1. 企業情報
有機合成薬品工業株式会社は、1947年に設立され、東京都中央区に本社を置く化学メーカーです。ファインケミカル事業を単独事業として展開しており、医薬用原薬・工業薬品・食品添加物の製造・販売を主力としています。特に高品質なアミノ酸においては世界有数の技術を持つとされています。事業構成としては「アミノ酸関係」「化成品関係」「医薬品関係」の3分野がそれぞれ約3分の1ずつを占め、バランスの取れたポートフォリオが特徴です。ニプロや長瀬産業といった大手企業との提携関係も持ちます。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は「高品質アミノ酸で世界有数」と自負しており、この点が業界内での明確な競争優位性であると考えられます。主要な株主にはニプロや長瀬産業などの大手企業が名を連ねており、強固なパートナーシップを築いていることも事業安定性や展開力に寄与していると推測されます。市場シェアに関する具体的な数値は開示されていませんが、特定分野での高い技術力と地位を確立しています。課題としては、化学業界全般に共通する原材料価格、物流コスト、エネルギーコストの高騰が収益を圧迫する点が挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
同社は中期経営計画に基づいた活動を継続しています。具体的な計画の数値目標の詳細は本レポートのデータにはありませんが、最近竣工したアミノ酸製造設備への大型投資は、中期的な生産能力の強化と競争力向上を目指す重点施策の一つと見られます。この投資は短期的な減価償却費の増加による利益圧迫要因となっていますが、将来の成長に向けた基盤強化を目的としています。
4. 事業モデルの持続可能性
有機合成薬品工業は、アミノ酸、化成品、医薬品という多様なファインケミカル製品を提供しており、それぞれの製品が医薬、工業、食品添加物など幅広い用途に利用されています。この多角的な事業構成により、特定の市場変動リスクに強い事業モデルを構築していると言えます。近年は海外向け、特に輸出が好調であり、グローバル市場への適応力も示唆されています。また、最新のアミノ酸製造設備への投資は、変化する市場ニーズに対応し、将来にわたる持続的な成長を確保するための取り組みと評価できます。
5. 技術革新と主力製品
同社は「高品質アミノ酸で世界有数」と称されるほどの技術力を持っており、これが製品の独自性や競争力の源泉となっています。アミノ酸、化成品、医薬品の各分野がバランスよく収益を牽引する主力製品群です。特に直近の中間期決算では、化成品関係における高分子材料の輸出、および医薬品関係での輸出向け原薬等が好調に推移しており、これらの製品が高い市場ニーズを獲得していることがうかがえます。DNA、ヌクレオシド、プロタミンといったバイオ関連素材の提供も行っており、先進技術分野への貢献も期待されます。
6. 株価の評価
現在の株価は283.0円です。
– 会社予想EPS: 27.83円 -> PERは10.17倍
– 実績BPS: 609.58円 -> PBRは0.46倍
業界平均PERが15.9倍、業界平均PBRが0.7倍であることと比較すると、同社のPER（10.17倍）およびPBR（0.46倍）はいずれも業界平均を下回っており、割安感がある水準と評価できます。
7. テクニカル分析
現在の株価283.0円は、50日移動平均線（281.56円）をわずかに上回り、200日移動平均線（267.12円）を上回る水準にあります。年初来高値が300円、年初来安値が214円であり、現在の株価は年初来高値から約5.6%低い位置にあります。直近10日間の株価は280円から284円の範囲で比較的安定して推移しており、年初来のレンジで見ると、やや高値圏にあるものの、大きな変動は観察されていません。
8. 財務諸表分析
以下、年度のデータは会計年度末時点、過去12か月はLTM（最新12か月）データ
売上と利益の傾向:
- 売上高 (Total Revenue): 過去数年にわたり増加傾向にあります。（2022年: 12,361百万円 → 2025年予想/LTM: 15,128百万円）。直近の中間期（2025年4月～9月）でも前年同期比8.7%増の7,821百万円と増収を達成しています。
- 営業利益 (Operating Income): 売上高の増加に伴い、過去数年で大きく改善しています。（2022年: 417百万円 → 2025年予想/LTM: 1,220百万円）。
- 純利益 (Net Income Common Stockholders): 同様に、過去数年で顕著な増加を見せています。（2022年: 248百万円 → 2025年予想/LTM: 896百万円）。
- 直近中間期: 売上高は好調であったものの、新アミノ酸製造設備の償却負担増および原材料・物流・エネルギーコストの高騰が響き、営業利益は262百万円（前年中間比△45.8%）、中間純利益は165百万円（前年中間比△55.0%）と大幅な減益となりました。
