1. 企業情報
企業名：日特建設株式会社
設立：1953年4月10日
所在地：東京都中央区東日本橋3-10-6
代表者：和田 康夫
従業員数：1,122人（平均年齢45.1歳、平均年収801万円）
事業内容：
特殊土木工事を主力とし、ダム基礎、地盤改良、法面（のりめん）工事などを展開。環境・防災分野に強みを持ち、災害防止や都市再生、地盤改良、廃棄物処理場の基礎工事、コンクリート構造物の診断・補強など幅広いサービスを提供。2025年2月には麻生フオームクリート株式会社を子会社化し、営業ネットワークやノウハウの活用を進めている。親会社はエーエヌホールディングス（麻生グループ系）。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション：特殊土木工事分野の大手。特に法面工事や地盤改良分野で高いシェアを有し、災害対策・防災工事の実績が豊富。
- 競争優位性：環境・防災分野に特化した技術力、長年の実績、麻生グループのネットワークを活かした受注力が強み。
- 課題：資材価格の上昇や人件費増、公共事業依存度の高さ、地震等の自然災害による施工計画の遅延リスク。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略：中期経営計画「Next Challenge Stage III」を推進。特殊土木分野の強化と新規分野（都市再生、環境保全等）への展開を目指す。
- 重点施策：
- 麻生フオームクリートの子会社化によるシナジー追求
- 法面工事・地盤改良工事の受注拡大
- 技術開発・施工ノウハウの深化
- 営業ネットワークの拡充
- 中期計画目標（2026年3月期）：
- 売上高：760億円（前期比+13.1%）
- 営業利益：50億円（前期比+35.9%）
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル：公共事業・民間工事の受注によるプロジェクト型収益。防災・減災、インフラ老朽化対策など社会的ニーズは底堅い。
- 市場ニーズへの適応力：災害増加やインフラ更新需要の高まりにより、安定した需要が見込まれる。新技術導入やグループ連携による競争力強化も進む。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発：地盤改良、法面安定化、アンカー工法、コンクリート構造物補修等で独自技術を保有。麻生フオームクリートの技術・ネットワークを活用し、商品・サービスの幅を拡大。
- 主力分野：法面工事（売上高30,798百万円）、基礎・地盤改良工事（売上高25,048百万円）が主力。災害復旧・防災関連工事が収益を牽引。
6. 株価の評価
- 株価：1,046円（2025年6月12日終値）
- EPS（会社予想）：80.24円
- BPS（実績）：823.29円
- PER：13.04倍（業界平均14.0倍）
- PBR：1.27倍（業界平均1.1倍）
- 配当利回り（会社予想）：4.68%
- 評価：PERは業界平均並み、PBRはやや高め。配当利回りは高水準。
7. テクニカル分析
- 直近株価推移：1,030～1,050円台で安定推移。年初来高値1,089円、安値909円。
- 移動平均：50日移動平均1,032.58円、200日移動平均1,022.64円。現状は移動平均線をやや上回る水準。
- 位置づけ：年初来高値圏にはやや届かず、直近は横ばい～小幅上昇基調。
8. 財務諸表分析
- 売上高：67,216百万円（前期比6.5%減）
- 営業利益：3,679百万円（前期比15.5%減）
- 純利益：2,408百万円（前期比21.4%減）
- 営業キャッシュフロー：4,513百万円
- ROE：7.06%
- ROA：4.13%
- 自己資本比率：60.4%
- 財務健全性：高い自己資本比率、低い負債比率（Debt/Equity 2.05%）、潤沢な現金保有（現金18,150百万円）。
- 利益率：営業利益率5.5%、純利益率3.58%。
- 過去3年の傾向：売上・利益ともにやや減少傾向。2025年3月期は地震影響・費用増で減益。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績：2025年3月期48円、2026年3月期予想49円（配当利回り4.68%）
- 配当性向：89.08%（高水準）
- 自社株買い：特記なし
- 方針：安定配当を重視。特別配当はなし。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向：ここ1年はやや下落傾向（52週変動-4.13%）、直近は横ばい～小幅上昇。
- 出来高：平均的な水準（3か月平均4.9万株、直近1万株台）。
- 信用取引：信用買残増加、信用倍率7.25倍（やや買い長）。
- 投資家層：親会社・グループ保有が多く、個人・機関投資家の比率は低め。
11. 総評
日特建設は、特殊土木工事分野で高い技術力と実績を持つ企業です。地盤改良・法面工事など防災・環境分野に強みを有し、麻生グループとの連携や子会社化による事業拡大を進めています。2025年3月期は売上・利益ともに減少しましたが、財務基盤は堅固で、今後は中期経営計画に基づく売上・利益の回復・成長が見込まれています。配当利回りは高水準で安定配当方針を維持。株価は直近横ばい圏ですが、業績回復や新たな受注拡大が注目されます。なお、投資判断は各自の責任で行う必要があります。
企業情報
| 銘柄コード | 1929 |
| 企業名 | 日特建設 |
| URL | http://www.nittoc.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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