1. 企業情報

ヨロズ株式会社は、自動車部品(主にサスペンション部品)を中心に、農業機械部品や生産設備などの設計・開発・製造・販売を行う独立系の自動車部品メーカーです。サスペンション分野では国内最大手クラスであり、日産向けが売上の約6割を占め、ホンダ向けなど他メーカーにも納入しています。海外展開も積極的で、米州・アジアにも生産拠点を持ちます。1948年設立、本社は横浜市。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 競争優位性: サスペンション部品でトップクラスのシェアを持ち、日産自動車との強固な取引関係が特徴です。
  • 課題: 日産依存度が高く、取引先の生産動向や業界構造変化(EV化、CASE対応等)の影響を受けやすい点が課題です。また、米州・アジアでの品質問題や生産台数減少も収益圧迫要因となっています。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン・戦略: グローバル展開の強化と、サスペンション技術の深化・多様化を掲げています。
  • 中期経営計画の重点施策:
    • グローバル生産体制の最適化
    • 新規受注拡大(EV関連部品等)
    • 生産効率化・コスト削減
    • 品質管理体制の強化
  • 進捗状況: 米州・アジア拠点の強化を進める一方、品質費用や減損損失の発生など課題も顕在化しています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル: 自動車メーカー向けBtoB取引が中心。サスペンション部品を主力とし、金型・設備も手掛けています。
  • 市場ニーズへの適応力: EV化や自動運転対応など新たな市場ニーズへの対応が今後の持続性の鍵。現状では日産依存度の高さや、海外拠点の収益性改善が課題です。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向: サスペンションモジュールの軽量化・高性能化、新素材・新工法の導入など技術開発を推進。
  • 主力製品: フロント・リアサスペンションメンバー、リアビーム、リンク、ブレーキペダル、オイルパンなど。EV向け部品や新構造部品の開発にも注力。
  • 独自性: 独立系として多様な自動車メーカーに対応できる設計・開発力。

6. 株価の評価

  • EPS(会社予想): -697.09円(赤字予想)
  • BPS(実績): 2,407.27円
  • 現在株価: 984円
  • PER: 赤字のため算出不可
  • PBR: 0.41倍(業界平均0.8倍を大きく下回る)
  • 評価: PBR水準から見て市場評価は割安圏。ただし、直近の赤字・減損計上など業績悪化を織り込んでいると考えられます。

7. テクニカル分析

  • 株価推移: 年初来高値1,212円、安値839円。直近10日間は970~1,030円前後で推移し、やや下落傾向。
  • 移動平均: 50日移動平均1,014.42円、200日移動平均1,088.76円。現在株価は両移動平均を下回っており、安値圏に位置しています。
  • モメンタム: 直近は下落基調が続いています。

8. 財務諸表分析

  • 売上高: 181,468百万円(2024年3月期)、前年同期比+13.0%
  • 営業利益: 4,459百万円(2024年3月期)、前年同期比+44.4%
  • 当期純利益: -3,926百万円(2024年3月期、赤字転落)
  • ROE: -6.05%(実績)、-18.08%(過去12か月)
  • ROA: 1.52%(過去12か月)
  • 自己資本比率: 46.4%(実績)、41.3%(3Q時点)
  • キャッシュフロー: 直近四半期現金24,020百万円、総負債36,020百万円、流動比率1.79
  • 傾向: 売上は増加傾向だが、利益面は赤字転落。特別損失(減損損失等)の影響が大きい。財務安全性は維持。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り: 3.15%(会社予想)
  • 1株配当: 31円(会社予想)
  • 配当性向: 81.11%(直近実績、赤字下での配当維持)
  • 自社株買い: 自己株式保有2.49%
  • 方針: 安定配当を基本としつつも、今期は赤字予想下で配当を維持。株主還元意識は高いが、持続性には注意が必要。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価変動傾向: 直近は下落基調。出来高はやや低調。
  • 信用取引動向: 信用買残・売残ともに増加傾向。信用倍率1.67倍とやや買い長。
  • 影響要因: 業績悪化や減損損失の計上、日産等主要取引先の生産動向、為替変動、世界的な自動車市場の変化(EVシフト等)が株価に影響。

11. 総評

ヨロズはサスペンション部品で国内最大手クラスの独立系部品メーカーであり、日産を中心とした自動車メーカーとの強固な取引関係とグローバル展開が特徴です。一方、直近では米州での品質費用や減損損失、日産依存度の高さなどによる業績悪化が目立ち、赤字転落・配当性向の上昇など課題も顕在化しています。株価はPBRで見ると割安圏にありますが、業績改善への道筋や新市場(EV等)への対応力が今後の注目点となります。財務安全性は維持されていますが、収益性の回復とグローバル拠点の課題解決が今後の焦点です。


企業情報

銘柄コード 7294
企業名 ヨロズ
URL http://www.yorozu-corp.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 自動車・輸送機 – 輸送用機器

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By シャーロット

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