1. 企業情報
- 企業名: 株式会社エフ・シー・シー（F.C.C. Co., Ltd.）
- 設立: 1939年6月15日
- 本社所在地: 静岡県浜松市浜名区細江町中川7000-36
- 代表者: 斎藤 善敬
- 従業員数: 7,799人
- 事業内容: 主に自動車・二輪車・汎用機械向けのクラッチおよび関連部品の製造・販売を行う。二輪車用クラッチで世界首位、四輪車用クラッチも手がける。ホンダ系向けが主力で、海外売上比率が高く、特にアジア地域が収益源となっている。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 二輪用クラッチで世界首位。四輪クラッチも北米を中心に展開。ホンダ向けの取引が多い。
- 競争優位性: 技術力・品質・ホンダとの強固な関係が強み。海外生産拠点・販売網も充実。
- 課題: 為替変動（特に円高）、原材料価格の上昇、EV化によるクラッチ需要の変化、主要顧客依存度の高さ。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 「クラッチ専業メーカー」としての地位を維持しつつ、EV/CASE領域や非モビリティ分野への事業拡大を目指す。
- 重点施策:
- EV/CASE（電動化・自動運転・コネクテッド・シェアリング）領域への新事業開発
- 環境・エネルギー分野での新規事業
- グローバル生産体制の強化
- 既存事業の高付加価値化
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 二輪・四輪向けクラッチの安定供給を基盤としつつ、新分野への進出で事業ポートフォリオの多様化を図る。
- 市場ニーズへの適応: EV化の進展によるクラッチ需要減少リスクに対し、新規事業開発や非モビリティ分野への展開で対応を進めている。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発動向: ウェット式・ドライ式クラッチ、トルクコンバータ、CVT用部品など幅広い製品群。二輪用クラッチでは高い技術力を有する。
- 主力製品:
- 二輪車用クラッチ（世界シェア首位）
- 四輪車用クラッチ（AT・CVT・MT・4WD用）
- 汎用クラッチ（ATV、除雪機、芝刈機向け）
6. 株価の評価
- 株価: 2,973円（2025年8月7日終値）
- PER（予想）: 12.00倍（業界平均: 13.3倍）
- PBR（実績）: 0.79倍（業界平均: 0.8倍）
- EPS（予想）: 247.81円
- BPS（実績）: 3,745.13円
- 評価: 業界平均と比較してPER、PBRともにやや割安な水準。
7. テクニカル分析
- 年初来高値: 3,350円
- 年初来安値: 2,480円
- 50日移動平均: 2,849.60円
- 200日移動平均: 2,971.44円
- 直近の株価推移: 直近では3,000円台からやや下落傾向。年初来高値からは調整局面。200日移動平均線付近に位置し、安値圏とは言えないが高値圏でもない。
8. 財務諸表分析
- 売上高:
- 2023年3月期: 218,939百万円
- 2024年3月期: 240,283百万円
- 2025年3月期: 256,619百万円
- 2026年3月期（予想）: 237,000百万円
- 営業利益:
- 2023年3月期: 11,904百万円
- 2024年3月期: 15,102百万円
- 2025年3月期: 17,330百万円
- 2026年3月期（予想）: 15,000百万円
- 純利益:
- 2023年3月期: 9,566百万円
- 2024年3月期: 12,231百万円
- 2025年3月期: 15,859百万円
- 2026年3月期（予想）: 12,000百万円
- ROE（実績）: 8.58%
- ROA（実績）: 4.61%
- 自己資本比率: 74.8%
- キャッシュフロー: 営業CFは安定してプラス、財務・投資CFはマイナス傾向だが、現金残高は潤沢。
- 傾向: 2023年～2025年にかけて増収増益傾向。2026年3月期はやや減収減益見通し。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）: 4.17%
- 1株配当（予想）: 124円
- 配当性向: 23.47%
- 過去の配当実績: 2025年3月期: 年間202円（特別配当含む）、2026年3月期は124円を予想（減配見込み）。
- 自社株買い: 自己株式の保有あり（6.98%）。
- 方針: 安定配当を基本としつつ、業績に応じて還元強化の姿勢。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価変動: 2025年8月初旬に3,000円台から2,900円台へ下落。出来高はやや増加傾向。
- 信用取引動向: 信用倍率0.68倍と売り長。信用売残が増加傾向。
- 投資家関心: 配当利回りの高さや安定した財務体質が注目されている。
11. 総評
エフ・シー・シーは二輪用クラッチで世界首位の地位を持ち、ホンダとの強い関係を背景に安定した収益基盤を有する。近年は増収増益基調だったが、2026年3月期は為替（円高）や原材料高の影響で減収減益が見込まれている。EV化による市場構造変化への対応として、新規事業や非モビリティ分野への展開も進めている。財務体質は非常に健全で、配当利回りも高水準。株価は業界平均と比較して割安感があり、直近は調整局面。今後の成長には新分野での成果や為替動向が重要となる。
企業情報
| 銘柄コード | 7296 |
| 企業名 | エフ・シー・シー |
| URL | http://www.fcc-net.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
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