1. 企業情報
概要
鉄建建設株式会社（Tekken Corporation）は、1944年創業の建設会社で、土木工事・建築工事・不動産事業・付帯事業を展開しています。特に鉄道関連工事に強みを持ち、道路、トンネル、橋梁、集合住宅、商業施設、学校、医療・福祉施設などの社会インフラ整備を手掛けています。近年は不動産開発やリノベーション、コンサルティング、農業・再生可能エネルギー事業にも進出しています。東日本旅客鉄道（JR東日本）が主要株主で、持分法適用会社です。
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
建設業界の中でも鉄道土木工事で国内トップクラスの実績を誇ります。道路・マンション建設でも高い評価を受けており、公共・民間両方の案件をバランスよく受注しています。
競争優位性
- 鉄道インフラ工事における高い専門性と実績
- JR東日本との資本関係による安定した受注基盤
- 不動産や付帯事業など多角化による収益源の多様化
課題
- 建設業界全体での人手不足
- 建設資材・労務コストの上昇
- 民間投資の景気変動リスク
3. 経営戦略と重点分野
経営ビジョン・戦略
「中期経営計画2028『誇れる企業へ』〜サステナブルな未来社会への挑戦〜」を掲げ、生産性・利益創出力の強化、成長領域への積極投資、人的資本・ESG推進、資本効率経営への転換を基本方針としています。
重点分野・施策
- 鉄道・土木分野の技術力強化
- 不動産事業の拡大
- デジタル・省人化技術導入による生産性向上
- ESG経営（環境・社会・ガバナンス）推進
- 人材育成と多様性確保
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
- 主力の土木・建築工事に加え、不動産や付帯事業で安定収益を確保
- 鉄道インフラのメンテナンス需要や再開発案件が継続的に見込まれる
市場ニーズへの適応力
- 鉄道・社会インフラの老朽化対策、都市再開発、災害復旧・防災需要など、長期的なインフラ需要に対応
- 新分野（再生可能エネルギー、農業等）への進出で事業基盤の多様化を図る
5. 技術革新と主力製品
技術開発動向・独自性
- 鉄道関連土木・建築工事の高度な施工技術を保有
- ICT・BIM（ビルディング・インフォメーション・モデリング）などデジタル技術の導入推進
- 環境配慮型施工、再生可能エネルギー事業への取り組み
主力製品・サービス
- 鉄道高架橋、トンネル、駅舎等の鉄道インフラ工事
- 道路・橋梁・マンション等の一般土木・建築工事
- 不動産開発・リノベーション
6. 株価の評価
バリュエーション指標
- PER（会社予想）：10.29倍（業界平均14.0倍より割安）
- PBR（実績）：0.53倍（業界平均1.1倍より割安）
- EPS（会社予想）：258.43円
- BPS（実績）：5,011.44円
- 株価：2,660円
- 配当利回り（会社予想）：4.89%
評価
- 業界平均と比較してPER・PBRともに低水準
- 配当利回りも高め
7. テクニカル分析
株価推移
- 直近の株価は2,600円台前半～2,700円台で推移
- 年初来高値：2,910円、年初来安値：2,085円
- 50日移動平均：2,610.40円、200日移動平均：2,458.99円
現状
- 直近はやや調整局面だが、50日・200日移動平均を上回る水準
- 高値圏からやや下落したレンジ内
8. 財務諸表分析
売上・利益
- 2025年3月期売上高：185,114百万円（+0.8%）
- 営業利益：3,459百万円（+261.1%）
- 当期純利益：3,429百万円（-19.5%）
- 営業利益率：1.81%、純利益率：1.85%
キャッシュフロー
- 営業キャッシュフロー：-20,285百万円（マイナス）
- フリーキャッシュフロー：-22,040百万円（マイナス）
財務安全性
- 自己資本比率：31.0%
- 総資産：225,102百万円
- 総負債：増加傾向
収益性指標
- ROE：4.84%
- ROA：0.99%
過去数年の傾向
- 売上は横ばい～微増
- 営業利益は大幅増益、純利益は減益
- キャッシュフローはマイナス基調
9. 株主還元と配当方針
配当実績・予想
- 2024年3月期：100円
- 2025年3月期：122円
- 2026年3月期（予想）：130円
配当利回り・性向
- 配当利回り（予想）：4.89%
- 配当性向：約49.17%（利益の約半分を配当に充当）
株主還元策
- 自社株買い実施実績あり（自己株式保有比率10.07%）
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価変動傾向
- 直近10日間は2,600円台で安定推移
- 5月13日に大きく下落、その後はやや戻しつつ横ばい
- 信用買残増加、信用倍率高め（10.7倍）
投資家関心
- 配当利回りの高さや安定した業績、JR東日本との関係性から一定の注目
- 出来高は安定、流動性は中程度
11. 総評
鉄建建設は、鉄道土木工事で国内首位級の実績を持ち、安定した受注基盤と多角化による収益源の多様化が特徴です。直近では営業利益の大幅増益が見られる一方、純利益やキャッシュフローには課題も見られます。PER・PBRは業界平均より低く、配当利回りも高い水準にあります。中期経営計画ではESGや人的資本強化、資本効率経営への転換を掲げており、今後の成長戦略や収益性の向上が注目されます。株価は高値圏からやや調整局面ですが、安定した推移を見せています。
企業情報
| 銘柄コード | 1815 |
| 企業名 | 鉄建建設 |
| URL | http://www.tekken.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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