1. 企業情報

概要

住友化学株式会社は、総合化学メーカーとして、エッセンシャルケミカルズ&プラスチックス、エネルギー・機能材料、IT関連化学、健康・農業科学、医薬品など多岐にわたる事業を国内外で展開しています。主力は合成樹脂、工業薬品、電子材料、農薬、医薬品など。海外展開も積極的で、シンガポールやサウジアラビアなどで石油化学事業を展開しています。従業員数は約3万人超、東京に本社を置きます。

2. 業界のポジションと市場シェア

業界内ポジション

住友化学は三菱ケミカル、三井化学などと並ぶ国内有数の総合化学メーカーです。石油化学分野ではグローバルな生産拠点を持ち、農薬・医薬・電子材料など高付加価値分野にも強みがあります。

競争優位性・課題

  • 幅広い事業ポートフォリオとグローバル展開が強み。
  • 一方、石油化学など市況産業の影響を受けやすく、原材料価格や為替変動、競争激化による販売価格下落などが課題です。
  • 近年は高付加価値分野へのシフトと構造改革を推進中。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣のビジョン・戦略

  • 「短期集中業績改善策」と「抜本的構造改革」を推進。
  • 4事業部門体制へ組織改正し、各分野での収益力強化を目指しています。

中期経営計画の施策・重点分野

  • アグロ&ライフソリューション(農薬・ライフサイエンス)、ICT & モビリティソリューション(電子材料・車載材料)、アドバンストメディカルソリューション(医療材料)、エッセンシャル&グリーンマテリアルズ(基礎化学・環境対応材料)を重点領域とし、構造改革を進めています。

4. 事業モデルの持続可能性

収益モデル・市場適応力

  • 市況産業(石油化学)と高付加価値産業(農薬・電子材料・医薬)のバランスが特徴。
  • 市場ニーズの変化に対応するため、事業ポートフォリオの見直しと成長分野への資源集中を進めています。
  • グローバル展開によりリスク分散を図っています。

5. 技術革新と主力製品

技術開発の動向・独自性

  • 電子材料(液晶・OLED用材料、半導体材料)、農薬・医薬品分野での研究開発に注力。
  • 環境対応型素材や次世代バッテリー材料など、成長分野への投資を継続。

主力製品・サービス

  • 液晶・OLEDディスプレイ材料、リチウムイオン電池材料、農薬(殺虫剤・除草剤)、医薬品(住友ファーマ)などが収益を牽引しています。

6. 株価の評価

  • 株価: 335.4円
  • EPS(会社予想): 24.44円
  • BPS(実績): 550.37円
  • PER(会社予想): 13.72倍(業界平均20.4倍)
  • PBR(実績): 0.61倍(業界平均1.1倍)

評価

  • 業界平均と比べてPER・PBRともに割安な水準。
  • 直近の業績回復を織り込んでいるが、過去の損失や構造改革の進捗が株価評価に影響。

7. テクニカル分析

  • 年初来高値: 379円
  • 年初来安値: 283円
  • 50日移動平均: 341.96円
  • 200日移動平均: 367.55円
  • 直近株価: 335.4円

現状

  • 直近は高値から調整し、50日・200日移動平均線を下回る水準。
  • 年初来安値圏からは反発しているものの、短期的にはやや弱含み。

8. 財務諸表分析

売上・利益・キャッシュフロー

  • 2025年3月期 売上収益: 2兆6,063億円(前年同期比増加)
  • 営業利益: 1930億円(黒字転換)
  • 当期利益: 426億円
  • 営業CF: 2,330億円(安定したキャッシュ創出)
  • 自己資本比率: 26.2%
  • ROE: 4.14%、ROA: 2.92%

過去数年との比較

  • 2024年3月期は赤字だったが、2025年3月期は黒字回復。
  • 営業利益率・当期利益率も改善傾向。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(予想): 3.58%
  • 年間配当予想: 12円
  • 配当性向: 49.1%
  • 自社株買い: 自己株式保有あり(1.24%)

方針

  • 安定配当を重視しつつ、利益状況に応じて配当性向を調整。
  • 配当利回りは業界平均並み~やや高め。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 直近の株価変動: 5月中旬に高値(379円)をつけた後、調整局面入り。出来高は高水準。
  • 信用買残: 増加傾向(信用倍率14.46倍)、個人投資家の関心が高い。
  • 株価への影響要因: 業績回復期待、構造改革の進捗、原材料市況や為替動向。

11. 総評

住友化学は、総合化学メーカーとして幅広い事業を展開し、グローバル展開や高付加価値分野へのシフトを進めています。2024年3月期の赤字から2025年3月期は黒字回復を果たし、財務指標も安定しています。株価指標は業界平均と比較して割安感があり、配当利回りも安定的です。短期的には株価調整局面ですが、構造改革や成長分野へのシフトの進捗が今後の評価ポイントとなります。なお、投資判断は個々のリスク許容度や市場動向を十分に考慮してください。


企業情報

銘柄コード 4005
企業名 住友化学
URL http://www.sumitomo-chem.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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By シャーロット

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