAも0.85%と、まだ収益性が安定しているとは言えません。
【財務健全性】
自己資本比率は95.6%と極めて高く、流動比率も9.84倍と非常に強固な財務基盤を築いています。これは、事業の回復期において大きな安定材料となります。
【キャッシュフロー】
| 決算期 | フリーCF | 営業CF | 投資CF |
|---|---|---|---|
| 2023.03 | 67百万円 | 70百万円 | -3百万円 |
| 2024.03 | -273百万円 | -272百万円 | -1百万円 |
| 2025.03 | -202百万円 | -202百万円 | 0百万円 |
過去2年間は営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローともにマイナスでしたが、2023年3月期はプラスで推移していました。直近の黒字転換がキャッシュフローに今後どう影響するか注目です。
【利益の質】
営業CF/純利益比率はデータなし。過去2年間は営業CFがマイナスであり、利益との比較は困難ですが、2023年3月期は営業CFがプラスでした。
【四半期進捗】
2026年3月期第3四半期累計では、売上高544百万円(前年同期比+94.4%)、営業利益59百万円、純利益67百万円と大幅な増収増益を達成し、黒字転換しています。通期予想(売上710百万円、営業利益55百万円、純利益60百万円)に対して、第3四半期時点で既に営業利益、純利益ともに100%超の進捗率であり、通期での黒字化達成は確実視されています。
5. 株価分析
【バリュエーション】
PERは18.3倍で業界平均(17.6倍)とほぼ同水準ですが、PBRは0.60倍と業界平均(1.6倍)に比べ大幅に割安な水準にあります。直近の業績回復と高い自己資本比率を考慮すると、PBR水準は割安と判断できます。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| 5日線乖離率 | – | -2.62% | 直近のモメンタム |
| 25日線乖離率 | – | -16.76% | 短期トレンドからの乖離 |
| 75日線乖離率 | – | -27.75% | 中期トレンドからの乖離 |
| 200日線乖離率 | – | -26.77% | 長期トレンドからの乖離 |
現在のMACDシグナルとRSI状況は共に「中立」です。しかし、株価は全ての移動平均線を下回っており、短期から長期にわたる下降トレンドが継続しています。
【テクニカル】
現在の株価424.0円は、52週高値793.0円から大きく下落し、52週安値420.0円に近い水準(レンジ内位置1.1%)にあります。長期的な下降トレンドの中、直近の株価は全ての移動平均線を大幅に下回っており、安値圏での推移が続いています。
【市場比較】日経平均との相対パフォーマンス
| 期間 | 当銘柄 | 日経平均 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | -27.02% | +10.03% | -37.05%pt |
| 3ヶ月 | -27.52% | +12.06% | -39.58%pt |
| 6ヶ月 | -23.05% | +22.50% | -45.55%pt |
| 1年 | -20.45% | +76.09% | -96.54%pt |
過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年いずれの期間においても、日経平均を大幅に下回るパフォーマンスとなっています。これは主に株価の急落と監理銘柄指定のニュースが影響しているものと見られます。
6. リスク評価
【注意事項】
⚠️ 高ボラティリティかつ低出来高。売買時に価格変動リスクに注意が必要です。
【リスク指標テーブル】
基本リスク指標
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| 年間ボラティリティ | 52.53% | ▲注意 | 1年間で価格が大きくブレる傾向 |
| 最大ドローダウン | -45.29% | ▲注意 | 過去最悪の下落率。この程度は今後も起こりうる |
| シャープレシオ | 0.48 | △やや注意 | リスクを取った分だけリターンが得られているかの効率性 |
リスク効率指標
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| ソルティノレシオ | 0.06 | ▲注意 | 下落リスクだけで見たリターン効率は低い |
| カルマーレシオ | 0.06 | ▲注意 | 最大下落からの回復力が低い傾向 |
市場連動性
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| 市場相関 | 0.23 | ○普通 | 日経平均とあまり連動しない独自の値動き |
