1. 企業情報
- 企業名: リガク・ホールディングス株式会社
- 事業内容: X線技術を中心とした理科学機器の製造・販売を手掛ける。主力製品はX線分析装置、半導体向け計測機器、結晶構造解析装置、XRF（蛍光X線分析）分光計、非破壊検査装置、熱分析装置、ハンドヘルドラマン分析装置等。
顧客はアカデミア（大学・研究機関）、半導体・電子部品メーカー、医薬品・バイオ、電池材料メーカー等。
1951年創業、東京都昭島市に本社を置く。
2020年12月に持株会社体制へ移行。
– 売上構成（2024年12月期予想）:
– 多目的分析機器：45%
– 半導体プロセス・コントロール機器：26%
– 部品・サービス：29%
– 海外売上比率：73%
– 従業員数: 1,867人（平均年齢46.2歳、平均年収1,019万円）
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: X線分析装置分野で世界首位級のシェアを有する。特に半導体・電子材料、ライフサイエンス、電池材料分野で高い評価を得ている。
- 競争優位性: 長年の技術蓄積とグローバルな販売網、幅広い製品ラインナップが強み。海外売上比率が高く、世界展開が進んでいる。
- 課題: 半導体市況や研究開発投資動向、顧客業界の景気変動に影響を受けやすい。技術革新のスピードや競合各社（Bruker、Thermo Fisher等）との競争も激しい。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 「科学技術の発展を支えるグローバルリーダー」を掲げ、最先端の計測・分析技術で産業と社会に貢献する。
- 重点戦略:
- 半導体・電子材料分野への投資強化
- ライフサイエンス・バイオ分野の拡大
- 電池材料解析など新規応用領域の開拓
- グローバル販売・サービス体制の強化
- 研究開発投資による技術革新の推進
- 中期経営計画: 具体的な数値目標や進捗状況の開示は現時点で限定的。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 装置販売に加え、保守・サービス、消耗部品販売などストック型収益も一定割合を占める。
顧客業界の研究開発投資や生産設備投資に連動する側面が強い。
– 市場ニーズへの適応力: 半導体・電池・ライフサイエンス等、成長分野への製品開発やサービス拡充で市場変化に対応。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向: X線分析・計測技術で長年の実績。AI・自動化・デジタル化技術の導入も進めている。
- 主力製品・サービス:
- X線回折装置（XRD）、蛍光X線分析装置（XRF）
- 半導体向けプロセス制御機器
- 非破壊検査・イメージング装置
- ライフサイエンス向け結晶構造解析装置
- 電池材料解析装置
- 独自性: 高精度・高感度・多様な用途対応の装置開発力と、グローバルなカスタマーサポート体制。
6. 株価の評価
- PER（予想）: 11.36倍（業界平均21.1倍より低い）
- PBR（実績）: 1.97倍（業界平均1.8倍よりやや高い）
- EPS（予想）: 62.40円
- BPS（実績）: 360.21円
- 現在株価: 716円
- 株価指標の比較:
- PERは業界平均より割安水準
- PBRは業界平均並み〜やや高め
- 理論株価（EPS×業界平均PER）: 62.40円 × 21.1 = 約1,316円
現在株価（716円）は理論株価より下回る水準
7. テクニカル分析
- 株価推移: 年初来高値1,171円、年初来安値641円。直近は700円台前半で推移。
- 移動平均との比較:
- 50日移動平均：790.58円
- 200日移動平均：947.80円
現在株価は両移動平均線を下回り、安値圏に位置。
– 直近10日間の動き: 出来高が高水準で推移する中、株価は700〜730円台で揉み合い。大幅な下落後、下げ止まり感も見られる。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2022年 62,701百万円 → 2023年 79,887百万円 → 2024年 90,652百万円（成長基調）
- 営業利益: 2022年 6,332百万円 → 2023年 15,255百万円 → 2024年 18,367百万円
- 純利益: 2022年 911百万円 → 2023年 10,904百万円 → 2024年 13,615百万円
- 営業利益率: 約20%前後と高い水準
- ROE/ROA:
- ROE（実績）：18.51%（高水準）
- ROA（計算値）：約7.9%
- キャッシュフロー: 営業CFは安定的に黒字
- 自己資本比率: 46.1%（財務健全性良好）
- 成長性: 直近3年で売上・利益ともに大幅増加。ただし、2025年1Qは利益が前年同期比減少。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）: 2.65%
- 1株配当（予想）: 18.80円
- 配当性向: 5.08%（利益の一部を配当に充当、内部留保重視）
- 自社株買い: 直近で大規模な自社株買いの情報はなし
- 過去配当実績: 2024年実績3.00円 → 2025年予想18.80円と大幅増配予定
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム: 52週高値から大きく下落し、直近は安値圏で推移。出来高は高水準。
- 信用取引動向: 信用買残が大きく、信用倍率も高い（286倍）。短期的な需給には注意が必要。
- 投資家構成: インサイダー（創業家・ファンド等）が過半数を保有。機関投資家比率は21%程度。
- 株価変動要因: 半導体市況や研究開発投資動向、為替、決算内容などが影響。
11. 総評
リガク・ホールディングスは、X線分析装置を中心とした理科学機器分野で世界首位級のシェアを持ち、半導体・ライフサイエンス・電池材料など成長分野に強みを持つ企業です。
直近3年で売上・利益ともに大きく伸長し、財務体質も良好です。株価指標（PER）は業界平均と比較して割安水準にあり、配当も今期は大幅増配を予定しています。
一方で、株価は高値から大きく調整し、安値圏で推移しています。信用取引の需給には注意が必要です。今後の業績動向や半導体・研究開発市場の動向が注目されます。
※本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資判断を目的としたものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 268A |
| 企業名 | リガク・ホールディングス |
| URL | https://www.rigaku-holdings.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 精密機器 |
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