1. 企業情報
事業内容の概要
古河電気工業株式会社は、1884年創業の老舗非鉄金属メーカーであり、主に以下の分野でグローバルに事業を展開しています。
– インフラ：光ファイバ・ケーブル、光関連部品、ネットワーク機器、電力ケーブルなど
– 電装エレクトロニクス：自動車用ワイヤハーネス、電子部品、特殊金属材料（形状記憶合金等）
– 機能製品：半導体製造用テープ、放熱・冷却製品、アルミブランク材など
– サービス・開発等：水力発電、新製品開発、不動産賃貸等
従業員数は約5万人を超え、世界各地で事業を展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション
古河電気工業は「電線御三家」の一角として、住友電工、フジクラと並ぶ国内トップクラスの電線・ケーブルメーカーです。特に光ファイバー分野では世界有数のシェアを持っています。
– 競争優位性と課題
光ファイバーや自動車用ワイヤハーネスなど成長分野で高い技術力と供給体制を有し、データセンター・AI市場や電動車向け市場の拡大を追い風としています。一方、国内市場の縮小や原材料コスト上昇、グローバル競争激化への対応が課題です。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・戦略
「Road to Vision2030-変革と挑戦―」を掲げ、資本効率重視による既存事業の収益最大化、新事業創出、グローバル展開強化を推進中。
– 中期経営計画の施策
– 光ファイバー・ケーブル事業の効率化と供給体制強化
– 電動車市場向け製品開発・製造自動化
– データセンター・AI市場向け次世代製品開発
– グループ内組織再編による事業効率化
– 資本効率の向上（ROE向上等）
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
インフラ事業（光ファイバー等）と電装エレクトロニクス（自動車関連）が収益の柱。機能製品もAI・データセンター需要を背景に成長。
– 市場ニーズへの適応力
データセンター・AI、自動車電動化、再生可能エネルギーなど社会課題解決型事業へのシフトを進めており、市場変化への対応力は高いとみられます。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向
光ファイバー・ケーブルの高性能化、産業用レーザ、AI・データセンター向け新素材開発、自動車用アルミワイヤハーネスの研究開発等に注力。
– 主力製品・サービス
– 光ファイバー・ケーブル（世界有数のシェア）
– 自動車用ワイヤハーネス
– 放熱・冷却製品、半導体製造用テープ
– 産業用レーザ、特殊金属材料
6. 株価の評価
- 指標比較
- 株価：8,150円
- 予想EPS：510.83円
- 予想PER：15.95倍（業界平均80.4倍）
- 実績BPS：4,844.96円
- PBR：1.68倍（業界平均0.8倍）
業界平均と比較するとPERは大幅に低く、PBRはやや高い水準です。EPS・BPSに対する株価は直近の業績急回復を織り込んでいると考えられます。
7. テクニカル分析
- 株価推移
- 年初来高値：8,304円（直近）
- 年初来安値：3,647円
- 50日移動平均：6,909円
- 200日移動平均：6,043円
- 直近終値：8,150円
直近で年初来高値圏にあり、短期・中長期移動平均線を大きく上回っています。モメンタムは強い状態です。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益推移
- 売上高：1,201,762百万円（前期比+13.7%）
- 営業利益：47,097百万円（前期比+331.6%）
- 純利益：33,366百万円（前期比+412.7%）
- 利益率・効率性
- 営業利益率：3.9%（前期1.1%）
- ROE：9.97%（過去12か月）
- ROA：2.98%
- 財務安全性
- 自己資本比率：34.6%
- 総資産：987,016百万円
- 負債合計：613,680百万円
- キャッシュフロー
- 営業CF：59,833百万円
- フリーCF：9,510百万円
- 成長性
- 売上・利益ともに大幅な増加
- データセンター・AI、自動車関連市場の成長を取り込む
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・方針
- 年間配当：120円（予想も同額）
- 配当性向：25.3%
- 配当利回り：1.47%
- 5年平均配当利回り：2.60%
- 自社株買い等
- 直近で大規模な自社株買いの実施は確認できませんが、資本効率向上を重視する方針です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向
- 直近1年で約2倍強の上昇（52週変動+117.99%）
- 出来高も高水準で推移
- 影響要因
- データセンター・AI、自動車電動化市場の成長期待
- 業績の大幅な回復
- 機関投資家の保有比率も高く、関心は高い
11. 総評
古河電気工業は、光ファイバー・自動車用ワイヤハーネスなど成長分野で世界有数の技術力と供給体制を持ち、データセンター・AI、自動車電動化、再生可能エネルギー市場の拡大を背景に、直近で業績が大幅に回復しています。財務基盤も安定しており、資本効率・収益性の改善が進んでいます。株価は年初来高値圏で推移しており、投資家の関心も高い状況です。配当性向は適度で、安定した株主還元方針を持っています。今後も中期経営計画に基づく成長戦略の進捗と、グローバル市場での競争力維持が注目されます。
> ※本レポートは情報提供を目的としており、投資助言を行うものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
企業情報
| 銘柄コード | 5801 |
| 企業名 | 古河電気工業 |
| URL | http://www.furukawa.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 鉄鋼・非鉄 – 非鉄金属 |
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