1. 企業情報
概要
東急建設株式会社は、総合建設業（ゼネコン）として、建築・土木事業を中心に展開しています。主な事業は鉄道・道路・トンネル・橋梁などの土木工事、商業施設・オフィス・住宅・工場・病院等の建築、リノベーション、再開発、PPP/コンセッション事業、不動産開発・賃貸です。特に東急グループ案件や渋谷駅前再開発、東急沿線の開発案件に強みを持ちます。
– 【連結事業構成】建築75%、土木23%、不動産等2%（カッコ内は利益率）
– 本社：東京都渋谷区
– 従業員数：2,845人
– 平均年齢：44.1歳、平均年収：885万円
2. 業界のポジションと市場シェア
- 建設業界内では中堅ゼネコンに位置し、東急グループからの受注が約1割程度を占めています。
- 渋谷駅前再開発や東急沿線の案件など、グループ案件で安定した受注基盤を持つ一方、グループ外案件の拡大が課題です。
- 大手ゼネコン（鹿島、清水、大成など）と比較すると規模は小さいですが、都市再開発やPPP事業など成長領域での実績が特徴です。
3. 経営戦略と重点分野
- 東急グループのネットワークを活かした再開発・都市開発案件の強化
- PPP/コンセッション事業の拡大による新規収益源の創出
- 建築技術の高度化・DX推進による生産性向上
- 環境配慮型建築やリノベーションなど、サステナビリティ分野への対応強化
- 中期経営計画の詳細は未開示ですが、安定した受注基盤の維持と新規分野開拓が重点とみられます。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルは主に建設請負によるものですが、再開発・リノベーション・不動産賃貸などストック型収益の拡大も志向しています。
- 市場ニーズの変化（都市再開発、老朽インフラ更新、省エネ建築等）への対応力が高く、グループ案件による安定性も特徴です。
- 受注環境や建設コスト上昇の影響を受けやすい点は留意が必要です。
5. 技術革新と主力製品
- BIM（ビルディング・インフォメーション・モデリング）、省人化・省力化施工技術、環境配慮型建築技術の導入を推進
- 渋谷駅前再開発や大規模複合施設建設など、都市型再開発案件での技術力が強み
- 収益を牽引する主力は建築部門（商業施設、オフィス、住宅等）
6. 株価の評価
- 現在株価：1,025円
- 予想EPS：68.90円 → PER：14.88倍（業界平均14.0倍と同水準）
- 実績BPS：959.28円 → PBR：1.07倍（業界平均1.1倍と同水準）
- 配当利回り（予想）：3.80%
- 業界平均並みのバリュエーションで、配当利回りも比較的高い水準です。
7. テクニカル分析
- 直近株価は1,025円、年初来高値1,065円、安値698円
- 50日移動平均：983.66円、200日移動平均：804.97円
- 直近10営業日で1,030円前後で推移し、高値圏に位置
- 52週高値圏に近く、短期的にはやや上昇一服感が見られます
8. 財務諸表分析
- 売上高：2931億円（前年比+2.6%）
- 営業利益：88.4億円（営業利益率5.88%）
- 純利益：66.3億円（純利益率2.26%）
- ROE：6.58%、ROA：2.05%
- 自己資本比率：37.1%
- 営業キャッシュフロー：412億円（前期比減少だがプラスを維持）
- 有利子負債比率は低く、財務健全性は良好
- 過去数年で黒字転換・利益成長、利益率も改善傾向
9. 株主還元と配当方針
- 予想配当：39円／株、配当利回り：3.8%
- 配当性向：60.6%（安定配当を重視する姿勢）
- 5年平均配当利回り：4.35%（安定的に高水準）
- 自社株買いの実績は限定的ですが、株主還元意識は一定水準
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近1年で株価は約32%上昇、TOPIXやS&P500を上回る
- 信用買残は減少傾向、信用倍率は2.5倍と適度
- 出来高も安定しており、流動性は十分
- 東急グループ案件や都市再開発案件への期待、配当利回りの高さが株価を支えています
11. 総評
東急建設は、東急グループの安定した受注基盤と都市再開発案件での実績を強みに持つ中堅ゼネコンです。財務体質は健全で、配当利回りも高く、株主還元姿勢が見られます。株価は業界平均並みのバリュエーションで推移し、直近では高値圏に位置しています。今後はグループ外案件の拡大や新規事業領域での成長が注目されます。
※本レポートは公開情報に基づき作成しています。投資判断はご自身でご検討ください。
企業情報
| 銘柄コード | 1720 |
| 企業名 | 東急建設 |
| URL | http://www.tokyu-cnst.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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