1. 企業情報
企業名: 株式会社電通総研
設立: 1975年12月11日
本社所在地: 東京都港区港南2-17-1
従業員数: 4,389人
平均年齢/年収: 40.1歳／11,220千円
事業内容:
電通総研は、システムインテグレーションやITコンサルティング、シンクタンク機能を持つITサービス企業です。主な事業は、金融ソリューション（銀行・証券等のIT化支援）、ビジネスソリューション（会計・人事等の経営管理IT）、製造ソリューション（3D設計・シミュレーション等）、コミュニケーションIT（バリューチェーン最適化IT）に分かれます。電通グループ向けの案件が多く、ERPや設計開発支援、人事・会計の自社製品にも強みを持っています。無借金経営が特徴です。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 情報・通信業界の中堅～大手SIer（システムインテグレーター）の一角。電通グループのIT中核企業として、グループ内外の大規模案件を受託。
- 競争優位性:
- 電通グループとの強固な関係による安定受注
- 金融・製造・ERP分野での専門性
- コンサルから開発・運用まで一貫対応
- 課題:
- グループ依存度の高さ
- 人件費・コスト増加による利益率低下
- 業界全体での人材確保競争
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 「X(Cross) Innovation 2024」最終年度。次期中期経営計画策定中。
- 重点分野:
- DX（デジタルトランスフォーメーション）支援
- ERP・人事・会計等の自社ソリューション強化
- 製造業向けスマートファクトリー・3D設計支援
- コンサルティング領域拡大
- 具体的施策:
- 新規子会社（ミツエーリンクス）によるサービス拡充
- AI・クラウド・IoT等の先端技術導入
- グループ外顧客の拡大
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 受託開発・保守運用・コンサルティング・自社製品ライセンス等の多様な収益源。
- 市場ニーズ対応力: デジタル投資意欲の高まりやDX需要増加に対応。グループ外への展開も進行中。
- リスク要因: 人材確保難、グループ依存度、IT投資サイクル変動。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向: AI、クラウド、IoT、3D設計、シミュレーションなど先端技術への積極投資。
- 独自性: ERP・人事・会計等の自社パッケージソフト、製造業向け3D設計支援など。
- 主力製品・サービス:
- 金融・製造業向けITソリューション
- ERP・人事・会計パッケージ
- コンサルティングサービス
6. 株価の評価
- 株価: 6,610円（2025/7/4終値）
- EPS（会社予想）: 245.85円
- BPS（実績）: 1,408.93円
- PER（会社予想）: 26.89倍（業界平均23.2倍より高め）
- PBR（実績）: 4.69倍（業界平均2.3倍より高め）
評価: 現在の株価は、業界平均と比べてプレミアムが付いています。高い成長性や収益性が織り込まれていると考えられます。
7. テクニカル分析
- 年初来高値: 7,140円
- 年初来安値: 5,430円
- 50日移動平均: 6,612.4円
- 200日移動平均: 6,001.3円
- 直近株価推移: 6,600円台で推移し、やや調整局面。年初来高値からは下落、50日移動平均付近。
- 信用倍率: 20.50倍（買い残多め）
評価: 高値圏からやや下落し、移動平均線付近での持ち合い。短期的には調整色が強い。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 152,642百万円（過去12か月、前年比+7.0%程度）
- 営業利益: 21,040百万円（横ばい）
- 純利益: 15,117百万円（前年比+3.1%）
- ROE: 17.36%（高水準）
- ROA: 9.39%
- 自己資本比率: 61.9%（健全）
- キャッシュフロー: 無借金経営、現金水準も高い
- 利益率: 営業利益率14.36%、純利益率9.70%
- 過去数年推移: 売上・利益ともに堅調な増加傾向だが、直近はコスト増で営業利益率がやや低下。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り: 1.75%（会社予想、5年平均1.58%）
- 1株配当: 116円（会社予想）
- 配当性向: 46.52%
- 自社株買い: 直近では大きな実施なし（自己株式保有率0.03%）
評価: 安定配当を維持、配当性向も適正水準。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム: 年初来高値から調整中。直近10日間は6,600円台で推移、出来高はやや減少傾向。
- 投資家関心: インサイダー（電通グループ）保有比率が高い（64.73%）、流動性はやや限定的。信用買い残多めで個人投資家の関心も高い。
11. 総評
電通総研は、電通グループのIT中核企業として安定した基盤と高い収益性を持ち、DXやERP、製造業向けITなど成長分野に強みがあります。過去数年は売上・利益ともに堅調な成長を維持していますが、直近では人件費等のコスト増による利益率低下が見られます。株価は業界平均と比較してやや高めの水準で推移しており、成長期待が織り込まれている状況です。配当も安定しており、財務体質も良好です。今後はグループ外への展開や新たな中期経営計画の進捗が注目されます。
本レポートは提供された情報に基づき分析を行ったものであり、投資判断を目的としたものではありません。
企業情報
| 銘柄コード | 4812 |
| 企業名 | 電通総研 |
| URL | https://www.dentsusoken.com/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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