1. 企業情報
近畿車輛は、鉄道車両の製造・販売を主な事業とする企業です。国内ではJR向けの車両を主力とし、海外市場、特に低床式路面電車(LRV)で実績を上げています。不動産賃貸事業も展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
近畿車輛は、鉄道車両製造業界において中堅企業として位置づけられます。国内ではJR向け車両で一定のシェアを占めていますが、競争は激しく、川崎重工業や日立製作所などの大手企業との競争に直面しています。海外市場、特にLRV分野での実績は、同社の強みの一つです。
競争優位性:
- LRV分野での実績
- 鉄道車両製造の専門性
課題:
- 大手企業との競争
- 原材料価格変動の影響
- 海外市場におけるリスク(為替変動、政治リスクなど)
3. 経営戦略と重点分野
経営陣のビジョン:
詳細なビジョンは公開情報から明確には読み取れませんが、鉄道車両製造事業を中核とし、海外展開を強化することで成長を目指していると考えられます。
中期経営計画:
2025年3月期の決算短信によると、2026年3月期の業績予想として、売上高420億円(38.8%増)、営業利益9億円(286.5%増)、経常利益6億円(76.5%増)、当期純利益6億円(7.0%増)を予想しています。
重点分野:
- 海外市場におけるLRVなどの受注拡大
- 国内市場におけるJR向け車両の安定的な受注確保
- 不動産賃貸事業の安定的な収益確保
4. 事業モデルの持続可能性
近畿車輛の収益モデルは、鉄道車両の製造・販売が中心であり、公共性の高いインフラ投資に依存しています。鉄道需要は安定していますが、景気変動や政府の政策によって影響を受ける可能性があります。
市場ニーズの変化への適応力:
- 環境配慮型車両の開発
- 省エネ性能の向上
- 海外市場への積極的な展開
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向と独自性:
LRV分野での技術力は、同社の強みの一つです。省エネ性能の向上や、環境負荷の少ない車両の開発も進めていると考えられます。
収益を牽引している製品やサービス:
- 鉄道車両(JR向け、海外向け)
- LRV(低床式路面電車)
6. 株価の評価
- 株価: 1,515.0円
- PER(会社予想): 17.37倍 (業界平均: 7.3倍)
- PBR(実績): 0.31倍 (業界平均: 0.5倍)
- EPS(会社予想): 87.20円
- BPS(実績): 4,885.16円
PERは業界平均よりも高く、割高感があります。PBRは業界平均より低く、割安感があります。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、2025年5月13日に1,630円の高値をつけた後、調整局面に入り、1,500円近辺で推移しています。年初来高値(1,646円)に近づいており、高値圏にあると考えられます。
8. 財務諸表分析
売上高:
2025年3月期の売上高は302.57億円で、前年同期比で29.9%減少しました。
利益:
2025年3月期の営業利益は2.32億円(前年同期比94.6%減)、経常利益は3.39億円(前年同期比93.2%減)、当期純利益は5.60億円(前年同期比87.2%減)と、大幅な減益となりました。
キャッシュフロー:
2025年3月期の営業活動によるキャッシュフローは48.58億円のマイナス、投資活動によるキャッシュフローは5.76億円のマイナス、財務活動によるキャッシュフローは0.14億円のマイナスでした。
ROE(実績): 1.69%
ROA(過去12か月): 0.25%
過去数年間の傾向:
直近の業績は、売上高、利益ともに減少傾向にあります。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 3.30%
- 1株配当(会社予想): 50.00円
- 配当性向: 13.83%
- 自社株買い: なし
配当利回りは、3.30%と、ある程度の水準を維持しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価の直近の変動傾向:
直近10日間の株価は、高値圏で推移しており、上昇の勢いは弱まっています。
株価への影響を与える要因:
- 鉄道車両の受注状況(特に海外)
- 原材料価格の変動
- 為替レートの変動
- 政府のインフラ投資政策
11. 総評
近畿車輛は、鉄道車両製造を主力とする企業であり、LRV分野での強みを持っています。しかし、直近の業績は減収減益となっており、今後の受注状況や、原材料価格、為替レートなどの外部環境の変化に注意が必要です。株価は高値圏にあり、PERは業界平均よりも高い水準です。今後の成長戦略と、業績回復の動向を注視していく必要があります。
企業情報
銘柄コード | 7122 |
企業名 | 近畿車輛 |
URL | http://www.kinkisharyo.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
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