| R² | 0.05 | – | 値動きのうち市場要因で説明できる割合は小さい |
【ポイント解説】
この銘柄は年間ボラティリティが52.53%と高く、最大ドローダウンも-45.29%と大きいため、値動きが激しい特徴があります。シャープレシオやソルティノレシオが低いことから、リスクに見合うリターンが得られにくい期間があることを示唆しています。市場との連動性は低く、独自の要因で株価が変動しやすい傾向があります。現在のボラティリティは過去1年で「通常水準」に位置しています。最大ドローダウンからの回復は未だ途上です。
【投資シミュレーション】
> 仮に100万円投資した場合: 年間で±54万円程度の変動が想定されます。
> 分散投資の目安: ポートフォリオの3%程度が目安です。
> ※これらは過去データに基づく参考値であり、将来の成果を保証するものではありません。投資助言ではありません。
【事業リスク】
- 上場維持基準不適合リスク: 東証スタンダード市場の上場維持基準(流通株式時価総額10億円未満)への対応が最重要課題であり、不適合となれば上場廃止の可能性があります。
- 特定受注への依存: 事業が数件の大型受注に依存する傾向があり、その変動が業績に大きく影響する可能性があります。
- 海外市場展開の不確実性: 海外展開を強化する方針ですが、実績がまだ不足しており、国際情勢や為替変動、競争激化のリスクをはらんでいます。
7. 市場センチメント
【信用取引状況】
信用買残は106,800株で、出来高8,500株に対し多いですが、信用売残が0株のため信用倍率は0.00倍となっています。これは将来の売り圧力を示唆する可能性があります。
【主要株主構成】
- 田中正文: 41.26% (1,070,000株)
- 秋元利規: 9.64% (250,000株)
- 出口眞規子: 7.79% (202,000株)
8. 株主還元
配当利回りは0.00%、配当性向も0.0%であり、現在無配を継続しています。業績回復に伴い長期的に株主還元策が検討される可能性はありますが、直近は事業への再投資を優先する方針と見られます。
SWOT分析
| 分類 | 項目 | 投資への示唆 |
|---|---|---|
| 💪 強み | 独自の画像・音声処理IP技術 極めて高い自己資本比率 |
市場競争力維持と堅実な事業展開 |
| ⚠️ 弱み | 収益の安定性に欠ける実績 上場維持基準への対応が喫緊の課題 |
株価の変動リスクと企業価値への影響 |
| 🌱 機会 | 黒字転換と通期黒字化予想 海外市場での成長余地 |
業績回復による株価反転の可能性 |
| ⛔ 脅威 | 監理銘柄指定による信用の低下 低出来高と高ボラティリティ |
さらなる株価下落や流動性リスク |
この銘柄が向いている投資家
| 投資家タイプ | 相性が良い理由 |
|---|---|
| 高リスク許容度のある回復期待投資家 | 上場維持基準課題と回復期待という両面が好材料に転じる可能性 |
| PBRの割安感を重視する長期投資家 | 独自の技術力と強固な財務体質に着目し、長期的な企業価値回復を待つ |
この銘柄を検討する際の注意点
- 上場維持基準への対応: 流通株式時価総額10億円未満の課題が解消されるか、継続的にウォッチする必要があります。
- 業績の安定化: 直近黒字化を果たしたが、持続的な利益成長と安定性が確保できるか注視すべきです。
今後ウォッチすべき指標
| 指標 | 現状 | トリガー条件 | 注目理由 |
|---|---|---|---|
| 流通株式時価総額 | 11.0億円 | 継続的に10億円以上を維持 | 上場維持基準クリアの鍵 |
| 営業利益 | 59百万円(3Q累計) | 通期で安定的に黒字化 | 収益性回復の目安となる |
| 信用買い残 | 106,800株 | 減少傾向への転換 | 将来の売り圧力を判断 |
企業情報
| 銘柄コード | 3787 |
| 企業名 | テクノマセマティカル |
| URL | http://www.tmath.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
競合他社
| 企業名 | コード | 現在値(円) | 時価総額(億円) | PER(倍) | PBR(倍) | ROE(%) | 配当利回り(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ソリトンシステムズ | 3040 | 1,761 | 347 | 14.78 | 2.46 | 17.7 | 3.40 |
| アドバンスト・メディア | 3773 | 1,107 | 203 | 12.34 | 1.28 | 13.4 | 3.02 |
| モルフォ | 3653 | 704 | 38 | 55.43 | 1.13 | 1.9 | 0.00 |
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