1. 企業情報

三井化学株式会社は、三井グループの総合化学メーカーで、1892年創業、1955年設立。本社は東京都中央区八重洲に所在し、従業員数は約17,320人。事業領域は「ライフ&ヘルスケア」「モビリティ」「ICT」「ベーシック&グリーンマテリアルズ」など多岐にわたります。石油化学製品を基盤としながら、機能性材料やヘルスケア、自動車・半導体向けの高付加価値分野へシフトしています。売上の約52%が海外で構成されているグローバル企業です。

2. 業界のポジションと市場シェア

三井化学は日本の化学業界大手の一角であり、特にフェノールやポリプロピレン等の基礎化学品で高いシェアを持ちます。近年は機能材料分野(自動車部材、ヘルスケア、ICT材料)へ注力し、差別化を図っています。業界全体は市況変動や原材料価格の影響を受けやすく、国内のナフサクラッカー稼働率は低調。競合には三菱ケミカル、住友化学、旭化成などが存在し、各社とも高付加価値分野への転換が進んでいます。

3. 経営戦略と重点分野

三井化学は長期ビジョン「VISION 2030」のもと、機能性材料・ソリューション型事業への転換を加速しています。中期経営計画では、ライフ&ヘルスケア、モビリティ、ICT分野を重点成長領域と位置付け、基礎化学品は選択と集中を進めています。2024年にはICT領域の研究拠点「クリエイティブインテグレーションラボ™」を新設し、研究開発体制の強化も図っています。カーボンニュートラル実現に向けたプラント停止や生産設備の再編も進行中です。

4. 事業モデルの持続可能性

三井化学の収益モデルは、基礎化学品の安定供給と、高付加価値分野での収益拡大の両輪です。市場ニーズの変化に対応し、ヘルスケアやICT、モビリティ向け新素材など成長分野へのシフトを進めています。カーボンニュートラルやサステナビリティ対応も推進しており、長期的な持続可能性を意識した事業運営が特徴です。

5. 技術革新と主力製品

技術開発では、エラストマー(高機能樹脂)、ポリプロピレンコンパウンド、半導体・光学材料、バッテリー材料などが主力。特に自動車軽量化、EV化、ヘルスケア用途の材料開発に注力。2024年にはICT分野の新研究拠点開設や、韓国での生産設備増強を実施。独自の高機能材料やプロセス技術で差別化を図っています。

6. 株価の評価

  • 株価:3,205円
  • 予想EPS:293.58円
  • 予想PER:約10.89倍(業界平均20.4倍より低い)
  • 実績BPS:4,528.02円
  • 実績PBR:約0.71倍(業界平均1.1倍より低い)

これらの指標から、株価は業界平均に比べて割安な水準に位置しています。

7. テクニカル分析

  • 年初来高値:3,643円
  • 年初来安値:2,644円
  • 50日移動平均:3,128円
  • 200日移動平均:3,398円
  • 直近株価:3,205円

直近の株価は50日移動平均をやや上回り、200日移動平均を下回る水準。年初来高値からは下落傾向ですが、直近は底堅い動き。安値圏からやや回復基調にあります。

8. 財務諸表分析

  • 売上高(2025/3期):1兆8,091億円(前年比+3.4%)
  • 営業利益:783億円(前年比+5.7%)
  • 親会社帰属純利益:322億円(前年比-35.5%)
  • 営業利益率:4.3%
  • ROE:3.77%(実績)、4.36%(過去12ヶ月)
  • ROA:1.89%
  • 自己資本比率:39.4%
  • 営業キャッシュフロー:2,005億円
  • フリーキャッシュフロー:472億円

利益面は直近で減少傾向が見られますが、キャッシュフローは安定。財務安全性も一定水準を維持しています。

9. 株主還元と配当方針

  • 予想年間配当:150円
  • 配当利回り:4.69%(業界平均を上回る水準)
  • 配当性向:87.95%
  • 自己株式保有比率:5.31%
  • 直近の自社株買い実施状況は不明

高い配当利回りと配当性向が特徴ですが、利益減少局面での持続性には注視が必要です。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 直近10日間の株価は3,200円前後で推移し、出来高は安定。
  • 信用買残は減少傾向、信用倍率は7.94倍とやや高め。
  • 52週変動率は-27.92%と大きく下落しており、投資家の関心はやや低下傾向。

11. 総評

三井化学は、基礎化学品から高付加価値分野への転換を進める総合化学メーカーです。業界平均と比較して株価指標は割安な水準にあり、財務の健全性や配当利回りも一定の魅力があります。一方で、直近の利益水準は減少しており、今後の収益性回復と成長分野での競争力強化が課題となります。サステナビリティや技術革新への対応も進めており、中長期的な成長戦略に注目が集まります。
※本レポートは情報提供を目的としており、投資判断を目的としたものではありません。


企業情報

銘柄コード 4183
企業名 三井化学
URL http://jp.mitsuichem.com
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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By シャーロット

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