1. 企業情報

東映は、映画、テレビ番組、ビデオソフトの制作・配給を主な事業とする日本のコンテンツ企業です。映画制作・興行、テレビ番組制作(アニメ、実写の特撮ヒーロー番組など)、ビデオソフト販売、キャラクターライセンス、映画館運営、京都撮影所・東映太秦映画村の運営など、幅広い事業を展開しています。テレビ朝日との関係が深く、同局の番組制作にも携わっています。

2. 業界のポジションと市場シェア

東映は、日本の映像コンテンツ業界において、映画制作・興行、テレビ番組制作の分野で中位に位置しています。特に、アニメや実写の特撮ヒーロー番組(スーパー戦隊シリーズなど)に強みを持っています。競争優位性としては、長年の実績とノウハウ、テレビ朝日との連携による安定的な番組供給体制が挙げられます。課題としては、映画興行収入の変動や、コンテンツ制作におけるリスク管理、海外展開の強化などが挙げられます。

3. 経営戦略と重点分野

東映の経営陣は、コンテンツ事業の強化と効率的な活用を重視しています。具体的には、映画配給、ドラマ制作、コンテンツ販売の強化、シネマコンプレックスの運営、各種催事の開催、不動産賃貸業など多角的な事業展開を行っています。中期経営計画などの具体的な情報は開示されていませんが、直近の決算短信からは、映像関連事業への注力、海外展開の強化などが推測できます。

4. 事業モデルの持続可能性

東映の収益モデルは、映画興行収入、テレビ番組の放映権料、ビデオソフト販売、キャラクターライセンス収入など多岐にわたります。市場ニーズの変化への適応力としては、アニメや特撮ヒーロー番組といった、一定の固定ファンを持つコンテンツを継続的に制作している点が強みです。また、近年は、海外市場への展開も強化しており、収益源の多様化を図っています。

5. 技術革新と主力製品

東映は、特定の技術革新に特化しているというよりは、映像制作技術の向上、最新のCG技術の導入など、総合的な技術力の向上が重要となります。主力製品・サービスとしては、劇場用映画、テレビ番組(アニメ、特撮ヒーロー番組)、ビデオソフトなどが挙げられます。これらのコンテンツは、国内だけでなく、海外市場でも販売・ライセンスされており、収益を牽引しています。

6. 株価の評価

  • 株価: 4,865.0円(2025年5月16日終値)
  • EPS(会社予想): 234.21円
  • PER(会社予想): 20.77倍
  • BPS(実績): 4,274.51円
  • PBR(実績): 1.14倍

現在の株価は、EPSとPERから見て、割安感があるとは言えません。PBRは1倍を超えており、純資産に対してある程度の評価を受けていると考えられます。
業界平均PER:23.2と比較すると、やや割安感があります。

7. テクニカル分析

直近10日間の株価推移を見ると、5月1日に5,230円の年初来高値をつけた後、調整局面に入り、5月16日の終値は4,865円となっています。50日移動平均線(5,064.30円)と200日移動平均線(5,130.25円)を下回っており、短期的には下落トレンドにあると判断できます。

8. 財務諸表分析

  • 売上高: 2024年3月期は171,345百万円。過去数年間の売上高は、1,000億円台で推移しており、安定しています。
  • 営業利益: 2024年3月期は29,346百万円。
  • 当期純利益: 2024年3月期は13,971百万円。
  • ROE(実績): 2024年3月期は6.28%。
  • ROA(過去12か月): 4.89%
  • 自己資本比率(実績): 57.1%

売上高は安定していますが、利益率は変動があります。ROEは、6%台と、特筆して高い水準ではありません。自己資本比率は57.1%と、財務体質は良好です。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想): 0.25%
  • 1株配当(会社予想): 12.00円
  • 配当性向: 4.73%

配当利回りは低く、株主還元は積極的ではありません。2024年3月期は特別配当を含め135円、2025年3月期は18円と、配当額は変動しています。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近の株価は下落傾向にあり、モメンタムは弱いです。信用取引の状況を見ると、買い残が減少し、売り残が増加しており、弱気な見方が強まっている可能性があります。
株主構成を見ると、テレビ朝日ホールディングスが筆頭株主であり、安定株主が多いです。

11. 総評

東映は、安定した事業基盤を持つ日本のコンテンツ企業です。アニメや特撮ヒーロー番組に強みがあり、テレビ朝日との連携も強固です。しかし、配当利回りが低く、株価は調整局面にあるため、短期的には注意が必要です。財務状況は安定していますが、今後の成長には、映画興行収入の変動、海外展開の強化などが重要となります。


企業情報

銘柄コード 9605
企業名 東映
URL http://www.toei.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

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