収益性指標:
- 粗利率: 直近中間期で17.8%と、前年中間期の20.0%から低下しています。
- 営業利益率 (LTM): 8.06%
- 純利益率 (LTM): 5.92%
これらの利益率は直近中間期でコスト増の影響を受けていますが、通期予想では改善を見込んでいます。
財務健全性指標:
- 自己資本比率 (実績): 48.8%と、一般的に見て非常に健全な水準です。
- 流動比率 (直近四半期): 1.61倍（161%）であり、短期的な支払い能力も良好です。
- 総負債/自己資本比率 (Total Debt/Equity, 直近四半期): 67.96%と低く、負債依存度が低い健全な財務体質を示しています。
- ROE (LTM): 5.39%
キャッシュフロー:
- 営業キャッシュフロー (LTM): 1,700百万円とプラスを維持しており、本業で安定的な資金を生み出しています。
- 投資キャッシュフロー (LTM): △1,740百万円と多額の支出があり、これは新設備建設など積極的な設備投資によるものと考えられます。
- 財務キャッシュフロー (中間累計): +365百万円。長期借入金による調達が増加しており、設備投資資金を賄っている状況です。
全体として、売上高は成長を続けていますが、直近の利益は一時的にコスト増や先行投資負担で圧迫されています。しかし、財務基盤は強固であり、今後の投資効果が期待されます。
9. 株主還元と配当方針
同社の会社予想配当利回りは3.53%であり、1株当たり10.00円の年間配当を予定しています。予想配当性向は21.74%と健全な範囲にあり、安定的な配当維持の余地があると考えられます。過去5年間の平均配当利回りが2.15%であることから、現在の利回りは平均よりも高い水準にあります。中間配当は実施せず、期末配当に集中する方針です。自社株買いに関する明確な情報は本データにはありません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は280円から284円の範囲で推移しており、大きな上昇・下降の勢いは見られません。52週変化率は7.17%と、S&P500の14.26%と比較すると低い伸びに留まっています。平均出来高（10日平均: 30,760株、3ヶ月平均: 46,140株）は高流動性とは言えず、投資家関心は極めて高いわけではないかもしれません。信用取引状況を見ると、信用買残が378,500株に対し信用売残が3,300株と、大幅に買い残が上回っており、需給面では買い圧力が高い状況を示しています。株価への影響要因としては、原材料価格やエネルギーコストの高騰、新設備投資に伴う減価償却費の増加が短期的な利益を圧迫する懸念がある一方で、海外事業の好調な推移や、中期的な生産能力強化による成長期待がプラス要因となり得ます。
11. 総評
有機合成薬品工業は、高品質アミノ酸を強みとするファインケミカル分野で独自の地位を築いています。医薬品、化成品、アミノ酸の多様な事業ポートフォリオを持ち、売上高は近年着実に成長を続けています。直近の中間期決算では、戦略的な設備投資に伴う償却負担増や原材料高騰により一時的な減益となりましたが、通期では増収増益を見込んでいます。財務基盤は非常に健全であり、PBRやPERなどの株価指標は業界平均と比較して割安感があります。配当利回りも魅力的な水準にあり、株主還元への意識も高いと評価できます。課題であるコスト高騰や新設備投資効果については今後の動向を注視する必要がありますが、長期的な視点では強みと安定性を兼ね備えた企業であると言えるでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性: A
LTM売上成長率が約17%と高水準ですが、直近四半期の売上成長率が前年比マイナス2.70%と減速している点、中間期の売上高は好調に推移している点から、高評価とします。
– 収益性: B
LTMの営業利益率は約8.06%ですが、直近の中間期では新設備償却負担とコスト高騰により営業利益率が3.4%に低下しており、一時的な収益性の悪化が見られます。業界平均との比較情報がないため中立的な評価とします。
– 財務健全性: A
自己資本比率48.8%、流動比率161%、総負債/自己資本比率67.96%といずれの指標も健全な水準を大きく上回っており、強固な財務基盤を有しています。
– 株価バリュエーション: S
PER（会社予想）10.17倍は業界平均15.9倍を大幅に下回り、PBR（実績）0.46倍も業界平均0.7倍を下回っており、強い割安感が示されています。
企業情報
| 銘柄コード | 4531 |
| 企業名 | 有機合成薬品工業 |
| URL | http://www.yuki-gosei.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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