1. 企業情報
- 事業内容
パイオラックスは、自動車用精密ばねや工業用ファスナーを中心に、医療機器関連製品も手掛けるメーカーです。自動車向け部品（バルブ、コネクタ、スプリング、ファスナー等）が主力で、日産グループを中心とした国内外の自動車メーカー向けが約9割を占めます。医療機器分野ではカテーテルやステントなども展開しています。海外売上比率は56%と高く、グローバル展開を進めています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 競争優位性
精密ばねやファスナー分野で高い技術力と長年の取引実績を持ち、日系自動車メーカー（特に日産）との強い関係が特徴です。海外展開も積極的です。
– 課題
日系自動車メーカー依存度が高く、特に日産の生産動向や業界全体の自動車減産、EVシフトの影響を受けやすい点がリスクです。中国市場での日系自動車の販売低迷も逆風となっています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン・戦略
自動車分野の安定成長と、医療機器分野の拡大を両輪としています。中期経営計画では、自己資本の積み増し抑制とキャッシュマネジメント徹底、連結配当性向100%の実施、年間配当92円以上の維持を掲げています。
– 重点施策
医療機器の拡販、海外市場での事業基盤強化、コスト管理と効率化を推進しています。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
自動車向け部品の安定した受注が基盤ですが、医療機器分野の成長による収益多角化も進めています。市場ニーズの変化（EV化、グローバルサプライチェーンの変動）に対応する必要があります。
– 適応力
医療機器分野への注力や、海外売上比率の高さはリスク分散に寄与しますが、自動車業界依存からの脱却が今後の課題です。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向
精密ばねやファスナーの分野で独自技術を持ち、品質・信頼性が強みです。医療機器分野でも高付加価値製品の開発を進めています。
– 主力製品
自動車向けのスプリング、ファスナー、コネクタ、医療用カテーテル・ステント等が収益を牽引しています。
6. 株価の評価
- PER（会社予想）: 33.15倍（業界平均17.5倍）
- PBR（実績）: 0.69倍（業界平均0.7倍）
- EPS（会社予想）: 64.77円
- BPS（実績）: 3,120.20円
- 株価: 2,147円
- BPS（3,120.20円）に対して株価は0.69倍とPBRは業界平均並み。
- PERは業界平均を大きく上回り、利益水準の低下を反映。
- 配当利回りは4.29%と高水準。
7. テクニカル分析
- 株価推移
直近10日間は2,200円前後で推移し、5月12日に一時2,000円まで下落後、2,147円で引けています。
– 年初来高値: 2,566円
– 年初来安値: 1,822円
– 50日移動平均: 2,255.88円
– 200日移動平均: 2,359.34円
現在株価は移動平均線を下回り、やや安値圏に位置しています。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益の推移
- 売上高は2021年3月期以降増加傾向でしたが、2025年3月期は減収（63,351百万円、前年比-1.9%）。
- 営業利益・純利益は大幅減（営業利益2,382百万円、前年比-49.9%。純利益1,792百万円、前年比-55.4%）。
- ROE/ROA
- ROE（実績）: 3.84%
- ROA（過去12か月）: 1.70%
- 収益性は低下傾向。
- キャッシュフロー
- 営業CFは安定（8,124百万円）。
- 現金及び現金同等物残高は増加（30,236百万円）。
- 自己資本比率
- 85.8%と非常に高水準で財務健全性は高い。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り: 4.29%（会社予想）、実績値は4.49%
- 配当性向: 167.95%（直近実績、利益減少のため高水準）
- 配当方針: 配当性向100%目標、年間配当92円以上を維持方針
- 自社株買い: 2025年4月に実施
- 特別配当: 2024年に創業90周年記念配当を実施
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向
直近で下落基調が続き、出来高も増加傾向。信用倍率は0.80倍と売り残が買い残を上回り、やや売り圧力が強い状況。
– 影響要因
自動車業界の減産、日系メーカーの販売不振、利益減少などが株価下落要因。高配当利回りや自社株買いは下支え要素。
11. 総評
パイオラックスは、自動車用精密部品・ファスナーで高い技術力と安定した取引基盤を持つ一方、日系自動車メーカー依存度が高く、業界環境の変化（減産、EV化、海外市場の不振）の影響を強く受けています。直近は売上・利益ともに減少し、PERは高水準、配当性向も利益減少により上昇しています。財務基盤は極めて健全で、配当維持・自社株買いなど株主還元策も積極的です。医療機器分野の成長や海外展開によるリスク分散が今後の課題となります。株価は安値圏にあり、高配当利回りが下支えとなっていますが、業績回復の見通しや自動車業界の動向が注目されます。
※本レポートは情報整理を目的としたものであり、投資判断を推奨・助言するものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 5988 |
| 企業名 | パイオラックス |
| URL | http://www.piolax.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 金属製品 |
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