1. 企業情報
概要
インフロニア・ホールディングス（INFRONEER Holdings Inc.）は、2021年10月に前田建設工業、前田道路、前田製作所の3社が経営統合し設立された持株会社です。主な事業は建築、土木、舗装、機械、インフラ運営など多岐にわたり、インフラの計画・設計・施工・運営・保守を一貫して手掛けています。また、再生可能エネルギーやコンセッション（公共インフラの運営受託）事業も展開しています。従業員数は約8,240人、平均年齢41.9歳、平均年収は約1,099万円です。
事業構成（2024年3月期）
- 建築：35%
- 土木：20%
- 舗装：32%
- 機械：5%
- インフラ運営：2%
- その他：6%
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
準大手ゼネコンとして、建設業界の中でも多角的な事業展開が特徴です。特に舗装分野やインフラ運営、機械部門など、他の大手ゼネコンと差別化された領域も持っています。
競争優位性・課題
- 優位性：複数分野のシナジー、インフラ運営や再生可能エネルギーへの進出
- 課題：建設業界全体の人手不足、資材価格高騰、公共投資の変動リスク
3. 経営戦略と重点分野
経営ビジョン・戦略
- 「社会インフラの持続的発展と価値創造」を掲げ、建設・インフラ運営・再生可能エネルギーの3本柱で成長を目指しています。
- M&Aやグループ内連携による効率化・事業領域拡大
- DX（デジタルトランスフォーメーション）推進による生産性向上
中期経営計画の重点分野
- インフラ運営（コンセッション）事業の拡大
- 再生可能エネルギー分野への積極投資
- 建設現場の省人化・自動化技術導入
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
建築・土木・舗装の受注型ビジネスが主軸ですが、インフラ運営や機械製造、エネルギー分野などストック型収益の拡大も志向しています。
市場ニーズへの適応力
- 社会インフラの老朽化対策や再生可能エネルギー需要増加に対応
- 公共・民間の多様なニーズに応える体制を構築
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向・独自性
- 建設現場のICT化・自動化技術（BIM/CIM、ドローン、ロボット等）を積極導入
- 機械部門では建設機械や舗装機械の自社開発・販売
収益を牽引する主力分野
- 建築・土木・舗装工事の大型案件
- インフラ運営（空港・道路等のコンセッション事業）
- 機械製造・販売
6. 株価の評価
主要指標（2025年5月13日時点）
- 株価：1,256円
- EPS（直近12か月）：107.54円
- BPS（直近四半期）：2,021.98円
- PER：約11.7倍（1,256 ÷ 107.54）
- PBR：約0.62倍（1,256 ÷ 2,021.98）
業界平均との比較
- 業界平均PER：14.0倍 → やや低め
- 業界平均PBR：1.1倍 → 低め
7. テクニカル分析
- 直近株価は1,200円台前半から中盤で推移し、50日・200日移動平均（約1,200円前後）を上回る水準。
- 52週高値：1,443円、52週安値：1,089円。現在は中間よりやや高めの水準。
- 直近の出来高は平均よりやや低下傾向。
8. 財務諸表分析
売上・利益推移（年度比較）
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 純利益(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022/3 | 682,912 | 37,490 | 26,689 |
| 2023/3 | 711,810 | 43,386 | 33,487 |
| 2024/3 | 793,264 | 49,387 | 32,571 |
- 売上・営業利益は順調に増加
- 純利益はやや減少（税負担増等が影響）
その他指標
- ROE：5.61%
- ROA：2.01%
- 営業キャッシュフロー：428.9億円
- 総資産に対する有利子負債比率：約88.8%
- 流動比率：1.18（短期的な支払い能力は一定水準）
9. 株主還元と配当方針
- 予想年間配当：60円（配当利回り：約4.8%）
- 実績年間配当：65円（配当利回り：約5.2%）
- 配当性向：約60%
- 自社株買い：自己株式保有比率4.98%
- 株主還元策は比較的積極的
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近10日間で株価は1,200円台前半から中盤で安定推移
- 信用買残が高く（信用倍率47倍）、個人投資家の関心が高い
- 52週変動幅内で中間～やや高めの水準
- 配当利回りの高さ、安定した業績推移が株価下支え要因
11. 総評
インフロニア・ホールディングスは、建設・インフラ運営・機械製造など多角的な事業展開を強みとする準大手ゼネコンです。業績は堅調に推移し、配当利回りも高水準を維持しています。株価指標（PER・PBR）は業界平均より低めで、財務体質も一定の健全性を保っています。今後はインフラ運営や再生可能エネルギー分野の成長、建設業界の構造変化への対応力が注目されます。株主還元策も比較的積極的で、安定した収益基盤を背景に投資家の関心を集めています。
企業情報
| 銘柄コード | 5076 |
| 企業名 | インフロニア・ホールディングス |
| URL | https://www.infroneer.com |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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